ヒロアカ夢小説
お相手:瀬呂範太
⚠ヒロアカ創作キャラが登場します。夢思考に理解のない方はここでバッグしてくだい。
・捏造あり
『どんまーい』
どんまいコールが会場に響くなか、私はただ一点を見つめていた。
「(何あの子…)」
彼にはいったいどんなコスチューム、サポートアイテムが合うだろうか。
この後の試合なんて、明の試合以外に特に興味を引くものなんてない。
私は、スケッチブックにペンを走らす。
「(最高に面白くなりそうー!!)」
୨୧* 。 ゚
体育祭が終わって何日か経った頃。
休み時間という事もあり、A組の教室の前は騒がしい。
そんな騒がしさに紛れ、瀬呂範太もクラスメイトと廊下で談笑をしていた。
「いっやーそれにしてもよ」
上鳴の活気な声が、隣から聞こえる。
「強かったよなー!轟。」
A組きっての優秀者の名前が上鳴から飛び出し、瀬呂は頷いた。
「どんま~い、だっけ?瀬呂。」
ひょっこりとどこからともなく出てきた峰田が、瀬呂をからかう。
「やめろー、結構ダメージくるんだぜ?心に。」
冗談ぽく嘘泣きしながら言う瀬呂に、上鳴と峰田は「どんまい」と肩をたたく。
お前らなー、そう言おうとした時だった。
後ろから思い切り腕を引っ張られた。
「はっ…!?」
急なことで頭が追いつかなかったが、どうやら瀬呂の手を引いている、赤茶髪の彼女が犯人だろう。
「ちょ、なに?てか誰!」
人気のない所に連れてこられ、やっと瀬呂は、彼女の手を振り払う事ができた。
走っている状態だと、手を振り払ったら彼女が転んでしまう可能性があるため、ヒーローの卵として、それは許されなかった。
手を振り払われ、こちらを振り向いたその少女は、ポカンとした顔で瀬呂を見ている。
「ん?」
「いやいや!ん?じゃないんよ!」
会話が噛み合わず、瀬呂が悩んでいると、少女が「あ~」と呟いた。
「私ね、砲だよ。サポート科の円場砲!!えとー…君!どんまい君をスカウトしようと思って!」
どんまい君、とはいったいなんだ。
馬鹿にされているようにしか思えない…と思いながら、瀬呂は頭を傾ける。
「あーサポート科の人ね…。てか、スカウトって?」
苦笑いを浮かべながら、砲に尋ねると、満面の笑みを見せ、説明を始めた。
「どんまい君のコスチューム!ちょっと無駄な部分が多いから、削れば動きやすくなると思うんだよ!!」
ズイッ、とこちらに急に身を乗り出してきた少女に驚きながら、控えめに両手で止める。
「あー…つまり、円場さん?は俺のコスチューム改良をしてくれる…って訳?」
まだ疑問に思うことはありながらも、だんだんと砲の考えが分かってきた瀬呂は、興奮気味な砲に変わって彼女の言いたいことをまとめる。
そうすると、砲は激しく頷いた。どうやら合っていたようだ。
「そういう事~!どう、どう??私に頼んでみない??お試しでも良いからさあ!」
「いや、そりゃ俺は嬉しいけどさ…円場さんにメリットあるん?」
単純な疑問だ。
瀬呂自身には、今後のヒーロー活動を踏まえ、ヒーローコスチュームの利便性が上がるのはとても嬉しい。
しかし、彼女は違う。
作ってくれるのは嬉しいが、それでは彼女に利点がないのではないだろうか。
そんな考えが脳裏をよぎる。
すると彼女が、活気のある声で言った。
「ありまくるよー。相手がいる開発なんて、楽しいに決まってんじゃん~!」
キメ顔で親指を立てた砲に、瀬呂は少し吹いてしまう。
「それに、ね。」
砲は、ひと呼吸おいてから口を開く。
「それが、サポート科ってもんだから!」
彼女の裏表無い笑顔に、瀬呂も自然と笑顔になる。
「(てっきり馬鹿にしてんのかと思ってたけど、なんだ、良い奴なんじゃん。)」
「よろしくな、円場さん。」
親指を立てたままだった砲は、少しあっけらかんな表情を見せたが、またニッ!と歯を見せて笑った。
「さん、いらないよ~!砲でも全然良いし。よろしくね、どんまい君!」
あ、しまった。そう言えば名前をまだ言っていなかった。
瀬呂は少し頭を掻きながら自身の名前を言う。
「瀬呂範太。俺の名前ね。どんまい君じゃねぇから。」
「セロハンタ…じゃあセロセロで!」
奇妙なあだ名を付けられ、瀬呂の肩がガクッとなってしまったが、再度体制を持ち直した。
そして、右手を差し出す。
「ほんじゃ改めて。円場、頼んだぜ、俺のコスチューム。」
その手を砲は両手で握る。
「うん、任せて、セロセロ!」
二人の少しおかしな関係は、ここから始まる。