#すれ違いには花束を

毛布の温もりだけじゃ

足りなくなったのは、

君を好きになってからだよ＿＿＿

𓂃◌𓈒𓐍

夕暮の色に染まった瞳から
暖かい涙が溢れる事も知らずに
立ち竦んで空を見上げた、まま。

熟した苺の様な頬に
一筋の冷たい涙が通った
"きっと我慢してたんだろうな、"って
君の手を握ってあげたかったけれど
君が犯罪者になっちゃうなあ、って

｢睫毛入った、｣って言って
異様に目を擦る僕を見て
君は察すこともなくただ見つめてた。
ガラス越しの空を。ガラス越しの景色を。

僕は君の手を握る事も
君に"愛してる"なんて言葉も、
君を抱きしめる事も出来ない。
涙を拭う下手な誤魔化しは
鈍感な君なら気付かないだろうなって


｢先生、｣



こうやって呼べるのも
もう限られてるんだな。

手を伸ばせば届くはずだけど
もう手を伸ばす事はやめた。
これ以上君を困らすのは嫌だからさ。

｢愛してるよ、｣

白くなった息と
震えた声に

君は気づくことは無かった。
これで良かったんだ。

奪ってしまった君の心

ちゃんと返すから


奪われていった私の心

他の誰かで埋めるから


だからもう終わりにしよう

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# すれ違いには花束を

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もし、君と僕がすれ違ったとしても

その花束だけで

元通りになるんだ。