恋眼鏡・2021-05-16
マッチ売りの少女
御伽シリーズ
ポエム
マッチ売りの少女のように
夢や幻に縋る事が出来る
魔法のマッチすら
持っていない僕らは
今が寒くて震えても
未来が暗くて見えなくても
現実を歩いていくしかない
灯る火を手に携えて
いつかはその焔も空に消えて逝く
星彩少女は無数の星となる為に
それは人生最期の日のこと。
行き場を無くしたわたしの末路は
寂しい真夜中の路地裏で。
せめてもの末期の暖を取ろうと
かじかんだ手でポケットをまさぐり
たった一本だけ残っていた
マッチを擦ると
わたしのぼやけた視界には
たしかに火の精が現われた。
懇願したんだ。
もういちどだけあの人に会わせてくださいって。
夢にまで見たあなたのすがた。
それは幻影かもしれないけれど、
たしかに瞳を見つめて。
白い息とともに、
はにかむように、
ほんのわずかな言葉を交わして。
いつ以来だろう、
ずっと鉄の仮面のようだったわたしの顔にも
ほんのすこしだけ赤味が差し。
きつく締めあげていたかのようななにかを
そっと緩めるように微笑みを見せた
わたしは、
ゆっくりと目を閉じ、息絶えた。
その瞼の裏側に、
最期にみた光景を
しっかりと灼きつけて。
二度とこの世界を見ようとはしない、
二度と見開くことのない、
その瞳には、なみだ。
生まれ変わってもまた出会ってください。
今度こそまともな人生になりますように。
雨の降り頻る中
走ってこいと家を追い出され
家に帰ると風呂に入るなと言われる
マッチ売りの少女は
雪の降る路地で凍えていたけど
俺は夏になりかけた家の中で
凍えそうだ
少女の話をしよう。
世の中に疎まれ、阻まれ。
迫害に満ちた少女の話を。
それは酷く寒い冬の日のことだった。
ちょうどその日は神の子の生誕祭。
雪のしんしんと降り積もる中
少女は身体中傷だらけで
幻のような取るに足りない小さなマッチの灯を売っていた。
行く人行く人
誰も少女に目を向けない。
向けたとしても
表情に嫌悪を浮かべるだけだった。
人ならざるものをみるように。
ああ、寝床はどこにしよう?
小さな少女は歩き回る。
ああ、寝床はここにしよう。
決めた場所は富豪の家の裏。
徳の高い男の家の裏。
窓からはマッチとは比べ物にならないほどの光が漏れ出ている。
うらやましい。
彼女はそう思った。
幸福を欠片も知らぬ身でありながら
しかし彼女は周囲に憎しみの心を持たなかった。
肌寒い風が少女の頬を撫でる。
少女はふと、マッチに灯をともした。
その灯の中には
リボンで飾られた小さな箱が見える。
灯が揺らめくのも束の間
気づけば炎は闇の中。
再び彼女は灯をともす。
次はテーブルに並ぶごちそう。
ふふふ、お腹がなってしまうわ。
少女はひとりで口元に弧を描く。
気づけば灯はまた消える。
三度灯をともせば
今度は死んだはずの祖母の姿が瞳に映る。
おもむろにロッキングチェアを揺らしながら
こちらを見ては笑みを零し。
またまたはかない灯は消えた。
少女は願った。
神様、私にも幸せを分けてください。
それを打ち砕くかのように
日差しのまぶしい翌日の朝。
少女は遺体となって富豪の家の裏に倒れていた。
そう。
幸せという名の
死を抱えて。
亡骸の彼女は
ほんのり微笑んでいたという。
人生最初に泣けた話し
マッチ売りの少女
今でも、あの「マッチを買って下さい」の声が焼き付けてる
しかも、最後、死んじゃうしね
あれ、小学校の時、教育テレビで見たけど、相当な衝撃だった
今でも耳に残ってるって事は
ネルネ売りの少女:
誰もねるねるねるねを買ってくれなかった、大晦日の夜。少女は、魔女になった。
そして今でも大晦日の夜には、お菓子売り場に、あの魔女が出没するのだ。
消えかけ灯売りと
死にたがり迷い子のお話
消えたかった
このマッチの灯の様に
何故
私は生きているのだろう
生きる意味など
生まれた時から無かったのに
今時こんな
か細い灯なんて
売れないのは分かっていた
それでも
この灯が売れたら
自分の生きる意味が見い出せる
そんな気がして
一人また
灯を売る
寒い
指先が
凍ってしまう程に
寒くて
一つ
灯を灯した
寒過ぎたからか
暖かなご飯が
目の前に現れる
大好きだった
たった一人の
私の味方
お祖母様までもが
消えかけの私の瞳に
映っては消え
映っては消え
そんなことを繰り返していた
ここで一人
灯を売り続けるのは
誰かに助けて貰いたかった
からかもしれない
もう消えてしまおうか
そんなときに私と同じ
一人の女の子が立っていた
"その灯、私に一つ下さいな"
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マッチ売りの少女と
ヘンゼルとグレーテルの
二次創作です
前半後半で分けたいと思います
今回は
マッチ売りの少女sideで
私はマッチを売ってる
マッチはいかが?
買わない人々が多い
可哀想な私に優しい人
手を差し伸べて
人魚姫は美しい声を捨て、人間の足を手に入れた
ウンメイ
― でも私は物語に抗うわ
人魚姫は美しい声を選び、人間の足を捨てた
『泡になって消えるなんてごめんよ』
赤ずきんちゃんは病気のおばあさんのお見舞いへ
ウンメイ
― でも私は物語に抗うわ
赤ずきんちゃんは狼に恋して愛しすぎた故に殺してしまった
『他の誰かに殺されてしまうのならいっその事私が…』
シンデレラは内緒で舞踏会へ
ウンメイ
― でも私は物語に抗うわ
シンデレラ
シンデレラは舞踏会へ行かずに一生灰かぶりのままでいた
『見ず知らずの人と結ばれるなんていやよ』
ヘンゼルとグレーテルは魔女を倒して両親の元へ
ウンメイ
― でも私達はは物語に抗うわ
ヘンゼルとグレーテルは両親に捨てられたと思い自ら釜の中へ
『愛されないというのはこんなにも辛いんだね』
ジャックは豆の木を切り倒して巨人を倒した
ウンメイ
― でも俺は物語に抗う
ジャックは豆の木を切り倒さず1人安全な場所へと逃げた
『巨人が降りてきたらどうなるか気になったんだ』
マッチ売りの少女はマッチの火の幻想を見ながら眠った
ウンメイ
― でも私は物語に抗うわ
マッチ売りの少女は愛想を振りまいてお金持ちの人に拾ってもらった
『寒いのは嫌いよ』