美嘉・2018-01-13
恋の短歌
俵万智
おしまいに
するはずだった
恋なのに
しりきれとんぼに
しっぽが生える
「この味が
良いね」と君が
言ったから
7月6日は
サラダ記念日
「この味がいいね 」
と君がいったから
7月6日は
サラダ記念日
金曜の
六時に君に
会うために
始まっている
月曜の朝
"思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子の へこみ"
君が好きだと言っていた短歌。
「へえ、そうなんだ」
と適当に流してしまったあのときの自分を、今は心底殴り飛ばしたい気分だ。
スマホの液晶の傷も
ワイシャツについた皺も
汚れのついた本も
そのどれも、「へこんだ麦わら帽子」と同じように心に刻まれた思い出を、体現しているように思う。
それは、切ないようでいて、女々しくもある。
ああ、過去に縛られつづけている僕を
今の君が見たら、笑うかな?
いつもより一分早く駅に着く
一分君のこと考える
愛することが
追いつめることになってゆく
バスルームから星が見えるよ