課題曲吹いちゃダメだと思って
勝手に勘違いしてた
N先生の言ってたことが
聞き取れなくて
顧問の先生も吹かなくても何も
言って来なかったから
あぁ、私は吹いちゃ駄目なんだって
思ったら
なんだか涙が出てきて
trioの伴奏を聞いてたら
あんなに今まで頑張ってたのに
毎日練習してた
自主練も行ってたのに、って
なって
隣で吹き真似をしてる
チューバの1年生はあくびをしてて
私はこんなに吹きたいのに
どうして貴方はあくびなんかして
つまらなさそうにしてるの
もっと音聞くとかしなよ
楽器落としたら先輩も怒られるんだよって心の中で八つ当たりして
休憩のときにN先生のところに
行って
「私は吹いちゃ駄目なんですか」って
震える声で聞いたら
N先生はびっくりして
「そんなことないよ!
雨音は吹いて当たり前だよ
どうしたの?」
って言ってくれた
「でも、先生がチューバ1本って」
それは、聞き間違いだった
「ごめんね、私の声が聞こえなかったよね。
そうじゃなくて、雨音は29小節目から入ってきてってことだったの」
ほっとして、私は
「ごめんなさい、勘違いしてました」
って笑って言って
ステージに戻って音出しを再開した
あのとき先生に泣きついて
頑張ったのに駄目って言われたかと思った、って素直に言ってたら
よかったな、なんて
馬鹿なこと思ってしまった