ハルユー・2023-07-01
半夏抄
まばゆい光に
包まれた季節は
遠く過ぎたように思えて
ため息のつづら折り
恋の仕方も忘れてしまった
諦めきれないくせに
囚われたままの心
取り戻したくて
生命の夏に手を伸ばす
まだ間に合う
まだ奇跡の光に包まれてみたくて
波に攫われるように
あの日の記憶も
誓ったはずの感情も
遠く彼方へ
それでも残る
足下の冷たさに
ひとり微笑う
山並みを霞める雲を
夏風がちぎる
遠い日の約束
記憶の中のキミも
途切れ途切れの
澄み渡る青に消えてく
恋の始まりも
恋の終わりも
独りよがりだから…
でも
そんな自分を優しく
微笑えたならば
またひとつ階段をのぼれた
そんな気もする
久しぶりの青空
久しぶりのおやすみ
青空の下 白いシャツが揺れる
風を纏い
夏の香りを漂わせながら
あの子といた灼熱の夏も
あの人と駆け抜けた
ひと夏の時間も
今は穏やかな風の中の記憶
笑いながら思い出せる
出会えたことにありがとう
そう思える今が
とても愛おしい
雨上がり
まだ 光はさしては来ないけど
季節は色を変え流れゆく
私は何故か
追い立てられるように
駆けて駆けて…
ただ 過ぎ去ってゆく
時の景色の中で
微かな明かりを求めて
はじまりの夏を数えるより
夏の終わりを数えてしまう
生きてることの儚さを
知ってしまえば
今この時の愛しさだけを
思いやれるのに…
未だ未だ
求めることばかりで…
いつかは消えてゆく
一筋の線を
ただ言葉もなく見つめてたなら
涙が溢れた
それでもこの目に焼きついた
この線に託した思いは
きっと記憶の扉の中に
煌めき続けて…
フッとため息ひとつで
消えてしまいそうになる
生きることへのキモチ
アナタの笑顔で
アナタの言葉で
微かに護られてる
心の中で繰り返している
ありがとうとごめんを
いつも いつも…