べに・2025-06-17
深緋
吹奏楽
髭男
べに
15 髭男
すいぶ
受かるしかないだろあんなの
受かる以外の選択肢は考えちゃいけません
お願い。
貴方と過ごす時間を
もっともっと噛み締めるから
貴方との時間が欲しい。
届けたいって想いがあれば
キセキくらい起こせるはずだから
悔しさからなのか
苦しさからなのか
わからないけど泣きながら練習した
私にとって2回目のコンクール
1回目は正直あんまり覚えてない
自由曲課題曲で合わせて
5小節ぐらい吹かせてもらった
1年生の中では結構多めだったらしい
ライトがステージを照らして
眩しかった
指揮者が手を振った瞬間
いつもより響く音が
会場を包み込んだ
一瞬だった、だけど美しかった
終わってからホルンの先輩が
失敗した。けど悔いは無い
やり切ったって
涙混じりの笑顔で言ってたこと
部長が泣き崩れてたこと
いつも後輩のこと気にかけてくれる
バリサクの先輩が自分のことで
いっぱいいっぱいだったこと
全部、知らなかった
吹奏楽の世界がこんなにも
厳しいことも
全部知らないことだらけだった私が
その時から決めたこと
来年は金とろう
みんなで笑って帰ろうって
私は負けない
辛くても、苦しくても私は
私たちは金を取る
吹奏楽に捧げる時間を
最後の夏で無駄にしないように
東関東大会に行って
見たことない景色の中で吹いて
今年こそ嬉し涙で
中学校生活最後の夏を終われますように
県大会予選に向けて
毎日たった1歩ずつだけど
それでもたしかに
私は前へと進んでる
昨日の私の努力が
今日の私を強くしてくれる
だから今日の私の努力が
未来の私を誰よりも強くするところを
その結果をこの目で見たいんだ
もう二度と戻ることのできない
中学最後の吹奏楽祭
「どうだった?」って聞かれて
正直に「全然ダメでした」って答えた
「それをコンクールに繋げていくの」って
副顧問の先生から言われたあの言葉を
私は絶対に叶えるって決めたんだ
ここ数日、先生達から何度も言われた
「優希が誰よりも
金賞とりたいって思ってるのは
ちゃんと分かってる」って
私はそれを一度も
先生達の前で口にしてこなかった
それでも思いは伝わるんだなって
嬉しかった
吹奏楽に捧げた青春
最後の夏こそ嬉し涙で輝きたい
吹奏楽へ
うちを救ってくれてありがとう
きらきらした楽器と音が
うちを暗闇から引っ張り出してくれた気がして
13歳ながらに
凄く胸が熱くなったの覚えてる
あと20日でコンクールだよ
恩返しするね
先生にも先輩にも
吹奏楽にも
うちの大好きな楽器にも
3年間奏でさせてくれてありがとう
完全な引退は3月だけど
夏一緒に過ごすのはこれで最後だね
思い通りに出来なくてやめたいときもあったし
上手い皆を見て
音を聞いて、劣等感も感じてた
何度泣いたか
数え切れないと思う
でも今は違う
実力の差はあっても
気持ちは誰にも負けてない
吹奏楽への愛も
楽器への愛も
部員への愛も
今のうちらのスローガンは
一度も忘れてない
大丈夫
市大会突破、今年は不安しかない
でも先生が居るから
応援してくれる人がたくさん居るから
その気持ちを無駄にしない為にも
どれだけしんどくても
気持ちがぶつかって泣いても
絶対東関東で
部員全員と
それから、先生と
ぜっっっっったいに
トゥーランドットの最後を吹きながら涙流してやる
うちらのサウンドで
審査員をびっくりさせてやる
感謝を届ける
愛を伝える
大陸みたいに壮大な音楽を目指して
全部に情熱を持つ
全部、忘れちゃいけない大切な言葉
何のために吹奏楽やってるんだろって言ったら
うちを救ってくれた吹奏楽の為に
2年間育ててくれた先生の為に
今教えてくれてる先生の為に
悔し涙を流してた先輩達の為に
憧れですって笑顔で言って
ついてきてくれてる後輩の為に
応援してくれてるたくさんの人達の為に
入部してから時間を共にしたうちの楽器と3年部員みんなの為で
東関東に行きたいって
円陣を組んだあの時間はかけがえのないものになってて
それを実現しようとする皆の顔は
しんどそうで苦しそうで
でもそれ以上に楽しそうに吹奏楽やるけんさ
嬉しいんだよね
ああなにいってんだろ
わかんないけど、東関東行ってやる
トゥーランドットは、大好きな先生からの最後の試練
距離は遠くても、音楽で繋がってる
結果発表の日会えますように
金賞だ、って笑顔で言えるように
明日からも頑張る
背中を追いかけるだけじゃなくなったよ
同じステージで一緒に演奏する
仲間として強くなったよ
だから悲しみも喜びも
今年は二人で一緒に感じよう
ずっと一緒に頑張ってきたよね
気難しい先輩とかめんどくさい後輩とか
ふたりで乗り越えてきたよね
でももうあと1ヶ月ちょっとで終わりだよ
一緒に部活できて楽しかった
一緒にサックス吹けて良かった
約2年、一緒に居てくれてありがとう
今まで本当にありがとう