#涙で滲んだクリスマス

どれだけ泣いても

『涙』と一緒で『好き』も

溢れて止まらないのです

私の冷たい『心』を

あなたという『温もり』で

またあっためてよ＿＿＿

今年もあなたと過ごせそうにないね、クリスマス

プレゼントさえも渡せそうにないし貰えそうにない

１回くらい、あなたとクリスマス過ごしたかったな。

きっと叶わないでしょ、この願いも。

サンタさん、あの人へこの想い届けて下さい。

私のプレゼントは要らないから、

私の分も、あの人へ幸せを

僕はサンタクロース

ボランティアのサンタをしてる

先輩から誘われて始めた

これが結構ハマって、

終わった直後に
来年もやる事を決めた



僕が実際に訪問した家には
幼稚園くらいの女の子とその妹

ふたり姉妹が待ってくれていた

何故かピンポンを押して
玄関から入る段取り

もう、興奮状態が伝わってくる
子どもだけじゃなく、親の大人も興奮してる感じ

僕の姿を見た途端

姉妹は狂喜乱舞だ

でも待てよ…

様子が違う、
お姉ちゃんの方は車椅子だ

車椅子で僕の方に近づき
抱きついてきた

僕はほんの少しだけ
ひるんでしまった

だけど、そこは
しっかり講習を受けた
プロのサンタだっ

しっかりと抱きしめ受け止める
そして背中をさする

女の子はこう言った

「あたしは体が弱くて入院してるの
入院中はママを独り占めにしてる
だから、マナちゃんが
寂しがってるの
あたし、ずっと知ってたの
あたしはマナちゃんから
ママを取り上げてるの
悪いお姉ちゃんなんだ」

僕は一瞬凍りついた

だけど、抱きしめたまま
背中をトントンと優しくたたく

「悪い子だからサンタさんは
来てくれないと思ってたの
だから良かった来てくれて
どうもありがとう」

なんて子なんだ…

母親が言葉を詰まらせ嗚咽する

僕は中腰から膝をつき直して
その子と向き合った

その子の頭を撫でながら
こう話した

「この世に悪い子なんていない
みんな神さまに愛されて
生まれてきたんだ
それに
ノゾミちゃんとマナちゃんは
パパとママからも愛されてる
そんな子が悪い子なのかな」

女の子は首を振る

「さぁ、いい子には
プレゼントをあげよう」

事前に両親から託された
プレゼントをふたりに渡す

姉妹はにっこり笑い合う

温かな空気がその場を包む

いい家族だな…

僕の心も緩まっていく

白眉毛と白髭が視界を
邪魔しているのに加え

涙でほんのりにじんでしまった



Merry Christmas

この可愛い姉妹に幸せを

君と会って笑う予定があるよ

でもね

クリスマスは何故か、滲んでいたんだ＿＿＿＿

貴方と一緒に過ごしたいなんて

叶うわけないけれど,

寂しくないなんて白い息と嘘を吐いても

この想いには嘘なんてつけない.

｢大好き｣

《一緒に過ごすはずだったのに。》

そんな悲しそうに言われたら

我慢してた気持ちが溢れてしまうじゃん。

去年は話しかけられなくて泣いたクリスマス。

今年は会えなくて泣いたクリスマス。

来年は会えて泣いたクリスマス。になりますように。