#狼の皮を被った兎

｢好きになってあげられなくてごめん｣

なんて
そんなこと言わないでよ


好きになってくれないことなんて
わかった上で好きになってたよ
君がクズだってことも
それでもちゃんと優しいってことも
わかった上で好きになってたよ


確かに苦しいよ
もう触れられないなんて
でもきっとこれで良かった


だからお願い謝らないで
君が私を好きにならなくたって
私は君を責められないから
殴ってくれなんて言わないでよ
私に君を傷つけることなんて
できっこないんだからさ

本当、本当に、


好きになってしまってごめん






╂

この腕の中にあったはずの君

背中に回してくれたはずの腕

耳元で囁いてくれたはずの声

いつでも私を包んだはずの匂い

君から繋いでくれたはずの手



今日私はその全てを失ったのね

君が思っているよりもずっと

私は君のことが好きだったよ

温かくて

ふわふわで

優しくて

ギュッとしたら

ギュッて返してくれる

綺麗な手だったな



またギュッとさせてよ

｢さようなら｣

それは、なんとも美しい諦めの言葉

もう会うことが出来ぬなら

左様なら致し方あるまい　と

桜の花びらにも隠せるような

ほんのひとかけらの涙とともに

川のせせらぎに混じれてつぶやく言葉

あぁでも駄目ね

私たちには似合わない

運命にたやすく従って

抗うこともしないなんて

美しい諦めなんて出来ない

もう会うことが出来ぬなら

左様ならまた会えばいい

桜の花びらが全て散っても

あふれんばかりの涙が枯れても

さようなら、また会う日まで
┗

どこか何か足りないんだ
確かにあったはずの胸の内
ぽっかり空いたままで探してる
ここを埋めてくれる｢君｣を

ねえ 君は今どこにいるの？

君はあのシャーペンを見る度に
きっと私の笑顔を思い出して

君はあの場所を通る度に
きっと私の声を思い出すの


私だけが苦しいままなのは
ちょっと許せないから

｢好き｣という呪いを最後に
貴方にかけてあげるわ

第1志望校に無事に
受かりますように

あの子が自分を
好きになれますように

あの人たちとこれからも
仲良くしていけますように

残りの中学校生活を
思い切り楽しめますように

高校ではもっと
青春を楽しめますように

｢愛｣だとか｢恋｣だとか
そんなもの知らない
簡単に答えが出せるものでも
簡単に定義できるものでもない
だからこそ軽率に
｢好き｣とか｢愛してる｣とか
そんなこと言えない
言ってはいけない気がするの

｢愛｣だとか｢恋｣だとか
全然わからないけど
心がキューってなったり
会いたいなって思ったり
通常じゃいられなくなったりする
｢好き｣とか｢愛してる｣とか
わからないけど
その人を大切にする

君が僕を
僕として見ていなくても

君の方から僕に
触れてくれる日が来なくても

君が僕のことを
いつか忘れてしまうとしても


今、僕は
君のことが好きなみたいだ

この苦しみもこの悩みも
私はきっと私を嘲笑うことで
また乗り越えていく

でもこの苦悩を
私は決して偽物にはしない
してはならないから

男子のとき
とか
女子のとき
とか
そんなの関係なく

君が好きだった
みたいで、さ

きっともうすぐ思い出になる
その気になれば多分
もう二度とすれ違い会うこともなく
君を思い出に閉じ込められる
どこかで元気にしてる、と
会えずに、会わずに思っていれば
｢またいつか｣の時には
きっと色褪せる

会えない日々を
一つ一つ重ねて
もうあと少しで
365になる


あなたは今元気ですか
どこで何をしていますか
私のことを覚えていますか

勉強は出来ていますか
相変わらず数学は苦手ですか
ピアノは弾いていますか
あの曲はもう忘れてしまいましたか

初めて会った日のことも
8月4日の出来事も
取り消されたメッセージも
あの時見せた涙も
最後に面と向かって交わした言葉も
あなたはもう忘れてしまいましたか


きっともう会えないだろうから
きっともう届かないだろうから
今なら言っても大丈夫でしょう

｢好きでしたよ、先輩｣
╂

誰にも分かりっこないと叫んだ夜
貴方からの電話の誘いを断った夜
甘える事は許されないと泣いた夜


思い出したくもない苦しかった夜たち
それを乗り越えた今


あの頃の強がりを
今の私が抱きしめるから

私の恋は
いつだって叶わなかった。



今はもう忘れてしまっていた
あの先輩への深い恋心。
写真を見れば直ぐに蘇って
やっぱり私は好きでした。



2人で花火大会へ行って、
買い物にも行って、
夜に長電話もした。
隣で歩くのは普通で、
理由もなく会うことも許されていた。
でも、
触れることは許されなかった。



君から話しかけてくれて
変な人だなって思った。お互いに。
顔が良くて、
あざとくて可愛くて。
2人きりで帰る道が好きだった。
私が買ったタピオカを
電車のホームで一気飲みして
いじめられてたんだと笑った君。

アロマンティックかもねと言った君。



私は生粋のリスロマンティックで
両想いのリスクを避け続けた。
好きになるのはいつも
絶対に叶わない相手。
嘆いてるんじゃないよ。
きっと私が選んでるから。

私を好きにならない人を
私は好きになるの。
─