はじめる

#羽根

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全30作品・


しとしとと、雨が降る。


「彼女」の涙が降りしきる。


「さくらさん」


ヨイヤミは彼女を撫でた。


彼女の怒りが伝わる。


これは果たして


迅太の生命を


奪った天狗への恨みか


はたまた真実を


見せたヨイヤミへの怒りか




「忘れたかった記憶です……」


「そうですね」


「私は……馬鹿です…苦しい別れだったけど、最期の彼の言葉を、彼の死に様を知っているのは、覚えていてあげられるのは私だけだったのに……」



内なる怒りは、


彼女自身に向けられたものだった。



「都合のいいように作り替えて、あまつさえ、彼が迎えに来てくれないなんて……そんな勝手な」



寂しく、響く声には


絶望がひしめく。



それでは悲しすぎるから…



「さくらさん」



ヨイヤミは


彼女を呼んだ。


彼女がざわっと


音を立てて答えると


ヨイヤミは言った。




「あなたは信じたかっただけだ」



「え…?」



「迅太さんを蔑ろにしたわけではないでしょう」



ヨイヤミの言葉に


彼女の心が浮き上がり始めた。


シャボン玉が空へと飛ぶように


ふわふわと立ち上る。


ヨイヤミは今にも弾けそうな


脆いシャボンの心を必死に守る。



「体、とても痛いでしょう」


ヨイヤミは頭上の天狗巣を


見上げながら彼女に尋ねた。



「はい…」



「苦しいでしょう」



「はい…」



「今まで病に負けず、一心に待ち続けた、あなたはそれほどまでに迅太さんを」


彼女の心を揺さぶる、ヨイヤミの理解。


「愛していたんですね」



彼女の葉から

雫がぽたぽたと舞い落ちる。



ヨイヤミは


とても穏やかで


とても優しげな声で


彼女に告げた。




「もう、楽になりなさい」





ヨイヤミは手のひらで


宙を仰ぐような素振りを


見せたかと思うとそのまま


指をぱちんと鳴らした。




するとどうだろう。


ザザザッと強い風が吹いた。


暖かく心地よい風だった。



まるで天狗のうちわで


扇いだような風だった。



まだ寒い冬だというのに


彼女の枝先の花芽は


あっという間に揺り起こされて


満開の花になった。



彼女が長年苦しみ続け


迅太の帰りを待ち続けた証


天狗巣もさっと無くなった。


体のきしむような痛みは潰えた。



苦しみ、痛みのない体…


夢のような体だと


彼女は心から安堵して


胸をなでおろす。




「体の痛みは消えた、さあ、あなたが今望むものはなんですか」



「…私が……望むものは」



彼女の中には、迅太の笑顔が浮かんだ。




【ヨイヤミCase One wit'ches broom⑧】





どうしたことだろう。


私には足が生えていた。


背中には大きな翼。


まるで迅太のような鷹羽根だ。



手には、私の証…


可愛らしい桃色の花が


たくさんついた桜の枝を持っていた。



白い道が続いている。


光り輝く道だ。


希望はどこにある?


足の向く先にある。


不思議なことにそう、信じられた。


そのうち、気持ちばかりが急く。



歩くことももどかしくなると


私は自然と、翼を動かし飛んだ。



唄をうたった。


迅太に気づいてもらえるように。



喉が張り裂けんばかり声を張り上げ


喉を大きく開いて


今まで歌ったどんな声より


美しい声をあげた。




すると、聴こえた。


確かに聴こえた。



「さくらっ!!」



霞む視界の中で


ひとりの天狗が


私目掛けて飛んでくる 。



翼……治ったんだ。


足も、しっかり


宙を蹴る。



山伏の白装束は


赤く汚れてはいない。


酷い怪我も、ない。


苦痛に歪む顔もない。



知ってる?


赤い顔なんて嘘。


長い鼻なんて嘘。



天狗は

人間と何ら変わらない、


無邪気な顔で笑うの。




私は桜。


川辺りに咲く小さな桜だった。



でも今は、


「迅太さん…っ」


宙を蹴る足がある。



「さくらっ」


欲しいものに伸ばせる手がある。




250年の時を経て


愛しい人と抱き合える身体を持った。






「…会いたかったっ!」


「もう、離さない」



あの辛い経験があったからこそ


私たちはきっとこれから


互いを大切に出来るでしょう。




「好きです、迅太さん…」


「俺も、さくらが好きだ」



かたく、抱き締め合い


迅太さんは私に口付けてくれた。



やっと通じた想いが


そこにはあったのでした。



【ヨイヤミCase One wit'ches broom⑧終】




・・あ・と・が・き・・



急に始まったヨイヤミ


第一回目終了です(●´ω`●)


お疲れ様でしたー♪



書きながらの投稿でしたので


ちょこちょこ修正を加えたり


お見苦しい間違いやらも


あったかもしれませんが


御容赦下さい。



ヨイヤミはシリーズ化して


時間があるときに


今回のようにだーーーっと


載せようかなあと思っています。



次回はどんなお話かな。


お楽しみに!


…してくれてる方いるんだろうか笑



幸介

ひとひら☘☽・2020-02-03
幸介
幸介による小さな物語
ヨイヤミシリーズ
シリーズ
未来の恋の行方
異種間恋愛
恋愛
両想い
片想い
天狗
天狗巣病
好きなのに
好き
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ポエム
羽根
愛してる
言いそびれた言葉
3つの宝物
後悔
幸せ
バネ
好きだから
再会
天の国
独り言
独り言



ヨイヤミは夢へと落ちた「彼女」を


じっと見つめて、立ち尽くす。



するとそこへ


漆黒の翼を持った男が現れた。



「ヨイヤミ、またお節介か」


「イザヨイですか」


「ああ」


静かな声で


イザヨイと呼ばれた男は


ヨイヤミの側へと降り立った。


そして彼もまた


ヨイヤミの見つめる「彼女」に


目を凝らし、そして呟いた。



「この桜…もうとっくに寿命が尽きてるな」


「ええ…」


「幾らお前でも、これは難しいんじゃねえの?」


ヨイヤミは


暫く黙り込んで俯いたが


やがて首を横に振った。



「救う方法は…ひとつではありませんから」


「そうか。まあ、俺は時が来るまで遠くで見守らせてもらうよ」


そう言ってイザヨイは

大きく翼を羽ばたかせて

ヨイヤミの元を離れた。



ヨイヤミは「彼女」の体に触れ


穏やかに、呟く。



「どうか、思い出したくない思い出の中の愛に気付いてください」



ヨイヤミには悲痛な


彼女の心が……思い出が


痛い程に伝わってきていた。





【ヨイヤミCase One wit'ches broom⑦】





時は無情にも過ぎた。


「ちょっと、そこまで」


そう笑って


出かけたはずの迅太は


お昼を悠に過ぎても


帰っては来なかった。



空が橙色の夕暮れに燃えていく。


それでも迅太は帰ってこない。


不安は募る。


「迅太さん…」


私は、祈る。


迅太の無事を。



過去の私と


現在の私が


無事を切に祈ったら


あるいは迅太は笑顔で


帰ってきてくれるのではないか


そう、私は信じた。


迅太が私の場所を


見失わないように


唄を歌い続けた。



迅太の好きな、私の声で。


透き通って空を突き抜けて


どこぞに居る迅太へと届けるように


喉が擦り切れるまで歌い続けた。





そして、満月が


ちょうど真上に昇った頃


予定通り、向こうの茂みが


ガサガサと物凄い音を立てた。



運命が、動き出す…。



転げ出てきたのは


真っ白な山伏の衣装を


真っ赤な血に染めた迅太だった。



腕を抑え、腹を抱え


口の端から血を垂らして


私を目指し来た迅太は


私の根に足をとられ


ばたりと倒れた。


息が荒い。



やがて、コプッと


真っ赤な血を吐いた。



私はこの時ほど


足を持たない自分を


伸ばす手のない自分を


呪った事はない。



「迅太さん…っ、迅太さん!どうしたんですかっ」


迅太は我に返り


這うように私の幹へと辿り着くと

私の木皮に触れ

途切れ途切れにこう告げた。



「さくら、時間が、ない…俺の言うことをよく聞いて」


「何、を…時間が、ないって、何…」


「里の天狗に、、見つかった」



奴らは死ぬまで追ってくる…。


いつか迅太が


悲しそうに呟いた掟を思い出す。


「わ、わたしのうろの中に身を隠して」


迅太が笑う。


苦しそうに笑って言った。


「俺がもう少し…小さきゃあ、な」



私のうろは小さ過ぎた。


迅太を匿うことも出来ない。



どうしよう


どうしよう



答えも出ないのに


同じ事ばかり繰り返す。




迅太は血だらけの手を伸ばし



私を落ち着かせるように


木肌を優しく撫でた。



「半刻もしないうちに…追っ手が、くる」


その言葉

迅太の目

酷い怪我


それは迅太の強い覚悟を感じた。


強く、悲しい決意…


私はこれまでに無いほど


取り乱して風も吹かない夜なのに


花いっぱいの枝を揺らせた。



「やだ、迅太さん、嫌っ」


「さくら、聞け…っ」


初めて聞く、迅太の荒がった声。


思わず震うと、枝がざっと鳴った。


「さくら、いいか…奴らが来ても声をあげるな、俺の名を呼ぶんじゃない、わかったか」


「無理です…迅太さんの名を呼んではいけないなんてっ」


「聞き分けてくれ…頼むよさくら、お前を危険な目に合わせるわけには…」



その時だった。



キーーーーンと

甲高い鳥のような鳴き声。


耳に煩わしく響く。




「もう来やがった…、いいか、さくら、絶対黙ってろよ」


その荒々しい喋り方とは

裏腹に

私に触れる手のひらは


とても優しい。



「さくら、好きだ」


迅太は私の木肌に


小さな口付けをして


とうとう、私から離れ…歩き出す。



待って。


行かないで。


迅太さん…


やだ。





声が、出ない。


迅太の好きな声は


喉に張り付いたように


響くことはなかった。




迅太の翼は折れ、飛べぬのか。


足を刺したか、うまく歩けない。



亀のような歩みの迅太に


13人の天狗たちは直ぐに追いついた。




「はっ、しつけぇなあ、折角幸せにやっていこうと思ってるのにさ…」


「お前に幸せなど訪れはしない」


「父ちゃんの地位なら、くれてやったろ?放っておいてくんないかなあ」


「いつ我らに牙を剥くとも知れん奴を捨ておくわけにはいかん」


「…だろうね」



迅太は諦めた様に笑った。


そして私をじっと見つめた。


私も、見つめ返した。




このまま時が


止まってしまえばいいのに。




「…ごめんな」


迅太は最期のひととき



そう呟いた。



私に視線を送りながら呟いた。



私は…迅太の言う通り


声をあげず、呆然と


ただその光景を見つめる。



全てがスローがかって見えたのに



「その時」は、瞬く間だった。



天狗の一人が


迅太に刃を振り下ろしたのだ。



肩から腹まで一刀両断にされると



迅太は音もなくゆっくりと


崩れ落ち、動かなくなった。




13匹の天狗たちは


迅太を斬り捨てただけでは飽き足らず


立派な鷹羽根をむしりとり


その亡骸を持ち帰った。



迅太を抱えた天狗たちが


飛び去っていくのを


私は見つめることしか出来なかった。



夥しい血と、無数の鷹羽根だけが



私の目の前には残されている。



ああ


私は……、何も



何も出来なかった。




迅太が遺した「好きだ」と「ごめんな」



何度も頭に響き渡る…。




私も、こんなに好きなのに


最期の時に


好きですと笑いかける事も


出来なかった。



こんなに、好きなのに…。




【ヨイヤミ-Case One- witches' broom⑦終】

ひとひら☘☽・2020-02-03
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羽根
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空に羽ばたいた君はやっぱり綺麗だった
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これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

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僕のこの羽根も空に大きくひろげられる日が来るかな?

Ville_ヴィル_・2019-08-21
ポエム
独り言
羽根
宇宙
青空



カナリアのつばさ


病院の待ち合いで

カナリアは

一言も、口をききませんでした

不安げな表情で

じっと、俯いていました


もし

もう二度と飛べませんと

言われたら、どうしよう


それは、私も、同じでした


簡単な問診の後

レントゲンを撮りました


二回目に、診察室に呼ばれた時

優しそうな先生が

カナリアを、ゆっくりと

時間をかけて

診てくださいました


骨には、異常はないです


羽根を伸ばしたり、閉じたり

裏からも、表からも

何度も丹念に撫でながら


これは、痛くない?

あ、ここは、痛いんだね?


大丈夫ですよ

治ります

すぐにとは、いきませんが、

また、元のように

飛べるようになるでしょう

ただ、二~三日に一度、来てください


先生は

カナリアの傷めたところを

丹念に

マッサージしてくださいました


家でも、お時間があれば

ここを、こんな風に

撫でてあげて下さいね


先生は、私にも親切に

教えて下さいました


帰りの、車の中で

良かったね

また、飛べるようになるんですって

と、言うと


うん♪嬉しい!!


カナリアは

ぴょんぴょん、跳び跳ねて

喜んでいました


私の可愛いカナリア

また、飛べるようになるんですって

優しく撫でてあげましょう


良かったね

ほっとしました





💙belle💙




*#

フランソワーズ・2017-06-26
カナリア
つばさ
愛のつばさ
羽根
病院
飛べる
治療
カナリアの月💙belle💙
🌠🌛💙belle💙🌛🌠
フランソワ
フランソワーズ

いつか
純白の
大きな羽根が生えたら
虹へ向かって
羽ばたこう

Hana.・2020-09-23
ミライへ
羽根

この羽根を通して君に想いが伝わりますように☺︎

star1🌟・2019-04-30
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知ってた?


「肩甲骨」って「翼」の痕なんだよ


わたし(ぼく)はね


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「しんどい」ことや「悲しい」こと


そんなことが、ひとつ、起こるたび に

肩甲骨から、真っ黒な羽が

一本ずつ、生えるんだ


あ、信じてないね? ほんとだよ?

目には見えないけど。

その「羽」はね、

わたし(ぼく)の

汚い気持ちから 生えた「羽」だから

どんな 夜の闇より、まっくろなの。


ひらひらり。


黒い羽が 、一枚、舞い降りた 。



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