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#虹彩のパルス

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全160作品・


虹彩のパルス
143/160

秋は更けゆき

落ち葉がカラカラと

風とダンスをする

そんな光景が

見られるようになり

麗らかな光の中で

木枯らしに吹かれる

そんな日もあった

今のボクには

木枯らしも心地よい

日ごと早く暮れて

一日が早く過ぎる錯覚を

愉快な気分で受け止める

むしろ宵やみを

この時期ならではと

満喫している

そんな満たされた気分で

過ごしていた

それでもやはり

ボクの目は

人と合わせられない

もうそのことで

悩んではいないけど

でも人と目が合うことが

どんな感覚なのか

知りたいという気持ちは

移ろう季節と相反して

変わりはしなかった

同じ夕焼けを・2024-10-13
虹彩のパルス


虹彩のパルス
151/160

やってみない

キミは道具を

ボクにさし出した

その一言がボクを救った

慰めの言葉でも

いたわりの言葉でもない

目の合わないボクに

いつも通りのキミで

接してくれることが

どれだけ尊いか

身に染みたのだった

キミから道具を受け取り

キミがしたように

道具を操る

初めて使うこともあり

どこかぎこちない

手が小刻みに震えている

上手くドーナツを作りたい

そんな感情が

手を震えさせているのではない

キミが見ているからに

相違はなかった

そんなに力まなくても

大丈夫だよ

キミはそう言った

同じ夕焼けを・2024-10-17
虹彩のパルス


虹彩のパルス
144/160

今日は月に一度の

学級活動だった

レクリエーションで

息抜きをする時間

そんな時間が

必要なことは

行事内容が希薄な

この学校でも

分かっているようだった

同時にこのくらいの

手軽な楽しみの方が

この学校の生徒には

ふさわしいのだった

今日はみんなで

おやつを作る

なんか子どもっぽいけど

そんな甘い時間が

新鮮に思えた

班分けはくじ引きだった

キミと同じ班に

なれたらいいな

そう願ってくじを引いたら

見事にキミと同じ班だった

キミと同じように

充実した毎日を送りたい

そう思い行動していたボクに

与えられた褒美だと

勝手に考えて

気を良くした

同じ夕焼けを・2024-10-13
虹彩のパルス

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に160作品あります

アプリでもっとみる


虹彩のパルス
149/160

油が適温になったので

キミにもういいよと言った

ここからが一番

楽しい作業だよ

キミが言うと

本当に楽しいことが

起こりそうだった

そう言えば

ドーナツは穴があるけど

どうやって

作っているのだろう

あれだけ食べていても

そんなことに

気づいていなかった

なんとなく呟いたら

キミはやって見せるよ

そう言って

何か道具をボクに見せた

初めて見るその道具は

何か特殊という感じはない

キミはその道具に

上から生地を詰めて

真ん中の軸を押した

鍋の中にドーナツ1個分の

生地が押し出されたら

円を形作っていた

パチパチと音を立て

次第に膨らんで

綺麗なドーナツが出来ていた

同じ夕焼けを・2024-10-16
虹彩のパルス


虹彩のパルス
139/160

すくんでいるボクに

彼女は紅茶を用意した

カップに注ぐお湯の音が

静かな部屋に響いた

桃の香りのする

紅茶のティーバッグを

カップに浸したら

部屋の空気が

まろやかになった気がした

彼女はカップを皿に乗せて

シュガーを添えて

ボクの前に置いた

甘い香りが頭をくすぐる

ボクのことを

幸せ者だね

彼女はそう言った

その言葉にハッとした

キミがいてくれたから

キミと出会えたから

充実した高校生活を

送りたいと思えたんだね

もしキミじゃなかったら

同じ気持ちになれたかな

彼女の言葉にボクは

何度驚かされただろう

何度頷かされただろう

カップから昇る

湯気の向こうに

優しい彼女の笑顔が

ボクを秋の日のように

優しく照らしていた

同じ夕焼けを・2024-10-11
虹彩のパルス

虹彩のパルス
145/160

キミとは代議員会

球技会で一緒だった

そして今日も一緒

嬉しいと思うのは

ボクだけだろうか

少しばかり気にしていたら

キミはまた一緒だね

いつもの笑顔で

ボクに声をかけてくれた

そしてキミの着けている

エプロンは

水色のギンガムに

大きめの白い水玉模様

代議員会の時と同じだった

今日は玉ねぎを

むかなくてもいいから

楽しもうね

キミはあの日のことを

楽しそうに言って

フフフフッと笑う

ボクはその笑い声に

安心していた

本当のキミは

いつも笑顔で

何ごとにも全力で

楽しんでいる

バレーの練習を

しているキミは

偽りではないにしても

本当にキミが望む

自分の姿ではないはず

バレーボールが

心の底から好きだから

真剣に向き合ったからこそ

厳しい表情になるのだろう

でもこころの中では

笑顔でバレーボールを

楽しんでいる

生徒会活動に

身を投じたからこそ

ボクには分かるように

なったのだろう

同じ夕焼けを・2024-10-14
虹彩のパルス


虹彩のパルス
147/160

ボクたち男子は油を温める

キミたち女子は

生地を作っている

練っては加減を確かめて

粉を追加したりしている

少し面倒な気がするけど

キミは本当に楽しそうに

手を動かしている

キミの笑顔の奥に

誰よりもおいしい

ドーナツを作る

そんな真剣さが

垣間見えた

ドーナツはいつでも作れる

いつでも食べられる

でもこのメンバーで

一緒に作ることは

もう二度とないだろう

だからこそ

一生の想い出に残るような

ドーナツを作りたい

そんなキミが素敵だった

そんなキミだからこそ

人が持つ感情の中で

最も美しくて

最も繊細で

決して壊したくない

壊されたくない

だからこそ

簡単に外に出せない

人を好きになる感情

ボクが持っていないことにした

その感情と

向き合わせてくれた

同じ夕焼けを・2024-10-15
虹彩のパルス


虹彩のパルス
130/160

肩を落として

いつもより増して

下を向いて

トボトボと歩く

完全にボクの

思い違いだった

キミはいつも笑顔

部活動も笑顔で

楽しんでいる

そんな勝手な想像は

塵のように吹き飛んだ

バレーボールはスポーツ

必ず勝敗がある

誰もが勝つために

練習を積んで

試合に挑んでいる

いつもの笑顔は

勝負の世界では

必要などない

一方で学校生活は

人生一度きりの

高校生活を

自ら希望して入学した

この学校の生活を

全力で楽しんでいる

キミの笑顔は

充実した日々を送っている

証なのだろう

同じ夕焼けを・2024-10-06
虹彩のパルス


虹彩のパルス
140/160

もしキミでなかったら

ボクはその生き方に

嫉妬していたか

ケチをつけていたことだろう

キミの存在が

ボクに素直という感情を

想い出させてくれた

キミとの出会いに

感謝したい気持ち

それ以上の感情を

もうボクは

認めなければならない

キミにボクは憧れた

でもそれは

ひとりの素敵な同級生ではなく

ずっと一緒にいたい女性

ひとり占めにしたい女性

好きになった女性

とうとうボクは

なかったことにしていた

人を好きになる感情が

ボクのこころに

しっかりと

秋の夕焼けのように

輝いていることを

認めたのだった

同じ夕焼けを・2024-10-11
虹彩のパルス


虹彩のパルス
150/160

簡単でしょとキミは言った

その言葉に反応したボクは

鍋から視線を上げた

不意にキミと目が合った

ボクの目は

いつものように

人目を避けて

調理台を見つめていた

こんな和やかな

雰囲気にあっても

穏やかな笑顔に

照らされていても

目を合わせることを

拒絶するボクを

キミはどう思うのだろう

聞いてみたい気もする

聞かない方が良い気もする

こんなこころの振動は

もう何度感じたことだろう

ボクの知りたい答えは

キミから聞きたい答えは

大丈夫だよ

その一択だけだった

自分ではもう大丈夫と

思っていたことは

間違ではないけど

キミにだけは

大丈夫と直接聞きたい

それはボクが

キミを不快にしたくない

そうすることで

ボクが傷つくのが

辛いからだった

同じ夕焼けを・2024-10-16
虹彩のパルス


虹彩のパルス
137/160

彼女は目を丸くしている

ボクは自分の言ったことの

真意が見つけられないでいる

しばらく沈黙が続く

ボクが作った沈黙

だからボクが破らねばならない

でも何も出来ずに

情けなく突っ立っている

ようやく彼女が先に

口を開いた

まあ座って落ち着こうよ

彼女の言われるまま

ボクは椅子にかける

ドーナツ食べないの

彼女は勧めた

ボクはお礼を言って

かぶりついた

程よい甘さが

混乱した頭を

優しく癒してくれた

彼女は指を組んで

あごを乗せて

ボクを見つめている

そしてボクの考えを

まとめ始めた

同じ夕焼けを・2024-10-10
虹彩のパルス


虹彩のパルス
146/160

おやつはドーナツだった

奇遇なことはあるものだ

このところ

頻繁に食べているので

違うモノが食べたいと

本心は思ったけど

キミと作るドーナツなら

また違う味がするのだろう

そんなことを考えている間に

キミたち女子は

準備を始めている

ドーナツを作ったことあるの

キミに聞いてみたら

結構家でも作っているよ

難しくないから楽しいよ

キミは本当に

楽しそうに言って

ボウルに粉を入れている

その粉の袋には

ホットケーキミックスと

書いてある

見た目も食感も違うのに

材料は同じなのが

不思議な感じがした

同じ夕焼けを・2024-10-14
虹彩のパルス


虹彩のパルス
155/160

紅茶が入れ終わった頃

先生がカメラを持って

ボクたちのグループに

やってきた

記念写真を撮るから

先生はそう言った

卒業写真に使うんですか

キミは嬉しそうに

先生に尋ねた

楽しそうに

映っていたらね

先生は答えた

みんなでドーナツを持って

写真に写ることにした

キミはボクに

ドーナツを差し出して

一緒に作ったドーナツだから

ボクにあげると言った

女子生徒はボクを

冷やかしていた

薬指にはめてみて

そんなことを言う生徒もいた

写真に写るのが

大嫌いなボクだったけど

写真に残して欲しい

そんなことを思っていた

たとえ写りが悪くても

変な表情になっていても

キミやみんなと

過ごした記録に

残っていることが

どれだけ嬉しいことだろう

そんな風に

思えようになった自分を

誇らしく思った

そしてボクにその気持ちを

授けてくれたキミに

喜びを伝えたい

今日のこの楽しい時間を

写真を見て

鮮明に蘇らせることが出来る

そんな穏やかな気持ちで

写真に収まった

同じ夕焼けを・2024-10-19
虹彩のパルス


虹彩のパルス
142/160

晩秋の穏やかな日々が

過ぎてゆく

一日一日が

終わってゆくのが

惜しいと思うほど

毎日が楽しい

生徒会活動では

彼女にこき使われている

でもいつも褒めてくれる

二人しかいない時は

決まってドーナツを

振る舞ってくれる

紅茶が好きな彼女は

いろいろな風味を

愉しんでいる

時に生徒会役員しか

行くことのできない

屋上へ連れて行って

晩秋の高くて

淡い青空を眺めた

空に雲がないことが

当たり前のようで

どこか不思議だね

彼女はそう言って

フフフフッと

笑っていた

同じ夕焼けを・2024-10-12
虹彩のパルス


虹彩のパルス
134/160

生徒会室の扉の前に立つ

灯りはついている

安心したボクは

へたり込みそうだった

全力で走ってないのに

息は弾んでいる

鼓動は躍っている

これらが整うのを

待つことなく

扉を叩いた

中から返事がある

その声は彼女だった

ボクは安堵の息をつき

ゆっくりと扉を開いた

彼女はお疲れさまと

ねぎらって

椅子にかけるよう促した

ボクは椅子にかけず

彼女の隣に立った

そして想っていたことを

一気に発しようとしたけど

声が出てこなかった

もどかしくしているボクに

彼女は封筒のお礼だよ

そう言って

ドーナツを差し出した

甘い物食べて

気持ちを落ち着かせよう

そう言って自分の分に

かじりついた

体育教員に

怒られなかった

彼女はボクに尋ねた

ボクは正直に

ただ呆れていたと伝えた

彼女は安心して

二口目を食べた

同じ夕焼けを・2024-10-08
虹彩のパルス

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