恋眼鏡・2021-08-29
野辺に咲く花のように
ポエム
誰にも見せないで
振り向いた笑顔は
僕だけが知っていたいから
誰にもあげないで
その純心に触れさせて
しなやかに たおやかに
野辺の風に揺れる
花のような君よ
めげるな蕾たち
風に吹かれても
雨に降られても
一途な想い抱き続けて
誰の目に止まらなくとも
野辺の花の様に咲き誇る
その日まで
「世界に一つだけの花」
なんて言うけれど
「花屋の店先に並んだ」時点で
大切に育てられて
品質の良いものだけが
選ばれて並んでいるんだよ
誰に選ばれたわけでなく
そこで懸命に花咲そうとしている
君こそが本当のオンリーワンなんだ
風に揺れ 雨に打たれ
誰に頼まれたわけでもなく
誰の目に止まらなくとも
凛として野辺に咲く
名も無き花たちよ
寒い冬も冬至を越えて
間もなく年も変わる
凍てつく風にも
埋もれる雪にも
どうかその土の下
生きて 生きて
また春に芽を出し咲いておくれ
誰も皆
花のように
雲のように
風に揺れて
涙雨に濡れるけど
笑ってごらん
誰に請われたわけでもなく
誰に見られるためでもなく
ただ咲き誇る
野辺の花のように
夏休みが始まった
誰もいない午後のホーム
探してたあの頃の二人
街は静かに面影だけ湛えて
柔らかな風に揺れる
夢も明日も野辺に咲く花のように
力いっぱい恋を歌った
目を閉じれば呼びかけるあの笑顔
二人生きてた 色褪せない記憶