秘密さん・2020-03-30
雪桜
独り言
雪の匂い
痛いほど冷たく
純真に香って
風に花びら散るよう
桜並木に白く舞う雪
悴む指先
桜に染めて
深深と降り続いた雪が
ようやく止んだその時に
不意に窓の外を見た
枯れ果てた木々の枝に
纏(まと)わりついた白の結晶
雲の切れ間からのぞき始めた
眩い太陽の光と
雪明りに照らされて
キラキラと輝く雪の花
まるで桜並木のように
美しく白く輝いて
寂しげな冬の町に
一瞬訪れた春
枯れ果てた木々の枝に
美しく花開かせた白い天使たち
雪明かりに照らされた美しい雪桜
雪国だけしかできない
神秘的な冬のお花見
美しい雪桜を眺めながら
今日も僕らしく生きる
心を奪った幻は
ある筈もなく
ボクの心を投影していた
何処にでも探している心と
美しいと奪われた心は
居ない筈の君を待っている