#(Lv1くらい)

目を塞ぎ
耳を塞いで
噛みつけど
物理じゃ未だ
愛には勝てず

悪意すら
飲み込んでしまう
きみだから
すべて吐かせて
お口直しを

死ぬのなら
わたしにくれて
いいじゃない
きみの遺骨も
残る思いも

ひとつずつ
大事なものを
隠してく
ボクだけいれば
十分と言って

そばにいた時間は覆らないから

この先の全てを望むんだよ

ただそばに
なんて嘯き
得た隣
溶けだす欲に
沈んでくきみ

知らない誰かと繋がってる赤い糸なんて切っちゃおう

あの子と繋がってるきみの分も切っちゃおう

繋がる先のなくなったわたしときみの

ふたりの糸をぎゅっと結ぼう

閉ざされた
きみの心を
こじ開けて
無理に作った
わたしの居場所

抱きしめて
くれないのなら
その腕は
いらないんだし
もらってもいい？

どんな醜いボクでも愛してよ。

返事なんかわかってるけど

それでも、答えを望んだ。

「大好きだよ」

嬉しそうにはにかむきみを見てホッとする。よかった、僕の言葉はまだきみの中で気持ち悪いものではなくて。こんな言葉で少しでもきみを幸せにできるならいくらでも言ってあげたい思う。きっとほんとうに幸せなのは僕の方だけど。

「そうだ、冷蔵庫見た？ 駅前のプリン買ってきたんだ」

ほんと？ ときらきらする目を見て僕まで嬉しくなる。うん、と頷くとあからさまにきみがそわそわするから持ってくるねとソファから離れる。待っててくれていいのに後ろをついてくるきみが雛鳥みたいで愛しいな。

冷蔵庫から取り出したスプーンとプリンを机に置く。あ。自分の両腕を摩ってるきみを見て冷房をつけすぎたなと反省してカーディガンを渡す。ありがとう、と笑うきみに見つめられるとどうしても罪悪感が湧いてきてどうしたらいいかわからないで曖昧に笑い返す。

言葉とか物とか、そんなものできみをまやかし続けてる。でもそれは僕がきみを繋ぎ止めるために必要なものだった。ずっと、一生、永遠にそばにいてほしい。だから少しでもきみを幸せにしてあげたいのに僕はきっときみを幸せにできない。でもそれなら不幸だと気づかせなきゃいいじゃないか。

「大好きだよ」

にこにこプリンを食べてるきみに呟いた。























僕を愛して不幸なままでいて

いつか死ぬ
そのときまでは
幸せと
勘違いして
いられるように

「わたし以外で傷つかないで」

きみのしっとり濡れた頬を撫でる。赤くなった目元もたくさん光を取り込んだ瞳もすべてすべてわたしのせいであってほしいの。ぱちぱちと瞬きしたきみの睫毛が煌めいてそのままふにゃりときみの表情が緩んだ。

「変なの。貴女はワタシを傷つけないでしょ」

くすくす笑って未だ止まらない涙を拭うきみにそうだねなんて返せなかった。誰よりわたしがきみに傷をつけたいって思ってるのに。それに気づいて欲しいけれど、そんなことは知らないままずっとそばにいて欲しいとも思ってた。

所有する
ことのみ愛の
かたちなら
ボクはだれにも
負けないのにな

耳も目も腕も足もなくなれば

きみの声も聞けなくて

きみの姿も見れなくて

きみに触れることもできなくて

きみに会いに行くこともできないから

きみからわたしを抱きしめてね