はじめる

#あとがき

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全29作品・



大好きな人と


手を繋いでいたって



生きていくって


とても、難しいこと。



だけど


大好きな人と手を繋いで


生きていくって


やっぱり素晴らしい。



「縁ーっ」


「結月!」



私たちはこれからも


ずっと、「諦めない」



【surgicalmask~最終話 キス】




「ゆーづーきっ!」


縁がノックもせずに


病室のドアをガラガラと引いて


ひょこんと顔を出す。



なんてことだろう。


私は着替えの真っ最中。


とっさに前をTシャツで隠すと


縁はまんまるな目で


私を凝視した。



「もう!着替え終わったら呼ぶから外で待ってて!」



「あ、……ああ、あ、ご、ごめん!!」


何度も吃って、


病室を出ていく縁に


「まったくっ」


そんなため息をつきながらも


私は、微笑んだ。



サイドボードの上に


いつも置かれていたコップは


もう、なくなった。


ベッドサイドのコンセントにも


もう充電器は刺す必要がない。





ベッドの上に置かれた


畳まれた病院着、


それからドラムバッグ。



「縁ー、いいよー!」


私の弾む声と


「お、気合い入ってんね」


めかしこんだ私を見て


照れくさそうに笑う縁の姿。




全てが指し示すのは


そう…。



あれから、


三ヶ月の地固め療法の末


私は、今日、やっと


真っ白で閉鎖的で


ツンとした匂いのする、


この病室を去るのだ。



「さ、行こっか」


私がドラムバッグに


手を伸ばすと縁は


それを制止する。



「ん?」


「今まで散々頑張ってくれたんだから、これは俺が持つよ」


そう言って縁は


1年分の重みのあるドラムバッグを


当たり前に担ぎあげてくれた。



“頑張ってくれたんだから”



その言葉の優しさに


胸がきゅんと跳ね上がった。






窓から空を見上げれば、


天気はあいにくの雨だけど


そんなのは気にならない程


私の心は弾んでいる。





髪の毛はまだ生えない。


ウィッグのままの退院だ。


でも、いつかは生えてくる。


気にしない。





「あれ、結月…?」



病室を出る時


縁の指先が私の頬に触れる。



「な、なに?」


「化粧、してる?」


「……うん、変?」


縁の手は


私の頬から髪の毛へスライドして


頭を何度も撫でてくれた。



縁の顔を見ると


とても穏やかな目をした彼は、


「すげえ、かわいい」


マスクの向こう側で笑う。




眠れない夜に


話を聞いてくれた看護師さん



必死になって私の病気に


向き合ってくれた花凛先生


お互いの病状に


一喜一憂した


病棟のお友だち


この病院でお世話になった人達への


感謝の気持ちを胸に


私は、病棟を出て


玄関へと向かう。




ざあざあぶりの雨だ。


やっぱり、ちょっと


「あーあ、残念っ」


私は口を尖らせる。



「タクシー乗る?」


縁が笑いながら


私に提案したけれど



せっかく外に出れたのに


すぐ密閉空間に


逆戻りするのが嫌で


私はかぶりを振った。





「じゃあ、少し歩こ」



縁は、お母さんから


預かってきた、


私の赤い傘を広げ


右手を差し出した。



迷いもせず


その手をとって



私たちは目を合わせて


笑い合う。



「せーーーーーの!」



「いーーーっぽっ!」





縁と声を掛け合って


タンッと一歩、


病院の玄関の外へ


踏み出した時に私は、


完全に病と、


さよなら出来た気がした。





長かった。苦しかった。



もう、戻らない。



戻るもんか。



切にそう願いながら


私は縁にぴったりとくっつく。



相合傘は


思った以上にくすぐったい。




私が縁の顔を見ると



あ…。



「縁、マスク」


「ん?」


「もう外していいよ」


「ああ、そっか」



マスクを外した、縁の顔。


なんの躊躇いも不安もない。



本物の、縁の笑顔が


そこにはあった。




「あれ、こんなに…かっこよかったっけ…?」


思わず、口から漏らすと


縁は眉を下げる。



「それ俺かっこよくなかったみたいじゃん」


「あ、そんなことないよ」


私もつられて、眉を下げた。




ざあざあ


雨が降りしきる。


バラバラと


真っ赤な傘がはじいた雨音は


外界と私たちを


区分してくれた。



傘の中は風を感じられる、


最高の二人きりの空間。



鼓動が駆け抜けていく。




「……なぁ、結月」


縁の笑み声が注ぐ。


「んー?」


「結月は雨で残念って言ったけどさ」


「うん」


「俺は雨でよかったかも」


「えー?」


「だって、こんなことも出来るじゃん」



その瞬間には


もう縁の顔が


目の前にあって


その刹那のうちに


唇が塞がれていた。




打ち震えるようなキスを


一度交わし合うと


二度目は


唇を吸うように


三度目は


舌を絡めるように


互いの温もりを


そっと分かち合う。



入院前


縁がよく言ってた。



俺、キス魔だよ。



入院中


ずっと我慢してくれた、


深いキス。



その気持ちを想えば


優しさが


愛しさが溢れて


ときめきはとまらない。




生きていられたことへの


感謝も一入だ。




息をするのも


憚られるようなキス。



やっと唇が離れると


途端に羞恥が湧いて


私は、呟く。




「街の……中、なのに」


「それはほら、上手く隠してるよ」



縁は見上げた傘を


くるくると回して


おどけて見せた。








大好きな人と


手を繋いでいたって



生きていくって


とても、難しいことだ。



辛い事があったり


苦しい事があったり


すれ違いがあったり



そんな時


生命を生きて


その大切さを


充分わかってる私ですら



「もう、死にたい」



そう、思った。



だけど


大好きな人と手を繋いで


生きていくって


やっぱり素晴らしい。




「縁」


私は歩いていこう。


これからどんな試練が待ち受けても。


「ん?」



だって私には



「大好きだよ!」



縁が側に居てくれる。



「俺も、好き」



これからも



ずっと、諦めない。




私たちは顔を見合せ


微笑み合った。




【surgicalmask最終話~キス(終)】






surgicalmask~完結





________




お疲れ様でしたーーー!



いゃっほーーーい♪



縁目線の話も交えて


全十三話でお届けしたsurgicalmask。



お休み期間を除けば


気がつけば


1ヶ月以上


二、三日起きに


コツコツ投稿出来たのは


読んでくださっている、


みなさんの好きや贈り物に


支えられての事でした。



実際、癌という病と闘う方がいる中で


こういった話を書くのは


と、心苦しく思った時もありました。



それを払拭するために


勉強、勉強、勉強


学びを重ねても


書けば書くほど


自信を失います。



それでも


辻褄合わせの様な


ありえねえだろ


ファンタジーじゃん


そんな箇所を


なくしたくて



拙いながら


自分なりに


白血病と闘う「結月」と


それを支える「縁」の



実際の姿を


追求していました。



結果はまだまだ。


点数は40点くらいかな。




もう少し


点数とれるかと


思ったんすけどね(´・ω・`)笑



精進します


いつか結月と縁に


また会える日まで


勉強し直そっと。



第二弾、あるかもです


その時は


もっとリアルなものを


描けたらいいな


なんて思います



(*´ω`*)



結月に続いて



俺も早く退院


出来るよう頑張ろ




長い間、


surgicalmaskに


お付き合いいただきまして


ありがとうございました




願いはただひとつ



病気に苦しむ方々の



頑張りが全て



報われますように。




幸介

ひとひら☘☽・2020-04-17
幸介
幸介による小さな物語
surgicalmask
マスク
独り言
相合傘
退院
ポエム
大切な人に伝えたい事
白血病
病気
病院
寛解
報われますように
生命
好きな人
輝き
生きる
諦めない
あとがき
ハッピーエンド
最終話

【性と言う名の鳥籠】
虎太郎編⑤~虎太郎目線 ㊦



-Last episode-


「お前は男だ。女が好きだと思う。俺も男だ。今までは女が好きだった。でも今はお前が気になる。変態だと思われるかもしんないけど、仕草がすげえ可愛いと思う、タッパ俺よりでかいけど…本気で守りたいと思う。この一週間、ほんとに寂しかった。この一週間…死にそうだった」




これは、さっきの



夢の続きなの……?



涙が溢れる。




そして、紗季は告げた。



「びっくりさせてごめんな、でももうただの幼馴染みなんて嫌なんだよ」



私を真っ直ぐに見つめて


口をへの字に曲げて


少し潤んだ目で。




「お前に彼女出来るとか考えただけでズキズキすんだよ」




そして紗季はとうとう、



確信を


私がずっと言えずにいた想いを


はっきりと、告げた。





「俺はお前が好きなんだ」




もう、涙が止まらない。




「紗季ぃー……あー……」


おかしな声をあげて泣きじゃくる私に


紗季は今まで


見たこともないくらい戸惑っていた。




「な、泣くなよ、謝る!謝るから!邪な気持ち抱えたことは悪かったよ、なあコタ、ごめんな」



違う、違うんだよ紗季。


嬉しいんだよ紗季。



言葉にならない想いを


少しでも伝えたくて


紗季の制服の裾を小さくつまむ。



「コタ…?お前どうしちまったの?」


紗季は、やっと


私が嫌悪感で泣いているわけでないことを


わかってくれたみたい。



ためらいがちに


私の大きな背中に手のひらを置く。



拒絶されないことを確かめるように


ゆっくりと背中を撫でて


優しく、抱き締めてくれた。




やっと叶う?


叶うの?



気持ち、伝えても



いい?





男同士という想いを抱いての告白は


どんなにか怖かっただろう。


だからこそ、嬉しい。



その恐怖を乗り越えるだけの


価値が私にはあったんだと思えた。



今度は、俺の……ううん


私のことを知ってもらいたい。


どんなに恐くても


もう。逃げたくない。






「紗季……っ、俺、俺ね」



「うん」



「ほんとはね………っ」






「俺」は「私」なんだ


そう真実を伝えたら


紗季に好きと言われた私と同じくらい


あんぐりと口をあけて

驚いていたけれど


紗季はこっちが拍子抜けするくらい


意外とあっさり



「そうだったのか、辛かったろ?」


そう言って受け入れてくれた。




その上、



何故だかすごく嬉しそうに



私の手を握りしめる。




「不思議だな…。女だってわかった途端、こんなにでかい手なのに、か細く感じる」


でかい手、は余計だけど…紗季らしい。


思わず笑みが溢れると


目に溜まった涙も一緒に零れ落ちた。




私には紗季にもうひとつ


伝えなきゃいけないことがある。



私は深呼吸を何度も繰り返して


やっと、長年の想いを吐露しようと口を開いた。




「中途半端な、体だけど……っ、俺はちゃんと」



紗季が好き、伝えようとしたら紗季は



指先でちょんと私の唇に触れて言う。




「もう無理しなくていい、コタは女なんだろ、「私」でいいんだよ」



ああ


何も恐がる必要はなかった。


たとえ誰に受け入れてもらえなくても


幼い時からずっとそばに居てくれた


紗季を信じればよかったんだ。



紗季はいつ私が打ち明けても


きっとわかってくれた。



今更……そんなこと


しみじみ感じる。





目は酷く、腫れていると思う。


大造りな男の顔は可愛くなんてないだろう。


髭だってそのままだし


パジャマ姿で髪の毛だってきっと寝癖だらけ。


高い喉仏から発せられる声は


男のそれで間違いない。



夢のように理想の私じゃない。





だけど、伝えたい。



ちぐはぐな性という鳥かごに


苦しみながらも


紗季を一途に愛したんだという事。



私は口を開く。



飛びっきりの笑顔を向けた。




「私は、紗季が好き」





その瞬間、私はやっと


紗季にきつく抱き締められる幸せを得た。





性と言う名の鳥籠⑤

虎太郎目線~Last episode



-了-







------------------------------------

5回に及ぶ虎太郎編


ようやく完結です。


長い間、お疲れ様でした


(*´ω`*)




この後の後日談と


少し未来の4人のお話を


あかね編が完結したあとで


書く予定ではありますので


もうしばらくお待ちください。




この話はとてもとても


俺の中で大事に


大事に書いてきたお話です。



虎太郎は女の子になりたい男の子で


自分の体を嫌っていますが


同じような性に悩む人に


心の性別が体の性別に


成り代わることが


出来るのだということを


知って欲しかった。


そして性同一性障害に対し


最近ではメディアの介入で


だいぶ寛容な人達が増えていますが


やっぱりまだ理解は不十分です。



その人たちにも


知って欲しかった。



男の人が好きな女の人がいる。


女の人が好きな男の人がいる。


性別のちぐはぐな人がいる。


男の人が好きな男の人も


女の人が好きな女の人もいる。


男の人も女の人も愛せる人がいる。




怖いと思わないでください。


誰彼構わず好きになるわけじゃないんです。


みんなと一緒です。


ひとつの想いを大切にしている、


一人の人間なんです。




( ゚∀ ゚)ハッ!


あとがき長くなりましたが


読んでくれた方々に感謝します♪̆̈



あかね編もどうかお楽しみに!

ひとひら☘☽・2020-01-28
幸介
幸介による小さな物語
幸介/性と言う名の鳥籠
GID
MTF
FTM
性同一性障害
最終話
不登校
いじめ
分かち合い
女性
男性
ちぐはぐ
男の子になりたい女の子
女の子になりたい男の子
可愛くない
小説
独り言
ポエム
ベッド
別れ
破局
隔たり
疲れた
3つの宝物
想い
好き
片想い
恋人
あなたと私の物語
理想の自分
理想
可愛い女の子
本当の自分
告白
あとがき
物語


皆さん、「家庭教師と教え子の禁断の恋物語」を
読んで頂きありがとうございます。
いかがでしたか?
小説など書いた事ない為ありのままに思いつくまま
書いただけなので読みにくかったかも。

これは旦那との出会いから結婚までの流れをかなり短くして小説にしました。
短編小説。
実際旦那とは出会い系であり秋ごろ出会いました。
けど初詣とか行った事あります。
泊まりで東京の浅草寺へ
服を買ってくれたとかも事実。
義母にも地味さを言われたらしく女の子らしい服買ってやれと言われたそうです。
コートなど未だに着れます。
絵馬の話は半分事実。
一緒に書いて言葉は旦那が私も見てましたし掛ける所までね。
掛けて結婚出来ますようにって一緒にお祈り。

初めてのキスの話はほぼ事実。
プロポーズとも言える告白受けました。
メガネ外しは素顔見たいってうるさかった。
秋の肌寒い満点の星空の下でね。
家の前の車の陰。

そんな事実を混ぜた純愛小説

もう書かないかな。
めんどくさい笑
これ以上だと本当に官能小説書けそうなくらいな大人の純愛小説になります。
何せ学生恋愛は経験がないから書けないし。
旦那と大人の恋愛1本だったのですいません。

ではまた。

🐻ルルロロちゃん🐻・2018-05-17
家庭教師と教え子の禁断の恋物語
あとがき

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に29作品あります

アプリでもっとみる

椛の花
-モミジノハナ-

お疲れ様で御座いました。
1章から10章そして、最終章まで
全部載せられていますか?


このお話はNOTE15にいらっしゃる
Mariちゃんと共同作を
書こうということになって

二人でひとつずつ
テーマを出し合いました。

私が「紅葉」
Mariちゃんが「部活」


お互いのおかげで
一人で書くより頭を使い
想像力、フルで
書き上げる事が出来ました。

優しいお話に
なったと思います。

翁ともみじ
二人は教師と生徒でしたが
当初は幼なじみという設定を
考えていて、
だけど何かしっくりこなくて
プラス要素で教師と生徒は
どうだろうと考えた結果

翁ともみじの
関係性になりました。

一途で少し引っ込み思案のもみじ
一途でぼーっとした翁
二人が結んだ愛のかたち
伝わりましたか?

長くて読みにくい小説だったでしょうに
昨日投稿した分には40人以上の方が
好きを押してくれていて

体調が悪い今日も
乗り切ることが出来ました

たくさんの想いを
ありがとうございました


一緒に小説を書いたMariちゃんは
とても暖かくて優しくて
ほっとするような文章を書けるひと。

Mariちゃんの方にも
是非足を運んでみてください
私と一緒に書き始めたMariちゃんの
「紅葉」と「部活」が投稿されています

あとがきも
ここまで長々と読んでいただき
本当にありがとうございました

まるちゃ・2017-11-20
まるちゃん小説
紅葉
部活
先生
生徒
あとがき


ーーおまけーー


「良かったの?」

「何が?」

涼風が唐突に俺に聞いた


「別れなんて告げて」

「別れなんて告げた?」

「…っ!?」

「俺、別れの挨拶苦手なんだよね」



ニヤリと笑う俺の隣で

涼風は口を開けたまま

頭を抱える



「どうせお前、またいずれ

会いに行くつもりだろう」


どこからともなく

現れたクレハが

ため息混じりに

そんなことを呟いた



「どうかな」

「お前は自由気ままな奴だ

そうとしか思えねぇ」

「まぁ…、気が向いたらね」



死神の世界にも花は咲く

みずみずしく、可憐な花だ


それが一つ、二つと

枯れる度に

俺たちは人間界へと降りる


命の花を狩り

また種から育てるために



「…例外もあんだろ」

「…クレハ、心を読まないでくれる?」

「聴こえてくんだよ」

「まじで厄介な力だね」



命の花は、稀に

死神の元で再び花を咲かせ

枯れない花となる


俺はその時を待つことにした


俺のそばに居ていいのは

あの子だけだ



「……」

「聴かないでくれる?」

「…聴こえてくんだっつの」

「俺忙しいから、早く

狭間に帰んなよ」

「忙しそうに見えねぇぞ」

「誰かさんの仕事引き受けたから」

「…ロクと涼風が半分

押し付けられたって言ってたな」

「…涼風」

「私は何も言ってないわよ」

「…ロクか」

「あー、〝聴こえた〟の間違いだな」

「ほんと厄介な力だね」



さぁ、君も

命の花が枯れるその日まで

真っ直ぐ歩いておいで





ーーーあとがきーーー

ついに夕凪完結してしまいました

夕凪を書くのは

本当に楽しかったです笑


死神シリーズ、どうなんでしょう?

みなさんには

楽しんで頂けたでしょうか笑


続けて死神シリーズを書くか

他のものを書くか

悩み中です(。ŏ﹏ŏ)

どちらにしろ

また気ままに書いていくので

たくさんの方に読んでもらえたら

嬉しいです♪

Mari・2020-04-16
物語&小説/from:Mari
小説
夕凪の空
おまけ
あとがき
死神シリーズ
独り言
ポエム
大切な人に伝えたい事
好きな人


「鈴音さん」


振り返るとそこには

黒袴に赤いピアスの男



「暁さんっ!」

「お身体の調子も

問題ないようで安心しました」

「ありがとうございます」


暁さんは柔らかく微笑むと

ゆっくりとまた口を開く



「記憶は、どうすることにしましたか」

「……消したくないです」




私は、お姉さんに出逢ったその日から

毎晩のように

同じ夢を見るようになった



夢の中で

いつも私のそばに居た人

それは、〝姉さん〟



ただ、心が安らぐのと同時に

身体の奥深くを

抉られるように

恐ろしい男も出てくる夢だ




暁さんは

ある日学校帰りに

偶然出逢った人



〝記憶がつらいのならば

消してあげましょうか〟


その言葉に思わず

私は足を止めたのだ



前世の夢だと知った時は

戸惑いもあったが

それよりも何よりも

前世の〝姉さん〟が

偶然出逢った

あのお姉さんだということが

嬉しかった



「消さないことにしたのは

何故ですか」

「……姉さんの記憶を

消してしまいたくないんです」

「あの男に夢で苦しめられても?」

「そうだとしても

強くなろうって思えるから

いいんです」



今思い出しても

胸が苦しい



だけど

ただただ、怯えるだけだった私を

お姉さんは身を呈して

守ってくれた



男を前にして

決して怯まなかったお姉さんの目



あんな風に強くなりたい


大事なものを守るために

強くなりたい



「あなたは涼風とよく似ています」

「え……?」

「きっと苦しみを乗り越え

強くなれるでしょうね」



力が湧いてくるのは

何故だろう


「涼風さんって、言うんですね」

「はい」



まるで、お姉さんがそばにいるように

優しい風が吹く



「では、失礼しますね

どうか、お元気で」

「はい」



黒袴を翻し

去っていく暁の後ろ姿を

私はいつまでも見送った




人と人とが繋ぐ

不思議な縁に

感謝が溢れる



涼風に揺られて

鈴の音が

小さく音を立てた



〝ひとりじゃないよ〟



まるで姉さんが

そう言ってくれているかのように




ーーーあとがきーーー

涼風やっと完結しましたぁ!

なかなか進まず

間がかなり空いてしまいましたが

最後まで読んで頂いて

ありがとうございました(。ơωơ。)♪

Mari・2020-07-03
物語&小説/from:Mari
小説
涼風に揺られて
おまけ
あとがき
死神シリーズ
独り言
ポエム
あなたに伝わりますように
愛するということ
好きな人


ーおまけー




「あー…お熱いことで」


どこからか聴こえてきたその声に

ビクッと肩を震わせる



「夕凪っ…」

「その反応、相変わらず失礼だね」


クスッと鼻で笑う夕凪は

視線をクレハに向けると

ゆっくりと口を開いた



「もう二度と、ヘマすんなよ」


クレハの言葉を待つように

夕凪はじっと見つめる



「お前もな」


クレハがそう返すと

夕凪はどことなく

嬉しそうな表情を見せて

姿を消した



「あの日、俺が消える直前…」

「うん?」

「あいつが俺の分の仕事

全部引き受けたらしい」



夕凪の居たその場所を

見つめながら

クレハは言葉を紡ぐ



「大死神様に頭下げたんだってよ」

「…うん?」

「あいつらしくねぇな」

「……」

「まぁそのおかげでここに居るし

助かったけどな」



クレハは多くを語らない

だけど

言葉の端々から

仲間への想いや感謝が窺えた



「クレハ…ひとつ聞いていい?」

「なに」

「人間になったの?」



顔をしげしげと見つめる私を見下ろし

クレハは一瞬視線を逸らす



「さぁな」

「…えっ、人間になったんじゃないの!?」

「人間界に落とされたとは言ったな」


曖昧に流すクレハに

私のモヤモヤは晴れない



「だって、破門って…」

「…死神界は破門だな」

「どういうことっ!?」

「…さぁ」


そう言って笑うクレハは

私の反応を

完全に面白がっている



「…天使?」

「天使って柄じゃねぇだろ」

「神様?」

「何の神様だよ」

「…死神?」

「戻ってんじゃねぇか」


何を聞いても誤魔化すクレハ



愛しい恋のお相手は

まだまだ謎だらけ



「ずっとそばに居るんだよね?」


視線がぶつかると

クレハはゆっくりと口角を上げた



「ずっとそばに…って

この世だけで済むと思うなよ?」

「…っ!?」




青く広がる空に

翼のように薄く広がる雲


差し込む太陽の光が

二人の明日を照らしているようだった





ーーーあとがきーーー


思いつき小説が

いつの間にやら連載になりまして

ここまで読んで頂いて

ありがとうございます♪

おまけを足したので

最終話の会話を

後から一部変えました!


クレハ、いつかまた

書きたいですねぇ笑

Mari・2020-03-16
物語&小説/from:Mari
小説
死神のクレハ
おまけ
あとがき
死神シリーズ
独り言
ポエム
好きな人
感謝
あの時伝えたかったこと


「ポケットに隠した約束」を

読んで下さった皆様

ありがとうございました



この小説は

小説を書き始めて

初期の頃に書いたものなので

思い入れのあるものです



登場人物それぞれ

バッドエンドになるのが

嫌いなので

想いを遂げられなくても

新たな1歩を踏み出せるような

そんな終わり方に

しています



読んで下さった皆様にも

何か感じるものがあれば

嬉しいです



また気が向いたら

別の小説を

載せていけたらと

思います



クリスマスに

間に合って

良かったです笑

Mari・2019-12-26
あとがき
ポケットに隠した約束
独り言
クリスマス
小説

何千年にも及ぶ

魂の物語

この生涯を終えたら

あとはもう

のんびりあとがきでも書こうか



私を待っていてくれた人たちが居る

今度は私が待つの



可愛いあの子と一緒に

あなたたちと

笑い合える日々を

あとがきで書けたら

それだけで

幸せな物語として完結するの

Mari・2019-07-02
独り言
物語
あとがき
完結
幸せ
ポエム
ポエム風日記
大切なみんな

ケンカ早い奴もいたな
涙脆い奴もいたな

夕陽が線路に向かって沈む頃
疲れた足取りで帰ってたな

卒業…
あとがきに似て
寂しかったな

兎梗 𝑠҇꙳᷂・2023-03-30
卒業おめでとう
あとがき
14






~あとがき?~

おはこんばんは!
星いかがでしたか?
思いついたことをすぐに考えないで書いたのでとても文がおかしかったですが1から呼んでくれた方ありがとうございます!
次は星…~未来~を書いていきます!
呼んでくれると嬉しいです!

# Miyuuuu_。・2018-04-30
不定期開催
美優(*´ω`*)が送るフィクション小説
あとがき

長らく"私のアオハル"にお付き合いくださりありがとうございました

これで完結としたいと思います
後々増えるかもしれませんが……

そこは、ご愛嬌ということで
よろしくお願いします

感想、質問等々
これから受け付けます

トークでも贈り物でも構いません
聞かれたことにはなるべく答えるつもりです

"私のアオハル"

それは、とても遅咲きの桜だった___……。

*̣̩⋆̩真紅の雨をあなたに⋆̩*̣̩-一言は必読!-・2020-08-19
私のアオハル
小説
あとがき
エピローグ

過去を認めて、

過去を愛して、

過去を抱き締めて。

それでようやく、

人は強く未来に向かえる

Mayu・2021-04-23
あとがき
明けない夜のフラグメンツ
青海野灰

ー愛してるー(まどか目線)エピソード17

今日は遊園地デートです
しかも奏の誕生日。
いつも一緒にいたから
デートはあんまりいかないんだよね
久しぶりのデート楽しみなんだ
奏には内緒で誕生日プレゼントも
用意してるの
奏喜んでくれるかなぁ?

ピンポーン
あ、奏が来た❗

                                       
ま「は~い」

ドキッ
何回見ても奏ってかっこいいなあ

奏「まどか、いくぞ」

ま「うん。あ、ちょっと待って」

慌てて部屋に戻る
危ない危ない
プレゼント忘れるとこだった

ま「ごめん、待たせて」

奏「全然大丈夫」


それから駅まで行って
電車に乗り込む
電車はすごく混んでいた
ヤバい、倒れそう

奏「(ギュッ)」

奏のおかげで
倒れないで済んだ
でも近くて恥ずかしい

奏「ふっ照れすぎ」

奏が耳元で言う
カアッ
頬がまた熱くなる

奏「降りるぞ」


ま「奏、さっきはありがとう」

奏「照れてるまどか
  可愛かったよ」

カアッ////

奏「あ、また照れた」 

ま「照れてないもん」

そんな会話をしてるうちに
遊園地に着いた

ま「遊園地なんて久しぶり」

奏「俺も小学生ぶりとかかも」

奏「まどか、んっ」

奏が手を差し出す
私は奏の手を握る

奏「はぐれないように」

ま「うん///」

ま「どれから乗るー?」

奏「俺はまどかの好きなのでいいよ」

ま「私あれ乗りたい」

私が指したのは
ジェットコースター

奏「まどか、絶叫系好きなの?」

ま「ううん、乗ってみたい❗」

私がジェットコースターにはまってしまい
そのあとは絶叫系を制覇した

奏「楽しかったな」

ま「うんっ」

奏「お腹空いたな
  そろそろご飯にすっか」

ま「そうだね」

奏「まどか、何がいい?」

ま「うーんチュロス食べたい❗」

奏「すいません、チュロス二本とジュースとアメリカンドッグください」

店「はい、お待たせしました
   ありがとうございました~」

奏「んっ、まどか」

ま「奏、お金」

奏「いいよ」

ま「でも、さっきも払ってもらったし」

奏「大人しく、奢られとけ」

ま「ありがと」

このチュロス美味しい

奏「まどかアメリカンドッグ食べる?」

ま「食べる~」

奏「はい、あーん」

あーん❗?
恥ずかしいけど食べたい

ま「おいひぃ////」モグモグ

なんか、すごい奏に甘やかされてる気が
帰ったら体重計乗らなきゃ


奏「まだ一個絶叫系忘れてるぞ」

ま「えっ?なになにー」

奏「ついてきて」

ま「これって......」

奏「そ、お化け屋敷
  あれ?まどか怖いの?」

ま「こ、怖くなんてないし」 

嘘。ほんとはすっごく怖い

奏「そっか、残念
  じゃ入ろ」

奏がニヤける
こいつ、知ってるな~

ま「う、うん」

奏「やっぱり怖いの?
  抱きついててもいいよ?」

ま「いいです」

奏「まどか、後ろ❗」

えっ?後ろ?

ま「キャァァァア」ギュッ

思わず奏に抱きつく
 
奏「あれっ?まどか?
  怖いの?」

ま「う、んっ」ヒック

怖すぎる
後ろにいるとか反則だし~(T-T)

奏「泣くなよ
  ごめん、いじわるし過ぎた」

ま「こっわすぎ、る」ヒックッヒック 

奏「(ポンポン)俺に抱きついてていいから」

ま「うん」ギュッ

奏の腕に抱きつく

奏「最初から素直にいえばよかったのに」

ま「だって...」

オバケ「ヴァァァ」

ま「キャァァ」ギュッ

奏「まどか、怖がりすぎっ」

奏「ほら、出口」

ま「むぅ...」

奏「すねんなって」

奏をにらむ

奏「何?キスしてほしいの?」

ま「///奏のバカッ」

奏「でもそんな俺が好きなんだろ?」

奏「素直になれよ」

ま「好きぃ…」

奏「何?聞こえない」

ま「好き❗」 

奏「俺も」 

奏が笑顔になる 
う、その笑顔は反則....

ま「奏、最後にさあ観覧車乗ろうよ」

奏「うん」

観覧車はカップルでいっぱいだった

店「お次の方どうぞ」


ま「あのね、奏」

奏「何?」

ま「これっ
  奏、誕生日近いでしょ?
  だから誕生日プレゼント」

奏「開けていい?」

ま「うんっ」 

奏がプレゼントをあける
喜んでくれるかなぁ?

奏「腕時計だ❗
  めっちゃ嬉しい
  まどか、ありがとう」

奏「まどか、目つむって」 

えっ?なんだろう 

ま「ふっふ、くすぐったいよ」

奏「動くなって」

ま「開けていい?」

奏「いいよ」

目をあけると
ピンクのリボンが可愛いネックレスが
付けられていた
 
ま「可愛い..
  ありがとうっ
  でもなんで?」

奏「まどか、今日誕生日だろ?」

ま「今日、19日か
  そうだったね
  忘れてた」

奏「そうだと思った
  まどか、時計ありがとな」

ま「ううん、ネックレスありがと」

奏「まどか」

奏「愛してる」

ま「私も。」

私はそっと目をつぶる
私達は甘い甘いキスを交わした

~終わり~




《あとがき》

皆さん読んでくださってありがとうございました
これでまどか達のお話はおしまいです
また、番外編を出すかも知れませんが
そのときはよろしくお願いします
近いうちに新しいお話を書くので
お楽しみに

          by 夢の空

夢の空・2018-12-29
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あとがき

* 君と、もみじ *
ーあとがきー


NOTE15の、まるちゃんとのテーマ小説。
最後の方では展開を
すっ飛ばした感が出ちゃってますが
楽しく書けました。

私自身、高校生の頃に
一つ年下の後輩に
密かな想いを抱いていたこともあり、
奏に感情移入しやすかったです(笑)

奏も、響も、
お互いに想いを隠し
純粋に相手を想い続けたその結果として
絶対にハッピーエンドに
させてあげたくて
このお話になりました。

まるちゃんとのテーマ小説は
第2作の執筆も既にスタートしました!

日々、まるちゃんの優しさや
心のあたたかさに触れ、
会話を重ねるうちに
始まったテーマ小説。
是非是非、また二人の小説を
読んでもらえると
嬉しいです♪

ありがとうございました。

Mari・2017-11-20
君と、もみじ
あとがき
物語&小説/from:Mari

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