はじめる

#おす

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全97作品・

脈アリ脈アリって

思ってたのは多分全部

ただの思わせぶりでした。

Raimu・2021-02-21
きっと忘れてみせるから
ポエム
好きな人
脈アリ
片思い
辛い
こんなこと君には言えない
恋愛
フィクション
おす

幸せな頃に

虹をゆっくり見れた頃に

太陽みたいだった時に

今すぐ戻りたい、戻って居たい。

Raimu・2021-04-05
独り言
過去
死にたい
おす











『愛があったら。』下











※大人要素あり











邪魔、しないでよ



言ってしまった



言って、しまった



嫌われた、終わった



私は怖くて



無言でその場を立ち去ろうとした



その時、蒼ちゃんが口を開いた



「邪魔やったか、ごめん。」



蒼ちゃんの顔は



悲しそうに歪んでいた



傷つけたのか



そんな想いでいっぱいだった



もちろん、そこには居れなくて



私は、家に帰った



いつもよりも寒い気がするのは



気の所為か



ご飯食べる気も何も無くて



私は眠りについた



その日から、五ヶ月経った



蒼ちゃんの店には行けてない



あの生活も、変わらない



今日は、初めての男と会う予定



場所は、蒼ちゃんのカフェ



着いてから、少しガッカリした



閉店中、と書いてあったからだ



帰ろうと思ってたその時



店が開く音がした



「…りーちゃん、俺。



頼んだの、俺。」



消え入りそうな声だった



私は何も言えないまま



久しぶりの



あのカフェへ入った



「…どうして?」



やっぱり、最初の言葉はそれだった



話を聞けば



私の事が気がかりで



Twitterを入れて



私の垢を探したらしい



私ばかだから、自撮りも載っけてて



それで見つけたらしい



あの時と、同じような気持ちになった



苦しい、ただ、苦しい



「…ね、する、の?」



いつまでもこのままじゃダメだから



私は蒼ちゃんにそう尋ねた



「…したい。でも、どうしよ。」



目が合うと、気まづそうに目を逸らして



少しの沈黙が流れた



「いいよ、しよ。」



私はそんな沈黙を破る為



初めて自分から



求めた



「お金、払うから。」



キスする寸前



蒼ちゃんのその言葉に



一歩、離れてしまった



乱れかけた服も治した



だって、だって



「…お金払ったら、愛じゃない。」



言っちゃった



愛なんて、最初から無いのに



でも、言葉は止まんなかった



「…今までの男と一緒じゃやだ…。



求めないで、?求めさせて、?



愛してよ…。私を。身体じゃやだ。」




バカなこと言ってるのは



分かってた



でも、蒼ちゃんだけは



今までの男と一緒じゃ嫌だった



「りーちゃん、愛しとる。



だから、助けたいから。



金は払うよ。絶対、払う。」



蒼ちゃんから返って来た言葉は



私の求めるものじゃなかった



おいで、と言うように



手を広げる蒼ちゃんの元に



自分から行く事は出来なかった



だから、同じように手を広げた



蒼ちゃんは直ぐに来て



直ぐに求めた



初めて、私からも求めた



零れる涙が止まらなくなって



寂しさで沢山な私を



蒼ちゃんは、抱き締めた



強く、強く抱き締めて



壊した



「…ね、あ…し、て?」



嗚咽で上手く喋れない私に



「愛してるよ。」



そう返してくれた



でも、本当の意味で



心は満たされなかった



終わった後



乱れた服を治す私に



蒼ちゃんは、お金を渡して来た



それも、10万も



「…ね、愛してないの?」



「言ったでしょ、愛してるからだよ。」



私は、全ては受け取れないと



半分だけ、受け取った



その日は



泣きながら帰った



受け取ったお金が



愛だとはどうしても思えなかった



家に帰って



急に吐き気が来て



吐いた



吐きまくった



ぐしゃぐしゃになったメイクを



ちゃんと落として



蒼ちゃんの垢をブロックしようと



Twitterを開いた



ホームに、蒼ちゃんのtweetが



流れてきた



「愛してる」



たった一言



その言葉を見て、泣いた



何となく、もう会えないと悟った



もう依頼も来ないと思った



だから、ブロックは辞めた



高校は卒業出来なかった



パパ活をしている事がバレて



いじめが始まった



だから、退学した



それからもパパ活はしたけど



途中で気持ち悪くなって辞めた



19になって、就活を始めた



面接先は、カフェだ



「ダメだったか。」



ふぅ、と息を吐いて



たまたまそこにあった



電気屋を眺めた



ニュース番組なんて



何年ぶりに見ただろうか



「本日は近頃話題の



カフェ、LoveisLeeの魅力を



徹底解説致します!



ここのカフェのオーナーは



たった一人でこの店を開業し



そんな中で出会った



ある女性を待っているとかなんとか。



そんな話題のカフェ



LoveisLeeのオーナー



新庄 蒼雅さんに



話を聞いてみましょう!」



「えーっと、新庄です。



こんなに人気なるなんて



思ってもみなかったですけど



嬉しいです。



この店の名前のりーは



僕が、一目惚れした人のあだ名で



傷つけてしまった、女の人です。



いや、子供なのかも。



そんな、りーちゃんの為に



僕は、23になった今でも



この店を離れてません。」



気付いたら、夢中になってた



少し髪の伸びた蒼ちゃん



少し声の低くなった蒼ちゃん



少し髭が生えた蒼ちゃん



少し変わった蒼ちゃんから



目が離せなくなった



私は、ヒールを履いてるのも気にせず



走った



私の記憶が正しければ



ここから10分程の所に



蒼ちゃんの店があるはず



しばらく走った所に



行列が見えてきた



きっと、ここだ



私は、お客さんの注意を無視して



店の扉を開けた



そして、注目を浴びてるのも



全部無視して



ただ1人



蒼ちゃんの元へ向かった



「…蒼ちゃん!」



広くなったカウンターの奥に



アルバイトの人と話している



蒼ちゃんを見つけた



蒼ちゃんは、私の声が届いたのか



カウンターから走って来て



私の事を抱き締めてくれた



「…りーちゃ…。りー、ちゃん、?」



「ただいま…蒼ちゃん!」



抱きしめ合う私達を見て



周りのお客さんが



私がLoveisLeeの



Leeだと気付いたのか



拍手が起こった



私と蒼ちゃんは



ここじゃ目立つからと



外に出た



「ごめん、あの金さ。



愛だった、本当に。



いや、愛ってか独占欲かも。



これ以上他の男に渡したくなくて…。



本当、ごめん。」



「…ううん、愛なんて無いって。



愛があったら、って、



勝手に思ってただけだから。



愛があったんなら、良かった。



私の方こそ、ごめんね。本当。



ねぇ、愛してるよ。蒼ちゃんは?」



「愛してるよ。愛してる。」



きっとここは



泣くシーンなんだろうけど



私と蒼ちゃんは、大爆笑した



それから、キスをした



カフェ、LoveisLeeは



奇跡の恋をした夫婦の運営する



少し、ロマンチックな



カフェになった



このカフェの人気メニュー



「愛はあったよ。」



と言う名のついたケーキを食べると



恋が成就するという



噂が出来てからは



更に盛り上がった



「愛してる?」



「愛してるよ。」



「私も、愛してるよ。」



愛は、ちゃんとあった



愛は、あったよ



こんなにも沢山の愛が、ここに



END

Raimu・2021-02-23
小説
愛があったら。
恋愛
死にたい
好きな人
カフェ
家族
悲しい理由
感想下さい
おす
like100超えたやーつ
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like400超えたやーつ

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に97作品あります

アプリでもっとみる









『名の無い雨が、降る明日に。』













全国ニュースで報じられた

一つのニュースに


目も、心も奪われた


「妊婦連続殺傷事件の犯人は


都内に住む、14歳の中学生でした。」


深刻そうなニュースキャスターの声


顔は隠れているが、確かに姿は

映っている中学生の犯人


まだ、興味程度だったんだ

この時の、僕は


------------------------


愛ってなんだ

ずっとそう思いながら生きていた


怒るのは愛なら

殴るのは何だ



腕に広がる傷と痣は

一体何なのだろうか


ずっと、そう思って生きていた



「子供なんてね!!

親の私達を良い人間に魅せる為の



道具でしかないの!!道具なんだよ!

そんな道具が、でしゃばんな!!」





「…ごめん、なさい。」




少し、本当に少し

口を挟んだだけだった


何度切れても鳴るコールに

応えたらいいんじゃないかって



それだけ、言った



だけど結果

母さんを怒らせてしまった


道具が喋ってごめんなさい

道具がでしゃばってごめんなさい



何度も何度も

心の中でも口に出しても謝って



いつもより殴られなかった


新たに増えたかさぶたを

捲って、流れる血を見て思う


生きてるだけで、本当にいいのか









「あーイラつく。


何であんたってそんなイラつく目なの?



あいつが捨ててきた時と同じ目。


気持ち悪い。さっさと消えろよ。」





「…ごめんなさい。」





もはや、何を言われても


「ごめんなさい」しか返せなくなった



他に意見を言えばきっと

後々苦しむのは自分なのだ



なら言わない方がいい



「お腹減った、母さん。」



普通の家庭はきっと

暖かい味噌汁やサラダや肉料理が


テーブルいっぱいに並べられて


学校の話とか友達の話とか

そんな他愛もない話をするのだろう



でも残念ながら、家は違う



「知らねぇよ。勝手に食え。」



そう言われる

勝手に作ろうとすると



「何で勝手に使うんだよ!泥棒!」



と、前は包丁を投げつけられ

腕に消えない傷を残した



でも辛くなかった

それが当たり前だったから



でもある日、本当にある日

いつもと、何も変わらない日


何かが切れた



プツーンって

切れた、私の中で



「バイバイ母さん。」



私は錆びた包丁で

母さんの腹を刺した



「…ま…え…っ。」


苦しそうな声を出し

床を這い蹲る母さんの上に乗り



また一回、更に一回と

段々とペースを上げて、刺した


気付けば母さんは動かなくなった


時刻は夕方四時

返り血も処理せぬまま


包丁を持ちながら

私は街中を歩いた



「もうすぐ会えまちゅかねぇ?」


「パパとママは、待ちきれないよー!」



「ちょっとぉ、声が大きいよ!」




「すまんすまん!つい!」




そんな会話をする

妊婦と、その旦那の会話が耳に入る



助けなきゃ



そう思った時には

もう行動してしまった




「…なに、何!やだ、やだやめて…!」




胎児が居るであろう場所に

ナイフを刺した



止めに来た旦那を振り払おうとした時

弾みで、旦那の顔に刺さった



邪魔する人は誰も居なくて

私はただ、胎児を刺し続けた



「道具にならなくて良かった。」



スッキリした気持ちで家に帰ると

母さんの姿が目に入った



今まで道具にされた仕返しとして

母さんを包丁置きとして、使ってやった



細胞や中の臓器が破裂する音が

聞いていて、心地が良かった



次の日のニュースで


昨日助けた胎児の母親と



その旦那が死亡したと報じられた



奇跡的にも

古びた防犯カメラには



蜘蛛が被さっており

私の顔は写ってなかった



私は、神様が

私の事を助けてくれたんだ


そう思うと嬉しくて堪らなかった


次の日、お腹が減って

母さんの肉を食べた


美味しくはなかった

でも、勝った気がして嬉しかった



その日も私は

人助けの旅に出掛けた


防犯カメラに写ったら

もう二度と助けられなくなるから


深くフードを被った


「…な…ん、で。」


二人目は一人で歩いている所を

一旦後ろから刺して


倒れた所を前から刺した


「良かったね。もう、大丈夫。」


私のように

道具としてしか使われない


そんな人生、送らせたくない



だから助けた

人情が出来る前に



だから助けた

その姿を保つ前に


助けたかったんだよ、どうしても


次の日のニュースで

この前殺った妊婦とその旦那と


関連性があると


大々的に報じられた


殺り方

刺す場所


等、全く違う事まで

勘ぐられていた


一ヶ月、いや、もっと


救い続けていた

自分自信を救う事を忘れて


ただ、がむしゃらに


----------------------------


彼女の初公判があると聞いた

僕は、何故か無性に行きたくなって


初めて裁判所の中に入った


彼女は、全ての罪を認めた

「助けたかった」と


泣きながら語った


彼女の言葉に

狂ってると話す人達が


余計彼女を苦しめた


彼女の手が震えていた

彼女の声が震えていた


見ているだけで、辛くなる程に

--------------------------------


気付けば、30人

救っていた


救えているのかな

そう疑問に思う時ももちろんあった


でも、それでも救える可能性に

かけていた


ある時、刺した妊婦が

奇跡の復活をしたとニュースで見た


そしてこう言った


「私の赤ちゃんを奪ったのは


中学生くらいの、女でした。」


そこから捜査が一気に進んで


等々、逮捕される事になった


初公判の日

目が、怖かった


私を道具だと言った母さんの目と

一緒な人が殆どだったから


でもただ一人

泣きそうに目元を潤まし


こちらを見ている男の子が居た

心がギュッと苦しくなった


そんな時、こう質問された


「被告は何故、30人もの妊婦を

極めて悪質で、残虐な方法で


命を奪ったんですか?説明どうぞ。」


被害者の方の弁護士が

鬼のような目と声でそう言ってきた


母さんの声が浮かぶ

母さんに言われた言葉が浮かぶ


殴られた腹が痛く感じる

私は、私は、ただ、ただ


「…たす…け…っ、た…かった…!」


息が上手く出来ない

苦しい、苦しい苦しい


「サイコパスかよ。」

そんな声が聞こえた


「何でお前が泣くんだよ。」

遺族の人の声が聞こえた


「あいつ、狂ってる。」

笑いながらそう話す声も聞こえた


痛かった

痛くて、たまんなかった


-----------------------------


未成年犯罪者としては異例の

死刑判決が言い渡された


その判決に賛成する人が多数で

反対した人はネット民に潰された


僕は、死刑判決が下るまでの

僅かな期間に


どうしても会いたくなって

面会をさせて貰う事にした


久しぶりに見た彼女は

酷く痩せ細っていた


あの怯えるような目が

僕の姿を捉えていた


どう話しかけようか迷っていた時

彼女が重い口を開いて


「…ありがとう。」と言った


「え?」と聞き返すと


あの時たった一人だけ

優しい目って感じがしたの、と


彼女は微笑んだ


その目には諦めの色が滲んでいた

僕は、それに気付かぬフリをして


彼女と話し続けた


面会が許可されたのは

たった一時間


僕は、せめてその一時間だけでも

彼女を幸せにしてやりたいと思った


「私ね、虐待されてたの。


親にお前は親を良く魅せる為の



ただそれだけの道具だって言われて。

私、自分が道具だったから。


道具の気持ちが、分かるから。


だから…だから、ね。


道具には…させたくなかった。

助けたいって、それだけ想ってた。」


彼女は泣きそうな目で

僕に訴えかけてきた


私も被害者なんだよって

私も辛かったんだよって


僕は、少しでも彼女を救いたくて


「…道具じゃないよ。」


と、声をかけた

彼女は少し驚いたような顔をして


「…ありがとう。」と

また言った


その日から一週間後

被害者家族の強い要望の末


彼女は星になった

僕は、死刑判決の報道で


初めて泣いた


表だけしか見ていない人らは

簡単に彼女を貶したし


その死を心から喜んだ


辛いなんて言葉で収まらない

それくらい、彼女は辛かったんだ


それを知らず喜ぶ人らの

気が知れなかった


ただ僕は、悲しかった

そして辛かった


せめて僕だけは

彼女の幸せを祈った


星空を見上げて思う

これが、彼女にとって


幸せだったのかも、と

------------------------

死刑目前

あの、男の子が面会に来た


近くで見るととても綺麗で


そしてとても優しかった

優しく包み込んでくれた


カレーが好きだと話した

食べた事が無かったから


食べてみたいなぁと言うと


激辛ってやつ食べてみ?と

イタズラな笑顔で言われて


激辛の意味は分かってたから

「おいっ」と突っ込んだ


彼になら話せると思って

母さんの事を話した


色んな言葉をくれたけど


「道具じゃない」

その言葉が何より嬉しかった


また、会いたい


そう思った矢先

死刑が求刑されると言われた


最後の晩餐には

カレーを選んだ


思った以上に辛かったけど

癖になる辛さだった


最後の晩餐を終えて

一人部屋に移された


事情を知った藤井さんと言う

女の警察官の人が


暖かな毛布と

ふかふかの枕を用意してくれた


その優しさに、涙が出た


死刑の日は、雨だった

死に場に行く途中で


明日は雨だと流れていた


気持ちも天気も雨なんて

何だか笑えてしまった


死ぬ瞬間まで祈った

「せめて彼が幸せであるように」と

----------------------------

彼女が居ない世界は

雨が降った様に暗かった


彼女が居なくなって数日

彼女の遺言が伝えられた


「幸せになってね。」と


その日の天気は

やっぱり、雨だった


次の日の予報も、雨だった


僕は雨に紛れて

また泣いた


暗い帰り道

ほんの少し、陽が差した


僕は、その陽をじっと見つめて思った

「幸せになろう。」と


泣くのは今日でおしまいだ、と


名の無い雨が、降る明日に

ほんの少しの期待を抱く


彼女の分まで幸せになれたら、と


やがて、雨は止んだ

眩しい程に明るい陽が


明日の方向に咲いていた


「カレーでも食うか。」

僕はそれから、カレー屋に向かって


激辛カレーを注文した



end

Raimu・2021-03-19
小説
幸せ
家族
君にさよなら
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長編小説
感想下さい
名の無い雨が、降る明日に。
自分でも何か泣いてしまった←
おす
like100超えたやーつ
like200超えたやーつ
like400超えたやーつ

「死にたい」を


優しい言葉の泡で


包んでくれるような人でした_。

Raimu 無浮上・2020-08-16
私の好きな人
死にたい
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『はんぶんこ。』















チャリン

優しそうなおじさんが



缶の中に100円を入れてくれた





「がんばってね。」





その言葉に返す声は

本当に小さなものだった




「ありがとう…ございます。」




ちっちゃくて

消えそうな声だった




おじさんは少し悲しそうに笑い

バッグをしっかり握って





帰って行った







「にいに。」






掠れた声が落とされた

2月の初め



まだ、雪が振る頃





にいにがずっと

本当にずっと、眠ってる




「…にいに。」






揺らしても

何も言わないし




ご飯を握らせても

「雪が食べな」と言って




返してこない






「にいに、にいにが


元気なるように、雪がんばる。」






本当に突然

突然だった





人が沢山行き交う街に

8歳と15歳の




雪とにいにが捨てられた






離婚して


母親に引き取られた二人






でもきっと


母親にとって、邪魔だった






「まま…!痛いよぉ…。」






ヨーグルトを零した雪の


頭を思い切り掴んで




何度も耳元で怒鳴って来た日もあった






雪を母親の暴力から庇ったにいにの

骨が折れた日もあった






お腹すいたと言えば


滑稽な残飯を投げつけられ






お風呂に入りたいと言えば

バケツに入った冷水を




思い切りかけられたり





そんな生活が二年続いた





救いを求めてた


きっと、神様が居ると信じて







そんな兄妹にとっての救いは


捨てられた事だった






やっと暴力から解放される


やっとにいにに迷惑かけなくて済む





やっと、幸せになれるんだ






雪は、期待と幸せでいっぱいだった








でも現実は違った


横に居たおじいさんに




せっかく貰ったご飯を奪われたり




街の人からの冷たい視線に


心がやられたり





何よりにいにが


初めて泣いたのだ






「俺が守んなきゃなのに


ごめんね、本当…ごめんね。雪。」






そう言って、泣いたのだ







プルプル震えながら


雪の背中に手をやったにいには





雪の細さに涙が出た







雪はそれを見て思った





「雪が、何も出来ないから。


にいには、泣いちゃった。」









それから雪は


お金を集めるのを頑張った





「お金、ください…。」






空腹の音と共に


雪の声が街に落ちた





落ちて、落ちて、落ちて







それでもそれを拾って


救ってくれる人は中々居なかった







「にいに。今日はね


430円貰ったよ。雪、うれしいなぁ。」






冷たいダンボールに寝る


にいにの手を握りながら




雪は必死に語り掛ける






「ねぇにいに。



神様、雪達の事忘れちゃったかな。




にいにの夢に出てきたんでしょ?

雪とにいに、助けてくれるんだよね!」






もちろん、そんなの嘘だった






もう無理だよと泣く雪に


にいにが咄嗟についた嘘だ






「俺の夢に、出て来たよ。雪。


神様が助けてくれるってさ。



でも、雪が泣いてたら

神様も悲しい気持ちになるだろ?




だからさ、笑って待とっか。」







ニコッと作り笑顔を浮かべたにいにに


雪はうんと大きく頷いた






「雪!クリームパン貰ったよ!


ほら、はい!"はんぶんこ"!」





「わぁ…!おいしそぉ!


ありがと!いただきまっす!」








風邪気味で寝込んでいた雪


目を覚ますと、にいにが




クリームパンを一つ手に持ち






それを半分に割って


大きい方を雪に渡してきた







そのクリームパンは


にいにが雪を元気づける為に




コンビニで買ったものだった






幸せそうに食べながら


「くれた人神様だったのかも!」




と、弾ける笑顔で笑うから





「神様だったのかもな!」と


にいには大袈裟に笑った






ある日、仲良くなったホームレスの


和田さんが毛布を一枚くれた




「寒くなるから」と言って


カイロも二枚くれた






にいには何度も何度もお礼して


二人で毛布にくるまった





二枚のカイロは


本当に寒い日に残しておく事にした






「にいに。神様もう来ないかなぁ。」


カサカサになった腕を擦りながら




雪が悲しそうにボヤいた







「来るよ。また来る。


また、俺の夢に出てきたよ。




次は、こんな生活から

救ってあげるよ。って言った。



だから、雪!笑って!」






ピースを作って笑うにいにに


雪もつられて笑った






あとちょっとがんばれば

神様が助けてくれるんだ




ならがんばろう


なら笑おう





にいにと、幸せなれるなら


それでいいんだ、雪は






そう思っていた時


にいにが動かなくなった





「にいに。」






掠れた声が落とされた

2月の初め



まだ、雪が降る頃





にいにがずっと

本当にずっと眠ってる




「…にいに。」






揺らしても

何も言わないし




ご飯を握らせても

「雪が食べな」と言って




返してこない





「にいに。にいにが


元気なるように、雪がんばる。」









雪は、にいにの為に


がんばった






「お金、ください…!」






道行く人に声を掛けては


無視されて、邪魔だと言われ







心が折れかけた








そんな時に


あの、クリームパンを思い出した





所持金全部足すと


やっと、一個買えた





雪は、舞う雪に紛れないように


必死に必死に走って





にいにの元に、帰ってきた







「にいに、クリームパン!


"はんぶんこ"!にいにに、あげる!」






あの日のにいにのように


半分に割って、大きい方を




雪は、にいにに差し出した






ハエが集り始めたにいには


もちろん、手を伸ばしては来ない





「にいに、"はんぶんこ"したよ?



一緒に食べようよ…。にいにぃ…。」







何も言わない、何もしないにいにに


雪は涙が溢れて止まらなかった





でも、お腹がペコペコな雪は


自分の分のクリームパンを




ペロリと食べた








まだまだお腹は膨れない


でも、にいにのは絶対に食べない






雪は、じーっっと我慢して







いつの間にか、眠りについた











その日の夢は


とても、幸せだった
















「…誰ですか?」










暖かな光の向こうに


人影が見えた




その人影に、雪が話しかけると







「神様だよ。君を、救いに来た。」







そう言って、雪の方に


ゆっくり、ゆっくりと近付いてきた







その姿、身長、顔


全てがにいにだった






「にいにが、神様だったんだね!」






そう聞くと


にいには優しそうに笑って





ゆっくりと頷いた








そして、昨日あげたクリームパンを


手に持って、にいには言った






「今から

"はんぶんこ"なんてしなくていい




そんな世界に、一緒に行こっか。」







雪は、そこがどこか


すぐに分かった





でも、雪は言った





「雪、そこに行っても


にいにと"はんぶんこ"してたいな。」







にいには少し泣きそうに笑って







「にいにも、そう思うよ。」と


優しそうに笑った







そして、手を繋いで


あの光の方に歩いて行った






翌朝、にいにの上に


どこの何よりも暖かな





"雪"が積もっていた







優しい笑顔の"雪"が


幸せそうな"雪"が





100円をくれたおじさんが


手に、パンを持って




やってきた日






にいにと雪の身体は


星となって消えた





その手には


あの、クリームパンが握られていた




おじさんが


にいにの傍に置いてあった




あのクリームパンを





更に半分にして


持たせたのだ








骨は、保健所の人が


処分すると言ったが




おじさんが


どうしても可哀想で仕方なくて




にいにの骨も、雪の骨も


どっちも受け取った





暖かな部屋の中に


二人の骨が置かれた





「ごめんね。」












二人の遺骨の前に


端っこが破られた家族写真が





一枚、飾られた









にいに、雪、そして


若い頃の"おじさん"が笑っている





家族写真だった








「ごめんね。」






そしてまたおじさんは謝った









ふと、外を見ると


雪が降っていた




今までで一番優しくて


今までで一番暖かい雪だった







おじさんは


クリームパンを二人の前に置いて





前に進む為に


一歩、また一歩



歩き出した





end

Raimu・2021-03-12
小説
甘えさせてよ
家族
虐待
神様
なんか思いつきました←
感想欲しいです
はんぶんこ。
おす

間違いを消せる消しゴムより

心の傷を消せる消しゴムが欲しい

Raimu 無浮上・2020-07-16
ポエム
病み
リスカ
死にたい
消しゴム
辛い
独り言
心の傷
おす
like100超えたやーつ
like200超えたやーつ
like300超えたやーつ
like400超えたやーつ

「女」「男」

その中間を認めて下さい。

Raimu 無浮上・2020-09-12
性別
ポエム
LGBT
性別違和
中性
たった一言
普通だよって
中間
独り言
死にたい
辛い
これを見てる人へ
本当の自分
同性愛
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like200超えたやーつ
like300超えたやーつ

貼り付けた笑顔より

パパが笑かした時の笑顔の方が

何億倍かパパは好きだよ

Raimu 無浮上・2020-08-18
パパがくれた言葉
笑顔
死にたい
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作り笑顔
パパ
あなたのそばに
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優しさ
弱虫な僕は
救われた
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『ワスレナグサ憲法10条。』下













「…さん?お姉さん?」



「ん、ん…。みーくん、?」



差し込む光が眩しくて



中々目が開けられない



そっと、目を開けてみると



警察官の人が二人



私の前に立っていた



「ここ、どこですか…?」



「丘の町ですよ。」



「丘の町…。」



確か、私の住んでる所の



隣の町



「お姉さん、どこから来たの?」



「…隣の、町です。」



警察官の人は目を見合わせて



少し困った顔をしてから



警察車で送ってくれた



「ありがとうございました…。」



過ぎ去る車に深く例をしてから



家のドアを開けた



ただいま



そう言う前に



どこか久しぶりな



あの温もりに包まれた



「…り…っ、り…ん…?」



みーくんだ



「…ごめん。ご…め。」



「…良かった。良かった、良かった。」



みーくんは、繰り返し



"良かった"と言った



怒んなかった



見捨てなかった



なんで



「…怒んないの?」



みーくんに聞くと



「帰って来てくれたから。」



と、笑った



離しちゃいけない人って



こーゆー人の事を言うんだ



と、改めて思った



「…ね、何したら、怒るの。」



「…どして?」



「だて、だって、私…。



怒られなきゃだもん!



病気って時点で迷惑かけてるし



その上勝手に家出てくし…っ!



なのに、何で?何で怒んないの?」



不満、だったのかもしれない



怒られない事が



愚痴を零されない事が



何より、捨てられない事が



「何で、って。



生きててくれてるじゃん。



俺の横で。傍で。



それ以上の幸せなんて無いよ。



不満なんてない。怒る所も。



凛が生きててくれたらいいよ。俺。」



何か、腑に落ちなかった



やっぱり、怒られなきゃだと思った



「…傍に居なくなったら怒る?



浮気したら怒る?なら、なら私



今から浮気する!傍居なくなるよ?」



自分でも何言ってるか



分からなかった



何で泣いてるのか



何で自分が怒ってるのか



本当、分かんなかった



「凛、俺から離れられるの?」



「…離れられるよ。」



「なら、1m離れて?」



「え?」



「早く。」



ちょっと意味が分かんなかった



でも、みーくんの言う通り



一歩程、後ろに下がった



「じゃあ…。」



もう2m下がって



そう言われてまた下がった



それを繰り返す内に



我慢出来なくなって



離れた分、近づいて



みーくんに抱きついた



「ほら、離れらんないじゃん。



だからその心配はしてないかな俺は。」



「…何それ。」



みーくんの優しい香りが香って



優しい笑い声が聞こえた



私も、不思議と笑ってた



「…大好きだよ。」



「俺の方がね?」



私にはやっぱ



みーくんしか居ないんだって



そう思った



「ね、凛。ちょっと来て?」



ある休日の日



コーヒーを飲んでいると



みーくんが大きな画用紙と



マッキーペンと



インクを持って、椅子に座った



そして、私を手招きした



私はソファの上から



みーくんの向いの椅子に座って



そっとみーくんが話すのを待った



「法律、作らない?」



みーくんから出た言葉は



以外過ぎるものだった



「法律?」



私は少し笑ってしまったけど



みーくんは気難しい顔を



変えなかった



「法律。と言うか



俺と、凛。二人だけの守り事。」



「…それも、忘れちゃうよ?私。」



シーンとした空気の中



コーヒーカップを置く音だけが



そっと、響いた



「忘れてもいい。俺が



凛の分まで覚えとくから。」



少しの沈黙の後



みーくんが



ワスレナグサ憲法10条。



と画用紙に書いて



その下に、1と書いて



ワスレナグサ憲法の内容を



一つ一つ、書いていった



そして、1条1条読み上げた



「1。凛も俺も、自分を責めない。」



「…みーくん、自分責めてたの?」



「そりゃね。凛が苦しんでるのに



俺は何も出来ないんだから。」



「…何も出来てないなんて、逆だよ。」



「…次、読むね。」



みーくんは半ば無理矢理



次の法律を読み始めた



「2。迷ったら、絶対電話。



何時でも、俺がもし仕事中でも。」



「…迷惑、なるよ?」



「ならないの。てか



迷惑かけて?俺受け止めるから。」



「…ありがとう。」



「いいよ。次、3。」



気付いたら涙が溢れてた



でも、それでも



みーくんの言葉を聞き続けた



「9。忘れてもいい。



忘れてもいいから。



俺の居ない所で、泣かないこと。」



「…う…ん…っ。」



「10。これ、一番大事だよ。」



私は、必死に必死に涙を消して



ちゃんと聞く準備をした



「…10。俺をもし忘れても



絶対、嫌わないで欲しい。



…いや、これは違うか。



法律、てかただの願望だった。」



へへ、と悲しそうに笑うみーくんに



「忘れないよ。」



そう言った



「…ありがとう。」



気付けば、みーくんも泣いていて



二人で泣きながら



キスをした



それから、みーくんが



インクに指をつけて



画用紙の左端の方に



指紋をつけた



「ワスレナグサ憲法10条。



ここに可決。俺の指紋はつけたし



はいここ、凛の指紋、つけて?」



小鳥の鳴き声が良く聞こえる



暖かな日が注ぐ日



「…はい、お…っけ!」



私とみーくん



二人だけの法律



"ワスレナグサ憲法"が



可決した



「…俺忘れてもいいから



この法律は忘れないでね?」



「みーくんも忘れないよ。」



「そっか。うれしっ。」



優しさに溢れる涙を



止めるすべを、私は知らない



でもいい



この涙が



みーくんの優しさの象徴になるなら



それでいい



「…みーくん、手繋ご。」



「今インクで汚れてるから



手洗ってくるから待ってて?」



「んーん。今のみーくんと



手を、繋ぎたいの。」



「えー?変なの。



手繋いだら、涙止まるかな。」



「止まんないよ、多分ずっと。」



「そりゃ困るわ!」



笑いが込み上げてきて



久しぶりに二人で笑った



しばらく笑って



お互い汚れた手のまま



恋人繋ぎをした



お互い、手を繋いでない方の手で



ワスレナグサ憲法の画用紙を持って



部屋の、一番目立つ所に



画鋲で止めた



それから、手は繋いだまま



久しぶりのデートに出掛けた



この人だけは



何を忘れても



きっと、忘れない



世界最高級の宝石なんかより



何億倍も綺麗で



優しい優しいこの笑顔を見て



そう確信出来た



end

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『また、地獄で。』











その日彼女は



人を殺めた



一人じゃない



11人もだ




五人は彼女をいじめた人



もう五人は嘲笑った人



もう一人は



特に対処しようとしなかった



担任



中学二年生になって



クラスが同じになった



僕と彼女、凛薇は



委員会活動で親しくなり



僕が一方的に恋心を抱いていた



中学三年生になり



クラスが離れた



凛薇のクラスに



凛薇を狙っていると噂の



少しカッコイイ奴がいた



僕は「どうにでもなれ」と思い



告白をした



ただ、僕という存在を



クラスが離れても意識して欲しくて



ただ、その少しカッコイイ奴に



取られるのが嫌で



OKされる事は考えていなかった



「付き合ってくれるの?」と



少しイタズラ心すら感じる返事に



「付き合ってくれるなら。」と



僕も少しイタズラに返した



それが僕と凛薇が付き合った時



凛薇は、誰もが羨む



美貌だった



その上頭も良く



性格は明るい



その為、言うまでもなくモテた



それをよく思わない女子は



少なからず存在した



お家デートの日



彼女の足に絆創膏が見えた



しかも足の裏



「怪我した?」と聞くと



「画鋲が刺さっちゃって。」と



凛薇は言ったけれど



凛薇は綺麗好き



凛薇の母も父も兄も



床にホコリ一つ落とさない



そんな凛薇が家に居て



画鋲を誤って踏む時があるなんて



どうしても考えられなかった



確信は持てなかったけど



そこで「いじめられているのでは」



と思い始めた



「一緒に勉強をしよう。」と



凛薇からLINEがあって



急いで準備をして図書室に向かった



そこで疑問は確信に変わった



教科書の表面が



修正テープだらけだ



しかもよく見ると



凛薇の死を望む言葉が



うっすらと見えた



「凛薇、それ…。」



僕がそこを指摘すると



「大丈夫。イタズラだよ!」と



明るい笑顔でそう言った



でも僕は信じなかった



だからと言って



凛薇を救う言葉は



何もあげられなかった



「何回も言ったでしょ。



輝彦くんのせいじゃないよ。」



「いや、でも。」



凛薇との面会時間



僕は毎回、謝罪をする



「あの時救えなくてごめん。」と



高校一年生になった今でも



後悔している事を伝える



何度言っても謝り足りなくて



毎回、絶対に謝る



その度に彼女は少し怒った顔で



「輝彦くんのせいじゃないよ。」



と言う



その後に小さな小さな声で



「全部、あいつらが悪かった。」



と言って顔を歪めた



あいつら



凛薇が殺めた奴らだ



あいつらの顔を思い出す度



あいつらがした事を思い出す度



僕も凛薇も



「凛薇がした事は正しかった。」



と、口に出さずとも思うはず



その証拠に、凛薇は少し笑う



昔好きだった凛薇の笑顔は



確かもっと、綺麗だった



スキンケアを怠らないからか



肌はいつ見ても綺麗だったし



髪の毛もサラサラだった



でも今は全て変わっていた



綺麗な顔だけは残ったが



性格も笑顔も肌も髪も



全て奪われていた



「また来るよ。」と言って



僕は刑務所を出た



「…あと五ヶ月。」



この前言われた言葉を



頭の中に浮かべる



凛薇の死刑執行日が



決まったらしい



「未成年」と言う点は



尽く無視をされ



凛薇は、死刑判決を受けたのだ



「美しすぎる悪魔、死刑判決。」



新聞の見出しはこうだった



僕はその新聞を



ぐちゃぐちゃに破いて捨てた



凛薇はまだ



自分の死ぬ日を知らない



僕から伝えて欲しいと言われた



おかしな話だと思ったけど



僕はなるだけ優しく



伝えるつもりでいた



「凛薇。ごめんね。」



相変わらず謝罪から始まった



面会時間



凛薇の顔は少し、穏やかだ



「何かいい事あった?」と聞くと



「こっそりチョコを食べたの。」と



笑った



どこから入手したんだ?



と聞こうとすると



物凄く悪巧みをしたような



イタズラな笑顔を浮かべて



「次はドーナツが食べたいなぁ。」



と言った



「僕が持ってきてあげるよ。」



と言うと



凛薇はキラキラな目で



「本当!?輝彦くん大好き!」



と言った



今日、死の日を告げようとした



でももう少し、あと少し後で



凛薇の笑顔をもう少し



見た後で、言おう



「…僕も、大好きだよ凛薇。」



そう告げると



凛薇は満足そうに笑った



僕らは、カレカノだ



ただ、不幸過ぎるカレカノだ



凛薇はただ普通に



「幸せ」になろうとした



それだけなのに



「凛薇。本当にごめんね。」



その言葉を何回告げ



何回凛薇の不機嫌そうな顔を見たか



数えるのも飽きてきた頃



「もうそろそろ、告げてくれ。」と



そこの看守から頼まれた



僕は、「ドーナツを渡してくれ。」



と頼んで



買ってきたドーナツと引替えに



凛薇に告げる事を誓った



凛薇は嬉しそうに語った



「チョコのヤツ



めちゃくちゃ美味しそうだった。



早く食べたいなぁ。本当なら



一緒に食べたかったんだけどね。」



そこまで言って



凛薇は弱々しく笑った



僕は作り笑顔でも



今みたいな悲しそうな笑顔でも



やっぱりまだ、見ていたい



そう思ってしまった



「どの味のドーナツから



食べようかなぁ。楽しみだぁ!」



壁で見えないけれど



凛薇は足をバタバタさせていた



相当甘い物に飢えているんだ



そりゃ、嬉しいよな



この笑顔、守ってやりたい



「そろそろ時間か。



また明日、絶対来るから。」



「うん。待ってる。」



彼女は堺の壁に手を置いて



離れない



この合図はあれだ



「ん、。」



壁越しにキスをする合図



凛薇の口元まで



あと、一cmもない所で



硬い壁に阻まれた



僕は刑務所を出た途端



目からほろほろと



涙が出るのを感じた



「明日、絶対。」



看守からのその言葉に



どれ程の圧が篭っているか



何となく分かった



次の日、僕は覚悟を決めて



刑務所に入った



「凛薇、あのさ。」



「輝彦くん!あのドーナツさ



すっっっごい美味しかったよ!



もーね、本当幸せなの今も!!」



輝彦くんのおかげだよ



凛薇はそう言って



心からの笑顔を見せた



僕はもう、ダメだった



「…り…ぃ…ら…ぁ…っ…!」



号泣してしまった



ダメだ、凛薇の幸せを害すなんて



ダメ、ダメダメダメダメ絶対



ほら、凛薇が悲しそうな顔してる



お前が一番笑かしたい奴が



悲しんでるだろ



「どし…どし、た、の、…?」



言え、言え、言えよ、言え



僕の中の僕が急かしてくる



泣くな、笑え無理やり作れ



凛薇を安心させろ、と



「…輝彦くん…私、何かした、?」



ごめんね、違うんだ



「…ごめ…ち…が…っ。」



ダメだ、上手く喋れない



看守が見てるぞ



言うんだよ、今



「…凛薇…。」



何とか嗚咽を押さえ込んで



真っ直ぐ目を見て僕は言う



「死んで欲しく、ない…よ…。」



その口から出た言葉は



余りにも弱々しくダサい言葉



凛薇はその言葉から



すべてを感じ取ったのか



「輝彦くん…。」と



僕の居る方に手を伸ばした



もちろん、届かないけど



結局詳しい日程を言ったのは



看守だった



頼まれたあの日からもう



五ヶ月が経とうとしている



決行日は、六日後



凛薇は今、どんな気持ちか



考えるだけで苦しくなって



自分が憎くなって



「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…っっ!!」



フォークで手を、ぶっ刺した



直ぐに母さんがやって来て



それでも僕は、刺して、刺して



涙でぐしゃぐしゃな視界が



見えなくなっても刺し続けて



暗闇に吸い込まれて



暗闇に??



そうか、そうだった



あの後叫び過ぎか



出血のし過ぎかどっちかで



意識を失って



僕は今、点滴をしているのか



「…輝彦、?」



母さんのやつれた顔が目に入る



母さんは僕が目覚めた事を理解し



無理矢理笑顔を張りつけた



「よかった…。本当に、よかった…。」



まるで呪いを唱えるように



母さんはそう言った



その目には涙が浮かんでいた



「…かあさ。」



手を伸ばそうとした時



ベッドに固定されてる事に気付いた



足も固定されている



「なんだよこれ。」



母さんに睨みをきかせて言うと



「輝彦がもう、暴れないように…。」



とまた、泣きそうな顔になった



でも僕は気が気じゃなかった



凛薇に会いに行かなくては



もう時間が無いんだ



「母さんこれ外して。



凛薇に会いに行かなきゃなんだよ!」



僕は外れるようにもがいた



でも外れない



「輝彦がまた、また



あんなになるんなら。



もう凛薇ちゃんに会いに行かせない。」



その目は、子を守る母の目だった



僕は悟った



この人が一番恐れてるのは



僕の「死」なんだと



「出さないなら死ぬ。



首を絞めるなり



医者を脅すなりして死んでやる。



凛薇に会えないなら…!



死んだ方がよっぽど天国だ。」



最後の言葉は本気だった



多分、明日までこのままだと



僕は凛薇より先に死ぬ



僕は嘘だと思われぬように



母さんの目を真っ直ぐ見つめて言う



「僕が死んでもいいの?」と



母さんはしばらく悩んで



医者を呼んでくれた



そして、外してくれた



ここがどこか分からなかった



でも、逃げた



逃げて逃げて



やっと知った道に出た



面会時間終了まで



もう時間が無い



僕は刑務所に駆け込んだ



「凛薇。ごめん、ごめんごめん、。」



僕はやっぱり謝った



凛薇の顔は、悲しそうに歪んでいる



「…大好き。



だ…ぃ…す…き…ぃ…っ!」



凛薇の綺麗な瞳から



大粒の涙が溢れた



言葉にならない言葉で



何度も何度も「大好き」と



凛薇は言った



昨日の僕のように泣いていた



抱き締められない距離が辛い



僕は、凛薇がいつもするように



壁に向かって手をつけて



目を瞑る



「キス、してよ。」



と凛薇に言うと



涙でぐしゃぐしゃな顔を上げ



「…へ…っ?」と言った



僕はそれがおかしくて



少し笑ってしまった



「も、わ、笑わないでよ、!



キスして、あげない…よ、?」



凛薇は少しムスッとして



僕の顔をジーッと見つめてくる



「キスしたいくせに。」



とイタズラな返事をすると



凛薇は顔を真っ赤にして



それから時計を見て



時間を惜しむような顔をしてから



ゆっくり壁に手を当てて



目を閉じた



僕は、凛薇の上に重ねるように



手を置いて、目を瞑る



そしてもう一度目を開けて



既にスタンバイしている



凛薇の上に



キスを落とした



キスをして離れると



息がかかって白くなっていた



僕は、もう時間な事を思い出し



「また来るよ。」と言って



刑務所を出た



幸せを感じた後の虚無って



何だろ、痛い



物凄く痛かった



心も、身体も



「あと、三日、か。」



ある日の面会時間



凛薇はぼんやりと呟いた



僕はすかさず言う



「そんな事言わないで。」と



凛薇は「ごめん。」と俯く



残り三日のうちの一日なのに



僕らは曖昧な会話で終えてしまった



僕はどうにか長く



凛薇と一緒に居る方法を考えて



ある一つの方法を思い浮かべ



急いで凛薇に



細工をした本を送った



「死ぬ前に読ませてやりたい。」



と言うと簡単だった



僕は次の日



凛薇に計画を伝えた



「…壁を、ナイフで…?」



「そう。僕が壊すから。



看守よく寝るじゃん?



その隙に逃げよう。そして死のう。



凛薇が死んだ世界なんて



僕にとって死ぬ事より辛い。



逃げよ、逃げようよ。こんなとこ。



一緒に、地獄に行こう。」



と凛薇に言うと



凛薇は大粒の涙を流して



うんうんと



頷いてくれた



そして計画決行日に向け



最後かもしれないから



長めのキスをした



そして翌日



僕は荷物を持って刑務所に入った



身体検査で引っかからない



そんな秘密の場に刃物を潜ませた



そう、刺しまくった腕



僕は、凛薇に目配せをして



壁に向け包丁を刺した



丁度看守が眠っている時だった



刺して刺して



穴を開けた



僕が本気で刃物を振り下ろすと



バリンと言って割れた



僕は凛薇を抱き上げてから



お姫様抱っこをして



全速力で逃げた



追ってくる警察に



本に刃物と忍ばせておいた



コショウを入れた袋を割り



凛薇がそれをぶっかけた



追って来ないように



森の中に逃げた



暗い道を照らすのは



スマホ一台だけ



「これから、どうするの。」



星空を見上げていた時



凛薇は空を見ながら呟いた



「地獄に行くんだ。一緒に。」



だから僕も空を見ながら呟いた



「…生きてて欲しい、のに。」



あくまで普通に呟いたつもりが



凛薇は物凄く怒った顔をしていた



僕は「馬鹿だけど本気だよ。」



と言うと



凛薇は「死んじゃうのか。」と



他人事のように呟いた



「今日は眠いから明日にしよ?」



と凛薇に言うと



「そうだね。私も眠い。」



と言って寝転がった



僕は凛薇に優しくキスを落としてから



眠りについた



次の日、僕らは近くの有名な



崖に向かった



「海が綺麗だよ。」と言う



凛薇に向けて



「凛薇が綺麗だよ。」と言った



凛薇は「だっさ。」と言って笑った



僕は「つっら。」と言って笑った



幸せな時間だった



近くの有名な崖と言っても



平日は殆ど人が居ない



だから僕らが柵を乗り越えた事に



気付く人はまず居ない



「見てよ下。」



凛薇に言われ下を見ると



そこは波一つ無い



綺麗な海だった



「インスタに上げたいなぁ。」



と僕が言うと



「ハッシュタグ 自殺します



みたいなんつけて投稿したら?」



とクスクス笑って言うもんだから



僕は残り少ないギガを割いて



本当に上げてやった



凛薇は「やっぱり馬鹿だわ。」



と言った



そして、僕にキスをして



「死のう。」と言った



僕は凛薇にこう言った



「また、地獄で。」



凛薇は少し笑って



「また、地獄で。」と



返してくれた



そして舞った



まるで世界で一匹だけの



綺麗な蝶々のように



そして舞った



地獄に自由を求めて








そして会いに行く




地獄に待つ、僕の天使に_。




end

Raimu・2021-05-12
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ーハッピーバッドエンドー




長編小説






「子を愛さない親は居ない」



自分の意見が絶対だと思ってる



そんな馬鹿な大人に



叱られた



女子高生相手に



手を挙げるのはどうかと思った



でもこんな事実でさえ



無かった事にされるんだよな



始まりは



古典の先生が



「初心に帰る為の事をします」



何て馬鹿な事を言った事だった



その内容は実に残酷



親への感謝の気持ちを



手紙にして届けよう



何てものだった



「質問ある人居ませんか?」



そう聞かれて私は手を挙げた



「…はい、白石 萌音さんっ」



授業に関心を持っている



熱心な生徒だとでも勘違いしたのか



須田先生は



ニコニコな笑顔で私を当てた



「…感謝してない人は



どうすればいいんですか」



そう質問した時



先生の笑顔と



その場の和やかな空気が



一瞬にして壊れた



「…白石さんは…その…



ツンデレ、なのかな…?」



何とか明るくさせようと



必死な須田先生に言う



「いえ、違います



一度捨てて来た親に



感謝も何もありません」



そこまで言った時



何故か連れ出された



そして、今に至る



「子を愛さない親が



この世の何処に居ると言うのですか!



心が無いのですか?可哀想に」



理不尽な罵倒でさえ



どーでも良かった



早く家に帰れる事ばかり



願っていた



須田先生に掴まれた腕は



赤くくっきり



手の跡が残ってた



先生に叩かれた頬にも



同じように残ってた



ママも、パパも



お互い浮気相手と遊び呆けてる



洗濯、皿洗い、部屋の片付け



その他全て



私が一人、こなしてた



バイトに家の事に親の事



忙しくて友達とすら遊べない



「死にたい」



ポトリ落とした言葉を



拾ってくれる人は



残念ながら、此処には居ない



Twitterに呟いたとて



在り来りな綺麗事を



送り付けられて



余計病んでしまうだけ



それを学んでからは



呟く事すら忘れていた



適当にtweetを眺めてた



そんな中、一つのtweetに



目が止まった



「共に死を選びませんか?」



同い年、男の子



一人



家庭問題あり



重なる点が幾つかあった



「よければ」



たった一言だったけど



送るのに20分はかかった



無視されるかな



嘘だわばーかって言われるかな



迷惑かな



色んな想いが重なった



五分後、ピロリ通知が鳴った



「共に死にましょう」



リプ返だった



直ぐにDMにいった



「何時にします、死ぬの」



そんな話から始まったのに



いつしか



「勉強だるいー、助けてー」



こんなにも緩い話になっていた



何でかって



お互いがお互いを



あっという間に受け入れたから



名前も教えあった



朱里 玲於斗



カッコイイ名前だと思った



顔も教えあった



何処か中性的な顔立ちをしていた



「カッコイイ」よりか



「可愛い」が似合っていた



通話もした



可愛い顔からは感じられない



低く、安定した声だった



住んでる県も教えた



私が東京、玲於斗が群馬



近かった、嬉しかった



1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月



5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、



9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、



出会って1年記念の日



告白された



そこには確かな



「幸せ」があった



微かだけど



「生きたい」もあった



そんな夢に溺れてた私達を



現実に引き戻したのは



「パパ、もう帰って来ないから」



ママのこの言葉だった



真冬の一軒家



オシャレなコートを来た



チャラそうな人が家に沢山来た



汚らしい手で頭を撫でられた



"吐き気がした"



ママが



チャラそうな人達と



楽しそうに話してた



"吐き気がした"



チャラそうな人の一人が



私の方に向かって来た



「遊ばない?」と



そう言われた



"吐き気がした"



充電器と、元から少ない服と



お金、スマホ



大好きなぬいぐるみを抱いて



私は家から飛び出した



WiFiのあるコンビニ前



玲於斗に連絡した



「死にたい、死なせて」と



コンビニ前で泣き崩れた



夜の街、誰も居ないコンビニ前



一人、ずっと泣いていた



「何があったの?」



そう聞いてくる玲於斗に



上手くまとめられないけど



精一杯で話した



「今何処に居る?」と聞かれ



「コンビニ前」と言った



それから数分後



「今から行くから動くな」と



強めの口調で言われた



今からって…会った事も無いのに



「来なくていいよ」と送った



だって来られたら



"生きたくなってしまうから"



群馬から東京って



どれくらいかかるんだろ



まず何処のコンビニかも



教えてないじゃない



私はしぶしぶ



コンビニの場所を



Googleマップで示したものを送った



何時間待ったんだろ



辺りが明るくなっていた



来る人来る人に



訝しげな目で見られたけど



それでも待ち続けた



そして



「…萌音!!」



「…玲於斗だ…っ」



玲於斗が来てくれた



思い切り、抱き締めてくれた



私より背が高い玲於斗は



写真で見る何倍も



カッコよくて、可愛かった



ふわり、優しい匂いに包まれる



止まらない涙が



私の我慢の証だとでも思っておこう



「寒かったでしょ、これ、着て」



しばらく抱き締めた後



大きなバックから



可愛いコートを出して羽織らせてくれた



「これ、途中で買ってきたんだ



似合いそうだなって思って」



えへへと頭を掻きながら



玲於斗は言う



そんな玲於斗への好きが溢れて



また抱き締めてしまう



「寒かったし、怖かったよ」



「大丈夫、俺が居るよ」



「うんっ」



どんなに在り来りな言葉でも



私には世界一の言葉だった



「一緒に死のっか」



「…うん」



前の私は多分



"うん"なんて言えなかった



でも今なら言える



この人と共に最期を迎えるんだって



本気で思えるから



「死ぬ前にさ、デートしようよ」



そんな玲於斗の提案で



最初で最後の



デートが始まった



最初に行ったショッピングモール



「わ!これ美味しそー!」



「朝ご飯これにしよっか!」



そう言って一緒に



少し高めのステーキを食べた



幸いにも



バイトで稼いだお金



全て持って来たから



少しの願望は叶えられる



カチャン



ナイフと皿がぶつかる音



ゴクン



誰かがジュースを飲む音



そして何より



玲於斗が目の前に居る



だから待ち時間も苦では無かった



「楽しみだね」



「うんっ!」



しばらくして



運ばれて来たステーキが



本当に輝いて見えた



「…わぁ…!」



「おぉ…!」



「お待たせしました



鉄板大変お熱くなっておりますので



お気おつけください」



定員さんの言葉を聞いて



「頂きます!」



二人同時に言って食べ始めた



噛めば噛む程



染み込んだタレが溢れ出す



美味しそうに食べる私に



カメラを向けた玲於斗の目は



何処か寂しそうだった



ステーキを食べ終えた私達は



プリクラを撮りに行った



ハグをして撮った一枚目



変顔をして撮った二枚目



一緒にハートを作って撮った三枚目



撮影数秒前に



玲於斗が驚かしてきたせいで



私の顔が凄い顔になった四枚目



少し拗ねてる私の頬に



玲於斗がキスしてくれた五枚目



少し照れながら



口にキスした六枚目



そして最後



二人、ピースで撮った七枚目



デコレーションをする時間



お互いの顔に落書きをしたり



「大好き!」と書きあったり



これから死ぬなんて



他の人が見たら思わないだろう



それくらい、幸せな顔をしていた



プリクラをハサミで切って



お互い財布に入れた



それから、そこにある



大きなゲームセンターを見た



「久しぶりにこれしない?」



「え、いいじゃん!しよ!」



そう言って



太鼓のゲームを一緒にした



レベル 普通でも



案外難しいんだなって思った



「やったっ!フルコンボ!」



「萌音つっよ…ゲーマーじゃん」



「えへへ、そうかもね!」



当たり前のように手を繋いで



ショッピングモールから出た



気付けばもう



日が暮れ始めていた



「もう夜だね、次何処行きたい?」



「夜だね、んー、夜景が見たい」



玲於斗の提案で



夜景が見える所に行く事になった



時間的に多分



これが、最後



「いっそ、東京タワー行ってみる?」



「…そだね、行ってみよっか」



最後くらい、って思いで



東京タワーに行った



下を見たら怖くなるから



ずっと前だけを見ていた



「…綺麗だね」



「…うん、綺麗」



流れ溢れる涙に



気付かないフリして



私は静かに



夜景を楽しんだ



そして…



「…死のっか」



「…うん」



最後に、東京タワーで



お土産を選びあった



それを持って、死ぬんだ



遠くに見える東京タワー



さっきまで居たとは思えない



苦しいのは嫌だから



一瞬で死ぬ方法にしようと話した



迷惑、迷惑だって



それくらい分かってたけど



私達二人は、駅に立った



そう、電車に轢かれて死ぬのだ



あと10分で、来てしまう



「…ね、死ぬの怖いね」



「怖い…けど、楽になりたいね」



「うん…っ」



どちらともなく、キスをした



長く、永遠に続くようなキスをした



嗚呼、辛い、辛い辛い辛い辛い



神様、私何かしましたか



頑張りましたよ、ずっと



必死に頑張ってましたよ、ずっと



お母さんとお父さんが



浮気してるって知っても



泣かないで我慢しました



どんなに死にたくたって



リスカも何もしませんでした



理不尽です



親から叱られるのすら羨ましい



だって叱られるのって



"親が子を見てる、証拠じゃないですか"



見ていたから



悪い事をしたのが分かって



見ていたから



叱る事が出来て



見ていなかったら



叱る事はまず無いよ



羨ましい、羨ましいよ



「う…っ」



「…来る…よ」



少し先に、電車が見える



足が竦む



体が震える



手を握る力が



より一層強くなる



「…い…こ」



「…幸せになろ」



その瞬間、その時



時間が止まったようだった



"バイバイ、この世界"



しっかりと玲於斗と手を繋いで



飛び降りた



【Happybadend】



二人が消えた世界は



何ら変わる事は無かった



クラスメイトに



萌音が自殺した事が知らされた



「嘘…でしょ」



親友だった心美は



その場で泣き崩れた



ふざけていた男子でさえ



その瞳を揺らしていた



クラスメイトに



玲於斗が自殺した事が知らされた



ザワつくクラスメイト



涙を流す男子達



好きだったと言う女子は



呆然としていた



親に、萌音の死亡が伝えられた



母親は痩せこけた



父親は絶望の末



酒に溺れた



親に、玲於斗の死亡が伝えられた



何もしてあげられなかったと



自分を責めた母親は腹を刺した



でも、死ぬ事は出来なかった



父親は、そんな母親を捨て



女遊びを続けた



二人は幸せに



周りは不幸に



そんな人生の終わり方が



此処に一つ、ありました



とある日、神は二人に聞きました



「自死を選んで、幸せかい?」



二人は答えました



「幸せでも、不幸でもないです」



「だって俺達」



【Happybadend】ですから_。

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