【だから僕は音楽を辞めた】
僕が音楽を辞めた理由も
僕が音楽を始めた理由も分からない
ただ君を青空の下で待ち続けた
風が吹いた正午
君と昼下がりを駆けだした
「ねぇ、これからどうなるんだろう?」
僕の原動力は音楽だった
どうやって進めばいい?
君の目を覗いた
何も言わず君は笑った
考えたって音楽を理解することは難しいし
春を青く染めるなんて平凡すぎてつまらない
辞めた筈の音楽が頭から抜けず
将来のことが分からなくなった
音楽はしていないといいな
なんて思ってもないことを口に出す
君を困らせるつもりはなかったんだ
心の中に音楽との境界線を引いても
乗り越えて僕を誘う
今更すぎるだろう?
僕から消えて、幸せを思い出させるな
間違ってるんだよ
わかってないよ、あんたら人間も
本当も愛も世界も苦しさも人生もどうでもいいよ
どうでもいいから音楽がしたかった
音楽で幸せを感じていたかった
この選択が正しいかどうかなんて分からない
正答を知りたいのだって防衛本能だ
僕は僕が正しいと信じたいのに
考えてしまうんだよ、あんたのせいで
考えたって分からないが
音楽をしていない時が過ぎるのは嫌だ
いつか僕の中で音楽が死んだらって考えるだけで
僕の寂しさを埋める幸せが
からっぽになってしまう
音楽がない僕は将来何してるだろうって
大人になったらわかったよ
何もしてないさ
幸せな顔をした人が憎いのは
どう割り切ったらいいんだ
満たされない頭の奥から湧き上がる
化け物みたいな劣等感
音楽を続けていれば僕もそんな顔をしていた?
苦しいよ
僕が進んだ道は
僕が考える世界は
間違っていないよ
間違えないことはありえないが
間違いを正解にしてしまえばいい
なんだかんだ人間なんだ
愛も救いも優しさも根拠がないなんて気味が悪いよ
結局あんたらが慰めるのだって
共感だって全部理由があるんだろう?
ラブソングなんかが痛いのだって防衛本能だ
音楽への愛を思い出したくないから
そんなことどうでもいいか
全部あんたのせいにしてしまえば
考えたって音楽を辞めた理由も
音楽を始めた理由も分からない
生きているだけでも苦しいのに
音楽のことを考えるとさらに苦しい
このまま続けていたって儲からない
暮らしていけない
僕が伝えたい歌詞だって情景だって
みんなは聴いてくれないじゃないか
想像してくれないじゃないか
万人受けする曲じゃないのは分かってるんだよ
もう何もかもがどうでもいいんだ
間違ってないだろう
間違ってないよな
間違ってないよな
間違ってるんだよ
そんなことはとっくの昔に分かってるんだ
音楽を辞めたことを後悔しているのも
僕がまだ音楽に縋っているのも分かってるんだ
あんたら人間も本当も愛も救いも優しさも人生も
僕にとっては全てどうでもいい
正しい答えが言えないのだって防衛本能だ
僕は僕の選んだ道を正解にする
音楽が無い道を生きていく
もうどうでもいいや、あんたのせいだ
僕だって信念があった
今じゃ塵みたいな想いだ
何度でも君を書いた
売れることこそがどうでも良かったんだ
本当だ、本当なんだ
昔はそうだった
昔は、そうだった
今の僕は売れる曲を書き続ける
そんな僕に嫌気が差した
だから僕は
だから僕は
音楽を辞めた
だから僕は君を書くことを辞めた
だから僕は自分のための音楽を始めた