#ひそひそ話

中身のない人なんて、いらない


「ね、それ、ほんと？」


うん、そう、ほんと。

うそ、ほんと。


「嘘じゃない。だって君は、」

『もうすぐ完成するよな？
オレタチどこに行くんだろうな…』

『よくて棚で、悪いとゴミ箱だね…』

『オマエなら飾ってもらえるさ、
　きれいな透き通る青い目を
　 してるんだから』

『ありがとう、キミも素晴らしい
角と牙があるから大丈夫だよ』

扉の外から子供たち声が聞こえてきた

すると、さっきまでの喋り声はなくなり
部屋の中は静まり返る

ガラガラ、教室に子供達が入ってきた。


ーひそひそ話１ー

また２人だけのひそひそ話…

あなたが周りを気にしながら

話す姿が可愛くて…(笑)

も～めっちゃ好き！

子供達が全員席についたことを
確認してから先生は言った

「今日の図工は前回の続きです！
作品は今日中に完成させてください」

「はーい」

先生がみんなのようすを見て回る

「たろうくん、この猫、かわいいわね
ビー玉を使ってて目の青がすごくきれいだわ」

と言いつつ、ひそかに心の中で
《このビー玉はあのときの…。》と思っていた。

「ありがとうございます！
上手くできたので、完成したら
家に飾ろうかと思ってます」

「それはいいわね…。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「こうたくん、この竜すごくかっこいいわね、
とくに角と牙がいい感じよ」

「ふん、こんなの竜じゃないし、ただの粘土だし
上手くいかなかったから捨てる」

「捨てるのはよくないわ、せっかく作ったのに」

「うっせー、こんなものこうしてやる」

こうたくんは粘土の竜をまるめて
ゴミ箱に捨ててしまった

「こうたくん、新しい粘土あげるから
ちゃんと作り直すのよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キーンコーンカーンコーン

「今日の図工はここまで！
作品は持ち帰ってね」

「はーい」

ぞろぞろと子供達が教室から出ていく
こうたくんは新しい粘土で作った竜を
満足げに抱えている
ガチャン、先生が教室の鍵をかけた。

ーひそひそ話2ー

ガチャン、教室の鍵が閉められる音がした

『うわーん、うわわーーん』

泣き声が教室に響き渡る

ゴミ箱の中で誰かが泣いている

『オレの何が悪かったんだ、
なぜオレは捨てられなければならない、
自分じゃどうすることもできなかった
苦しくて辛くて…。大切にされないって、
こんなにも切ないものなのか…。涙がとまらない
アイツは大丈夫だろうか、
もって帰えられてから捨てられなければいいが…。
人間とは何とも残酷な生き物なんだ』





























今日も
貴方の知らないところで
ひそひそ話がされていたり、
貴方の知らないところで
誰かが泣いているかもしれません

貴方はちゃんと物を大切にしていますか？

ーひそひそ話 最終話ー

暗闇で、君とのひそひそ話。

子供の国の草むらで、
皆が寝たころ話したよ。
ヒソヒソと、
声を小さく、胸を弾ませ。
ああ、何という陰陽五行説。

甘酸っぱく純白な僕のセリフ…。

君の唇にキスをした。