血とか苦手な方は見ないでください
1
「もし、凛音くんが一人になっても
きーちゃんが一緒にいるよ!」
幼い君はその言葉の意味なんて
よく考えずに笑顔で言う。
「うん!僕も!」
ああ、あの頃に戻れたらどんなにいいかな
2
「一緒にいる」なんて嘘だ
痛い、痛い、痛い、痛い
しゃがみこんでしまった僕は抵抗できない
真上から振り下ろされる足、手。
怖くて頭を抑えるけど、そんなの無駄で
痛みは与えられ続けるだけ
「お前さ、調子のんなよな」なんて
クラスメイトが5人、僕を蹴る
あ、これ顔に当っちゃう…
後ろで見ている女子が慌てたように言う
「ちょっと、見える所にあざが出来たら
やばいじゃん」
スマートフォンを使って僕を撮っていたみたいだ
「やばいよね、これホント面白い」
人に痛みを与えておもしろいんだね
他の女子とキャッキャ笑い合ってる
その間も、僕は蹴られ続ける
痛い、痛い、痛い、痛い
「ねえ、もう飽きたんだけど」
一人の女子が言う。
確か、葉長さん、だったかな
「だよな、俺たちも
ゲーセンにでも行くか…」
終わった…蹴られたところがじんじんして痛い
鼻血…とか出てないだけまだマシか
葉長さん達が話しながらどこかに行く
僕なんて最初から居なかったかのように
風が当たる
11月だ。少し寒い。
蹴られたところの痛みが引くまでここにいよう
いや、戻ってきたらどうしよう…
大丈夫、少しだけだ
なんでこうなったんだろう
容姿も特別悪い訳じゃない
勉強だって運動だってそこそこできる
ああ、そういえば
あいつらに
「なんでこんなことするの」
って聞いたことがあったな
楽しいから…。
それだけの理由で
僕はこんなに痛い思いをしなきゃいけないんだね
もう、いいや
親になんと言われても
学校にはもう、来ない