去年のバレンタイン__
私は親友とクッキーを作った。
『上手くできたね!』
そう言って笑い合う2人
『ラッピングしよ!』
可愛いリボンでラッピング
そして何より
《大好き》って想いを込めて_
「食べてくれるといいな」
片想い相手の家の前で
そっと呟く
『大丈夫!頑張れ』
親友が見守ってくれてる
勇気を絞り出し
ピンポンを押す_
“はい?”
聞き慣れた大好きな声
あぁ、やっぱり君には敵わないや
「あ…あの…!」
“ちょっと待って”
そう言って途切れた会話
少ししたら
開く扉
“どした?”
「いつもありがとう!」
少し照れちゃった
気付かれないようにしてたのに
“え…!俺に?”
「う…うん」
“あ…ありがと”
やった!
受け取ってくれた!
少し照れてたように
見えたのは気のせいかな?
流れる沈黙_
私は手を振り
別れを告げる
私のはじめての本命バレンタイン
成功したのかな?
親友が
抱きしめてくれた
『よくがんばったね!』
「う…うん!」
私は臆病だから
他の仲いい男子にも
あげて【本命】って分からないように
本当バカだなぁ…
3月15日_
まだお返しきてない
今日は卒業式
みんな清楚な服装
もちろん君もスーツで
今日は一段とかっこいいや…
そしたら
急に廊下に呼び出され
“はい。お返し”
1日遅れの
お返し_
文句言いたかったけど
それどころじゃなくて…
照れたの隠すのに必死で__
『あ、ありがと』
“う…うん”
照れる2人を
ちゃかす周り
いつものことなのに
なんだかぎこちなくって…
君もいつものように
言い返さなくて
少しは期待しても
いいのかな…?
今年は
親友とチョコを作った。
クッキーじゃなくて
でもね
みんなに内緒で
マカロン作ったんだ_
たった2つだけど
すっごく時間かかったんだから…
去年より
上手くラッピングして
去年より
おしゃれして
もう一度
家の前に立つ_
ピンポン鳴らして
“はい?”
やっぱり出るのは君で_
声変わりした
でも聞き慣れたあの声
「あのさ」
“あぁ、ちょっと待ってね”
何かを察したかのように
出て来る君
「これ…!」
“うん”
中身を見て
少し驚いた君
“え…?マカロン?”
やっぱり驚くよね
「うん」
“つくったの?”
「そうだよ」
“すげー!ありがと”
いまなら言える気がする
頑張れ私…!
「マカロンの意味知ってる?」
“え?”
「それはね…」
“うん”
息を飲む君
深呼吸する私
見守る親友
みんなの想いが
伝わりますように…
「特別なあなたに_だよ」
固まった君
途端に赤くなった顔
さっきまで雨だったのに
いつのまにか空は晴天_