※この物語はフィクションです
※長編小説
※読まないで好き押すのNG
※初めての恋愛系/クオリティー低い…
#恋は盲目、失恋は晴眼
勘違いしてたんだ
君と私が両思いだって
気付いたんだ
恋は
勘違いしてる時が一番楽しいってこと
Episode 1,
『宜しくね』
席替えで隣になった君は
誰にでも優しくて、
話しやすくて面白い
クラスの人気者だった
人見知りの私は
「よ、よろしく」
みたいな感じで
初めこそ緊張していたものの
直ぐに馴染めて、今では
ボディータッチまで
し合うほどの仲に
カッコよくて
運動ができて
頭も良くて、
ほんとに欠点なんて一つもない
「ここ分かんなくない?笑」
『え、ばか?笑』
「おい!w」
なんて会話が
今では当たり前になって
ちょっぴり嬉しいけど
でも、それは自分にだけじゃない
小さい頃から仲良しの女子とは
今度出掛けよう、
なんて約束をしているし
陽キャな女の子には
誕プレ、と言って香水をあげていた
もちろん男子とも
ジュースの奢りをかけて盛り上がったり
鬼ごっこをして楽しんでたりと、
とにかく皆に好かれてる完璧な君
私が君を好きになるのに
大して時間はかからなかったよ
Episode 2,
《それでねー…》
『まじー?笑』
ああ、なんでなんだろうな
好きな人が女の子と話してるのを
見るのが辛いのは
すぐ横で見せるその笑顔
私だけに見せて欲しいなんて言ったら
嫌われちゃうんだろうか
《じゃあまたラインで》
『おう』
いいな、連絡先交換してて
「はぁ…」
『どうした?』
「え?」
『ため息なんかついて』
「いや、なんか眠たいなーって」
『そ?ならいいけど…
なんかあったら連絡して』
「ありがとう」
『電話番号教えよっか?』
「あー、
ラインの方がいいかな…なんて、」
相手の様子を伺いながら少し
勇気を出して言ってみる
『ライン?いいよ』
「ほんとに?」
『うん』
「じゃあ後で交換しよ」
『了解』
思わずにやけてしまったのは
ここだけの話
Episode 3,
>>>>今日どうしたの?
放課後、早速送られてきたライン
なんでもな…打ちかけてやめた
せっかく話しかけてくれたのだ
ちょっとでもトークを続けたかった
覚悟を決めてキーボードを
タップする
>>>実は今、好きな人がいて…
>>>>え、誰!?
>>>一緒にいて楽しい人
>>>>分からない…笑
君だよ、と呟きながら
>>>私の身近にいる人、かもよ
なんてメッセージを送った
>>>>えー…俺?w
そうだよ、って送れたら
どれほど良かった事だろう
>>>絶対ないw
>>>>なーんだ笑
この返事、ちょっとは期待しても
いいのかな…なんてね
Episode 4,
>>>>ねぇ、今週の土曜日ってさ、
>>>空いてるよ
>>>>え、w
しまった、やらかした
これじゃ下心あるの
バレバレじゃないか
>>>>映画行かない?6人で
>>>6人?
>>>>男女3人ずつでトリプルデート
しようと思ったんだけど
>>>>人数が足りなくて
なんだ、人数合わせか…
でもせっかく誘ってくれたんだし
>>>私でよければ
>>>>ほんと?やった
>>>>詳しいことは後日伝える
>>>待ってる
スマホの電源を落とす
「2人で行きたかったな、」
君のラインのアイコンは
先日一緒に出かけたらしい女子との
ツーショット写真だった
プリクラの加工が凄いけれど
それ以上に目立っている
お揃いの帽子
ステメには
“オソロのキャップとか、
カレカノかよw ”
の一言が
いいな、あの子は可愛くて
いいな、あの子はよくモテて
いいな、あの子は細くって
私だって君とのツーショット写真、
1枚くらい欲しいのに
あの子と喋っている時の方が
君が幸せそうに見えるのは
何かの勘違いですか
どうしてこの気持ちが
伝わらないのか分からないよ
Episode 5,
そしてやってきた土曜日
生憎、雨が降っているけど
予定通りに出かけることになった
気合を入れてオシャレをする
白色の着痩せロングレトロワンピース、
(詳しくは検索)
黒の厚底ブーツに
ベージュのキャスケット帽をかぶる
ワンピースは今日の為に買った
勿論、君の気を引くためにだ
どうか楽しめますように
深く深呼吸して家を出る
薄紫色の傘がパッと開いて
小さな花を咲かせた
Episode 6,
待ち合わせ場所にやって来た5人は
まあ予想できる人達だった
女子の服装は
かなり気合いが入っているから
私と同様、目当ては1人だろう
君を除く男子も私以外の女子に
好意を寄せているのか
ひっきりなしに髪型を気にしている
『さ、行こう』
その言葉に
2人の女子は私に見向きもせずに
君の左右に陣取った
「すごい争い…」
遅れないように早歩きになる
前を行く2人の男子が
こまめに振り返って
此方の様子を確認してくれるのが
唯一の救いだった
Episode 7,
【ここからはバスで行くらしい】
「そう…」
今日会ってから
1度も話せていない君に目を向ける
相変わらず
ずっと2人に囲まれていたが、
案外楽しそうだ
同じバス停にいるとは思えないほど
温度差が激しい
周りのことなど
見えていないかのように
話し合っている
その内容が嫌でも聞こえてきた
《私ー、今日ちょっと高めの香水を
つけてきたの、いい香りする?》
君がその子に近づく
『大人っぽい匂いがするね
俺は好きだよ、その香水』
[あたしは髪をベージュに染めて、
爪に保湿剤塗ってきたの、どう?]
『綺麗な色だよね、すぐ気づいたよ』
思わず俯いた
このままじゃ映画館の席も
この後撮る予定のプリクラの位置も
あの2人のものだ
ショッピングで
オソロを買うことも出来ない
もしかしたら、今日来た意味も
この日の為に買ったワンピースの意味も
無くなってしまうかもしれない
【なぁ、みんなで話そうぜ】
ふとすぐ後ろで声がした
なんだか距離がすごく近い
【せっかく6人で遊びに行くのに
そっちだけ盛り上がってたら
こっち寂しいじゃんか】
『あー、確かに、ごめん』
2人の女子達は少し不満そうだったが
全員でおしゃべりすることに
渋々、納得してくれた
Episode 8,
それから5分ほどして
来たバスに乗り込んだ
『みんなってホラー系好き?』
《こわーい》
[あんま得意じゃなーい]
『どう?』
「意外といける、かな…」
『俺も全然平気派
今度お化け屋敷でも行く?笑』
[あたしも連れてってよー]
『また、この6人で行く?笑』
【俺はパス】
やっぱり距離が近い気がする
不思議に思いながらも
バスが目的地に着くのを待った
Episode 9,
【結構、早く着いたな】
『俺、ちょっとお手洗い行ってくるね』
《私は飲み物買ってくる》
[お化粧、直そっかな…]
私はどうすればいいのだろう
キョロキョロしていると
ワンピースの袖口を掴まれた
【ちょっと来て】
そのまま人気のないところまで
連れていかれる
「どうしたの?」
【ソーイングセットって持ってる?】
「これでいい?」
携帯用のものを差し出す
【ありがとう】
彼はそこからミニハサミを抜き取った
「ちょ、ちょっと?」
【動かないで】
そのまま私の腰辺を掴む
「え、?」
チョキ
【9600円て…高いなぁ】
その手に握られていたのは
「値札!?」
【切り忘れてたみたい】
「あ、ありがとう…」
【言っておくけど、
値札隠すためだけじゃないから】
「ん?」
【距離やけに近かったの】
「…」
【いい匂いするし、
なんか可愛いから…】
「えっ…」
【あいつが好きなのはわかるけど
俺の事も見てほしい】
「…わかった」
【さあ、楽しもうぜ】
「うん」
どうやら
片思いしてるのは、
私だけじゃなかったみたい
恋することって、とっても素敵
end___