はじめる

#十二等星ダイヤ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全17作品・


十二等星のダイヤ
132/320

灯りをつけて

アクビをついて

大きく伸びをする

ようやく意識が回復して

五感を取り戻したら

カバンからノートを

引っぱりだした

ノートを広げて

自分で書いた物語を

読み返してみた

キミはとても愉しんでくれた

それはボクにとっても

嬉しいことなのだけど

キミが呟いた

独り言が気になった

いつもキミはすました表情で

何の不満も抱くことなく

日々を過ごしているものと

ボクは思っていた

それはクラスのみんなも

きっと同じに違いない

でもキミの吐露した感情に

ボクには見えない

キミの苦悩があることに

気づかされた

一緒に登下校し

図書室で昼休みを過ごし

キミの背中を見つめて

授業を受けているのに

キミの背負う事情は

ひとつも知らなかった

同じ夕焼けを・2025-04-13
十二等星ダイヤ


7ー3

星占いの星座には

何か分からない名前があるね

キミがそう言ったので

ボクは十二の星座を

頭の中で唱えていたら

確かに分からない星座が

あることに気づきました

カニ座やヤギ座は

よく分かるけれど

テンビン座って

一体何のビンなんだろうね

そして何でビンの名前を

星座につけたんだろう

ボクはテンビンが何かは

知らないけれど

ビンではないと思います

同じ夕焼けを・3日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
138/320

なんでワタシは

こんなことをしているの

キミが声をあげたので

図書委員は厳しい視線で

キミに注意を促した

物語の中で取り乱している

自分に対して

キミは取り乱していた

キミは慌てて両手で

口を抑えた

その仕草がとても愛嬌に

満ちていた

こんな御託を並べる

時間があるのなら

解決策を考えれば良いのに

いやまずはみんなに謝ることを

先にすべきだよ

キミは小声で

物語の自分を責めている

そんなキミを

ボクは呆然と眺めていた

それにしても何でこんなことに

なったんだろう

やっぱりあの時の

アナタの発言を

冗談と思わずに

真剣に聞いていれば

良かったのかな

同じ夕焼けを・2日前
十二等星ダイヤ

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に17作品あります

アプリでもっとみる


十二等星のダイヤ
130/320

学校からの帰り道

キミはボクを心配して

家まで送ろうかと

気遣ってくれた

でもそうすると

キミはボクの家から自宅まで

ひとりで帰ることになる

日の長い季節なので

心配は要らないけど

こんなところを担任に

見つかりでもしたら

また職員室に呼び出され

長々と説教を聞かされる

だからボクは

キミの好意を断固拒み

まるでフルマラソンの

ゴールにでもたどり着こうと

必死で走り続けている

そんな気持ちで家へと歩んだ

ようやくのことで

家の扉をくぐり

自分の部屋に到着したら

完徹による睡魔が

瞼に腰をかけている

ボクは抗うこともできず

うつ伏せに倒れ込み

夢の世界になだれ込んだ

同じ夕焼けを・2025-04-13
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
129 /320

図書室に静寂が戻り

キミは顔を上げた

ボクも羞じらいが

落ち着いたので

顔を半分だけ上げて

再び上目づかいで

キミの様子を眺めた

ワタシはこんな感じに

アナタの目に映っていたんだ

少しの驚きを含みながら

キミは物語の自分と

現実の自分を比較した

もし担任から

クラスメイトと関わることを

禁じられていなかったとしても

やっぱりワタシは

クラスの中に溶け込むことは

難しいのかもしれないね

キミは目を半分閉じて

右手の平で自分の頬を

引っ張りあげて

憮然とした表情で

呟いていた

更にキミは

こうなるとは注意されていた

でも絶対に上手くやって行く

そんな風に啖呵を切ったのに

その通りになってるなんて

言い訳のしようもないや

ふてくされたように

独り言を吐き出した

その時5時間目の

予鈴のチャイムが鳴り

ボクたちは教室に戻った

同じ夕焼けを・2025-04-12
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
131/320

ふと目が覚めた

記憶があやふやで

自分が眠っていたかも

定かではなかった

真っ暗な中に突っ伏している

ここは一体どこだ

頭をもたげて

ぐるりと見回してみる

一部少しだけ

真っ暗でない空間があった

目を凝らしてそこを見つめる

まだ完全に暮れていない空の

とことんまで黒色に近い

濃灰色の外の色と気づく

そしてその色は

窓越しに見ていた

ここはどうやらボクの部屋

でもどうして真っ暗なのか

まだ重さの残る瞼で

思い出していた

やがて意識が甦る

ボクは完徹の疲れで

寝落ちしていたのだ

そしてそのことを

忘れかけてしまったのは

全く夢を見ていないから

疲れがたまり過ぎると

夢さえも見なくなる

そんなことはこれまでに

幾度かあった

同じ夕焼けを・2025-04-13
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
135/320

ボクは読んだことのある小説の

印象的な一場面を

書き替え始めた

キミがいて

ボクがいて

そしてクラスメートがいる

ボクはその景色を

想像しながら

ペンを滑らせていた

事実ではないから

こんなことが起こるのか

ふとそんな気分になると

書き進められなくなる

でも作り話なので

そんなこと起こりえない

そう思えることも

臆せずに書ける

むしろ起こりえないことを

書いていることが

楽しくてたまらなかった

キミが失敗する場面も

そのまま書いた

ボクが活躍する場面も

物語だからこそ

厚かましくも書けた

そして1時間ほど経過して

物語の一場面が

書き上がった時

ボクは心地よい疲労感に

マッサージを施術されて

机に突っ伏して

眠っていた

同じ夕焼けを・3日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
137/320

キミはボクの書いた物語に

興味を示している

そんなキミの姿に

ボクは興味を示している

キミがおかしそうにすると

ボクは嬉しくなった

キミがいぶかしげな

態度を見せたら

ボクのこころはざわめいた

物語の中のキミとボクとの

感情のやりとりが

そのまま現実につながって

不思議な感じを覚える

そして物語が

人の感情に与える

力のスゴさを実感した

そして物語は

キミが失敗を犯して

取り乱しながら

理屈にもならない言い訳を

並べている場面に突入した

この場面のキミは

現実ではまるで想像できない

だからキミは

どんな反応を見せ

どんな感情抱くのか

楽しみと気掛かりが

混ざりあった気分で

キミの様子を見つめていた

同じ夕焼けを・2日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
140/320

キミはボク以外の

クラスメイトと話すことを

禁じられている

その理由は

それを課した担任は

教えてくれない

ボクが答えを

導かないといけない

でもボクはずっとその答えを

見つけ出せないままでいた

でも今この場で

その答えが分かった

キミは気になることは

徹底的に考える

だからもし

クラスメイトから

難しいことを問われたら

考え込んでしまうだろう

そうなればキミには

過剰な負担を与えることとなり

キミに対する

クラスメイトの印象も悪くなる

だから話せないボクを

唯一の窓口にすることで

弾む会話で和を築くことより

静寂による平安が

キミには必要だったのだろう

同じ夕焼けを・1日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
141/320

5時間目の予鈴が

学校中に響いた

キミは肩をビクつかせて

現実世界に戻っていた

キミがいつものキミに

戻ったことに

ボクのこころが安らいだ

面白かったよ

取り乱してしまったのは

いつ以来か思い出せないけど

格好悪いよりも

みんなを慌てさせるのは

やっぱり良くないよね

ここではまだ

そんなことはないけど

そうならないように

気をつけないといけないと

改めて気づかされたよ

キミはお礼とも受け取れる

言葉を添えて

ノートをボクに返してくれた

そして席から立ちあがり

両手を組んで真上にあげて

体を伸ばしたら

心地良さそうな表情で

息を大きく吐きだした

同じ夕焼けを・1日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
136/320

次の日の昼休みも

図書室でキミに

ボクの物語を読んでもらう

キミはうやうやしく

ボクからノートを受け取ったら

楽しみだけど

無理はしないでよと

机を枕にして

眠ってしまったので

疲れが取り残された

ボクの顔色を見て

気遣いの言葉をかけてくれた

ボクは物語を褒めてもらうより

キミのこころからの気遣いが

余りにも嬉しかったので

書いて良かったと

思わず顔が綻んでしまった

キミはボクの

ニヤけた表情を

穏やかな眼差しで見つめながら

エクボを浮かべて

宝箱でも開けるかのように

さも楽しげにノートを開いた

ボクは昨日と同様

上目づかいでキミを見つめた

同じ夕焼けを・2日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
139/320

キミは物語のキミと

同一化してしまった

もはや図書室にいることも

ボクが目の前にいることも

キミの意識の中には

ないようだった

キミがボクの書いた物語に

興味を持ってくれたことは

光栄なんだけど

余りにも真剣に

物語の世界の内部を

考え過ぎているので

心配で仕方なかった

もうボクには

キミを現実には戻せない

それはボクが話せないこと

それが最大の理由ではない

キミは問題があったら

自分が納得までその原因と

解決策を見つけだすまで

考えてしまうようだ

それは担任との社会の授業での

問答から見られる

キミの特徴のひとつだった

そしてボクはそのことで

ボクが気づかなければならない

あの問題に気がついた

同じ夕焼けを・1日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
134/320

夕食を終えて

宿題も済まし

風呂から上がったら

ボクは机に向かって

ペンを執って

おもむろにノートを

カバンから取り出した

物語を執筆する準備は整った

ただ昨夜の疲労は

脱けきってはいない

昨日と同じだけ書くことは

到底できそうもない

その反面どうしても

今日も書きたい気持ちは

抑えることができない

この物語を読んでくれる

この物語でしか

こころ通わせる術を

ボクは知らない

ペンを指先で

クルクル回して

どうしたものか思案して

ある考えが閃いた

ひとつの長い物語を

読んでもらうより

毎日短い物語を

ひとつずつ読んでもらう方が

無理なくできる

そして無理なくできることで

キミはボクの体を

気遣うことなく

安心して読んでもらえるはずだ

同じ夕焼けを・3日前
十二等星ダイヤ


十二等星のダイヤ
133/320

キミの事情を知ること

もしボクが普通に

話せたとしても

それは叶わないのではないか

そう思わせる何かを

キミから感じとる

その確証はあっても

理由は分からない

そもそもキミには

謎が多かった

そして担任にも

謎が多かった

キミと担任は一体

どういう関係なのか

単に教師と生徒の間柄では

なさそうだった

ドラマであるような

親子や兄弟とも違う

でも旧知の間柄だと

思わせるような会話をしている

真っ向からキミに聞いても

やはり話してはくれないだろう

それを知るためには

キミから話したくなるように

ボクが舞台を創るしかなさそうだ

その手段のひとつは

キミを主人公にした

物語を書き続けることだろう

同じ夕焼けを・3日前
十二等星ダイヤ

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