#古今和歌集

思ひつつ寝ればや人の見えつらむ

夢と知りせば覚めざらましを

覚 夢 見 寝 思
め と え れ ひ
ざ 知 つ ば つ
ら り ら や つ
ま せ む 人　
し ば の
を　　　
小野小町

あなたのことを思いながら
眠りについたから
あなたが夢に現れたのだろうか

もし夢だとわかっていたなら
目を覚まさなかっただろうに

思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ
夢と知りせば 覚めざらましを

昔の人が詠んだ恋の詩、
切なくて好きが溢れててめっちゃ好き…。

今 昨 あ 何 世
日 日 す か の
は の か 常 中
瀬 淵 川 な は
に ぞ　 る
な　　　　
る　　　　
詠み人知らず

世の中に何か不変なものがあるだろうか
いや、全ては変わる

あのあすか川ですら
昨日は深い淵であったところが
今日は瀬に変わっているのだから。

思いつつ

寝ればや人の

見えつらん

夢と知りせば

さめざらましを


恋しく思いながら寝たのであの人が夢に現れたのだろうか。
夢と知っていたなら目覚めずにいたのに。

わが君は 千代に八千代に 細れ石の
巌となりて 苔のむすまで

君が代のもとになった歌

思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ
夢と知りせば 覚めざらしものを

小野小町

夢だと分かっていたなら覚めなかったのに

あなたを想いながら寝たからかな
あなたが夢の中に出てきた
夢だと分かってたら目を覚まさなかったのに

君を探し続ける最中
ふと見た月は…とても
とても美しかった＿＿＿＿＿＿。




｢しのぶけれど恋しき時は
あしひきの山より
月のいでてこそくれ｣

訳：逢いたいという気持ちを抑えていても、どうしても恋しい時は、山から月が出るように出てきてしまう

思ひつつ

寝ればや人の見えつらむ

夢と知りせば

覚めざらましを




【現代語訳】

恋しく想いながら寝たので

あの人が夢に現れたのでしょうか。

夢だと知っていれば

目を覚まさなかったのに。

恋 な 時 こ 五
も く 鳥 ず 月
す ね　 ゑ 山
る 空　 を　
か な　 た　
な る 　 か　
　 　 　み　
紀貫之

五月の山の梢は高く
そこにいるホトトギスも遠い空に鳴いている

私の心もいくらないても空しく
報われない恋をしている

世の中に絶えて桜のなかりせば

春の心はのどけからまし




“世の中に、もし桜が無かったなら、春を愛でる人々の心は穏やかでいられるのになぁ。
（実際には桜があるから、人々は、いつ散ってしまうのか、散らないでほしいと
ハラハラ過ごすことになるのだ）”

ずっと桜の花が咲いていればいいのに

思いつつ寝ればや人の見えつらむ
夢と知りせば覚めざらましを


思いながら眠りについたので
あの人が夢に現れたのかしら。
もし夢とわかっていたなら
夢から覚めなかったろうに。



古今和歌集/小野小町

ちると見て
あるべきものを
梅の花
うたてにほひの
そでにとまれる