「こつぶちゃん物語」
ここ数ヶ月で、これほど心を揺さぶられた本はありません。
去年8月、奈良公園で生まれた一頭の子鹿。
他の子鹿に比べて生まれた時期が遅く、体も小さかったために「かわいい」と観光客に触られたのでしょうか。
母鹿は人の臭いの付いた子鹿を育児放棄することがあるそうです。
そのため、こつぶちゃんは母親にかまってもらえず、お乳ももらえませんでした。
だんだん弱っていったこつぶちゃんは、寒い冬を乗り越えられずに、今年1月、虹の橋を渡ってしまいました。
こつぶちゃんをずっと見守ってきた写真家さんの写真に、優しい言葉を添えて出版された本が「こつぶちゃん物語」です。
こつぶちゃんの話は、私もずっとツイッターで見ていました。
今日、我が家に届いた本を改めて読みましたが、ページをめくる度に涙が溢れて止まりませんでした。
小さな体で、一人ぼっちで、がんばって生きようとしたこつぶちゃん。5ヶ月しか生きられなかったこつぶちゃん。
寂しかったね。お母さんに甘えたかったね。
人間の身勝手な行動で、こつぶちゃんの命は奪われました。
この時期、奈良公園には新しい命が誕生しています。
ゴールデンウィークの人混みを見ると、またこつぶちゃんの悲劇が繰り返されるのではないかと不安になります。
野生動物である奈良公園の鹿たちは、ふれあい動物園の動物ではありません。
子鹿に触らないでください。
鹿せんべい以外の食べ物は与えないでください。
ゴミを捨てないでください。
大型犬の散歩はさせないでください。
車は気をつけて運転してください。
人間と鹿が共存していけるように、皆さんのご協力をお願いします。
こつぶちゃんの願いが、どうかたくさんの人たちに届きますように。
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