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#好きな小説の一節をひたすら並べてみた

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全2作品・





# 好きな小説の一節をひたすら並べてみた






彼の方が大人だからではなくて、彼は全身で甘えても受け止めてもらえない絶望を知っているから。たぶん、そんな気がする。




愛は、唾棄すべきもの。踏みつけて、にじるもの。ぬれた使い古しの雑巾を嗅ぐように、恐る恐る顔を近づけるもの。鰯のうす黒いはらわた、道路に漏れるぎらついた七色のガソリン、野外のベンチにうすく積もった、ざらざらした黒いほこり。
恋は、とがった赤い下の先、思いきり掴む茨の葉、野外でこしらえた王冠、頭を垂れたうす緑色の発芽。休日の朝の起き抜けに布団の中で聞く、外で遊ぶ子どもの笑い声、ガードレールのひしゃげた茶色い傷、ハムスターを手のひらに乗せたときに伝わる、暖かい腹と脈打つ小さな心臓。
私は、乾いた血の飛沫、ひび割れた石鹸。ガスとちりの厚い層に覆われた惑星。




抱擁と同様ただ重ね合わされているだけの彼の唇がずっしりした重りになり、刑罰になる。




猛々しい怒りの感情に支配され、久しぶりに、抑えのきかない無茶苦茶なパワーが腹の底からせり上がってくる。そう、私は恋をして自分のふがいなさを味わうまえは、怒りと自信に満ち溢れた女の子だった。私はまだ失っていない。この向こうみずの狂気があれば、なにも怖くない。私はだれにも、負けたりしない。




正しい道を選ぶのが、正しい。でも正しい道しか選べなければ、なぜ生きているのか分からない。






(ひらいて/綿矢りさ)

深波.・14時間前
そういえばずっと準備してたやつ!
好きな小説の一節をひたすら並べてみた



好きな小説の一節をひたすら並べてみた




前回の「好きな歌詞をひたすら並べてみた」を書いたときに、小説の好きな文章とかも書き連ねてみたいな〜と考えていたら、お気に入りさんが「好きな小説の一節をひたすら並べてみた」というタグを作っていたので便乗するしかないだろうということで……。




今回もしっかり便乗します!!!



※私の投稿では作家名をあえて伏せて、作品名だけを書いていきます。

※ものすごく書いているので、暇だなと思ったときに読んで下さい。










「まあそんで教科書見ながら何とかアイロンかけさせたんやけど。ちょっと大卒の社会人とは思われへん暴挙やろ?」
 暴挙や。それは確かに暴挙や。仮にも大卒の社会人には許されへん暴挙や。


『阪急電車』







 春になった自覚がないのだろう。


 あのとき、あなたは、わたしにこんな質問をしたのよ。
 小説は、好きですかって――。


『小説の神様』








 空に知られぬ雪。桜が散っている景色は、お天道様からすれば自分が降らせていない雪にも見える。


『今夜、世界からこの恋が消えても』








 ああ、自己紹介がおくれてしまった。私は犬である。名前はまだない。
 ……いや、それは正確ではないな。言い直さなくてはなるまい。


『優しい死神の飼い方』








 千崎は顔を左右に振って、脳内に湧いた馬鹿げた想像を振り払おうとする。しかしそれは、ガムのように頭蓋骨の内側にへばりつき、容易に取れそうになかった。


『黒猫の小夜曲』






 それは、一人暮らしも板についてきたころ。両手を泡だらけにして、食器を洗っていた時のことだ。不意に、何年間も鳴りださなかった頭の電話が、なつかしい着信のメロディーを流しだした。映画『バグダッド・カフェ』のテーマ曲『コーリング・ユー』。


『失はれる物語』







 ――あんたは今から、ナルシストのナルちゃんだ。
 ふんぞり返ったところに、厳しい声が飛んできた。
「さっさとしないか」
おーのーれー。


『ゴーストハント1 旧校舎怪談』






 もしも、あなたの家に幽霊が出るとする。
 するとやはり、あなたは困るのではなかろうか。気味は悪いし、いろいろと不都合なことが起こるかもしれないし、他人に知れれば外聞だって悪い。あなたは当然、なんとかしたいと思う。


 どうにかしたいが、どうすればいいのか分からない――そんなあなたには、山手線に乗ることをお勧めする。もしもあなたが東京近郊の住人でない場合には、まず東京駅または上野駅に行ってもらわねばならないけど。


『ゴーストハント2 人形の檻』






 ボクは『声』を見つめる。


 アズサの言う通り、公園はすぐ近くにあった。敷地には色とりどりの花があり、イルミネーションが公園内を照らしていた。青白い電球と花ってなんだか不思議な取り合わせ。人工物と自然の組み合わせなのに、しっくり馴染んでいる。LEDライトの光を反射する雪も加わって、ため息が出るほど綺麗な光景だった。


「復讐にも、赦しにも、そこには真実が不可欠なんだ」
 誰一人、野次をあげなかった。


『15歳のテロリスト』






「じゃあ、そろそろ行こうかな」
 まるで、どこかに出掛けるような、そんな言い方だった。一切の恐怖心は感じられない。むしろ、満足した表情だった。


『その時までサヨナラ』






「だからね、お会いしてみたかったんです」
 小野里夫人が言った。玄関に下りて靴を履いた架を、頭の先から足元まで、高い場所から見下ろす。その顔に、優美としか言いようのない笑みが浮かぶ。架の腕と背に、ぞわっと鳥肌が立つ。
「こちらでご紹介したお相手のどちらともうまくいかなかった真実さんが、ご自分に見合うと判断したお相手がどのような方なのか。――真実さんが、ご自分につけていらした値段がいかほどのものだったのか。西澤さんには、ぜひ、お会いしてみたかったの」


私は嘘の素人だったんだと思い知る。


『傲慢と善良』






 川の流れを時の流れ、舟を人生にたとえると、読書をしている人は、この錨を下ろした舟に乗っている人にたとえたらいいだろうか。そして、本を読んでいる時間とは、動かぬ舟のなかで、川の流れを感じるようなものだ。


画家のクレーは「人間という動物」を「血でできた時計」と定義した。われわれはまるで、血という電池で動いている時計、なんだと。


本は栄養ドリンクではない。


私はつまるところ、「孤独」を克服し、たったひとりで自分の内面を深めるのは「読書」以外にない、と考えている。


私は、いい本に出会ったとき、本から手を通じて電流が走ったような錯覚を覚えることがある。それを私は「感電した」と呼んでいる。


印刷された文字を追うことに没頭することでしか気づくことのできないもの。その手ごたえ、おもしろさを知ってしまったら最後、読書の楽しみは一生捨てられやしない。


本を読む喜びは、いつだってこうして、目立たない場所で、ひそかに伝えられる。大声や拡声器は似合わない。読書の薦めは、もともと、岩から沁み出した泉のような行為なのだ。


『読書の腕前』






「それに雨って、誰かが大切な人を想って降らす“恋の涙”なんですよ」
「恋の涙?」
「はい。和泉式部の和歌でこんなのがあるんです」
 彼女は小さく咳ばらいをすると、その歌を僕に教えてくれた。

 おほかたに さみだるるとや 思ふらむ 君恋ひわたる 今日のながめを

「どういう意味なんですか?」
「あなたはこの雨を普通の雨と変わらない五月雨と思っているのでしょうか。あなたを想う、私の“恋の涙”であるこの雨を」


「あの……」とキョロちゃんがこっちを見た。すごく緊張した顔だ。その表情にドキッとして「な、なんでしょう?」って声がうわずってしまった。
 彼は窓の外に目を向けると、震える声でわたしに言った。
「この雨、僕が降らしたって言ったら笑いますか?あなたを想って降らした“恋の涙”だって言ったら……」


『この恋は世界でいちばん美しい雨』






「図書委員会が好き放題したから誰も来なくなったのか、誰も来ないから図書委員会が好き放題したのか。どっちだと思う」
 松倉はあくびをしていた。遠慮のない大あくびを途中で止めようともせず、最後まで遂げてから涙の浮かんだ目を僕に向ける。
「どっちでもいい。俺たちは別に、利用者数に責任を負ってない」
 それもそうだと思ったので、僕はなにも言わなかった。


『本と鍵の季節』






 たとえば、夢見る時がある。


 そんな奇跡が起きたらいいと、ずっと、願っている。


 そんな奇跡が起きないことは、知っている。


『かがみの孤城』






電車が停まり、蟬の声がふくらむ。送信する。隣からいいねが飛んでくる。


肉体は重い。水を撥ね上げる脚も、月ごとに膜が剝がれ落ちる子宮も重い。


推しを推すときだけあたしは重さから逃れられる。


『推し、燃ゆ』

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