はじめる

#巡り廻る季節の中で君を想う

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全2作品・

長編小説

翔鴉さまとのコラボ






巡り廻る季節の中で君を想う












『秋って綺麗だけど儚いよな...』



いつの日か優しく語りかけてくれた人は



何処へ行ってしまったのだろうか。















「おい?聞いてんのかよ。」











その一言で一気に現実に引き戻される















あぁ、今日も始まる


"お人形ごっこ"


もちろん私は動かす側ではない。


動かされる側。













「おいブス、俺の靴舐めてみろよ」


言われた通りにしか動くことを許されない


私は人形だから。













感情が薄れていったのは


諦めが蓄積して溢れそうなのは



いつからだろうか














私の居場所は何処にもない。














学校では人形になり


家ではサンドバッグ。















「彼奴の顔キモイんだよ」そう言いながら



私を殴る兄。
















成績優秀な兄は両親から気に入られ、

劣等生の私は見放された。













いつの日か私は

兄の鬱憤晴らしの道具になっていて

両親もそれで兄の成績が保たれるなら、














私を自由に使うことを許可した。












お陰で私の痣が減ることはない。
















「あの先生俺ばっか当てるのうざい」













そう言いながら私を蹴ることを辞めない兄














私を人として見てくれる人はもういない。

人生ってこんなもんなのかなって思う。















夜の12時過ぎにやっと開放された。













2時間も私を殴ったり蹴ったりする力を


どうして他に使おうとしないのか


とても不思議に思う。












ベットに寝っ転がり

スマホでひとつのアプリを開く。













懐かしいようなオルゴールの音を聞きながら


私は手慣れた動作でロックを解除していく。


学校にも家にも居場所がない私は


もうここしかないんだ。







_______________________


幸せが終わる時は

いつも涙の味がする

_______________________













自分の気持ちを素直に書き

今の自分の気分に似た写真を選び

投稿する。













ここでは私の本音を書ける唯一の場所












好きが溜まれば

同じ気持ちの人がいるのかなって











少しだけ期待してしまう。














そして次に自殺サイトを漁る。













自殺サイトを漁ると、何処に繋がっているのか

大変不確かな電話番号を必ず見かける。













どうせ電話したって助けてくれない癖に













ふと、ひとつの投稿に目が止まる




"一緒に死んでくれる人募集"




他の投稿は年齢や性別を

自ら名乗っているのに

この投稿だけちがった。













私は少しだけ好奇心を持ち












「はじめましてこんにちは」と一言だけ


メッセージを送信した。












私はもう戻れないところまで

進んでしまったのかもしれない














そんな事を考えながら

青白く変色しつつある腕と太ももに

湿布を貼って部屋の電気を消した。





















目覚めは最悪だった、















「いつまで寝てんだよ」
















そう言いながら鳩尾を殴る兄


寝ていた時にいきなり殴られたから















咳き込んで、軽く睨むと















「あ?何その態度」















そう言いながら兄はポケットから

カッターナイフをとりだす

鋭い衝撃と激しい痛みに言葉が出てこず、
















腕を見るとカッターが自立していた。














止まらない血液、














腕よりも心が痛いと言う

私は可笑しいだろうか












「朝ごはんよー」


下の階から母の叫び声が聞こえる

すると兄は私を睨みつけ















「腕のこと誰かに話したら

命はないと思えよ?」





と、言葉で私を制限し部屋を出ていった。











私は引き出しからガーゼと包帯を取り出し

思い切ってカッターを抜いた。

抜いた方も抜かれた方も液体が滴っている













私は圧迫して止血をしよう

と包帯で強く巻いた。












どう隠すべきだか...

そう思いながら早まる鼓動を押さえた












大丈夫っバレなきゃいい事
















兄なら本当に命を奪いかねない
















今日は学校を休もう。











腕を誰かに見られるくらいなら

親に2発ほど殴られ罵倒される方が

幾分マシだと脳内が告げていた。















私は机の上に「今日学校休みます」と

書いた紙を置き、押し入れから

運動靴を取り出し窓に足をかける













いつもやっていること、

腕を少し怪我をしていても多分大丈夫

そう暗示をかけて私は2階から飛び降りた。














今は秋と言っても冬と隣り合わせだ















半袖で歩く私を街の人はみな振り返った。














私が美人だからとかではない、














真っ白に包まれている腕から

所々見える血赤色が

人々の好奇心を煽っていた。


















私は近くの公園に向かい

携帯で自殺サイトを見る。



















ただ早く消えたかった。



















恐怖と辛さと苦しさから

ただただ解放されたかった。



















昨日コメントした投稿を見てみると

プロフィールの写真が変わっていた
















色白で青い瞳に真っ白な髪














外国人だろうか。

でもどこかあの人に似ている気がする
















でも奇跡なんて神の気まぐれ

ということを知っていた。

















私は彼に

「顔が整っていて羨ましいです」

と返信し自分の体を見回す。













自分の体を見回すと色んなところに


切り傷や痣や赤く腫れている傷が見えた。
















なんでそんなに傷がないのに

自殺したいのだろうか?















そんな疑問を抱きながら沢山話した。

彼と話していると心が落ち着く。













彼とは1か月後に会うことになった。














「1ヶ月後...か」














私の寿命はあと1ヶ月のようです















私はその1ヶ月の間、彼に会うためだけに

辛い気持ちを押し殺して耐えた













...貴方は私を殺してくれますか?















そんな一縷の期待を胸に時は

冬へと変わっていった。














1ヶ月が経ち私たちは会うことになった。















意外にも相手は隣町に住んでいる為

割と簡単に会うことが出来た。















私は少しだけお洒落な格好で

待ち合わせ場所に向かった

















死ぬ為に会うのに何を期待しているのだろう
















待ち合わせ場所に着くと写真の通り


白髪の青い瞳の人が

携帯を触りながら立っていた














...探しやすいな














私は声をかける前に体を見回した。

目立つ傷や痣はコンシーラーで

隠したから大丈夫なはず

















不幸なことに前兄に刺されたカッターの傷は

コンシーラーで隠しきれなかった。














しかし今の季節は冬

長袖を着ているから

ばれることはまず無いだろう











「こんにちはっ」と私は

表情のマニュアル通りに

顔を作って声をかけた















相手は作り笑いに気づいただろうか?


どうでもいいや。

1日限りの付き合いなのだから

















相手も

「初めまして、矢吹です」

と律儀に挨拶をした















傷一つない綺麗な顔

どうして死にたがるの?

貴方は綺麗なのに羨ましいよ















「ショッピングに行かない?」

突然相手は提案する















これから死ぬというのに

何を買いに行くのだろうか















でも断る理由もなかったから

大きなショッピングモールに向かった














ショッピングモールなんて小学校以来だな

少しだけわくわくしている自分がいた















電車に揺られながら約10分













私たちは少し大きめのショッピング施設に来た













沢山の服屋さんが並んでいる光景は


私にとってすごく新鮮で

終始ずっとはしゃいでいたと思う















そんな中私は可愛い雑貨屋さんを見つけた














「ねぇあの雑貨屋さんに入りたい!!」


私は矢吹さんに頼むと矢吹さんは













「えぇ?」と困ったように笑った。














私は家にいる時いつも顔色を

伺っていたからだいたい人の心は分かる














矢吹さんは行きたくないんだ。














私は矢吹さんの服の袖を掴んで

他の場所に連れていこうとした時
















一瞬矢吹さんは私の左腕を

見た気がしたんだ。














私は咄嗟に手を離して、












「すみません、やっぱり大丈夫です!!」

そう言っていつもの作り笑いをした。















これで矢吹さんは不快にはならないはず、

















カッターの刺傷は

たったの2cmの傷口だが内出血が酷く

傷口の周りは青黒く変色していた

















腕の傷見られてないといいなっ...










そう思いながら矢吹さんを見ると

矢吹さんは少し考えた後













「少し覗いてみる?」と聞いてくれた













なん...で?嫌なんじゃないの?












そんな疑問を胸に

私たちは雑貨屋さんに入った。














雑貨屋さんの内装はメルヘンチックで

男性が入るのを拒む気持ちが

少しだけ分かった気がした














私は中をぐるぐる回ってるといきなり、

腕を掴まれた。

















掴んだ主を見ると矢吹さんで、

「独りで店を回らせないでくれ」

と顔を赤くして呟いた。




















店を見てみると、確かに女性ばかりだ...




















そして暫く一緒に歩いていると、

1つのぬいぐるみに目が止まった


















パッチワークのくまのぬいぐるみ。

継ぎ接ぎだらけのぬいぐるみはまるで














わたしみたいだな。
















「それ欲しいの?」唐突の矢吹さんの声















「ふぇ?」

唐突だったから

変な声出ちゃった恥ずかしい!!














私は顔を隠して

独り反省会を開いていた。













落ち着いて顔を上げてみると

袋を片手に矢吹さんが戻ってきた















私のために...?














まさかね...












お店を出ると矢吹さんは

黙ってさっきの袋を渡してくる












私は少しからかうように


「女性に荷物を持たせるのは良くないよ?」

って言うと
















矢吹さんは袋から取り出し私に渡す。
















「さっきのぬいぐるみだぁ!!」

















期待してもいいのだろうか、

貰えると思っていいのだろうか














「あげるよ、今日は記念日だから」
         ・・・

そう小さく呟いた















あぁ私忘れてたよ。
















私たちは"死ぬ為に出会った"ということ















そして夕方軽く軽食を取って

イルミネーションを見るために

街中に来ていた。














2人で歩く町は1人で歩くのと少し違って

冬なのに暖かくて心地が良かった。














イルミネーションは小さな光が

集まって綺麗な景色を作っている










「みんなと違う私は

イルミネーションにはなれないね」


思わず呟いたことに後悔した。
















「みんなと同じじゃないから

目立つことが出来るんじゃない?」






突然の一言に言葉を失ってしまった。


















顔を見ると矢吹さんは微笑んでいて












こんな人が身近にいれば

世界は変わったのだろうか

そんな感覚に陥る。














そういえば矢吹さん

歳いくつなんだろう...?

















「あのっ歳いくつですか?」

思い切って聞いてみると


















「16歳の高2だよ」と言われた。















...え?












「えぇ!? 同じ!?」

思わず大声で叫んじゃった。
















すると矢吹さんも驚いて


「同じなの!? 中学生だと思ってた」


と笑いながら言った。












中学生だなんて失礼な!!
















そのまま色々話をしていく内に

矢吹さんのことが少し分かった













お父さんが警察のお偉いさんということ


家出してカラオケでバイトをしていたこと


昔虐められていたこと













なぜ死にたがるのだろう

未だに理解ができない











そのまま私たちはビルの屋上に来た

あと一歩で落ちる所に座り

2人で談笑していた








屋上だからだろうか?

今日は風がとても強い。

吹き飛ばされてしまいそう







そんな事を考えながら

私はふと呟いてみる。












「人生は季節のようだね。」と











すると矢吹くんは「うん」

と短い返事を返した











私は呟く

「秋って綺麗だけど儚いよね」











幼い時人生を共にしようと


決めた1人の男の子











彼は隣町の学校に通っている同い年の子で


ある日公園で泣いているところを見つけた


それから次第に仲良くなっていき、


最後に話した内容が季節の事だった。










人生の最後に彼の事が頭に浮かんだ。













矢吹くんはずっと黙ったままで

どうしたのだろうと顔を見上げてみると














目が見開いていたんだ。














「どうしたの...? 矢吹くん....?」














そう言うと矢吹くんはいきなり呟いた













「みーちゃんなの...?」













えっ...?


その呼び方...















やーくんなの?













矢吹くんはいきなり私を抱き締めて

小さく言う「ずっと逢いたかった」と














私もずっと逢いたかった














私は矢吹くんに「私もだよ」と言い

微笑んだ。













矢吹くんがこれから隣にいてくれるのなら

こんな世界も悪くないかなって














「ねぇ矢吹くん、自殺やめない?

私矢吹くんと一緒に生きたいよ」



突然の提案、彼はどう出るだろうか?










「俺も全く同じこと考えてた。

一緒に生きてくれないか?」













そう控えめに言う彼の手をそっと握り

私は立ち上がった。












私は忘れていたんだ。














屋上の強風の存在を。















立ち上がった時一瞬だけ

強い風が吹いて体が浮いた。














矢吹くんはまだ座っていたから

大丈夫だったみたい。















目を閉じると急に胃が浮く感覚が止まり

変わりに左腕に激しい痛みが襲う














私は上を見ると、

矢吹くんが必死に腕を掴んでいた

















矢吹くんまで落ちちゃうよ。
















「なに...してるの?」

















生きる希望を与えてから

死なせようとする神様は本当に意地悪だ

















「生きてくれよ...」そう言いながら

涙を流す矢吹くん



















男の子は泣いちゃだめだよ。

自分の身が危険なのに怖いほど落ち着いていた
















「ありがとね、生きる希望をくれて」

そう言って私は右手で矢吹くんの手を離した

















再び始まる浮遊感。

私ジェットコースター苦手なのにな。

















生きていたかった。














涙が止まらないや。

上で矢吹くんが何か言ってる

何を言っているんだろう。
















刹那、激しい衝撃と

今まで感じたことがない痛みが身体中を襲う










私死にたくないよ...








薄れる意識の中で

矢吹くんがこっちを見ている気がした
















気がつくと公園にいた。














なんで公園にいるんだっけ...?














目の前で泣いている少年がいた。













「どうしたの?」と声をかけてみると













無視された。













私は泣き止むのを隣で

座って待っていると唐突に












「虐められてる」と少年は言った。










私は微笑みながら

「私も虐められてるから独りじゃないよ」

と言うと










もっと泣き出した。













何故か彼の隣は暖かくて心地が良かった
















その日から2人は毎日会っていた。













2人はお互いを

自分の居場所にして毎日頑張っていた













しかしある日を境に

少年は公園に来なくなった。















でも私は毎日公園に行っていた。














少年に会うことだけが

私の生きる理由だったから















少年と会わなくなって3ヶ月、



諦めてかけていた頃















少年が現れた。


















その日は突然変わったことを言い出した













「秋って綺麗だけど儚いよな」















私は季節の事を伝えたいのかなと思い













「そうだね」と言い微笑んだ。












今なら分かる、どうして最後に会う日に

季節の話をしたのか













人の出会いとは季節のようで














春に出会い

夏に仲が深まり

秋に最高の関係になった後

冬に別れを告げる















秋は綺麗だけど関係が消えていく様が儚い。














この関係も今が秋ならば

もうすぐ消えてしまうのだろうか















『いつまで寝てんだよ』

どこからかそんな声が聞こえた














そうだった。

あの関係はとっくに冬が来ていたね。














でもまた私たちは再会できたんだ。

パッチワークのぬいぐるみ嬉しかったよ












今は現実の貴方に逢いたい

心の底からそう思うんだ。














戻らなきゃ...そう思うと

途端に体が重くなった

















目が覚めると

たくさんの管が私を繋いでいた















病院...だろうか?













白い天井や

病院特有の匂いが五感をくすぐる。







「「望月!!」」








お父さんとお母さんが抱き着いてきた。















ただひたすらに謝りながら。












遠くで兄は泣いていた。













私は出せない声を振り絞って

お父さんとお母さんに聞く













「白髪の人知らない...?」そう言うと

お父さんは場の悪そうな顔をした
















お母さんは何も言わず1枚の封筒を渡した












真っ白な封筒は矢吹くんを思い出す










そんなことを考えながら私は封筒を開いた

でも書いてあることはたったの2行






迎えに行くから

待ってて欲しい








泣けてきちゃった










逢えると思っていたのに


急に消えた私の愛おしい人











お父さんが信じられないことを言った





「矢吹くんは毎日来てくれたんだよ。

俺たちでさえ2日に1回だったのに」












うそ...










どうすれば貴方に逢えますか?













貴方がただ恋しくて愛おしい。


私はその日はただ泣いていた。
















あれから2週間

リハビリも頑張り私は退院した。















兄も考え方を改め

凄く優しくしてくれるようになった
















俗に言うシスコンというやつだろうか?












高校も両親が虐められてることを


担任に伝えたことでぴたりと止んだ。
















変わったのは貴方が消えたことだけ














あれから1年私は高校を卒業した。


卒業は貴方に祝って欲しかったな。













そして大学に入学した。


偏差値は低いけど友達に沢山囲まれて


とても楽しい日々を送っている















でも私の隣は空いたまま













そして退院してから2年後のクリスマス


私の心は冷たく冷えきっていた


















いつになったら逢えるの?



底なしの不安が私を蝕む
















「早く迎えに来てよっ....」














矢吹くんと初めて会った公園で

1人嗚咽を漏らしていると声がした




















「どうしたの?」って
















幻聴まで聞こえてくる私はもう末期だよ














そう思いながら独りでずっと泣いていた。













そろそろ冷えてきたから

帰ろうと立ち上がった時















横に気配を感じたんだ
















気配の感じる方を見ると

真横に矢吹くんが座っていた
















なんで...?















「幻聴の次は幻覚まで

見るようになったみたい」













自分に向けて呟くと彼は















「久しぶりに会う人に

向かってそれは酷くないか?」













と言いながら笑った。

















うそ...ほんとに君なの...?

















あぁやっと逢えた。
















私は真横で座っている

矢吹くんをぎゅっと抱き締めて













「大好きだよ」と呟くと















矢吹くんも「俺も」と言ってくれた。




















例え私たちの関係に冬が訪れたとしても

私は君に愛を捧げ続けよう。




Fin

望鴉・14時間前
巡り廻る季節の中で君を想う
コラボ小説
初コラボ
長編小説
初心者
誤字脱字あったらごめんなさい
矛盾してるかも
自殺
死にたい
消えたい
疲れた
人生
小説




巡り廻る季節の中で君を想う



望鴉様とのコラボ






_秋って綺麗だけど儚いよな…



そう呟いた俺の隣に



微笑んで居てくれていた



人は何処に行ったのだろう







…おーい、矢吹ぃ


…聞いてんのかぁ?






先輩の言葉で


現実に引き戻される







_あー、すみません


…今日は彼奴から金取ろうぜ?w


_いいっすね、笑







俺は真面目に


生きる事を辞めた








辞めた理由なんて


くだらなくて


いじめと親からの期待


ただそれだけの事だった。








生きる事に疲れて


何度も自殺サイトで


知り合った奴と


自殺を試そうとしたが


相手が怖いと泣き逃げて


計画は失敗した








父親は警察の上の方の人間だ


゛ルール゛に厳しい父親は


俺を警官にする為に


俺をルールで縛り付けていた






母親は昔に他に男を作って


行方不明になったらしい。


顔なんか覚えてねぇ







高校に入ってから


喧嘩をするようになった


何度も何度も傷作って


その度父親に罵られて









雨の日、俺は耐えきれずに


家を飛び出した


雨の中蹲ってる俺を


先輩は助けてくれた









先輩とつるむ様になってから


容姿も何もかもを変えた


青色に染めた髪


右耳にはピアス


制服のボタンは開けて









俗に言う不良、だろう


先輩とつるむ事が


俺の居場所なんだと思っていた








゛あの日゛までは


…よぉー矢吹ぃw


先輩はおかしくなった


放課後屋上に先輩と居ると





「警察だ!、○○」

「お前薬物使ってるだろ!」








先輩は犯罪を


犯していたらしい


先輩はそのまま


警官に連れていかれ


俺は父親との


話し合いに


連れていかれた












父親は呆れた様に話す


《 あんな奴と関わるから》


《お前も可笑しくなるんだ 》


《 お前は俺の言うことだけを

聞いていたら良いんだよ!》









俺は苛立って苦しくて


父親を殴った後


残った金で遠くへ逃げた。









俺には居場所なんて無い。


それが辛くて苦しくて


スマホを開くと


たまたま開いていた


自殺サイトに


゛一緒に死んでくれる人募集゛


とだけ投稿して







安いホテルで


眠りに着いた














五月蝿いスマホの


アラーム音で


俺は目覚めた。






渋々と重い身体を起こし


スマホを開くと


昨日俺が投稿した


自殺サイトの投稿に










1人の女子から


コメントが入っていた










コメント


してくれても


俺の容姿が








分からないのは


流石に怖いだろうと思い





適当な服に着替え


髪を整えて写真を撮った。









そして


プロフィール画面に


設定をした。







色白で青い目


髪は真っ白に


染め直した。




こんな姿が


俺は嫌いだった。





こんな俺の姿を見て


彼女は綺麗だと


褒めてくれた。






醜い俺の事を


褒めてくれたのは


彼女だけだった。






その彼女と


色々話していく内に


俺は彼女に


心を開いていた






彼女と話していると


居心地が良かった。






色々な話題で話が合い


彼女と俺は


1か月後に会おうと、


2人で約束をした















_働かなきゃな…




俺は色んな


バイト先を回って


カラオケ店で


バイトを始めた。












…ちゃんと格好付けなきゃ



俺らしくもない事を


考えながら


必死にバイトを


頑張った。










あっという間に時は過ぎ


彼女との約束の日へと


近付いていた。











1ヶ月が経ち


彼女との約束の日が来た









意外にも彼女は


隣町に住んでいるらしい


会うことは簡単だった













待ち合わせ場所に向かう


周りからの視線が痛い









歩き始めて数分後に


待ち合わせ場所へと着いた








スマホを触っていると


「こんにちはっ」


彼女は微笑みながら


そう言った










俺は自分を見回した


キズは上手く


隠せているだろうか












喧嘩で出来た痣や傷ですなんて


死んでも言えるはずがない
















「初めまして、矢吹です」


無愛想な挨拶だろうか、


1日だけの関係だ、まぁ、いいか











母親は綺麗好きな人間だった



俺は母にとってドールでしか



なかったんだろう。









この白い肌だって母親から


無理やり綺麗にさせられて


今の気持ち悪い俺の完成












はっと現実に戻る


「とりあえずさ、


ショッピング行かない?」


彼女は不思議そうに


俺を見た後頷いてくれた









せっかく、会ったんだ


死ぬ前に最高の想い出を









電車に揺られながら10分


大きなショッピング施設へと来た








沢山の人が賑わう此処は


あんまり好きではない


だけど、彼女を


楽しませる為なら


これ位大した事ない











暫く歩いていると


「ねぇ、あの雑貨屋さんに入りたい!!」


彼女が指した雑貨屋は


メルヘンチックな雑貨屋





「えぇ?笑」


少し困った様に


笑うと彼女は





俺の服の裾を掴んで



他の場所へ連れて行こうとする





その時彼女の左腕に


カッターの刺し跡が


見えた









彼女はハッとして


俺の服の裾をバッと離した









「すみません、やっぱり大丈夫です!!」


そう言って笑った



…作り笑いな事知ってんのに







暫く考えた末、俺は彼女に


「少し覗いてみる?」


と言ってみた







彼女は疑問そうに


俺を見ながら


俺達は雑貨屋へと入った







入ってみると凄い


メルヘンの世界に


入った様な感じだ








横を見ると彼女が居ない


焦って彼女を探すと


ぬいぐるみのコーナーの


近くに居たから






彼女の腕を掴んだ


彼女はびっくりしている。


「独りで店を回らせないでくれ」








あぁ、俺、やった、ださい、


きっと顔も耳も真っ赤だ






彼女と歩いていると


彼女はぬいぐるみの所で


足を止めた







パッチワークのぬいぐるみ


目はボタンで、可愛い






「それ、欲しいの?」


俺がそう声掛けると


「ふぇ?」







と小動物みたいな声を出し


彼女は恥ずかしそうにしながら


首を振りまくっていた



…可愛いな










俺はぬいぐるみを手に取り


レジへと向かう


洒落た袋に入れてもらい


彼女に黙って渡した








彼女は俺をからかう様に


「女性に荷物を

持たせるのは良くないよ?」


と言うもんだから






俺は袋からぬいぐるみを出し


彼女に渡し直した







「さっきのぬいぐるみだぁ!!」


どうやら喜んでくれたらしい



「あげるよ、記念日だから、」













…キミに会えた記念日だから








夕方、軽く軽食を取ってから


イルミネーションを見るため


街中へと来ていた







隣に彼女が居てくれる


安心感が強くて落ち着く







イルミネーションは


綺麗にピカピカと光る







「みんなと違う私は


イルミネーションにはなれないね」


彼女は寂しそうに呟く






「みんなと同じじゃないから


目立つ事が出来るんじゃない?」





俺はそう呟いていた








彼女は言葉を


失ったかの様に


俺を見ていた








俺は優しく微笑む


こんな子が身近に居れば


世界は変わっていたのだろうか






そう言えば彼女は


いくつなんだろう


そう考えている時






「あのっ歳いくつですか?」


彼女は思い切ったように


聞いてきた







「16歳の高2だよ」


俺がそう答えると彼女は


「えぇ!?同じ!?」


そう叫んでいた







…同じ?


…彼女が?俺と?同じ歳?








「同じなの!?中学生かと思った」


俺が笑うと彼女は頬を膨らませた









話していく内に俺の事を


彼女に話した


父親の事 家出した事


昔虐められていた事








死にたい理由は


人形みたいな俺を


消してしまいたかった。






ただそれだけの事。







俺達はビルの屋上へと来た


あと一歩前に出れば


落ちる所に座り2人で談笑した







今日はやけに風が強い


今立ったりでもしたら


直ぐに落とされそうな勢いで






そんな事を考えてる時


彼女はこう言った


「人生は季節のようだね」






俺は軽くうんと返事をする


彼女は次にこう呟いた





_秋って綺麗だけど儚いよね






幼い時人生を


共にしようと


決めた1人の女の子






その女の子は隣町の学校に


通っている同い年の子で


俺が公園で泣いている時に







女の子は話しかけに来てくれた


それから次第に仲良くなっていき


最期に話した内容が季節の事だった








人生の最後に彼女が浮かんだ






…あれ、もしかして


俺は目を見開いて


彼女を見つめる








「…みーちゃんなの、?」



彼女は少し頷いた




俺は望月を


ぎゅっと抱きしめた








「…ずっと逢いたかった」



望月は私もと言い微笑んだ









望月が傍に居てくれるなら


こんな世界も悪くはないなって







「ねぇ、矢吹くん、自殺辞めない?


私、矢吹くんと一緒に生きたいよ」







その言葉は暖かくて


自殺をしたい


気持ちは溶けていって







「俺も全く同じ事考えてた


俺と一緒に生きて欲しい」








そう言う俺の


手をそっと握って


彼女は立ち上がった










俺達は忘れていた













屋上の強風の存在を








彼女が立ち上がった瞬間


一瞬だけ強い風が吹いた


俺は座っていたから大丈夫だった








俺は落ちようとする



望月の左腕を掴んだ









「なに…してるの?」


彼女は呟く








神様は意地悪だ


生きる希望を与えておいて


地獄に突き落とすなんて










俺の目から涙が零れる


嫌だ、離したら、望月は


せっかく会えたのに、


せっかく2人で


生きようって決めたのに










「生きてくれよ…」


お願いだから、落ちないで








彼女は落ち着いて


「ありがとね、生きる希望をくれて」


そう言って俺の手を


引き離した











手が離れた瞬間


俺は救急車を呼んだ











最期に彼女を上から見ていた。







俺は結局大事な人さえ


守れなかった








望月が救急車で


搬送された後


俺は走った、息が切れるくらい









病室に着いた時には


もう望月の両親と


望月の兄が来ていて






俺は頭を下げた


…あんたのせいでっ…!


…お前さえ居なければ…!


頬に滲む痛み








責められても


何も言えなかった。


沢山の管に繋がれて


眠る望月を見て










俺はただ、自分を


責める事しか出来なかった。






それから俺は毎日の様に


病院に顔を見せた










望月の両親は


そんな俺を見て


許してくれた。









ビルの屋上へと向かう


望月と話した場所に座り


ぼーっとしていると








急な睡魔に襲われ



瞼がゆっくりと閉じた












「うっ…ううっ…」



僕は公園の影の方で


虐められて泣いていた









「どうしたの?」


急に知らない女の子から


声を掛けられて








僕は俯いたまま泣いていた











ふと、横を見ると


女の子は静かに


僕の傍に居てくれて








僕はその女の子に


「虐められてる」と


そう静かに呟いた










するとその女の子は


微笑みながら


「私も虐められてるから

独りじゃないよ」


そう言ってくれたんだ








そんな優しい言葉を


掛けられたのは初めてで


暖かくて余計に涙が出てきた









それが女の子との出会い








その日から2人は


毎日会っていた


2人はお互いを


自分の居場所にして


頑張っていた








しかし、ある日を境に


僕は公園に行けなくなった


父さんが警察の上の方の


人になってから厳しくなった












女の子には


申し訳ない気持ちで


いっぱいだった











僕はある日家を


抜け出して公園へ行った


そこで、もう一度


女の子と会えたんだ










季節はもうすぐ冬になる


冬は別れの時期、







僕は彼女に呟いた


「秋って綺麗だけど儚いよな」


彼女は笑ってそうだね、と


答えてくれた








秋は、綺麗だけど


関係は静かに


消えていく様が儚いんだ、












「最期に会えて良かった」


小さく呟いた言葉は


幸いにも彼女には


聞こえていなかった









「…ん」


目が覚めると


涙の跡があった










そっか、俺は


夢を見ていたんだ








今の俺では


望月を守る事は


出来ない






そう思った俺は


ある決意をして


病院へと向かった











「何時まで寝てんだよ」


俺は望月にそう言い残して









望月の両親に封筒を渡した



望月の両親は俺を止めてきた







…行ったら…あの子は…っ…


…頼む…!…彼奴のために…居てくれ…!









望月の両親には


申し訳なかったが











俺は望月の前から姿を消した











病院を出た後


父親と和解する為


父親の元へ向かった








家のドアを開ける前に


軽く深呼吸をする。


ドアを開けると


父親が、泣いていた









…矢吹、?…戻ってきたのか、?


父親の泣く姿なんて


見た事もなかった


俺は父親の辛さなんて


1ミリも分かってはいなかった









父親は話す


母親の浮気を知った時


俺を守れるのは


父親である俺しか


居ないと思った事








母親の代わりに


色々言われながら


俺を育ててくれた事








俺は知らなかった


父親の苦労なんて






「ごめん…ごめんっ…」







父親は泣きじゃくる俺の


背中を摩ってくれた


昔の俺と父親のようで


少し懐かしく感じた









それから父親は


柔らかい人になった


よく笑顔が


見えるようになった








望月の前から


姿を消してから


2年が経った









俺は2年間の間


一生懸命働いた


望月に似合う


男になるように










俺の姿はそのままだけど


望月は綺麗になってるんだろう


そう思いながら公園へ向かう











公園へ着くと


見覚えのある姿があった


気付かれないよう近付く









「早く迎えに来てよっ…」


寂しそうに呟く彼女の


隣に座り声を掛ける







「どうしたの?」と







望月は静かに泣き続ける


「泣くなよ笑」


俺の声は


聞こえてないみたいだ









望月が帰ろうと


立ち上がるから


焦って服の裾を


引っ張ってみる










すると望月は


「幻聴の次は幻覚まで

見える様になったみたい」



と言うもんだから






「久し振りに会う人に

向かってそれは酷くない?」


と言いながら笑った






あぁ、やっと、やっと逢えた










望月は俺を


ぎゅっと抱き締める


俺は応えるように


抱き締め返した










「大好きだよ」


望月がそう呟いたから


「俺も好きだよ」


そう答えた











例え俺達の関係に


冬が来たとしても


俺はキミに


愛を捧げ続けよう

Noname・14時間前
小説
巡り廻る季節の中で君を想う

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