西春奈・2021-12-13
往復書簡《いちごみつ》
街角から
ましろなる眠りの底に
鮮やかな供花のふりつむ音のきこえる
払
暁
の
窓
辺
に
光
の
筋
も
つ
れ
白
布
被
す
手
の
甲
あ
や
す
私
は
ひ
か
り
の
子
を
産
ん
で
ひ
か
り
に
生
ま
れ
る
こ
ろ
果
て
る
街角から 了
戦利品の重みを肩に
内心上げる勝鬨は沢音にも劣らず
熊や鹿や猿などと競う初夏
街角から
上げるなら寄鬨がよかった
聴き惚れるのは勝鬨だった
燃べるものみな尽き
まぼろしに春を探す
かなしみも残らなかった
の
ぺ
り
の
ぺ
り
カ
ン
テ
ラ
提
げ
ぬ
夜
の
白
に
薊
を
毟
る
猿
な
ど
い
な
い
連れてくるのは春と砂
あなたは遥か、大陸よりの使者
しんしんと白の降るいまに
爪痕を残してゆくのは私だけ
冬の朝、ひとりあそび
街角のバス停。黄昏時。
不規則に揺れる女性の後ろ姿を見た。抱いた子どもをあやすリズム。
通りすがりにそっと見遣るクリーム色のセーターの腕には、やはり小さな影。
子どもをあやすリズムというのは、自然と似通うものなのだろうか。なんだかいつも遠目にわかる、気がする。