はじめる

#感想欲しい

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全37作品・












『フルルを食べていた』








「ワンっ。」



ボロボロの心を



ぎゅっと抱くように



私の涙を舐めてくれる



愛犬の名はポロ



16歳の老犬



そして私も、16歳



私が産まれたその日に



お祝いとして



お母さんとお父さんが飼ってくれた



オスのゴールデンレトリバーだ



ずっとずっと



家族3人で暮らせるんだって



勝手に思ってた



9年前のあの日は



普通の1日だった



お父さんが仕事に行って



私も学校に行って



お母さんもそのうち仕事に行って



ポロはお家でお留守番



そして、私は家に帰る



そこまで、普通だった



プルプルプル



電話が鳴った



お母さんの番号だった



「もしもし?」



どうしたのかと思い



電話に出ると



「楓…楓、どうしよ。助けて…っ。」



お母さんが、泣いていた



「どしたの?何があったの?」



私は怖くなって、そう尋ねた



そしてお母さんは泣きながら言った



お父さんが



通り魔に刺されて、死んだと



「え…?」



その日、私の時計が



完璧に止まってしまった



お父さんのお葬式に行った



お父さんの棺に花を入れた



お父さんの埋葬場に行った



背が大きいのが自慢なお父さんが



ちっさな箱に入って帰って来た



私は受け入れる事が出来なくて



1度も泣けなかった



あの日から1年後



お母さんは依存先を求めるように



畠山さんと言う男の人と再婚した



その2年後二人の間に



真奈と言う子供が出来た



私は家の中で



空気と同じような存在になってしまった



そんな中で



たった1匹の味方がポロ



「ポロー。フルルだよー。」



”フルル”は



たまごと細かく切ったレタスを



犬でも食べれるお肉で包んだ



私が作ったお菓子の事



フルフルして作るから



フルルと言う名前になった



このフルルが



ポロは凄く好きなんだ



「ワンっ…ワンワンっ!」



尻尾をフリフリして



早く頂戴!と言うように



お座りをして、おまわりをして



お手のポーズまでポロはした



「はいはいっ。ほら、食べな。」



10円玉位のそれを



ポロは一瞬で食べた



ポロと居る時は



酷く心が落ち着く



ポロは何故か



畠山さんと真奈には



全く懐こうとしない



私はそれが少し



嬉しかった



「ポロ。私もご飯取ってくるね。」



「ワンっ。」



「いい子で待ってるんだよ。」



お母さんが再婚してから私は



学校に行っていない



何に対してもやる気がないから



ご飯も誰とも食べたくないから



いつも持って来て、ポロと食べる



そこら辺にあった海苔と



炊飯器の中にあるご飯を取りだし



不格好な形のおにぎりを3個ほど持ち



二階の自分の部屋に籠る



それが私の日常だ



「ポロ。ただいま。」



ポロは私のベットには登らず



床に寝転んで待っていた



歳だからか



最近ポロは、あまり動かなくなった



でも私がご飯を食べる時は



”少しちょーだいよ”



と、おねだりしてくる



「ポロ。だーめ。」



「ふぅん…。」



そう言うと、少し拗ねたような声を出し



寝転んでしまった



こうなるとポロは



フルルを上げるまで機嫌を直さない



そういう所が可愛いんだよな



「ごちそうさま。」



手を合わせて部屋を出る



歯を磨いて、また部屋に逆戻り



その日は本を読んだり



ポロを撫でたりして終わった



この生活が維持出来れば



私はきっと、大丈夫だった



次の日、朝起きると



私の部屋に、ポロが居なかった



かなり焦った



部屋を出て探すと



真奈と遊んでいた



「…あ、楓。」



「ポロ、返してよ。」



何日ぶり



いや、何ヶ月ぶりに



人と話した



でも、ポロに触れられるのは



許せなかった



「何で?楓のポロじゃないじゃん。」



鼻で笑うように、真奈は言った



「私のだよ。返して。早く。」



それがまたイラッと来て



少し強めに言ってしまった



「ポロは楓だけのじゃないから!」



真奈はそう叫んだ



その叫び声に気付いた



畠山さんとお母さんが来て



真奈が自分の好都合な所だけ話すと



お母さんは困ったような顔で言った



「ポロはみんなのなんだよ。」







「そうだよ。お母さんの言う通り。」







「楓ちゃん。分かってくれるかな。」







私はその時



お母さんも真奈も畠山さんも



”大嫌い”なのだと自覚した



何も言わず



そこにあったガラスの置物を



壁に投げて



部屋に籠った



その時本気で願った



”死にたい”と



どれだけ経ったかは分からない



カリカリ



さっきからずっと



ドアの方からそんな音が聞こえる



流石にイライラした私は



「何だよ!」と



ドアを開けて叫ぼうとした



「ワンっ。」



でもそこに、ポロが居て



叫ぶに叫べなかった



「ポロ…。フルル、食べる?」



小さくそう言うと



ポロは嬉しそうに



「ワンっ!」と吠えた



私はポロを中に入れ



しっかりと鍵を閉めて



ずっとポロを抱き締めた



コンコン



誰かが来たけれど



私は無視した



ポロも吠えずに居てくれた



その日は泣きながら



ポロと一緒に寝た



次の日朝起きても



ポロはちゃんとそこに居た



でも、ちょっぴり苦しそうに



息をしていた



「ポロ…?」



「……。」



ポロは歳なんだと悟った



私は、朝の誰も起きてない時間に



気付かれないようにと家を出た



最後にポロを外へ出してやりたかった



「ポロ。歩けないよね。



このベビーカーに乗せてあげるね。」



数年前に自分で買った



犬用のベビーカーにポロを乗せた



はぁ…はぁと



苦しそうに息をするポロを見るのは



凄く、辛かった



そして



近くの公園に着いた



「ポロ。この公園覚えてるかな?」



「…ワンっ。」



「無理しなくていいよ。いいから。」



ポロの頭を撫でてやると



どうしようもなく涙が溢れて



心配そうにポロが見つめてきた



「大丈夫。大丈夫だよ。」



必死に涙を拭い



ポロをベビーカーから降ろした



「ほら、この公園。



昔お父さんとお母さんと



ボールで沢山遊んだ公園だよーっ。」



ポロは頬を緩めて笑っていた



このまま眠りそうな



そんな顔をしていた



よろよろの足で



ポロは歩いた



1歩



また1歩



生きてるんだって



そう言うように



そして、何歩か進んだ所で



ポロは倒れた



「ポロ!大丈夫…?」



「ワンっ…。」



心配しないでと言うように



ポロは吠えた



私はポロをベビーカーに急いで乗せ



急遽家に帰った



9月下旬の寒風に吹かれながら



死んで欲しくなかったから



お母さん達に見られたけど



私は急いでポロを抱えて



部屋に籠った



暖かい布団の上に



ポロを置いた



「ポロ…?フルル。



フルル、食べる…?」



ポロはもう、吠えなかった



小さく首を伸ばしてくるだけだった



ポロの口に近付けた



ぱくっ



食べた後、幸せそうな顔をして



「ワンっ!」と吠えた後



目を瞑って、動かなくなってしまった



「ポロ…っ。」



最後まで温もりを感じたくて



ずっとずっとぎゅっとしていた



段々、冷たくなっていって



それでも温めたら



生き返ってくれる気がして



めいいっぱい温めた



途中でお母さんが気付いて



「もう無理だよ。」と言われても



ずっとずっと、温め続けた



「やめな…?」



「…い…きてる…っ…ぅ…っ!」



「楓…、ポロは…。」



「生きてる…!!生きてるから…っ。」



認めたくない



だからずっと生きてるって唱え続けた



1週間



ポロの死体を焼けなかった



ハエが集り始めたけど



そんなの気にしなかった



フルルを無理やり口の中にやった



そんな自分が馬鹿らしかった



お母さんに



「綺麗なまま焼いてあげよう?」



そう言われて



渋々火葬した



フルルも入れた



ポロもまた



お父さんと同じように



ちっさい箱に入って帰って来た



私にはもう、絶望しかなかった



Googleの検索履歴



『ポロ』



『ポロ 会いたい』



『ポロ 会う方法』



狂ったように



ポロに会う方法を探した



結果、自殺に辿り着いた



ホームセンターで縄を買って



YouTubeで見た



首吊り縄の作り方を見て



真似して作ったら本当に出来た



遺書も書いた



少し高めの所に



ドアノブがあったから良かった



私はそこに



自分の首元の縄と繋がる縄を結んで



そっと座った



15秒経って



少し苦しくなってきた



30秒経って



キンキンキンキンと



耳鳴りのような音が聞こえた



でも、耐えた



耐えて耐えて耐え続けた



パタン



等々動けなくなった



そして、眠くなって



”〔そこで意識が途絶えた〕”



気付くとそこは



花畑の中だった



そして、誰かに抱き締められた



「楓…っ。」



お父さんだった



「おと…さ…。」



こんなに早くには会いたくなかった



と、お父さんは泣いた



ごめんなさいと謝ると



よく耐えたねと



頭を撫でてくれた



久しぶりの優しさに



つい泣いてしまった



「ワンっ!」



何処かから



聞き覚えのある鳴き声が聞こえた



「ポロ!!」



ポロだった



思ったよりも早く会えた



本当に本当に嬉しかった



そして、ポロは



【フルルを食べていた】



ふと辺りを見ると



みんな白い無地の服を着ていた



そしてみんな幸せそうだった



お父さんが手を繋いできた



そしてポロが



「ワンっ!」と吠えた



「どしたん?」と聞くと



今から楽園に行くんだよと



お父さんが笑った



私達が居るのは、虹のふもとだった



別れたペットが



飼い主を待つ場所があると



聞いた事はあったけど



それが本当にあるとは思わなかった



その時、1つ疑問が浮かんだ



「自殺した人は、地獄じゃないの?」



それをお父さんに聞くと



「自分で選ぶんだよ。」



と、話してくれた



家族や友人や恋人に



悪いと思う人は



自ら地獄を選び



そこで辛い生活をして



罪償いのような事をする



だから、強制ではないそうだ



「私。どうすればいいかな。」



不安になってお父さんに聞いた



「楓は頑張りすぎたんだ。



だから楽園でうんと休みなさい。」



お父さんはそう返してくれた



2人と1匹で



新たな幸せに繋がる



長い長い虹を渡った



時に走り



時に周り



時にフルルを食べさせ



笑って



泣いて



でもやっぱり笑って



その先にある幸せへと



”いーっぽっ”



踏み出した__。






end

Raimu 無浮上・2020-09-28
小説
家族
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再婚
死別
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死にたい
運命の人
ならぬ運命の犬
幸せ
自殺
長編小説
フルルを食べていた

『君へ飛ばす紙飛行機』


コラボ__瀬音 蓮叶様様








好きな人に忘れられるのって


死ぬ事よりも、怖かった。




















「うわ、碓氷」


「もうオーラが怖い」


「何もされませんように」







ボソボソと言う誰かの声


全部、あの人に向けてだろう













直接言えばいいのに














『ヤンキー君』


そう、笑いかけてみた








同時に、二度目の私達の物語が


また、進み出した











今のとおるからしたら初対面な私が


意味不明な感じで話しかけてきたんだ


は?でしかないだろう













「は?」


『変な顔 』





思った通りの反応


それに、この、マヌケ顔








ふふふ、笑っちゃった









少し訝しげな顔をして


ヤンキー君は言った








「お前、俺が怖くねえの?」



『ヤンキー君は私の事覚えてない?』





不思議そうな顔


やっぱり覚えてないか






「どっかで会ったことあるっけ?」


『覚えてないなんてひどいなぁ』





更に訝しげな顔になったヤンキー君



そしてまた、質問してきた




「お前、どこで俺と会った?」



『さっきからお前お前って

私の名前は林 穂乃香!』





「林 穂乃香、どこで俺と会った?」





まさかのフルネームで呼ばれて


私は吹き出してしまった




「さっきと全く同じセリフを

フルネームしかも呼び捨てを代入して

言うとか笑わせに来てる??」





うるさそうに眉を潜めたけど


どこか不思議そうな顔のヤンキー君





このおもしろさが味わえるなら


初対面ってことでいいかもな








「代入って表現はだせぇ」




ぶっきらぼうなその言葉に




そっと笑いかけると




ヤンキー君も笑ってくれた






普通よりか少し大きい


自分の家に帰る前に






一つ、必ずすることがある






『あ、来た来た』






ヤンキー君の、紙飛行機を受け取ること








おバカさんなのかな


おバカさんなんだろうな











私の帰路の途中で待つと

ヤンキー君が飛ばした紙飛行機





と言う名の、公開日記が飛んでくる





それを拾って


こっそり読むのが私の日課








【変な女と出会った


久しぶりに楽しいと思えた

俺もまだ笑えるってわかった】






笑ってくれたんだ


そう思うと喜びの涙












忘れられてるのか


そう思うと悲しみの涙








ヤンキー君の公開日記を読むと


どうしようもなく涙が出てくる







多分、ヤンキー君もそうだろう







そっと広げた公開日記をカバンに入れ


私は真っ直ぐ家に帰った







紙飛行機が飛んできた






【昨日の女とまた話した

やっぱり変なやつだけど

嫌いにならないのは不思議だ】





嬉しくで涙が出た


ホッとして涙が出た







紙飛行機が飛んできた






【例の女と昼飯を食った

誰かと飯を食うのは何年ぶりか

と、思うほど久しぶりだった】




何の涙かわからない涙が出た





紙飛行機を受け取って


泣いて


カバンに入れ

















そんなことを繰り返してくうちに


公開日記が明るくなってく度に













ヤンキー君は

クラスメイトに馴染んでいった








「碓氷くん、また明日!」


「碓氷、またな!!」





ヤンキー君が、受け入れられてく




「おう!!またな!!」




ヤンキー君が、強くなってく




その度、少しだけ寂しくなる私が居る





『あーあ、ヤンキー君


もう、ヤンキー君って呼べないや』







「いや、呼ぶなよ

もうあだ名みたいになってんの

なんなんだよ」




二人揃って共に笑う






『クラスメイト変わったね 』



「いや、俺が変わったからだろ」







『君は、なにも変わってないよ


ずっと、ずっと、そのまんま』





変わってない


あの頃の、ヤンキー君






いや、とおるくんのままだ









「なあ」



私に伸びてきた


寂しそうな手に答えるよう


私は言う








『ヤンキー君、私もう強くなったよ』






意味がわからないと言うように


目をぱちくりさせ


呆然と立ち尽くすヤンキー君





『ヤンキー君、バイバイ』





逃げられると思った


でも、無理だった







痛いほど強く、手首を掴まれた






出来ることなら



もっと一緒に居たかった__






「林、泣いてる」





手の力が緩まった隙に


全力で手を振りほどいて走って逃げた












行く宛てなんてない


ただとおるくんから逃げたかった








私の身体がもっともっと強かったら


こんなに苦しまずに済んだのに






コツン






私の頭に何かが当たった








「あ、」






飛んできたそれは


あの、紙飛行機だった








中身はもちろん、公開日記__





【大好きな人の様子がいつもと違った

いつも笑顔なのに泣いていた


何も分からない自分に腹が立つ


明日、また名前を呼んで笑ってよ】







大好きな人



今一番


言われたくて、言われたくない言葉






今日の涙には


嬉しいの欠片もないや




ただ、苦しいよ





その日、夢を見た


あの頃の、残酷な夢を







生まれつき私は心臓が弱くて


よく入退院を繰り返していた







退院出来たとしても


月一度、検診に行かなくちゃならなかった






小一の頃、その悪夢が終わった


症状が落ち着いたから


検診も、三ヶ月に一度で良くなった










小二になって、とおるくんと言う


優しい男の子と仲良くなった








その子といる事でいじめられたり


悪口言われたりしたけど


それでも私は、一緒にいたかった









ある日、大切な話があると


お母さんに言われた





お椅子に座って


じっと待ってた







お母さんは優しく頭を撫でてくれて


それから、ゆっくりこう言った







「…悪化、してるんだ、ってさ」












その日から私は、笑えなくなった


とおるくんといる時も


誰といる時も










入院が決まった


点滴が地獄で地獄で






お医者さんの目を盗んで


外に逃げ出してしまった







走り疲れて、心臓が痛くて


静かに泣いていた時






コツン







『…いてっ』






何かが頭に当たった


紙飛行機だった







中を開くと、文字が書いてあった







【ほのかちゃん

ぼくのせいでほのかちゃんが

ないちゃうのはいやだから

ぼくつよくなるよ。

ほのかちゃんをまもるよ】





大小様々で

少し個性的な文字






とおるくんのだって分かった


私は嬉しくて嬉しくて


その紙飛行機を持って、病院に戻った









沢山沢山怒られたけど


よかったって泣かせたけど






私はそれより

とおるくんに会いたいって


その気持ちが強かった









みんな、ごめんなさい


明日、とおるくんに会いに行く!










そして、あの日になった


朝早くから病院を抜け出して









とおるくんの元へと走った


少し探して、でもいなくて









諦めかけてたその時


道路の向こう側にとおるくんを見つけた












『とおるくん!』























見つけたのと、ほぼ同時



とおるくんが視界から消えた














「キャーーーッ」











とおるくんは、私の目の前で轢かれた


頭を強く打ったせいで、記憶喪失になり
















『ヤンキー君』










そう話しかけた私のことを


覚えてるわけなかった








とおるくんは、私のせいでグレた


でもそのおかげで



話しかけるきっかけが出来た







仲良くなれて


この時がずっと続くと思ってた矢先












また、入院が決まった




多分、このまま死ぬんだ










『ヤンキー君、バイバイ』








その意味に気付いた時


とおるくん、なんて言うのかな






そこで、夢が覚めた


枕はぐっしゃり、涙で濡れていた






急いで、手紙を書いた



【これを読んでいるということは】





念願の言葉を使った


とおるくんへの、愛の手紙












会いに行こう



今日で、今日で多分



会えるのは最後だから



















あの日のように、私は病院を抜け出して


精一杯で走った










ばかだな、私


ばかだな、ばかだよ







『と…おるく…』









泣いてちゃ、ダメだ


とおるくんの顔が見えなくなっちゃう










心臓が痛いのなんて


心の痛みに比べりゃ、全然だから






走って、走って、走りまくって










とおるくんを、見つけた



とおるくんの目は必死で




点滅してる信号も、写ってなかった









ブーーーーーーーッ







「轢かれる、轢かれるぞ!!」







誰かの声が聞こえた時には


私は、走り出していた








叫び声

痛み

大きな音










守れた、のかな
























ピッピッピッピッ


という音が、どこか遠くに聞こえる





「ほのか、ほのか…!?」




「よかった…よかった…!」






ままと、ぱぱの声だ





私、守れたのかな



ちゃんと、ちゃんと






『私、もう充分生きたから


私、もう長くないから


だから、守っちゃった、や』








「ほのか…」




「碓氷透さんが目を覚ましました!」





そんな声が、遠くで聞こえた


そっか、よかった、よかったよ





少しして、いきなりドアが開いた







ガラガラガラ









誰かと思うと、とおるくんだった








「ほのかちゃん!!!」




『思い出したの?』






私を思い出した、とおるくんが


そこにはいた








もうすぐ死ぬってのに


ずるいな、とおるくん






「うん、全て思い出したよ


俺がグレてたのはお前のせいだったってな」






変わらないとおるくんに


笑いたいのに、涙が出てきた







「ずっと辛い思いさせてごめん」





そう言って、微笑みかけてくれた






『とおるくん』





そう言って、私も笑い返す









ピピピピピピピピ






「ほのかっ!!」



『とおる、ごめんね』





最後の顔が、とおるの泣き顔


最後の言葉が、初めての呼び捨て









幸せなような、不幸のような





そんな、お別れだった














あの手紙、読んでくれますように









【とおるへ


これを読んでいるということは

私はもう、この世に居ないのかな?



っていうフレーズ書いてみたかったから


念願のフレーズ書いてみました




とおるくんは馬鹿って笑ってくれるかな



まあ、私のこと大好きだから

寂しいって泣いてるんだろうね



私、病気で死ぬんだ


ってとおるくんに伝えれてた?



まあ、よわーい私だから

たぶんまた逃げたかな



小さい時もそうだったんだよ


まあ、とおるくんは忘れてると

思うけど笑





そういえばあの


毎日飛ばしてる紙飛行機の手紙


受け取ってるの私だからね笑





君が私の事語ってるの見てたよ







言いたいことは沢山あるんだけど

全部まとめると





ごめんね、ありがとう、大好きだよ








林 穂乃香より】
















とおるくんに届いたのを確認して


私は空へ飛びだった






お花畑ってね、本当にあって


そこでくつろいでいた時









コツン







あの、あの感覚がした





『紙飛行機だ』







まさか、と思って


中を開いた







【林 穂乃香へ


手紙受け取った

あんなんふざけてるだろ笑



泣いてるって分かるなら

穂乃香が笑わせろよ



これから俺は穂乃香を忘れないし

ずっと大好きなままだから




まあ、俺がじいさんになるまで

そこで待ってろよ笑




ていうか、俺全て思い出したからな




またじじいとばばあになって

顔を見合わせた時



思い出話でもしようか






俺も文句沢山あるけど1つ


今までもこれからもずっと好きだよ





碓氷透より】






何度も何度も読み返して


何度も何度も泣いて笑って




最後の紙飛行機は



公開日記でもただの手紙でもなくて




ふっつーにラブレターじゃん





私に届くまで




必死に必死に飛び続けた紙飛行機










いつか、おばーさんとおじーさんになって


この手紙の話を花畑の中でしよう






そう、心の底から思った__。

Raimu 無浮上・2020-09-05
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『Halloween。』

ー悲しきハロウィン物語ー


















「もうそろそろ桜の所行かなきゃ。」



体育館倉庫の中



誰にもバレちゃいけない関係が



今日も続いていた



「そか。また、また来てね。」



「うん。LINEでいつ行くか言っとく。」



「ありがと。」



こんな関係、今すぐ辞めた方がいい



そんな事、私としゅうちゃんが



一番よく、分かっていた



「周平先輩、さよなら!」



「さよならー。」



何処か遠くで



そんな声が聞こえる



学校帰り、昇降口で



しゅうちゃんが消えてから



きゃーっと後輩の子がはしゃいでる声も



嫌でも耳に入ってきた



「周平ー!先行かないでって



いっつも言ってるじゃーん!」



しゅうちゃんに追い付こうと



少し早足で歩くと



しゅうちゃんの彼女



桜先輩が甘えた声で言っているのが



聞こえてきた



私も三年生だったなら



桜先輩の変わりに、なんて事



嫌でも思ってしまう



「悪い悪い、次からはちゃんと待つから



そんな怒んなって!」



そう言って、さりげなく頭を撫でて



手を繋いで、先を歩いて行く



桜先輩の場所が



私に変わる事は無い、だろうな



少し涙目になったけれど



直ぐにニコッと笑い



横で待っていた幼なじみ



陽くんと帰路を歩き出す



「またあいつ見てるよ。」



「み、見てない見てない!」



余りにしゅうちゃんを見過ぎて



最近陽くんにバレかけている



気おつけなきゃだ



「そーいや今日さ



一年の可愛い子に告られた。」



何度目かのそのセリフ



サラッと自慢して来た陽くんの顔は



本当に整っていて



否定出来ないから、ムカつく



「陽くんに告る子本当の陽くん



知らない子だわ絶対。」



馬鹿らしい会話をしていると



いつの間にか陽くんの家に着いた



バイバイと別れ



私も自分の家に帰った



「ただいまー。」



気だるげに呟いて



直ぐに二階へGO



そして、LINEを開く



《ごめん。今日桜が家に居る。》



しゅうちゃんからのそのLINE



=今日は通話出来ない



そういう事



返すと、桜先輩にバレるから



《いいよ。》と言われるまで



返信は返さない



こんな日はいつも



しゅうちゃんとのやり取りを



見返している



《好きだよ。しゅうちゃん。》
既読 21:19分


《俺も好きだよ。》
21:19分


既読が一分以内な事が



とってもとっても嬉しくて



返事がいつも一言なのは



最初は寂しかったけど



慣れてしまえば、それさえ愛おしくて



幸せな気持ちに浸っていた時



《新着 いいよ。》



そんな文字が目に飛び込んできた



《通話掛けていい?》
既読



《うん。》



すぐさま通話を掛けて



更なる幸せに堕ちてゆく
















「桜先輩、可愛いよね。」



「鳴乃の方が可愛いよ。」
















「桜先輩、好き?」



「鳴乃の方が、無限倍好き!」
















「愛してる?」



「愛してる。未来の嫁だもん。」

















私は、いつもこう



桜先輩に勝っていると思いたくて



桜先輩より上がよくて



ずるい質問ばかりする



それが分かってか分かっていないのか



定かでは無いけれど



しゅうちゃんは全部に



甘えた声で返してくれる



出会ってはダメだった



恋に落ちちゃダメだった



幸せになっていいはずが無かった



それでも今



”不幸”と言う借金を背負い



”幸せ”と言う対価を買っている



「鳴乃ー、ビデオ通話しよ?」



「いいよ。今ONにするねー!」



パッとビデオをONにして



スマホを横にセットした



「かわい。」



両腕に顎を乗せながら



クシャッと笑って



そんな甘い言葉を言ってくれる



しゅうちゃんが



本当に愛おしく感じた



「私可愛くないっての!」



そんな事を言いながらも



内心嬉しくて



画面の隅に小さく出ている



私の顔は



とても、ニヤけていた



「俺、卒業したくねーなー。」



ジーッと画面を見つめていると



ふと、しゅうちゃんがそんな事を言った



「…桜先輩と離れたくないの?」



少し不安になってそう言うと



「お前と離れたくないんだよ。」と



優しい声でしゅうちゃんは言った



ダメだよ私



浮気相手なんだから



そうは分かっていても



辞められないのが、恋



辞めたくないのが、恋



「あ、飯食ってくる。」



「おけ!行ってらっしゃい!」



ご飯かぁ、と



少ししょんぼりしていると



画面いっぱいに



しゅうちゃんの口が近付いてきて



「ちゅっ!」と



そう言ったしゅうちゃんのおかげで



あははと笑えた



「もっ、急にビックリしたじゃーん!」



「すまん!でも笑ってくれて良かった。」



ニコッと笑うしゅうちゃんは



神様そのものだった



「じゃぁ、切るね!」



そう言って、通話終了ボタンを



押そうとした



「待って。お返しまだじゃん。」



あと、1cmくらいで



通話終了ボタンに触れるって時



しゅうちゃんがそんな事を言った



「お、お返しー??」



「ほら、早くー。」



待ちきれない、と言うように



しゅうちゃんが顔を近づけたり



離れたりを繰り返して遊び出した



「わ、分かったよ!ん、ん!」



ちゅっ!とは言えなかったけど



私の羞恥心メーターは



限界を超えていた



「かーわい。じゃ、行ってくる。」



「う、うん。行ってらっしゃい!」



ツーツーツー



通話終了後も



幸せで



しばらく体温が下がらなかった



「鳴乃!ごーはーんー!」



お母さんのその声で



正気に戻って



顔をパンっと1回叩いてから



ご飯を食べに下に行った



ハンバーグの美味しさよりも



しゅうちゃんとの幸せ時間の事が



頭の中を埋めつくしていた



次の日



「桜ー。行くぞ。」



「あ、はーいっ。」



玄関先で、しゅうちゃんと



桜先輩の声が聞こえた



心無しかしゅうちゃんの声に



愛が籠ってなくて嬉しかった



そんな事で喜ぶ自分が



最低で、消えたかった



「おはようございます。先輩。」



「おはよー。」



悪魔でも



彼氏の知り合い後輩Aとして



桜先輩に認知されるよう



学校で話すのはこの言葉だけ



好きだよ。と



心の中で呟きながら



私はしゅうちゃんの横を通り過ぎた



私の横を歩く陽くんも



しゅうちゃんに「ちゃす。」と



適当な挨拶をして



私と一緒に歩き出した



しゅうちゃんと私が



不倫関係になって一年半



二度目のハロウィンが近づいてきた



今日も家に帰って



しゅうちゃんと通話をして



それが、当たり前だって



勝手に思ってた



《鳴乃さん。私です。



桜です。明日の放課後



屋上で待ってます。》



家に帰って、直ぐ



しゅうちゃんとのLINEに



そんな文章が送られてきていた



桜先輩に、バレたんだ



そう思うと冷や汗が止まらなかった



《分かりました。》



とだけ送ると



一時間後、既読がついた



何の気力も無く



ただ、終わるのが怖くて



泣いて、泣いて、泣きまくった



怖かったから



苦しかったから



桜先輩、ごめんなさい



私、しゅうちゃんが好きです



泣き疲れて眠ってしまった



気付けば10月31日



ハロウィンを迎えていた



「本日は、皆さんお待ちかねの



ハロウィン!今日は_。」



何も楽しくないや、と



心が泣いている



今日の、放課後が怖すぎる



そんな事、言える訳なくて



恐怖に震えながら、家を出た



学校までの道が遠く感じた



陽くんの声が遠く聞こえた



何もかも、上手くいかなくなった



「鳴乃さん。おはよう。」



早く、早く



桜先輩に会わぬようにと



願っていたのに



「おはよ、ございます。」



通り過ぎようとした



怖かった



怖くてたまらなかったから



「今日の放課後、待ってるから。」



早足で通り過ぎる間際に言われた



その声は怒りに満ちていた



潰してやりたい、とでも



言い出しそうな程に



「鳴乃、ごめん。」



しゅうちゃんのその言葉に



返す余裕も無かった



陽くんの何したんだと言う怒鳴りも



無視してしまった



そして、来て欲しくなかった放課後が



チャイムと共に、やって来てしまった



「…失礼します。」



ギギギと音を立て



開いた扉の先には



桜先輩としゅうちゃんが



何処か距離をとって立っていた



「鳴乃さん、いつからかは聞かない。



何で、周平を選んだの?」



怒りをグッと飲み込んだ声で



桜先輩に聞かれた



答えなくては、と



震える声で必死に答えた



「そう。よく分かったよ。」



桜先輩は声色を変えることはなく



淡々と喋った



「周平は、何で私が居ながら



鳴乃さんと付き合ったの?」



”私を捨てて”とは言わなかった



まだ付き合っていると



嫌でも連想させた



「鳴乃の真っ直ぐさとか



優しさ、面白さ、とかに惹かれた。



桜が居たのは、忘れなかった。



でも…でも、ごめん。本当。」



しゅうちゃんが声を震わせ



桜先輩に



そして、私に謝った



「周平の気持ちも分かったよ。



今回の件は、無かった事にするね。



でも、もう二度と



〘二人共、関わらないでね〙_。」



桜先輩のその言葉が



心にグサッと刺さった



もう二度と、話せない



そういう事だと、理解した



「桜。それは、辞めて欲しい。



後輩として、関わったって…。」



「ダメに決まってる…っ!



何で、何でこんなへなへなしてそうな



こんな子に、私が負けたの…?



オシャレも頭の良さも全部



私の方が、頑張ってるのに…!!



周平に捨てられるような訳…っ。」



桜先輩が



精一杯で私を貶した所で



私は崩れ落ちた



私がしゅうちゃんと



釣り合うわけなかったんだ



「ごめ…なさい。



ごめん…な…さぃ…っ…!!」



ごめんなさい



ごめんなさい、ごめんなさい



声が枯れるまで、謝って



謝り続けて



気付けば



しゅうちゃんも桜先輩も



居なかった



真っ暗な道を



一人で帰った



家に帰って



ハロウィンだった事を思い出す



「お菓子…要らないから…っ。



しゅうちゃ…が欲しかったよ…ぅ。」



声が、枯れた



叫んだ、叫んで



疲れて、でも



しゅうちゃんの



しゅうちゃんの”好き”が



ずっと、ずっと



頭の中で響いていた



数ヶ月後、当たり前のように



先輩は卒業した



その次のハロウィンも



その次のハロウィンも



しゅうちゃんの事は忘れられなかった



20歳になって初めてのハロウィン



大人になった陽くん



私の彼と



街を歩いていた時



「鳴乃。」と



しゅうちゃんが私を呼ぶ声がして



後ろを見たけど



誰も居なかった



きっともう二度と



しゅうちゃんの事は



忘れられないと思う



それでも私は



前に進むしかないんだ



しゅうちゃん



初めて本気で愛した人



「鳴乃。」



愛おしい声で



私を呼ぶ声は、もう二度と聞けない



それでも私は忘れない



きっとずっと、好きでいる



「鳴乃!」



「今行く!」



立ち止まった足を今



陽くんの元へ、進めるんだ_。

Raimu・2020-10-31
ハロウィン
小説
悲しいハロウィン
ポエム
浮気
禁断の恋
先輩
長編小説
HappyHalloween
失恋
感想欲しい

これらの作品は
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私が最後に笑ったのは、
いつの事であっただろうか_。

ふと、そんな事を思った。

程よい涼しさを感じながら

駅のホームで電車を待つ。

ホームの屋根と柱の隙間から
今すぐにでも、雫が滴りそうな空を見た。

何故だろう。

心の底から、笑わなくなったのは。

少し湿った空気が、私の肺に

直接入り込む様で、息苦しくさせる。

静かに深呼吸をしてみても、今1つ

スッキリしない。それどころか

モヤモヤは積もっていくばかりだ。


思わず、溜め息が溢れる。

あの人と居れば、
それを気にする事無いのに。

最近は1人になると、いつもこうだ。

全く情けない。自身でもそう思う。

あの人の他愛も無い話題に

心の底から笑っていた。

実を言うと今日はその人の

誕生日である。だからと言って、

メッセージを送った事など無かった。

周りの人が言っているのを聞いて、

流れで祝福してた。

「今、何してるかな…」

スマホの画面を表示させ、LINEを開く。

あの人の名前にそっと触れた。

そしてそのままメッセージを打ち込んだ


《お誕生日おめでとう》


生まれて初めて異性に、
こんなメッセージを贈る。

送信ボタンを押そうとする手が、

少し震えてた。

送って良いものなのか迷った。


内実は送りたい。

接触を図りたい。


我ながら気色の悪い奴だって
分かってる。

だって私はあの人の

何でも無いのだから。


悩んだ末、送信ボタンを押した。


《ありがとう。》


春の終わり頃、微風が吹いていた。

魁 霧雨 ( '-' ) #寝・2021-01-28
ぴったり200文字で小説書いてみようチャレンジ
感想欲しい
意味不((
終わり方が微妙((
小説
小説風
頑張りました))
光と影
独り言
好きな人
辛い
短編小説

『君へ飛ばす紙飛行機』


コラボ__raimu






「うわ、碓氷」


「もうオーラが怖い」


「何もされませんように」








全部聞こえてるっつーの


睨みつけるように声の方向を見ると


すぐに皆怯えた顔をして逃げていく









弱い人間だらけのこの世界


俺はこの世界が大嫌いだ






「晩ご飯は自分で買っておいで」


「お母さんたち忙しいから1人で食べて」



「いい子にしててね」





そんな冷たい親も





「お前は頭がいいなあ」


「飲み込みが早い」



「天才だろうな」





そんな事しか言えない先生も








「碓氷君って完璧だよね」


「うん、悪いとこないって言うか」




「碓氷俺らの事下に見てるよな」




そんな勝手に決めつける友人も







この世界の全てが嫌いだ






だったはずだった






「ヤンキー君」


そう笑う君に会うまでは









影で隠れてコソコソ俺の事を

悪く言うやつは多くいる



だけど、面と向かって言ってきたのは

初めてだった






『は?』


「変な顔〜」



ふふなんて声を上げながら笑うこいつ



バカなのかと思った


と同時に興味が湧いた






『お前、俺が怖くねえの?』


「ヤンキー君は私の事覚えてない?」






予想だにしない質問返しだった




『どっかで会ったことあるっけ?』


「覚えてないなんてひどいなあ」



言葉と表情が合っていない



『お前、どこで俺とあった?』



「さっきからお前お前って

私の名前は林 穂乃香!」




『林穂乃香、どこで俺と会った?』




すると林穂乃香は吹き出すように笑った



「さっきと全く同じセリフを

フルネームしかも呼び捨てを代入して

言うとか笑わせに来てる??」


笑いながらの声は

デカくてうるさくて

でも、俺の近くではあまり聞かない

楽しい声だった



『代入っていう表現はだせえ』



そういうと林は俺に笑って見せた



気づいたら俺も笑ってた









誰もいない広い家に帰って


俺が1番にすること





それは手紙を書くことだった



最初はほんの出来心



まだ林と会う2年くらい前

俺が1番グレていた時期だった






誰もから否定され続けていた時



小さい時一緒にお手紙で

大好きだった友達と話していた


女か男かもどんな奴かも覚えてない


自分がどれだけ人間に興味ないのか


過去の自分もそうだということに


失望しながら思い出す




そして




手紙を書き、紙飛行機にして

飛ばした





別に返事なんて求めてもないし

返ってこなくてもなんとも思わなかった



ただ、自分の気持ちを吐き出す

そんな機会はここだけだった








【変な女と出会った


久しぶりに楽しいと思えた

まだ俺も笑えるってわかった】




これだけ書くだけで

なぜか涙が溢れていた






手紙のすみに涙がおちて

慌てて涙を拭う





『なんで泣いてんだよ、俺』





紙飛行機を飛ばした




【昨日の女とまた話した

やっぱり変なやつだけど

嫌いにならないのは不思議だ】





その次の日も




【例の女と昼飯を食った

誰かと飯を食うのは何年ぶりか

と思うほど久しぶりだった】





その次の日も




ずっと_____








「碓氷くん、また明日〜」


「碓氷、またな!!」






放課後クラスメイトが手を振ってくる




『おう!またな!』





これが俺の最近の日常だ








「あ〜あ、ヤンキーくん

もう、ヤンキー君って呼べないや〜」





『いや、もう呼ぶなよ

もうあだ名みたいになってるの

なんなんだよ』




2人で顔を見合わせて笑う




「クラスメイト変わったね〜」



『いや、俺が変わったからだろ』



「君は、なにも変わってないよ

ずっと、ずっと、そのまんま」




林は時折、変な発言をする




そして、そんな時1人寂しい顔をする








『なあ』


俺が手を伸ばすと林は笑って



「ヤンキー君、私もう強くなったよ」




意味がわからなかった


ただ、言葉が出ず、呆然と立ち尽くした




「ヤンキー君、ばいばい」




気が付けば君の右手を握っていた



力の限り、強く強く






林は驚いた顔をしてみせる



驚いてるのは俺も一緒だった






なぜ自分がこんな行動を取っているのか_


なぜ林が泣いているのか_____







『林、泣いてる』



俺が驚いて固まった時


林は勢いよく俺の手を振りほどいて


走っていた






追いかけるほどの精神強さは

持ち合わせていなかった













【大好きな人の様子がいつもと違った

いつも笑顔なのに泣いていた


何も分からない自分に腹が立つ


明日、また名前を呼んで笑ってよ】





涙の跡でグチャグチャの手紙




過去一汚い手紙





過去一想いの詰まった手紙









その日夢を見た



3歳ぐらいだろうか?



小さな男の子と女の子が

手を繋いで遊んでいた


仲良く笑いあっていた






そして、2人は小学生になっていた



いつも2人

隣で笑いあっていた



そんな時、突然女の子の方が

笑わなくなった




そして、学校に来なくなった







そんな日の空には紙飛行機が飛んでいた










【ほのかちゃん

ぼくのせいでほのかちゃんが

ないちゃうのはいやだから

ぼくつよくなるよ。

ほのかちゃんをまもるよ】





そんな大小バラバラ

ひらがなだらけの手紙の紙飛行機が
















目が覚めた時、泣いていた



全てが繋がった気がした











朝いつもより早く家を出た


いち早く学校に行きたいと思うのは


これで最初で最後だろう










必死に足を動かした











途中信号が点滅していたけど

無視して走った


そんなの気にしてられない






ブーーーーーーーーー!!!!




近づく大きなもの


反射的に目を瞑って立ち尽くした







ガン!ガチャン!!!!!!!!

キャーー



大きな音


同時に激しい痛み


誰かの叫び声








何が起きたか分からないだけど、


温かさを、感じた













ピッピッピッピッ



一定の音が耳に入る







目を覚ますとそこには

変な顔をしている両親がいた



俺を見て、涙を流していた




『仕事は?』



俺はどこまでも可愛くない子供だと

思った






「バカなの!?こんな時に仕事なんて

しないわよ!!


心配したんだから


小さい頃からホントに大変だったわ」




なんて涙を拭いながら

俺に微笑みかける母親を見て


懐かしさを覚えた自分に対して


違和感を覚えた







『俺、もしかして小さい時も

事故にあってたりした?』





そう恐る恐る聞いた時


母親は驚いた顔をしていた







そして、全て聞いたんだ

自分の過去の話






小さい時俺には大好きな女の子が

いて、その子といつも一緒にいたらしい







自慢ではないが

子供の俺が見ても美人だと思う母の

子供なのだそこそこの顔だし

運動、勉強には自信があった





だから、その女の子はいじめを受けた

らしい、俺といるせいで





そして、俺はその事を知って


手紙を書いたらしい


それを紙飛行機にして飛ばした





この前の夢と多く繋がる所があった









そして、その次の日

俺は彼女に手紙が届いたか聞きたくて

急いで学校に向かったらしい




そして、その登校時

交通事故にあったらしい



しかも、その女の子の目の前で







そして、俺は記憶があやふやになった

そうだ





その女の子に関してのことは

特に覚えていなかったらしい












『なあ、その子の名前

なんて言うか覚えてる?』




「覚えてるわよ、えっとねたしか


_________」




聞いた瞬間いてもたっても

いられなくなった





「今日一緒に運ばれた女の子

も今目が覚めたそうですよ」



看護師の声が聞こえた





一緒に運ばれた女の子?


誰だかは分からなかった





でも、ただ本能的に?


感情に任せて俺は走った









ガラガラガラガラ



勢いよくドアを開ける





『ほのかちゃん!!!!』






「思い出したの?」




不安そうな顔

寂しそうな顔

泣きそうな顔


もう見飽きたよ


『うん、全て思い出したよ

俺がグレたのはお前のせいだったってな』



わざとらしく彼女に笑う



彼女はただ、涙を流していた




『ずっと辛い想いさせてごめん』




そう言って微笑みかけると




「とおるくん」



涙でグチャグチャの笑顔で笑ってくれた








そして、その時


ピピピピピピピピ




嫌な音がした






『ほのかっ!!』


「とおる、ごめんね」




そう言って目を閉じたほのかは

もう二度と目を開けなかった














【とおるへ


これを読んでいるって言うことは

私はもうこの世にいないのかな?


っていうフレーズ書いてみたかったから

念願のフレーズ書いてみました



とおるくんは馬鹿って笑ってくれるかな


まあ、私の事大好きだから

寂しいって泣いてるだろうね〜



私病気で死ぬんだ


ってとおるくんに伝えれてた?



まあ、よわーい私だから

たぶんまた逃げたかな〜



小さい時もそうだったんだよ


まあ、とおるくんは忘れてると

思うけど笑






そういえばあの毎日飛ばしている


紙飛行機の手紙


受け取ってるの私だからね笑





君が私の事語ってるの見てたよ〜









言いたい事は沢山あるんだけど

全部まとめると




ごめんね、ありがとう、大好きだよ









林 穂乃香より】





そんなふざけた手紙を残して



















__________________


【林 穂乃香へ


手紙受け取った

あんなんふざけてるだろ笑



泣いてるってわかるなら

穂乃香が笑わせろよ



これから俺は穂乃香を忘れないし

ずっと大好きなままだから




まあ、俺がじいさんになるまで

そこで待ってろよ笑




ていうか、俺全て思い出したからな




またじじいとばばあになって

顔を見合せた時



思い出話でもしようか





俺も文句沢山あるけど1つ


今までもこれからもずっと好きだよ







碓氷透より】










僕が飛ばす最後の紙飛行機は

君へのラブレターだから_











君へ届くまで

ずっと飛び続ける紙飛行機___

瀬音 蓮叶_・2020-08-30
小説
え、変?
感想欲しい
感情の波
あなたのそばに
ポエム
独り言
好きな人
辛い
夢でさえ
君へ飛ばす紙飛行機
晴れ渡る空に広がる光

「ごめん」と繰り返す僕を

誰かは嘲笑った









『ありがとう』とはにかむ君に

誰かは微笑んだ









「ばいばい」としか言えない僕を

誰かは軽蔑した









『またね』と手を振る君に

誰かは寄り添った










「大丈夫」と笑う僕に

誰かは呆れた










『助けて』と泣く君に

誰かは必死に手を差し伸べた










「好き」と言えない僕に









『好きだったよ』と告げた君



















「死にたい」と嘆く僕は

昨日を必死に探しながら生き

















『生きたい』と望む君は

明日を探しながら生きていく
















こんな世に“確かなもの”があるのなら







それは【今】という

もう2度と来ないこの瞬間なのだろう_

瀬音・2020-02-12
え、下手くそ?
感想欲しい
なんか久しぶりに書くと下手くそすぎて
ポエム
今という宝物
好きなだけなのに











『2分の1の僕ら』









「生徒会長が今1階にいるんだって」


「ええ!!あの生徒会長が??」


「うんうん!見に行こうよ!」


「うん!!」






何があの生徒会長だ



ただ1階をうろついてるだけで

噂になる生徒会長だとかいう奴は



俺の姉だった




小さい頃から

姉は完璧な人間だった





文武両道、優しい、顔が整ってる






そんな弟の俺だって

同じ血が流れてるはずだけど




全然違って






極普通の人間だった








数人の女子が昼休み俺の席に来た



「ねえ、__くん

__くんのお姉さんって家で

どんな感じなの?」





どんな感じと言えばいいのだろう




「たぶん、君達の思ってる様な感じ」






これが一番しっくり来た



それより僕は苗字が嫌いだった


だから、人に苗字で呼ばれると



背筋が凍るくらいきつい思いになる








なんだって


”あの生徒会長″と呼ばれる


姉と同じ苗字だから








嫌にもなるだろう








両親は俺と姉を比べたりはしない





だから、逆に自分で意識しては


自分に失望するの繰り返しだった











「お前また眉間にシワ寄ってんぞ」


「うっせーな」


「まあ、確かにあんな姉貴いたら

そうもなるわな」


「同情とかうぜえ」




顔を見合わせて2人で笑う




こいつと話す時だけ

悩みなんて忘れられる





好きとか嫌いとかそういうのじゃなくて

安心、安定


そんな感情がピッタリだ







『お弁当忘れてたよ』



ただそれだけで皆がこっちを見ていた





なんでかって?

そりゃ、皆大好きの生徒会長様が

教室に来たから




「ああ、ありがとう」




『ねえ、今日お昼一緒してもいい?』



「俺はいいけど」


目線をアイツに移すと


「もちろん、俺もいいよ」





『ありがとう』



よく、笑ってる顔は見ていた



だけどどこか違った











気がした











人目が気になり屋上で俺らは


ご飯を食べた






『学校でこの子どんな感じなの?』


「変なこと聞くなよ」




俺ら姉弟はあまり会話をしない




向こうが話しかけてくることは

あるけど




俺がてきとうな返事しかしないから

会話が続かない



という方が正確だろうか






『だっていつもあんまり話さないじゃん』



話したくないんだよ__




『いっつも眉間にシワ寄せて』



お前が完璧なのがわりいだろ__






『私なんかより恵まれてるくせに』




プチン_


何かが切れた音がした





「うっせえな!!

さっきから聞いてりゃ好き勝手

言いやがって


俺がお前のせいでどれだけ

苦しんでるのか知らねえくせに」








「おい、お前それは言い過ぎだろ


ちょっと待てよ」




アイツの呼び止める声が聞こえたけど

無視した





走った




走って屋上から離れた





途中何人にもぶつかった





「ごめん」の声も出なかった








キーンコーンカーンコーン





グラウンドの隅

いつも通りのチャイムの音を聞く







ザッザッ



誰かの足音が聞こえて

必死に隠れようとしたけど遅かった

みたいだった




「こんなとこに居たのかよ」





俺が黙ってるからだろうか


アイツも黙った






それから俺の隣に座った




「お前、何してんの?

授業始まるだろ??」




驚いて立ち上がった俺を見て




「それこっちのセリフだから

お前、靴も履き替えずに何してんの」






そう言って笑ってきた






「生徒会長様はなんか言ってた?」





「それは本人に聞けば?」





そう言って俺の後ろを指さすコイツを

見て




俺は何も考えずに

後ろを向きそのまま呆然と立ち尽くした





『ごめんね』



ずっと泣いてたのだろうか


弟の俺が見ても整ってた顔は


もうぐちゃぐちゃで目も腫れていて







「ブサイク」




そう笑った時





『誰がブサイクなのよ!

同じ血がかよってるんだから

あんたも同じ様な顔なんだからね』





そう言って頭をぐしゃぐしゃにする


姉の仕草をみて







懐かしく思った





小さい頃は良くこんな事

して貰ってたんだっけな?







『私ね、友達がいないんだ』




1人でボソボソ話し始めた





『ずっと、皆私を遠くから

見てる感じで友達って言える人が

いなかったの』




思い返してみれば


姉が家に友達を連れてきたことも


友達と歩いてるのを見たことも


なかった






『でも、アンタはいっつも

友達作りが上手で

家でもその話してる時

すっごい良い顔してたし

学校で友達と小突きあってる時

楽しそうで羨ましかったの』







完璧だと思っていた姉は


誰よりも弱くて脆くて






まだまだ子供なただの普通の人間でした


















「ねえねえ、神崎君

神崎君のお姉さんって家で

どんな感じなの?」








「多分、君達の思ってる様なのとは

違うと思うけど

弱くて脆くて自慢の姉だよ」






これは、2人で1つの姉弟の物語

瀬音 蓮叶_・2020-08-23
感想欲しい
贈り物
ポエム
独り言
小説
あなたのそばに
友達
姉弟
好きな人
辛い
死にたい
















【過去へ幸運を、未来へ幸運を】










僕には大嫌いな人がいた





『菫ちゃんは優しいね』

とても優しい人だった





『菫ちゃん頭いいね』

とても賢い人だった





『菫ちゃんは仕事早いね』

とても効率の良い人だった





『菫ちゃんはなんでもできるね』

僕なんかに勝ち目はない、そんな人だった












ある日、その人はこの世を去った__












『菫…菫…』

『菫ちゃん!!』


親、親戚はもちろん、友達や部活の仲間

皆が菫を呼ぶ声で耳が張り裂けそうだった







その場を逃げ出した







『蘭は何で何も出来ないの!

菫は何でも上手にこなすのに!!』



『蘭くん何も出来ないよね

妹はあんなになんでも出来るのにさー』



『蘭くんて、可哀想だよね』





なんでこんなタイミングで思い出すのだろう


「うるさい!うるさい!うるさい!」


周りの目なんて気にならなかった

周りの目にまず気づいていなかった






僕が出来損ないで妹が完璧な子であることくらい

僕が1番わかっている






こういう思考に陥った時必ず僕は思う


「僕ほど不幸な人間なんているのか」


この世で1番不幸なのは自分だと








僕には過去の妹との記憶はない

何故か分からないけど思い出せない




思い出そうと頭を抱えた












その時、小さな女の子がボールを追い掛けて

道路へ飛び出すのが見えた





菫だったら__

そう思うとすぐに僕は動いていた



自分でも驚くほどだった




『危ない!!!』

誰かの声




キィィィィィ

大きなブレーキ音




それから確かに感じる胸の中の温もり



僕は目を閉じた














『お兄ちゃん!』


小さな女の子の走る姿が見えた



『お兄ちゃんこんな所にいたの?』



女の子が駆け寄ったのは女の子よりは

少しだけ大きい男の子だった




2人ともまだ4、5歳というところだろうか




『今日は菫の誕生日だから、早くお家帰ろ!』



そう女の子は言って男の子の手を引っ張る



「菫、ちょっと待って

お兄ちゃんから菫に誕生日プレゼントあげる」



『何くれるの!!??』


嬉しそうに跳ねる女の子に男の子は

そっと何かを渡した




「前から欲しいって言ってただろ?」


女の子は涙を流していた


『お兄ちゃん、ありがとう』



「もう、菫は泣き虫だなあー

よし帰るぞ」


そう男の子は女の子の頭を撫でなでた



『お兄ちゃん』


「ん?」


『私______』













ピッピッピッピッ

一定の無心な音が聞こえる




『…ん……らん…………蘭!蘭!』




目を開くとそこにはげっそりとした親の顔




「え、何」



『蘭、私よ?分かる?』


『俺だ、分かるか?』



「何言ってんだよ、お母さん、お父さん

わかるに決まってるだろ?」



そう言うと2人とも涙を流し僕を撫でた




「うわっ、ちょ、やめろよ」



『蘭、事故とか言うから

また記憶失くしたのかと思ったのよ』




「また?」



すると2人で顔を見合わせる親



それからゆっくり話を聞かせてくれた









小さい頃僕達、兄妹はとても仲良く

近所でもとても有名だったらしい



そして菫の4歳の誕生日

交通事故に合いそうになった妹を庇い

僕は意識不明の重体


そして、目を覚ました時


僕は妹に関することは殆ど忘れていたという







妹は酷く悲しんだという


でも、僕が事故にあったのは自分のせいと


自分をとても責めたらしい
















そんなこと聞いたところで

菫がいない今となっては何も出来ない










『今日、何の日か知ってる?』


お母さんはわざとのように笑ってみせていた



「知らない」




『蘭の誕生日よ?』




「え?」




『蘭ね、2週間くらい寝てたから』




もう、菫がこの世を去って2週間も経つらしい






『それでね、菫から蘭に誕生日プレゼント』


部屋を片付けてたらね、出てきたのよ

と付け加えお母さんは僕に封筒を渡した







封筒を開けるとそこには手紙が入っていた






『お兄ちゃんへ


まず、誕生日おめでとう!!


最近なかなか話せなくて寂しく思っています




お兄ちゃんは小さい頃沢山遊んだ事覚えてる?


覚えてないよね笑



全部私のせいだもんね、ごめんね




小さい時からお兄ちゃんは私のヒーローなんだ



いつも私の手を引っ張ってくれるヒーロー




お兄ちゃんとならなんでも出来るって思うの



私が4歳の誕生日はね私には忘れられない日なんだ



あの日に言った事ね、私忘れてないし

今でも思ってるからね



こんな事でお兄ちゃんがまた思い出してくれると

嬉しいななんて思ってます



プレゼントも喜んでくれるといいな



いつもありがとう、世界一だいすき


菫より』





それから封筒に手紙を戻そうとすると

封筒からヒラヒラと何かが落ちてきた





『わ、綺麗な四葉のクローバーね』

そこには綺麗な形の四葉のクローバーがあった




『菫、そんなにすごいこと書いてたの?』


「え?」


『ほら、だって蘭、泣いてる』




指摘されるまで、気づかなかった


頬を伝う水滴に





「なあ、お母さん

僕さ、菫の事大嫌いだったんだ




僕より何もかも上手でさ悔しくて



でもさ、やっぱり妹って可愛いなあ」




涙が溢れて止まらなかった








菫の4歳の誕生日



ずっと菫が欲しがっていた四葉のクローバーを

渡した僕にこう言ったんだ



『私、お兄ちゃんみたいになる!』



何の捻りもない真っ直ぐな言葉


とても嬉しかった事を今でも思い出す






『ほんとに2人は幸運を運んでくる子供なのね』



「なんで?」



『だって

四葉のクローバーの花言葉は幸運でしょ


それからね、蘭と菫


2人の名前もねわたしがつけたんだけど


花言葉で、幸運ってある花の名前なのよ


で、蘭も菫も優しい人を気遣える

子に育ったでしょ?



もう、幸運を運ぶ雲みたいね』





僕と菫にもう、新しい未来なんて

創り出せないけれど


確実に歩んできた過去を頼りに

僕の背中を押してよ




ねえ、菫


これからも君のヒーローでいるからさ

そこで見守っててよ






そう四葉のクローバーを眺めていたら


背景だった空の雲が大きく動いていた__

瀬音 蓮叶_・2020-12-27
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小説
雪の降る夜に君と
アイを知った時
暗闇は続くばかり


前の学校で虐められ転校してきた俺


どうせこの学校でも虐められる


別に友達なんて必要ない、寂しくもない


『こんにちは!颯太くんだよね?』

誰だよこいつ

「...」

『ねえってば!』

しつけーな!!

「んだよ、」

『やっと返してくれたっ!

はじめまして、私陽菜よろしくねっ!』

「お、おう...」

それから陽菜はことある事に

俺に話しかけてきた

『颯太くん一緒にご飯食べよ!』

『颯太くん次移動だよー』

『颯太くん!ふふっ

はいっ!これプレゼント

今日誕生日でしょ?』

今までこんなやついなかった。

なんか心があったくなるな...

優しくされると涙が溢れてくる

「陽菜...」

『えっ?』

「いつも話しかけてくれてありがとう

優しくしてくれて本当にありがとうな」

照れるのを必死に隠しながら

笑顔で言ってみた

そしたら陽菜が

『あったりまえじゃん!

私たち友達でしょ?』

「友達か...」

『うん!!!』

こいつ凄いやつだ

閉ざしてた心に土足で上がり込んできて

勝手に居座って心を開かせようとする

こいつやっぱり凄いやつだ

まるで太陽みたいだ

人の心を暖かくさせるそういう奴だ

るきやっす、、、・2019-09-25
ポエム
独り言
小説
的な?
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太陽
自分だけの宝物
満月の夜のお話









『まま、。』NO.5










その日はよく晴れた日だった



いつも通りの日々が続くって



普通があるもんだって



勝手に思ってた



「ねぇ杏ちゃん。」



急に白くんが話しかけて来た



白くんの口から出た事実に



私は混乱が止まらなかった



「僕は、産まれて一週間で



直ぐに死んでしまう



病気を持って産まれるんだ。



ママが今朝、夢に出てきて



泣いてたんだ、僕のせいで。」



”出産前診断”と言う



出産前に胎児に病があるか調べる



検査があると言う



それで、白くんは_



「ねぇ杏ちゃん。幸せになりなよ。」



優しい言葉なのに



心がズタズタになった



白くんと一緒に



下の世界で笑い合いたいと



願ってしまったから



「ねぇ、ねぇ白くん…。



白くんと下の世界で会いたいよ。



会ってね、またシロツメクサの



かんむり作ってよ…。白くん。」



ギューッと



聞こえる程強く



私は白くんを抱き締めた



でも、抱き締め返って来る事は無く



「僕、明日



滑り台滑るから。ママ、見つけたから。



今日で最後だね、杏ちゃん。」



と、言い残して消えて行った



いつの、間に



いつの間に白くんは



ママを見つけたんだろ



私が寝てた間かな



寝なきゃ良かったかな



どうしたら、一緒に居てくれるのかな



もう居なくなった



私の隣を



私はいつまでも見つめていた



ご飯なんて、喉を通らなくて



新入りさんにすら心配された



白くん



その名を呼ぶだけで



心が痛むよ



ポトリ、ポトリ



白くんの顔に涙が落ちてしまった



「…杏ちゃん。」



茶色に光る優しい瞳と



目が合って



思わず涙が出た



「…大好き。」



困るって分かってたのに



私は言ってしまった



「…大嫌い。」



そう返ってきた時は



泣きそうになったけど



「大好き…!」



私はめげずに言い返した



「…大嫌い。」



「大好き!」



「大嫌いだ。」



「大好きだ!」



「…大嫌いなの!」



「…大好きなの!」



その内白くんは



泣き崩れた



「…僕を…壊さないで。」と



それでも私は言い返した



途中で白くんは諦めて



震える手で私を抱き締めながら



「…大好き。」と言ってくれた



そして



”今日は滑らない”とも言ってくれた



「杏ちゃん。大好き!」



「へへへ、私も!」



あの日から、数日後



「杏ちゃんっ、大好き!」



「んもー!多すぎるー!」



白くんは



朝100回



昼100回



夜100回



私に大好きと言うようになった



そんな白くんが



たまらなく愛おしいと思ったのは



秘密にしておこう



「あのー、ご飯、



持ってきました。」



新入りのお兄さんが来た



私は、思い出して



お兄さんの元に走って行った



「お兄さん!昨日はありがとう!



凄くね、凄く救われたよ!」



お兄さんは昨日



白くんの事で落ち込んで



自分でおにぎりを取りに行く



気力も湧かなかった私に



おにぎりを渡してくれた



あの時は白くんの事で



いっぱいいっぱいだったけど



お兄さんにはかなり救われた



お兄さんは少し思い出したような



顔をして



やっぱり暗い顔になった



でも私はお兄さんと仲良くなりたいから



「お名前!なんて言うのー?」



暗いお兄さんに話し掛けた



「…悟。」



消え入りそうな声だった



でも、はっきりと聞こえた



「悟お兄さん!よろしくね!」



悟お兄さんは少し驚いてから



「よろしく。君は…杏ちゃん、だっけ。」



と、返してくれた



「うん!お名前呼んでくれたー!



ありがとー!嬉しい!」



初めて悟お兄さんと



まともな会話が出来て



喜んでいると



お兄さんは一瞬、微笑んだ



綺麗な顔だった



「じゃあ、また来るよ。」



悟お兄さんに手を振って



私はお昼寝をした





ーContinuedー

Raimu・2020-12-14
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〈潮騒に消える〉



もう一度、笑ってくれるのなら

僕は喜んで君の手を放す。



だから僕を忘れて

幸せになって__。




『ごめん、私のせいでごめん』

『永絆、別れよっか』

『彼女は記憶喪失だ』

『初めまして、従兄の悠生です』

『僕の親友、良い奴でしょ』



あー、なんで今思い出すんだか。


僕の頭に走馬灯が流れる中、

目の前では

誓いの言葉が交わされている。




海辺の教会の一角。

式も終わり、緩んだ空気の中。


幸せそうに笑う彼女と

隣の親友の元へ向かう。



「永絆、来輝。おめでとう」


「悠生さん!今日はありがとう」

「悠生。色々ありがとな」


笑顔の永絆の頭を撫でる。


そんな僕を見て言う来輝の礼には

きっと色んなモノが詰まってて。


「来輝、ありがとな」


溢れそうな涙を隠すように

二人を軽く抱きしめる。


「あの、悠生さん」

「ん?」

「私、今幸せです」

「「え?」」


思わず来輝と顔を見合わせる。


「なんか悠生さんには

言わなきゃいけない気がして」


なんでだろ、そう笑う彼女。


「永絆が幸せなら僕も幸せだよ」


あー、これで僕の役目も終わりだ。


「じゃあ飛行機の時間があるから

僕はこれで失礼するね」


「たまには帰って来いよ」

「和食作って待ってます」



片手を上げて背を向ける。

きっともう二人に会うことはない。



「永絆」


あの日からずっと身に付けていた

御守り代わりのネックレス。


それは…二つの指輪。


でもこれはもう必要ない。

僕の願いは叶ったのだから。



僕らの足跡はもう交わらない。


「愛してたよ」


想い出と共に。

僕は海へと投げ捨てる。



__Good luck to you.



それは掘られた文字と波に消えてった。

鵺月 澪生(最新投稿見て)・2020-08-16
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短編ってやっぱ難しい
僕には向いてない((
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〈最後に君の幸せを願えたなら、

それが俺の幸せです。〉後編



__懐かしい夢を見た気がした。


とても幸せで温かくて。

ずっと此処にいたくて。

でもどこか切なかった。



目が覚めるとベッドの上にいた。


「あれ?なんで、」

「起きましたか?」

「ハク、私」



「泣き疲れて眠ってしまったので

  そのまま連れて帰って来ました」


これじゃ本当に子供じゃないか。

ハクにも迷惑かけて。


「ごめん…」

「いえ、そのおかげで俺は

可愛い寝顔を見られたので」


前言撤回。

この死神には少し迷惑かけるくらいが

ちょうどいい。


「起きて早々申し訳ないのですが

  最後の心残りは、」


もうとっくに決まっていた。


「私の愛した人が眠る場所で

  ハクと答え合わせがしたい」


ハクの目を見て微笑む。


「だから次の木曜日、

私にハクの一日をちょうだい」


「…分かりました」


きっと、その日がハクと過ごす

最後の日になる。


そんな気がしていた。




ケッセンビ
木曜日はすぐにやってきた。


「おはよう、ハク」

「おはようございます」


「十四時に出るから

それまで私といちゃいちゃしよう」


「…は?」

突拍子のない私の提案に

ハクは目を丸くさせた。


「はい、まずはハグから」


手を広げ、彼に抱きつく。


「ちょ、美姫さん!?」


ここに来て、初めてハクが

あからさまな動揺を見せた。


「ねえ、ハク」

「はい?」

「大好きだよ」

「俺も貴女のこと嫌いじゃないですよ」

「うん、知ってる」


分かってた。

ハクの返し方なんて。


「死神って人間と変わらないね」

「変わらないのは外見だけです」


苦笑いするハクの手が

私の身体に回る。


やはりハクの温もりは

どこか安心感があって。


私はいつの間にか夢の中だった。



「…さん、美姫さん」

「んっ…」

「もうすぐ十四時になります」

「よく眠れましたか?」


私の髪を撫でる彼の目が優しくて。

擦り寄りながらも頷く。


「ならよかったです」

「みっつめ、行くの」


まだ寝惚けている頭を振り起こし、

二週間近くハクと過ごした家を

目に焼き付ける。




「今日も空が綺麗ですね」

遠い目をしたハクの呟き。


「本当こういう時は憎いほどに綺麗ね」

花を片手に相槌を打つ。


「あそこ、ですか?」

「そう」

沢山の墓石が並ぶ墓地。

そこのある一角にある

"千歳家"と書かれた墓。



「優白、久しぶりね」


持ってきた花を置き、手を合わす。


千歳 優白は私が高校生の時、

付き合っていた人で

交通事故にあって亡くなった。


あの頃の私は優白が全てで。


ずっと忘れられなかった。

何度も優白の後を追おうとした。

それでも死にきれなくて。


「…答え合わせしよっか」




「ハクは、優白なんだよね?」




そっと目を開けながら

後ろを振り向けば。


彼は泣きそうな顔で笑った。


「いつから気づいて…」


「確信をもったのは

  慰めて貰った時かな」


優白は私を慰める時、

抱きしめながら耳朶を触る癖があった。


「あの時も私の耳朶、

  触っていたでしょ」


「私、優白と、ハクと一緒に

  居られるならもう何もいらない」


「駄目だよ、美姫」

「これで本当にさよならだ」


それが彼の答えだった。


「美姫、愛していたよ。

最後に美姫と過ごせて幸せだった」


「私も、幸せだったよ!

だから置いてかないで」


「それは出来ない。

でもお前なら大丈夫だよ、

もう前へ進めるさ。

だって美姫は一人じゃないから」


「…さよなら、美姫」


伸ばした手は届かなかった。

最後に見た彼は

あの頃のように笑っていた。




「良かったのか?これで」


泣き崩れる彼女の姿に胸が痛む。

それでも、


「はい、これでいいんです」


死神の役目は死の境を彷徨う者に

正しい道を示すこと。


美姫はまだ、その時じゃない。


"もう一度、美姫の傍に居たい"


そんな俺の我儘の為だけに

心残り解消だなんて時間を設けた。



「お前の魂を賭けるほどの

  モノだったのか?」


「俺のいない世界でも

  彼女が幸せだと笑って暮らせる。

  それが俺の幸せなんです」


「とんだ物好きもいたもんだ」


「俺の先輩が貴方で良かったですよ」


俺の魂が消える瞬間、

彼女はきっと目を覚ます。


これでやっと

俺の心残りは無くなる。



沢山泣かせてごめんな。

その分、他の誰かに

沢山笑わせてもらえ。


そう願った瞬間、俺の"灯火"は

儚く散った。



ーENDー

鵺月 澪生(最新投稿見て)・2020-07-24
小説
完結
感想欲しい
三篇読んでくれた人ありがとう
後日、サブ垢にて番外編と後書き書こっかなとか
好きな人
報われない
辛い
独り言
ポエム
願い星に音を込めて








『君が居た、いつかの夏』
















「やあ、美しいお嬢さん

今夜は素敵な夜だね

お名前は?」


『……誰、あんた』

















夏風吹く夜のこと。

何となく誰もいない所へ行きたくなって
ふらりと家を出たのは30分程前。


目的地に着く頃には

そうなった理由も忘れていた。







ここは天に最も近い場所。

空に呑まれるような錯覚を起こす


誰もいない、特別な場所……だった。


「ふふふ、つれないねえ」

『黙れ、どっか行って』




見知らぬおっさんが来るまでは。











1人になりたい気分だって言うのに
ぺらぺらと話しかけてくる。


せっかくのいい気分が台無しだ。


「―――でね、

おや、聞いているかい?」

『聞いてない。黙ってて』

「つれないこと言わないでくれ。
折角こうやって会えたのいうのに」


『あんたが勝手に来たんだろ。
第一、あんたのことなんて知らない』


「それは残念だ。

わたしはお嬢さんを知っているよ」


『……。』

「理解し合えるとも思っている」

『ハッ!泥棒と理解し合えると?』

「ああ、もちろんさ。何故なら


____私も泥棒だからね」



私達は数分黙って見つめ合った。

どこまでも透き通った瞳に
嘘の色は見えない。


それがどうしようもなく、

『、むかつく。』

「おや残念、振られてしまった」

一ミリも残念そうじゃない顔は
腹が立つほど整っている。







何をするでもなく
空を見つめ続けて数時間。

世界は朝を連れてくる。


____夜明けだ。


「夜明けか」

『いつまでいるの』

「ふふ、何時までも。
と言いたいところだけれど、残念。」


お別れだ、と微笑む
そこにはなんの感情も見られなくて。

『…ねえ、』

「ん?」

『あなた、何を盗んだの』

「何を、か。色々さ」


言葉、心、愛、命、音、作品

男が盗んだと言った物は
そのほとんどが形のないものばかり。


『そんなに盗んで、何が欲しかったの』

「おや。欲しいものを聞くなんて
君も泥棒ならわかるだろう?」

『…さあ、知らない』


朝焼けの下で透けていく彼に
終わりが近づいていることも分かっていて

だから、『死んだやつの心なんて

私が知るはずないでしょ。』

「フッ、確かにそうだね。」











少し間が空いて数分。

空の果てを見つめながらぽつりと零した。

「私は、見たい景色があったんだよ」

『…』

「人の物を盗んでも、罵倒されてでも」


「『どうしても見たいもの。』」


「やっぱり分かってるんじゃないか」

『感よ。…それに


私はまだ、それを見つけていない。』

「…」

『ねえ、あなたは見つけたの?』

「ああ、最期にね」


『そう…。、あなたは__』

「なんだい?」

『いいえ、何でもないわ』



朝の少し冷えた風が髪を揺らす。

空はいつの間にか白んで
夜の面影を消し去っていく。


『、もう、帰るわ。』

これ以上考えてしまえば
生きていけなくなるような気がして

足早に背を向けた。












「後悔するな」

『!』

「それは、此方へ来たのなら
決してしてはいけない行為だ。」

『……』



なんで分かるの。とか
そんなこと思ってないわ。とか

頭の中では渦巻く思いも形にはならない。





分かっている。

私達は悪だ。


決して許されない"一線"を超えた。


『分かって「いいや、分かってない」…』



「いいかい。この世界に生きる人間は
誰もが何かを奪いながら生きている。」

「命、時間、愛。あげたらキリがない。」

「それでも、それが悪にならないのは何故か。それは簡単なことさ。」














「____"みんなやってるから"だ」

『!』








「この場所で、君は悪なんだろう。
だがそれは、場所が変わればそれは"正義"にだって変わる。」


『っそれでも、許されることじゃない』


「ああ、そうだ。

でもなお嬢さん。その価値を決めるのは君自身だ。」

『……っ!』


「惑わされるな。躊躇うな。」


「君の生き方が間違っていたかどうかなど、
君以外の誰も決めることは出来ないものだよ。」















「さ、行け。君が選ぶままに。」


















「君の答えが見つかることを願おう。

美しいお嬢さん」















ハッと振り向いた先には誰もいない。

















泥棒だと笑う彼は夜とともに消えた















ゆっくりと背を向け足を踏み出す。




















ああ、私は『泥棒』だ






end.

火花レイ。・2020-07-23
小説
君が居た、いつかの夏
夜とのコラボ
助けて語彙力←
感想欲しい
暇潰しにでもどぞ
1人でも多くの命を救うために
死者の数だけ溢れる物語
独り言

『遥斗』


懐かしい、俺を呼ぶ声がした


それは夢か、幻か


不思議と違和感は無かった


「おかえり」


俺は君に微笑みかけた


『ただいま』


君も俺に向かって微笑んだ


「晩御飯まだだよね 俺、作るよ
簡単な物しか作れないけど」


『え、いいの?
遥斗の手料理、私初めて!』


「最近やり始めたからな」


そう言って俺は冷蔵庫にあったもので


適当に晩御飯を作った


数分くらいでそれは出来上がった


それをテーブルに持っていこうとした時


『手伝うよ、お茶碗とか
コップの位置変わってない?』


君が笑顔でそう言ってくれた


「変えてないよ」


『了解』


君は前と変わらない、手際の良さで


コップや茶碗をテーブルに並べた


『「いただきます」』


2人で食べ始めた


いつもの、まあまあな味付けが


今日はいつもより美味しく感じられた


『んー!美味しい!
遥斗って料理上手なんだね』


そうやって無邪気に笑う君が


俺は愛おしくて仕方なかった


『なぁ、桜』


「ん?」


『結婚しない?』


「……え?」


食べていた手を止めて


君は俺の目を真っ直ぐに見つめた


そして、君は笑った


『もう、遅いよ…』


それは苦しそうで嬉しそうな笑顔だった


『もっと早く言って欲しかったなぁ』


そう言ってまたご飯を食べ始めた


「ゴメン」


俺は謝った


君がそういうって俺は、知ってた


『君ってホントに馬鹿だよね』


「うん」


『デートは遅刻するし』


「…うん」


『私の誕生日忘れるし』


「……うん」


『ホント、デリカシー無いし』


「………うん」


『いっつも、タイミングが悪い』


「うん…、ゴメン」


『いいの、もういいの』





『私、もう死んでるし』


「………」


『でもね、』


『私、遥斗と付き合えて幸せだったよ』



『私が辛い時いつもそばにいてくれたし』


『話も、愚痴も、ちゃんと聞いてくれた』


『それでも喧嘩はあったけど』


『私は、幸せだったよ』





『だから、私はね』


『遥斗にも、幸せになって欲しいの』


『これが私の最後の願い』


『叶えてくれる?』


君は泣いてた


ホントは俺からのプロポーズ


嬉しかったんだと思う


君の顔、声、仕草、全てが


それを物語っていた


でも、いや、だからこそ


「任せろ、幸せになってやるよ」



そう、言った



『良かった、…じゃあ、またね』



桜は笑った



そして溶けるように消えていった

























『遥斗……幸せに、なってね』

Candle・2020-08-02
感想欲しい










ピピピピ














ピピピピ










タンッ












「ん~、ねむ」














毎朝お疲れ様ですねー目覚ましさんよー















そんな変な事を思いながら時間を確認する




















“AM 9:00”



















「は?

え、待って待って!!

え、?

やべぇ遅刻する

最悪だ寝坊した!!」











俺は急いで制服を着て



朝ご飯も食べずに家を飛び出した。










何とか学校に着いた頃には
もう9:30だ。













(やべぇ、怒られる)













そう思いながら
ドアを開ける








だけど教室には一人しか座っていなかった。











「んだよ」













教室に入ってから気がついた






座っていたのは俺の隣の席





俺が本気で惚れた元カノだ。








まぁ、だからと言って何もないんだけどな












俺が席につくと
元カノが話し掛けてきた










(いつも話しかけてこないのに、
めずらしいな)











そう思いながら俺も話を返す。


















何故か涙が出てきたが
そんな事はどうでもよかった



















彼女も気にせず話を続けた。

















気付くと彼女も泣いていて











急に真剣な表情になり















【ごめんね。さようなら】
“○○○○”




















そこで俺は目が覚めた。
















「なんだ夢か」






最後なにか言っていた様な気がしたが、
気にせず俺は時計を見る






















“AM 9:00”



















「は?

え、待って待って!!

え、?

やべぇ遅刻する

最悪だ寝坊した!!」















俺は急いで家を出た















「なんか夢と同じじゃね?」













そう思いながら全速力で学校に向かう
















ハァ…ハァ…



















時計の針は9:30を指している






















(やっぱり、

同じだ

じゃあもしかしたら。

でも、アイツは…)























バンッ!










俺は勢いよくドアを開ける

















先生やクラスの奴らが
俺を見る
















やっぱり夢の通りな訳ないか。








そう思うのと同時に




自分がどんな状況か実感する
















(やっば俺遅刻したんだった)












先生に謝り席につく。




















俺は隣の席を見て

























「やっぱり、座ってるわけねぇか」
















そう呟いて前を向く。

秘密さん・2020-03-30
小説
フィクション
意味が伝わるかな?
伝わってくれたら嬉しい
初投稿
下手くそ
ポエム
君との時間
会いたい
感想欲しい
贈り物
君と見たい景色

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