柚稀・2020-12-04
明日ありと想ふ心の仇桜
鬼
鬼さんこちら、お手を拝借
行きはよいよい、帰りは共に
私と一緒に帰りましょ?
親の愛なんてもの
知らない
これがどういう感情なのか
僕には理解できない
言葉を交わす度
胸が痛むのは
誰かこの苦しみを
消してくれ
こんな汚い感情を
俺を許してくれ
元々体の弱い私は、
いずれこうなる運命だった。
最近、目眩や頭痛が激しくなり
担当の医師に見てもらった。
そこで言われたのは
余命宣告…
1年
どうせなら明日が良かった。
なんで私がこんなにも
苦しまないといけないの?
体の弱い私を支えて
助けてくれた…あの子に…
これじゃ
こんなんじゃ…
あの子に顔向け出来ないよ…。
私は、泣いた、余命が長い程
生きる日々が辛かった
あの子がお見舞いに来る度
悲しい表情をして来るのが。
早く元気になってねと、
言ってくれるのが
とても…痛い……。
ごめんね、
私…
もう少しで死んじゃうんだ…。
私はあの子が大好きだった、
あの子さえいれば…
あの子が笑って
笑顔でいてくれたら
それで良かった。
本当に…大好きだった…。
想いも伝えられずに。
大好きな子を泣かせて
置いて行ってしまうなんて
そんなの…嫌だ。
死にたくない…
死にたくないよ……。
やめて、そんな顔しないで
お願い…神様。
私が…もっと強かったら
もっと男の子みたいに…
元気で…強くて…
あの子を守れるような
そんな……体だったら……
日に日に近づく余命と
あの子と別れる日…。
もう…ダメなんだ…。
最後の日。
私は…あの子に
全ての想いを伝えた
声は出なかった…
涙しか出なかった…。
痛い…痛いよ…怖いよぉ……
死にたく…ない、、
まだ、、まだ一緒にいたいよ…
ごめん…ごめんね…
「▅▅▅」
掠れた…小さな声で
あの子の名前を呼ぶ
泣かないで…お願い…
笑って…いつもの笑顔で
行ってらっしゃいって、
またねって……
…また…明日って…
睡魔が襲ってくる
やだ
寝たくない
死にたくないよ
「…ごめ………ね、、、、、、」
最後の言葉は…
情けない弱音だった。
︎︎
音を消すように蓋をして
甘い飴で満たして
溶けていく
ただ、この時だけが
生きていると実感できる
_____________
…どうなすった
こんな
土砂降りの中
小娘1人
裸足で
傘も、ささずに
何か、"急ぎ"
の
御用でも?
妖が、妹を_したと?
何か
恨まれることでも?
まぁ、そう焦らず
焦ったとて
良い事なんざァ
ありませんぜ
あんさん、
その妖とやらを
"見た"
んですかい?
ほぉ?見ていない…とな、
ところで、
どうして
先程から
泣いて
おられるのです?
雨?
おっと、これは失礼、
見間違いでやしたか…。
その、妖に
心当たりなど、ありますかい?
ない…、、
まぁ、妖の事だ
理由何ぞ無いのでしょうな
ところで貴女
妹さんは
どのような
方法で?
答えたくない…
そうですかい
妹さんとは
仲は、良かったのですかい?
覚えてないんですかい?
おかしいですね
亡くなったのは今日
でしょう?
覚えていない筈がない
そういえば
貴女名前は?
…?
答えたくない…
そうですかい
妹さんとは姉妹なんですかい?
双子…
成程、だから、ですかね
妹さんが亡くなる前日
その日
貴女が
何、をしたか
きっと、恐怖で忘れたんでしょう
貴女の大事な
1つ
おや、寒いですかい?
顔が青いですぜ
そういえば
貴女…、なぜ
濡れていないんですかい?
そんなに震えて
風邪でも引いたんですかい?
傘、貸しますぜ
俺ァ予備があるんでね
早く行かねぇと
大事な妹さん
本当にチリも残らないですぜ
それじゃあ、
夜道にゃあ気を付けて
______________
あの様子じゃあ
まだ気付いてないんでしょうね
妹さんも連れて
可哀想に
死んだ事にすら
気付けなかったんですかい
双子だからこそ
死ぬ時も一緒…
なんと贅沢な妖だ、
おや、貴方
見ていたんですかい?
ダメじゃあないですか、
貴方も
連れて
行かれますぜ?
嗚呼、雨が止んだ
きっと
2人一緒に逝けたのでしょうぜ
今宵は満月
気を抜けば
食われますぜ
全テヲ喰ラウ
呪ワレシ名ハ
狐夜叉・骸
元ノ名ヲ月詠
愛サレヌ
彼女ノ悲シミハ
絶望ト化シテ
堕チテ行ク
トアル社ニ綺麗ナ女狐、
純白ノ穢レモシラヌソノ狐、
ソノ純白、アル日男ニ壊サレ
女狐壊レン、
美シキ髪ハ紅黒ク
青キ瞳ハ血ノ様ニ
誰モ止メラレナイソノ狐
絶望深ク
血肉ヲ求メン
出逢エバ全テヲ捧ゲヨ
雨に隠れて泣けば
誰にも見つからず
弱さをさらけ出せるだろうか
日付 ○月×日
今日の実験。
…八つ当たりに近いかもしれない
治せることを良いことに何度も殴られた
なんでも、私以外の試作段階の不老者が死亡したんだって
その個体は実験体の中でも成功率が高いと言われていたらしいの
よく知らないけど、
この施設から逃げられたなんて
とても運が良かったのね。
私も早くここから出たい。空を見てみたいの
そんなこと、あるわけないんでしょうけどね
「愛しい、愛しい、私の子……
はよう産まれておいで…」
甘い声に
交ざるモノ
産まれられぬその生命
医者は体を売り
母は絶望し命を落とす
怨念深く生まれし
小鬼は
世界を知る
ちょっとした冗談から始まった
仮の癖して本気のような
天使と悪魔のオアソビが
今日もまた
あぁ、ちょいとそこの人
待って下せぇ
そう、そこのアンタだ
こんな噂を知りやせんか?
なんでも
"人を喰らう化物 "
が、あの御屋敷に
いるのだとかなんとか…
あれ?ご存知ない……
それは失礼しやした
ここらじゃあ有名な話なんで
てっきり…
まぁ、知らないのも
無理はないでしょうぜ
なんでも、
あんさん村じゃあ
"嫌われ者"
らしいじゃあないですかい
なんでもそのせいで
その、そう、右目
斬られたそうじゃないですかい
おっと!?
怒らせちまいやしたかい?
こいつぁ
うっかり、うっかり、
まぁ、1つ
嘘だと思って聞いて下さいや
なんでもその化物
御屋敷の奥方様を
手にかけたようで…
そうそう、その化物
"傷"があるらしいですぜ
丁度、アンタみたいな
おや?顔色が悪いですぜ、
ただの"噂"ですから、
そう怯えなさんな
それとも…………
何か
心当たりでも?
…知らない…そうでござんすか…
そういえば!
昨日も、現れたそうで
何でも次は娘さんと
使用人を、
怖いもんですぜ
まぁ、それでも
そこの主人
番屋へ行っとらんようですが…
何か"事故"にでも
あったんでしょうかねぇ
娘さんの方
かなり酷い死に様だった様で、
肌が焼けて、
誰か判別も
付かないくらいだった、
そうじゃあないですかい、
そういやあんさん、
服の裾、それどうしたんでぃ?
千切れた…?
それはまぁ災難でしたね
いや、これは
どうと言うことじゃあないんですぜ?
ただ
その服の色と似た布が
その遺体の近くに、
落ちていたそうで…
そんなに、
震えて
どうなさった?
え?
その、傷はどうしたって?
なぁに、、ちぃと擦りむいた
だけですぜ…、、
まぁまぁ、続きと行きましょうや
なんでも
化物が現れる前
必ず
屋敷の住人が1人増えたり
鈴、がなるようで
その化物
なんでも煙を上げながら移動する
なんて言われてるらしいですぜ?
え?
ワシが犯人?
そんな訳
ないでしょう?
何か理由でも?
耳飾りと、煙管…?
これくらい、
誰でも持っているでしょう?
逃げないでくだせぇよ
あぁ、そうそう
屋敷の
旦那様は
つい、
先程
_されましたよ
最後は
貴方ですぜ
例えば海の中で溺れるように
例えば
その歌声に聞き惚れるように
ワたし…は、、人形…?
ダレか…オシえテ……
モぅ、ズッ…と、ヒと…リ、、
シたガワ…ナいと…タタかレテ
ナグって、殴ッて、なん…ドも…
タス…けて、よ、、
まッ…クら…なの、、
目…カら…ナミ…だ、
トマら、、ナい…ノ…
首輪…ィたい…よ、、
なん…デ、、
こんナ…コと…スル…の?
た…だ、、、
生き…タィ……だけ…ナのに……
昔に戻れたら
なんて
馬鹿げたことを
たまに思う
嗚呼、どうか
私を1人にしないで