はじめる

#暁に輝く星

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全8作品・


「ねぇ、君さ」


その声に振り向くと

そこには暁と同じ格好をした

女が立っていた



「うっ、わぁぁっ!」

「……その反応、ちょっとひどくない?」


女は僅かにムッとした表情を浮かべると

僕の足先から頭の先まで

視線を這わす



「な、……何?」

「ふーん……」

「なん、だよ」

「ううん、何でもないわ」

「……君、も……死神?」

「イエス」



暁とはまた少し雰囲気の違う死神


緩やかにウェーブのかかったくせっ毛が

風に揺れれば花の香りがした



「私、花月」

「……花月」

「ねぇ、君は佐々木拓真とどういう関係?」

「え……」


ドクンと波打つ鼓動が

一瞬にして不安を掻き立てる



「どう、して……?」


にっこりと目を細めて笑う花月は

次の瞬間、とんでもない言葉を放った



「佐々木拓真の死に君が

関係してるからかな?」



時が止まったかのように

僕の全身を衝撃が走る



今、花月はなんて言った……?



「え、っと……」

「あれぇ?私、もしかして

言っちゃいけないこと言っちゃった?」


花月が僕の顔を覗き込むが

頭が真っ白になって言葉が出ない



「おーい」

僕の耳元で花月が呼び掛ける


分かっているけれど

花月の次の言葉を聞くのが怖い



暁も、花月も

死神だ



死した魂を身体から切り離す死神だ




「花月」

「あれ?暁、どうしたの?」

「死神界に花月の姿が見当たらないので

もしや、と思い戻ってきましたが

少し遅かったようですね」



暁は呆れたように軽く溜め息をつく

そして僕の前に立つと

ゆっくりと言葉を続けた



「今の話を聞かなかったことにも

出来ますが、どうしますか?」

「……え?」

「記憶を消すことも出来ますよ」



無表情の暁の顔からは

その感情が何も読み取れない


まるで、薄情な奴だと

責められているようにも感じた



「拓真は……、死ぬの?」

「……ええ」

「いつ?」

「あなたより、一週間早く」

「え……」



僕の脳裏には

拓真の弾けるような笑顔が浮かぶ


受け入れられない現実と

冗談であってほしいという願望とが

重なり合う



「どうして……拓真が?」

「聞いてどうするんですか?」

「だって……、拓真の死が

僕と関係してるなんて言われたら……」


言葉が詰まって

何を言いたいのか分からない


暁の言う通り

聞いてどうするんだ



きっと、傷つくだけじゃないか



「……あなたにはまだ

受け止めることは出来ませんよ」

「っ……」


何も言い返せない


自分の心の弱さが

胸に刺さるようだった

Mari・2021-02-26
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第4話
死神シリーズ
独り言
ポエム
友達
好きな人
寂しい理由
辛い


街ゆく人たちが

僕を避けて歩く



ヒソヒソと僕を見て笑ってる



可笑しな奴だと

笑っているに違いない



だって僕は

産まれてくるべき子では

なかったのだから



物心ついた頃から母にそう言われて育った

「あんたなんて産まなきゃ良かった」

何度その言葉を聞いただろう



ねぇ、母さん

僕はどうして母さんを選んで

産まれてきたのかな



バシャッ……、そんな卑劣な音と共に

お尻の辺りに冷たさを感じて

振り向くと

同級生の男たちが

笑いながら立っていた



「うっわ、お前高三にもなって

未だにおもらししてんの?」


ペットボトル片手に

大笑いする顔は

なんとも醜い



去っていく後ろ姿

本当は走って行って

掴みかかりたいくらいだ



僕には

そんな勇気すら無い



見上げた空は

低い雲に覆われ

物憂げにも見える



「天上界が恋しいですか?」


その声にハッとした



「あか、暁っ……」

「昨夜はどうも、横山蒼太さん」

「っ……」


僕はどうやら

頭もイカれてしまったらしい


死神なんて

世界中探しても

一体何人が見えるというだろう



「おや……、御手洗に

間に合わなかったのですか」

「……見てたくせに」

「なんですか?」

「なんでもない……」


僕は踵を返し

元来た道を歩き出した



「学校は反対方向ですよ」

「分かってる」

「サボりですか」

「……学校なんて行っても

ろくなことないから」


同級生による

イジメという名のストレス発散は

日に日にエスカレートしている



教師はイジメを認めたくないのか

〝悪ふざけは程々にしとけ〟と

笑う始末だ



誰も助けてくれる人なんていない



「暁……」

「なんでしょう」

「地獄って、どんなところ?」


スラッと背の高い暁を見上げれば

刺すような視線が返ってくる



「地獄絵図をご存知ですか?」

「うん……」

「あのままですよ」


僕はゴクリと喉を鳴らした


「針の山とか……、大釜で煮られたり?」

「そうですね」

「お……鬼も、居るの?」

「居ますよ。削がれた人の肉も

地獄にはゴロゴロ転がっています」



淡々と答える暁の表情は

冷たく僕を見下ろす



「……冗談、では……ないんだよね?」

「至って真面目ですよ」

「……だよね」



この世に救いなどなく

死を求めることが

僕の唯一の逃げ道だった



「驚いているのですか?」

「……驚いてるって言うより

慄いてるよ」

「うまいですね」



暁は口角を上げて

クスりと笑って見せる


その表情は

死神とは思えない程

穏やかで、優しかった

Mari・2021-02-06
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第2話
死神シリーズ
独り言
ポエム
好きな人
辛い
学校


人けのない町外れの小さな公園は

僕の隠れ場と化していた


錆びたブランコや、今朝方の雨で湿った砂場

色褪せた象の滑り台



「ここに来ると、落ち着く」


暖かいこの場所は

僕の唯一の思い出の場所でもある



「……幼い頃から

ここに逃げて来て居たのですから

そうでしょうね」

「っ……!?なん、で……」


突然、過去を言い当てられ

僕は思わずギョッとした



暁は、したり顔で笑うと

言の葉を紡ぐ


「あぁ、勝手に記憶を覗いてしまいました

私の特殊能力です」

「もう何も隠しておけないね……」


僕は諦めたように笑った



「生まれた頃から

母さんのお荷物でしかなかったんだ」


食事も着るものも

満足に与えてもらったことは無い


母の温もりとは

一体どんなものだろう



「家に居るだけで、暴言も暴力も

激しくなってくばかりだったよ……」



父は、僕が三歳の頃に

逃げるようにして出ていった


僕を施設に預けるという話もあったが

大方、母の〝小間使い〟として

残されたのだろう


言い方を変えれば〝奴隷〟のようなものだ



「それでもここに来れば

友達が居たんだ

すごく、明るい子でさ……」

「彼は、今どうしてるのですか?」

「……同じ学校だから

時々、話し掛けられるけど……

僕なんかと関わらない方がいいんだ」

「それでほぼ無視してる状態なんですね」



思い出せば目頭がじんわり熱くなる



この公園で仲良くなった佐々木拓真は

高校生になってからも

僕がイジメの対象であろうが

関係なく明るく接してくれた



それは、僕の希望の光だった



「ある日、見たんだ」

「何をですか?」

「……体育の後

拓真の制服切り刻まれてて」

「ええ」

「そこに〝横山と仲良くした制裁だ〟って

書かれてた……」



〝気にするな〟と笑う拓真の優しさが

今も胸に突き刺さる


僕の為に、拓真が酷い目に遭う必要は無い



「美しい友情ですね」

「……美しいなんてもんじゃ、ないよ」



手放した友情の代わりに

僕はこの公園での思い出に縋る


それだけが、僕の支えになっていた



「でも、もしかすると

手放した気でいるのは

あなただけなのかもしれませんね」

「……どういうこと?」

「さぁ?どういうことでしょうね」


暁は目を伏せたまま

口角を僅かに上げると

タンッと地を蹴る



厚い雲の隙間から見える太陽に向かい

高く、高く、跳んだ暁は

そのまま光に吸い込まれるように

消えた



「……どうせなら、僕も連れてってよ」


一人、呟いた声は

虚しく風に吹かれていく


見渡した公園が

やけに霞んで見えた

Mari・2021-02-10
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第3話
死神シリーズ
独り言
ポエム
学校
好きな人
友達

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に8作品あります

アプリでもっとみる


「……記憶の影に囚われし者よ

正しき道までも見誤ることなかれ」



そう言って、夜風に黒袴を靡かせ

僕の前に現れたのは

端正な顔立ちに赤いピアスの男



「ひっ……だ、だだだ誰……っ?」


声が裏返る程の動揺が

僕の心臓を握り潰すようだった



「おや、私が怖いですか?」

「こここここここ……っ、こっ!」

「……言葉にならないようですね」


そりゃそうだ

だってこの男、突然僕の家のベランダに

姿を現したのだから



「な、なん、なんでっ、ここここにっ」


頭は混乱状態で

ガクガクと膝が震える



「……私の任務が早まりそうだったもので」

「に……、任務?」


男は薄らと微笑むと

ゆっくり言葉を続けた



「飛び降りるおつもりだったのでしょう?」

「っ……」

「予定日時の急な変更は困りますね

こちらにも都合というものがあるので」

「よ、予定……日時?」


男の奇妙な発言に

思わず聞き返す



「はい、あなたが亡くなるのは

二ヶ月後の27日ですよ」



一瞬にして

周りの音が全て閉ざされたような

感覚だった



「……亡く、なる?」

「そうです」

「……自殺?」

「はい」


今まさに、ここから飛び降りようと

していたにも関わらず

頭が真っ白になる


どんなに滑稽だろう



「……ていう、か……、だ、れ?」

「暁(あかつき)と申します」

「暁……」

「あなたが亡くなったあかつきには

私が魂を狩りにくることに……

あぁ、思わぬところでダジャレに

なってしまいましたね」



男は、自身を死神だと名乗る


死した魂を

身体から切り離しに来るのだと

そう言葉を重ねた



「二ヶ月後には

僕は……ラクに、なるんだね」

「……さぁ、それはどうでしょう」



含みのある言い方が

やけに耳につく


「だって……、魂を身体から

切り離してくれるんでしょ?」

「ええ」

「やっと僕は、自由になれるんでしょ?」

「……なれませんね」



背に月の光を纏い

暁がゆっくりと僕の前に歩み寄った


「自身で死の道を選べば、地獄行きですよ」




囁くように、優しげな暁の声が

耳の奥深くに響く

金縛りにでも遭ったかのように

身動きが取れない



「あの世へ行っても

更なる苦しみが続くだけです」



なんて、残酷な言葉を吐くのだろう


風がザワザワと音を立てる

僕の思考回路は

完全にショートさせられてしまった

Mari・2021-02-02
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第1話
死神シリーズ
独り言
ポエム
好きな人
光と影


「暁……」

「なんでしょう」

「拓真の死は……どうにも、ならないの?」

「……どうにも、とは?」

「いや、えっと……」


言葉に詰まる


こんなこと聞いても

暁から放たれる次の言葉に

どうせ絶望するだけじゃないか



「人には定められた死期があります」


ほら、やっぱり……

聞かなきゃ良かった



「ただ、人生とは

例え定められた運命があろうとも

その者の言動で幾らでも変わるものです」

「……え?」

「人生は、自分次第ということです」

「自分次第……」



暁の一つに束ねた黒髪が風に揺れ

紫紺の瞳の奥で、眼光が光る


その佇まいは

どこか僕を試しているようにも見えた



「拓真は、僕が関わらなければ

死なずに済む?」

「それはどうでしょうね

今までも

そう関わって来なかったのでは?」

「……そうだよね」



僕のせいで拓真が命を落とすなんて

耐えられない



拓真を巻き込まないように

避けてきたというのに

これ以上、僕に何が出来るだろう



「花月は、佐々木拓真の死した魂を

狩ることになっています」

「花月が……?」

「あの子は狩る魂の人間関係を

知りたがる癖があります」

「知ってどうするの」

「どうもしませんよ、ただの興味本位です

例えそれで同情することがあっても

あの子は容赦なく狩りますよ」



泣き落としも通じないと言うことか



ぼんやりと眺める風景の中

家路を急ぐ人たちが

他人には目もくれず歩いて行く



道端でホームレスが

横たわっていようと

小学生が歩道から

はみ出して歩いていようと

我関せず、だ



「僕、なんでこんな世界に

生きてるんだろう」


ほとほと嫌気がさす



「どんな世界も同じですよ

どの世界にも

理に欠落した部分はあります」

「……そうだろうけど」



それなら僕は

尚更もうラクになりたい


どの世界にも存在しなくて済むように

いっそのこと消えてしまいたい



「今夜、眠りに落ちたあなたを

私が迎えに参りましょう」

「え……?」

「あなたの住む世界とは

別の世界を見せて差しあげますよ」

「な、に……、どういうこと?」

「楽しみにしていて下さい」


不敵に笑む暁は

静かに身を翻し

風の中へと姿を消した



「別の世界……?」



この世界とは違うパラレルワールドが

あるというのか?

それとも、暁の住む死神の世界なのか



どちらにしても

僕がそこへ行って何になるというんだ


どうせその後にはまた

この現実の世界に

連れ戻されるというのに

Mari・2021-04-17
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第6話
死神シリーズ
独り言
ポエム
人生
苦しい
辛い
死にたい
君がいない


どれ程の時間

僕は公園の隅で身を縮めていただろう



耳の奥で何度もこだまする


〝拓真の死が僕と関係している〟という

残酷な未来予測



僕のせいで

拓真は生命を落とすのか……?



考えただけで頭が割れそうだ



「あれ?蒼太?」


その言葉にハッとする


声を掛けてきたのは

学校帰りの拓真だった



「おいおい、もしかして

学校サボった?」

そう言って片眉を下げ、笑う拓真の顔を

上手く見れない



「僕が学校サボろうと

拓真には、関係ないだろ……」

「まぁ、確かにそれは

蒼太の自由だけど……」


何か言いたげな拓真


分かってる

学校をサボったって

状況が変わるわけじゃないことくらい



「あのさ、僕……と、

関わらない方がいいよ」

「……なんで?」

「なんでって……、僕は……」

「〝僕は?〟」


拓真を死なせてしまうかもしれない、なんて

言えるわけがないじゃないか



「ぼ、僕は死神だから……」

「……はい?」


キョトンとした顔で

首を傾げる拓真は

やがて噴き出すように笑う



「何?なんか変な映画でも見たの?」

「いや……えっ、と……

とにかくっ、もう僕に話しかけないでよ」



僕は堪らず走り去った

涙が出そうだった



なんで

なんでなんだよ


なんで、僕ばっかり

こんな目に遭わなきゃならないんだ



父には捨てられ

母からは暴言に暴力

学校では虐められ

おまけに死神まで見える


唯一の友達だった拓真は……



「……うっ……あ、あああああっ」


涙なんだか、鼻水なんだか

分からない程に

ぐしょぐしょに顔を濡らした



少しくらい

生きる希望を見たかった


せめて

誰の迷惑にもならずに

この世を去りたい



なのに、どうして……





「おやおや……

派手に泣いている若者が居るかと思えば……

少しは人目を気にした方が宜しいかと」



いつの間に、またそばに居たのか

暁がため息混じりに僕を見ている



「……もう、僕のことはほっといてくれよ」

「そうですね、情が移っては

厄介なことになりそうですからね」


そう言いながらも

暁はじっとしたまま

僕のそばを離れる気配がない



「ところで、あなたはいつから

私の仲間になったのでしょう……?」



つい先程、苦し紛れに拓真に吐いた言葉を

改めて問われれば

顔から火を噴きそうだ



「暁……って、意地悪だよね」

「これでも優しい方ですよ」



不思議と心は落ち着いていく


たとえ相手が死神でも

今この時、僕はひとりじゃないと

思えてしまうからだろう



自分を偽らず

何も考えずに言葉を交わすことが

こんなにも心地いいと感じたのは

拓真と遊んだ幼い頃以来だった

Mari・2021-03-23
物語&小説/from:Mari
暁に輝く星
第5話
死神シリーズ
小説
独り言
ポエム
友達
辛い


「……さん、蒼太さん」


誰かが僕を呼ぶ

穏やかな声色だが

鳥肌が立つ程、どこか妖しげな声だ



薄らと目を開けると

暗い部屋の中に暁の姿が浮かぶ



「ん……、今、何時?」

「夜中の2時を回ったところですよ」

「こんな時間に、何?」

「眠りについたあなたを

迎えに来ると言ったでしょう?」



そうだ

暁は昼間、僕を別世界に連れて行くと

言っていた



「どうやって……、何処に?」

「おや、気付きませんか?」

「……え?」



暁の視線を追って

後ろを振り返った僕は目を見張る



なんとそこには、〝僕〟が

寝ているのだ



「えっ、ちょっ、何!?」

「強制的に幽体離脱させました」

「ゆっ、幽体離脱!?」

「えぇ、別世界へ連れて行くには

この方法が1番かと」

「……も、戻れるの?」

「戻りたいですか?」



暁の目が僕の瞳の奥を覗く

まるで、〝死にたがってたくせに〟と

言わんばかりに



「……このまま、戻らずに死ねるなら

それでもいい」

「残念ですが、元々の死期を

私が変えてしまえば、私は死神界に

居られなくなるもので」

「……出来ないの?」

「死にたがる者の為に咎めを受ける気は

ありませんよ」



暁はそう冷たく言い放つと

窓を開け、月を見上げた



「目を瞑って、10数えて下さい」



僕は言われるがままに

ぎゅっと目を瞑る



暁に腕を掴まれる感覚と

身体が宙に浮く感覚がしたその時


目を瞑っていても分かる眩い光が

辺りに広がった



だが、次の瞬間には

暗く湿った空気と鼻をつく臭い

そして、呻き声が

五感を刺激する



「……ここ、は?」

「地獄ですよ」

「え……」



暁は僕を見下ろすと

ゆっくりと口を開いた



「あなたがいずれ

来ようとしている世界です」

「っ……」



氷の上を歩く者が

その先にある火の海に飛び込む

肉体は溶け

骨になっても尚、苦しむ姿が

目に飛び込んだ



重い袋を担ぎ、何往復も

歩かされている者もいれば

肉を削がれている者もいる



蛇の海に投げ込まれる光景や

何千ものギロチンが並んでいる光景



見渡せば見渡す程

死んでいるはずの人間が

死ねずに痛みや苦しみに

悶えていた



自ら生命を絶てば

更なる苦しみが続くだけ



初めて暁に会った日に

言われた言葉が脳裏を過る



「おぅ、暁じゃねぇか」

頭に角の生えた大男がそう言いながら

暁の隣に居る僕を舐めるように見る



「お久しぶりですね、幽鬼さん」

「……その子は?」

「社会見学に連れて来ました」

「死神の仕事とは思えねぇな」

「そうかもしれませんね」



幽鬼と呼ばれる鬼は

怯えて身を小さくしている僕に

顔を近付けて言った



「お前、死にたいか?」

「……っ、あの、……えっと」

「死ぬ前によく考えろ

この世界程の苦痛が

お前の世界にあるかどうかを」

「っ……」

「逃げることより

向き合うことを考えなければ

どの世界に行ったって同じことだ」



幽鬼の鋭い眼光の奥に

強さが見える



呻き声や刃物の音が響く度

戦慄が全身を駆け

僕は幽鬼の言葉を頭に入れるだけで

精一杯だった

Mari・1日前
物語&小説/from:Mari
小説
暁に輝く星
第7話
死神シリーズ
地獄の扉へようこそとコラボ
独り言
ポエム
辛い

他に8作品あります

アプリでもっとみる

その他のポエム

独り言
940355件

想い出の欠片
2177件

自己紹介
82411件

好きな人
293209件

ポエム
502248件

トーク募集
71528件

428311件

辛い
164951件

恋愛
181720件

怖い
20164件

片想い
215234件

53815件

片思い
174321件

先生
104237件

大切な人
33740件

死にたい
86108件

遙都きて
15件

失恋
100123件

ありがとう
56590件

好き
191287件

さくらだけの居場所
10件

すべてのタグ