拝啓 私へ
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いつか未来がわかるようになったなら、
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私はきっと好奇心から自分の未来を覗い
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てしまうだろう。
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それが一生自分を苦しめることになるこ
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とも知らずに。
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幼ささを理由にして、今まで自由に生き
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てきた。
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でも、誰でもいつか大人になる。
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そのことに気づくのが、遅すぎたんだ。
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気がついた頃には取り残されていた。
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本当の幸せは、死ぬ瞬間に分かる。
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今の中途半端な幸せで満足しているよう
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だと、この先の困難に立ち向かえない。
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誰かの偉人の言葉だったかな。
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じゃあ、その人はどうやってそのことに
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気づけたんだろう。
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結局は自分の立場を利用して、何となく
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説得力のある言葉を並べただけだ。
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だから私は信じない。
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だからと言って自分なりに幸せを追求す
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るわけでもない。
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誰かを真面目に信じたことは無い。
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誰かが言ったことを真に受けるほど馬鹿
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馬鹿しいことは無い。
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そうやって、人を恐れて生きてきた。
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人の前では堂々として、でも一人の時は
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怯えて震えてる。
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目標も、夢もない。
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ひたすらに生きる気力だけある。
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「死にたい」
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そう思ったら負け。
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だからそんなつまらない事考えたことな
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い。
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時間の無駄だ。
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所詮、本当に不幸な人なんていない。
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死ぬべき人はいない。
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その人自身が、勝手に人生を悲観して、
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共感してくれる人を募ってるだけ。
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それで共感してくれない人がいないと、
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人はなにかが吹っ切れたように遺書を書
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き始める。
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非常にあほらしいと思う。
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人は、そんなに人に頼らないと生きてい
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けないのだろうか。
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「共生」「共生」と言っている人ほど、
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人を信じきっていない。
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だから私はそういう人を信じない。
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そうやって不信の連鎖が続いていく。
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人間の力が劣っていく。
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もし神が人間を作ったのなら、最初から
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馬鹿な人間など作らなければよかった。
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馬鹿が生まれることによって、あまりに
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も理不尽な戦いが始まり、世界の残虐さ
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は増していき、やがてそれを悲観する弱
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い人間が生まれ、世界はどんどんつまら
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なくなる。
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私に感情はあるのだろうか。
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こうしてひたすらにスマホのキーボード
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を打っている私は無表情で、無感情で、
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無関係のふりをしている。
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世界の哀れな人たちへ向けた文に見せか
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け、本当は私自身への手紙だということ
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を、まだ誰も気付いていない。
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私はまだ成長が足りない。
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そしてまだ成長できる。
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そう分かっているのに諦めてしまって、
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そして結局誰かのせいにしてしまう自分
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がいる。
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幸せはいつ得られるのか。
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そんなの死ぬまで待っていられない。
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幸せだと感じればそれまでだ。
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それでは人間はいつ成長が終わるのか。
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20歳か。50歳か。
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はたまた5歳か100歳か。
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…それは、死ぬ時だろう。
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死ぬまで成長し続け、今は餓鬼の私でも
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いつか人を信じられるように。
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堂々と生きていけるように。
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敬具 私より