妄想🌸百合の蕾・2024-09-27
私たちの妄想デート
溢れ出る感情
紅葉が進んできてる
でもなかなか休みが
合わないので
部活をサボることにした
私は
残りの仲間が
先輩方に
どんなお叱りを受けるか
想像したくないけど
ま、良いか
と、割り切る
ガタゴト
一両編成の私鉄電車に乗る
電車はちょっとした
渓谷を走る
もう木々は紅葉してる
街中だとそこまで
沢山の紅葉を見ることはないので
ウキウキする
紅や黄色の葉の中に
何かの花が浮かぶ
キレイだね
本当だ
窓にかじり付く私に
まさが後ろから
抱くように窓の外を見る
私の顔のすぐ横に
まさの顔があって
ドキドキしてて
ちょっと戸惑って
下を向く私の顔を
上向けにして
頬と頬をくっつけるまさ
ちゃんと見てないと
この紅葉は今だけだよ
本当にこんな恋
したかった
涙が出ます😭
ちょっとだけ
紅葉で有名な散歩道
浅い川沿いの
遊歩道に降りるまでは
狭い田舎道に
シーズンなので
車が繋がる
まさは当たり前のように
車道側を歩いてくれる
川沿いに降りると
一気に空気が変わる
緩やかな浅い川に
落ち葉が流れる
そぞろ歩く二人は
紅く染まる紅葉を
ゆっくり見ては
笑い合う
川を渡る石畳は
まさが手を引いてくれる
お昼近くになり
散歩道沿いのベンチや
東屋は
人々が思い思いに
お昼を食べていいる
今日は早起きして
お弁当を作ってきたの
うわ!
楽しみ
中学生の頃から
夕食は作っていたので
難しくはないけど
人に食べさせるのは
ほとんど初めてかもしれない
ちょっと失敗したかな
大丈夫、美味しいよ
ちょっとだけ焦げた
卵焼きを食べる
うちのお母さんは
どんなに忙しくても
弁当作ってくれるんだ
えぇ!
夜勤だってあるのに
凄いね
うん
でも、たまには
買って来る組の
卵サンドとか
食べたいンだよね
わかる!
あの学校近くの
パン屋さんの卵サンド
美味しそうだよね
私は時々パン買うけど
学校の購買のなんだ
いつも遅くに登校するから
売り切れてて
買えたためしがないの
一回は食べてみたいよね
二人の意見は
珍しく一致した
百合が落ち着いたので
散歩することにした
さっきより
百合の手が力強い
俺への信頼感を感じる
もう、そろそろ
繋ぎ方変えてもいいよ
みたいな百合の目線
歩道の端のレンガを
百合は歩く
俺の方を見て
このくらいで
まさと同じ高さかなぁ
まだまだ足りないな
ふぅん、そうなの?
唇を尖らす百合
俺はちょっとした横道に
百合を引っ張る
人目がない狭い小道
百合にキスをする
いままでの重ねるだけじゃなく
もっと深いキス
百合は驚いた感じに
少しだけ体を固くしてから
俺の背中に手を回す
一度唇を離して
百合が嫌がってないことを
確認してから
もう一度
もっと深くキスをする
もう止められなくなりそうだった
今日は帰りが
少し遅くなったから
真っ直ぐ帰るよ
駅からの道
まさは早足だ
別に私の父は
門限なんて言ったことないくらい
今まで遊んでないから
良いんじゃないかと思う私
公園で休んで行こう
実は靴が少し痛いの
家はすぐそこだよ
少し笑って
公園のベンチに座る
今日は楽しかった
うん
もっとこうしていたい
うん
まさは肩に乗ってる
私の頭に顔をくっつけて
グリグリする
百合のつむじの匂いがする
俺、大好きなんだよね
ずっと嗅いでいたい
つむじって
どんな匂いがするんだろう
変な匂いじゃないよね
違う意味でドキドキする
ずっといたいのは一緒だ
もっと百合が
大人になるまで
俺も待ってるんだよ
本当に?
うん
帰ろうか
立ち上がって二人は
自然と恋人繋ぎをして
家まで送ってくれた
アタシは継子だった
父が今の母と子どもを作り
私の母と離婚して
再婚したのは
アタシが六年生だった
父と義母が
赤ちゃんと川の字で寝るから
私は一人部屋をもらえた
庭から直接入れる
離れみたいな部屋
義母は私と8歳しか違わない
まだ未成年だった
毎日、朝まで愛し合っていて
若い妻相手に
父は頑張っていた
避妊具が山のようにあり
私が幾ら持ち出しても
わからないというか
気にしない人たちだった
幸いなことに
アタシは可愛い
たぶん学年で
一番二番くらい
とりあえず飽きるまで
ナンパされる度
ついて行ってた
でも、大した男の子は
いなかった
私は高校になり
ステータスのある子に
目標を定める
男性が好きな仕草は
義母の真似をした
8つ上とはいえ
まだまだ女の盛りすら
迎えてない義母は
ますます私よりキレイになる
大学生くらいは
楽勝で手に入った
でも、つまらない
男の子にこんなにモテるのに
おこぼれをいただけるから
友人も出来たのに
建前では
義母も父も、男の子達も
アタシをチヤホヤしてくれるけど
なんだか寂しかった
そんな時
本命の鞘当てに
手を出した子は
今までの男の子と違う
私を乱暴に扱う
本命のつまらない子と
差をつける
こんなことは初めてだ
それにこの子は
なんとなく
アタシと同じ匂いがした
白山くんは下の名前すら
呼ばせてくれなかった
帰りは
満員電車に乗ってしまった
みんな同じ時間に
帰りたいから
押されて反対側の
ドア近くに立った
早起きして
お弁当を作った私は
立ったまま少し
ウトウトしてた
ふと、今までにない感触に
目が覚めた
片方の胸が明らかに
大きな手で包まれてる
まさかこんな所で
触らないよね
まさを見る
まさは窓の方を向き
片手はドアを
もう片手で私を庇うように
棒を持っている
声が出ない
大きな手に力が入る
私が泣きそうな顔で
まさを見る
まさは視線に気づき
怯えた顔の私を見た
その視線の先に
人混みから突き出た手が
私の胸を触っているのも見た
やめろ!
まさが声を上げる
まさが手を取る前に
人混みの中に
引っ込んだ、大きな手
周りも気づき
私たちの周りに
少し隙間が出来た
膝が震える
すぐ横の椅子に座ってた
やはりハイキング帰りらしい
おばちゃんが
私を座らせてくれた
周りにいた人たちを
睨んではいるけど
結局誰かはわからない
でもこの中に犯人がいる
次の駅でおばちゃんに礼を言い
二人で降りた
ホームのベンチで震える私
優しく肩ごと抱きしめるまさ
ごめん
気づいてあげれなくって
ううん
私は顔を横に振る
今日の乗り換え駅は
まさの会社がある駅
大きなターミナル駅だし
会うはずは無いけど
ちょっとだけ緊張する
スカート捲れてたらヤダな
馬鹿な考えに
少し頬が弛む
背筋を伸ばして
颯爽と歩くんだ
あれから何回
この駅を使っているか
わからないけど
やっぱりその度に
ちょっとだけ緊張する
長いエスカレーターが並ぶ
私は降りていた
百合
叫ぶではなく
呼び止めるくらいの声が
聞こえた気がした
いつもの幻聴だと
思うけど一応
振り返って見回す
私とは一番遠い
エスカレーターを登る人
まさだった
茶色に染めた毛は
伸びてボーボーだ
若い子とでも
付き合っているのか
私は心底嫌な気分で
眉をひそめた
確かに数秒
見つめ合ったが
私は前を向き
背筋をいっそう伸ばして
歩き始めた
これが最後とは
思えなかったから
そう
あの頃が
俺の一番
楽しかった頃かもしれない
本命の彼女がいて
その彼女との思い出は
少しずつだけど
丁寧に作って
大事にしてた
自分では
でも
その余った情熱を
ぶつける場所があり
それから
まぁ、言えない遊びも
なんなく出来てた
俺は自由に遊び過ぎたのか?
それが一番大事なものを
傷つけることだとか
二度と会えなくなるとか
思ってもみなかったんだ
それまでの
家庭での環境
愛されてない子供
要らなかった子供である俺
友達が出来なかったこと
なんとなく
誰にも必要とされてない
自分という存在
居場所がなかった俺に
居場所を作ってくれた百合
俺を必要としてくれた人を
本当は大切に出来てなかった
それにすら
調子に乗った俺は
気づかなかったんだ
ごめん、百合
今更遅いのか、俺たち
もう手遅れなのか
さつきさんは
俺を祭りに誘ってきたが
本命は他にいるのは想像出来た
でも、彼女は
俺と同じ匂いがする
百合といるより
地の自分でいられる気がした
軽く誘っただけで
すぐ彼女の部屋に行けた
彼女が持ってきたコーラの
炭酸がなくなる前に
何もかも終えた
コーラを飲みながら
何で唇にキスしてくれないの?
わからない?
本気の子は他にいるってこと?
言わせるなよ
血が出るほどの
荒々しいキスをして
帰ろうとした
待って
テレビでも見て
もう少し側にいて
隣りに座り
恋人繋ぎをしてくる
そんなことが
何回かあり
お祭りの日になった
いつもは部屋着のさつきさんが
今日はオシャレして浴衣だ
確かに可愛い
連れて歩けば
自慢にはなるだろう
百合と違い
デートに慣れてるらしい
シュッとした仕草は
色っぽいとさえ思う
さつきさんに乗り換えようか
でも、本命は他にいるんだよな
そんなこと考えながら
軽い話しをして
歩いていたら
正面に百合がいた
来ないって言ってなかった?
百合は俺を見ない
小さな目を目一杯開けて
涙がボトボト落ちてる
俺はなんて事をしたんだ
小さな誘惑に負けて
一番大切にしたい百合を
傷つけてしまったのか
百合は駆け出す
俺はさつきさんの手を振り切り
駆け出した
さつきさんが何が叫んでる
構うものか
絶対百合に追いつくんだ
高校生で
部活やってる私たちは
バイトも出来ないし
小遣いしか持ってないから
そんなに
余裕がないこと知ってる
だから
東京まで来て
美術館に入ったから
出来て
コーヒー飲むくらい
だけど、季節は
秋になってた
空は蒼く高い
銀杏の落ち葉を踏みながら
ゆっくり歩くだけで
充分、幸せだ
ところどころ
何かの実が潰れている
これ、何だろ?
ギンナンだよ
ええぇ
そうか、ギンナンは
銀杏の実だったね
でもこんな
クルミみたいな実が
あの売ってる
ギンナンになるの?
俺、時々作るよ
まずどこか水溜まりで
ふやかして…
まさの知識に舌を巻く私
凄いねぇ
まさは嬉しそうだ
歩いては、ベンチに座り
また歩く
何も贅沢が出来なくても
充分に幸せだった
結局
電車を二本乗り過ごし
暗くなって
家に送った
百合のお父さんも
お母さんも帰っていた
すみませんでした
頭を下げる
でも百合さんを
守ってくれたんだから
ありがとう
と、お母さんは言ってくれた
百合の家は
子どものことを
さん付けする家だった
俺は家に帰っても
百合の胸が頭から離れない
我慢出来なくなって
さつきさんの部屋に行った
部屋には明かりは付いていた
いつものように
石を投げてみる
程なくドアが開いて
さつきさんが手招いた
コーラを持ってこようとする
その手を取った
乱暴にしないで
あの子の代わりなんでしょ
いつもより乱暴な俺がいた
今日はさつきさんが
コーラを持って来るのも待たず
そそくさと帰った
俺の言ってることと
やってることの差は
なんなんだ
我ながら嫌気がさす
でもこれが
本当の俺なのか?
その当時
女性は25歳過ぎて
結婚しないと
売れ残りの
クリスマスケーキだとか
これをするのはこの歳でとか
いろいろある頃で
社宅は子供が
何歳になるくらいに
出ないといけない
感じだったらしい
私の家は
団地下の住宅地に
まさの家は
少し離れた
新興住宅地に
家を建てることになった
もう帰りに同じ道では
帰れない
まさは自転車通学になった
私は自転車といえば
真っ直ぐにしか
乗れないので
小高い丘の上に建つ学校へは
乗らない方が早いくらいだった
でも、良いこともある
自分の部屋が
持てたのだ
狭い団地からの解放
夢のようだった
なんとなく微妙な
プレゼント交換だけど
ケーキは一個だけ買えた
端っこから一口ずつ
バタークリームの
ショートケーキ
いちごはまさがくわえて
私に食べてって言う
唇がくっつきそう
それが狙いだよ
二人の唇がつかないように
ワザとかじる
ニヤッと笑う、私
まさはちょっとだけ
ムッとして
クリームもらい
まさの唇が
私の口の周りの
クリームを舐めだした
でも唇の周りばかりで
肝心の唇には触らない
もう、キスして
今までとは違う
舐め回すようなキスをした
キスって
口紅がついてる所以外でも
出来るんだね
私の小さな丸い目が
トロンとしてると思う
まさの目は
今まで見たことない
一瞬、ギラリと光ったが
すぐに目を閉じた
ここでやめないと
百合をめちゃくちゃに
しそうなんだ
めちゃくちゃに
してくれないの?
冬の夜空は美しい
空気が冷たく
二人にのしかかる
まさはもたれかかる
百合の頭を
ポンポンした
なんで、まだしてあげないの?
さつきさんは聞く
なんでだろう
俺がこんなに慣れてること
知られたくないのかな
初めての子に
わかる訳ないでしょ
でもそのうち
私と私の間に
どんな人がいたか
わかるようになる
白山くんの怯えも
わかる気がする
さつきだった
今夜の白山くんは
いつもより乱暴だった
ゆうこ姉ちゃんは
従姉妹で
どこに転勤して行っても
必ず遊びに来ていた
親と折り合いが悪く
不良とまではいかないけど
年上の人と遊んでるらしかった
連休は必ず
家に一泊して
後はその友達の家に
行ってるらしかった
俺たちが東京の隣りの県に
引っ越してからは
毎月のように来てた
俺が五年生の時
東京の大学に入り
俺たち兄弟を呼んで
遊んでくれてた
弟たちはそのうち
行かなくなって
俺一人で行くことになった時
母親は、ちょっと嫌な顔をしたが
俺が学校でイジメに近い
からかいを受けてたので
気晴らしになるならって
許してくれた
始めのうちは
普通に博物館とか
プールとか行ってた
そのうち夜の街にも
連れて行くようになった
俺が姉ちゃんと
同じくらいの背丈になった頃だ
酒はもちろん
いろいろな事
大人の遊びを
教えてもらった
ノリ
本当に好きな子は
大事に扱わないとダメよ
俺が姉ちゃんを
ちょっと乱暴に扱った時
言われた言葉だ
俺は、周りの俺をイジメる奴らの
知らないことを
いっぱい知ってて
やってるから
優越感を持てたので
つまらない学校生活も
我慢出来た
ある時、好きな子が出来た
昔、転校したばかりの頃
一人でいると
男の子たちは
校舎の裏の小川で
ザリガニ釣りをしてるから
行ってみれば
と、教えてくれた子だ
後にその男の子たちが
俺をイジメるのだが
教えてくれた女の子は
知る由もなかった
その子と同じ係りになった時
その子がとても可愛いく見えて
好きになってた
ゆうこ姉ちゃんによれば
その子は大事にしないと
いけないのだ
そろそろ文化祭
各部で何が出店したり
しなかったり
野球部もテコンドー部も
大したことしないので
少し時間が出来て
いっぱい会えた
なんとなくまさは
モテ出したので
なかなか学校内では
話せない
いつ見かけても
誰かしら女の子が
くっついてきてた
だけど、不思議に
まさはどの子にも
そっけなく扱う感じだ
お祭りのあの子は
ワザと避けてる感じ
だけど、気にしているのが
私からでもわかる
一年でレギュラーの
加藤くんとは
やたらベタベタしてて
一年生のクラスに来てるのに
何故、まさを気にするのかな
帰り道
恋人繋ぎも、少しは
板についてきた?
まさの顔を
下から覗き込む
どんなに他の子に誘われても
帰りだけは
私にとっておいてくれる
どうかな?
汗かいてるし
えっ、嘘
急いで手を離し
スカートで拭く私
嘘だよ
まさは優しく笑う
でも、こんな繋ぎ方すると
百合とキスしたくなるんだ
意外に辛いンだよ
ドキッ
私は下を向いてしまう
まさの手が少し強くなる
百合が嫌なことは
したくないんだ
立ち止まって
顔を埋める
百合の胸が俺を
誘惑してるみたいだ
まさは呟いて
私を抱きしめた