ただの学生・2018-10-07
線香
東から昇る朝日に目を細め
軽快にリズムを刻む時計の針
冬を告げる白鳥に笑いかけ
囁くような鳴き声が木霊する
古びた写真に手を合わせ
線香の煙が空へ高くのびていく
土曜日、曾祖父さんの十三回忌があった
曾祖父さんは人望がある人で
戦後に工場を立ち上げてしまう程のすごい人だった
墓の前に立つと
いつも部屋で焚いていた線香の匂いが
より一層濃い気がした