#美醜

愛ほど美しく、

愛ほど醜く、

愛ほど無意味で、

愛ほど可哀想なものは、

きっと他にないだろう。

その白い肌に触れたくて

だから貴方に恋をした。


焼けるような陽の光と

劈く蝉の声も心になくて、

それ以上に貴方に恋をしまったんだ。

白百合は、たぶん美しい。


けれど白百合は、傷付きやすい。

そして白百合は、腐りやすい。


それほど『君』は、朽ちやすい。

世界は、こんなにも儚くて

世界は、こんなにも美しくて

そして、こんなにも理不尽で

そして、こんなにも悲しい

貴方の愛で押しつぶして

恐怖を植え付けるように

その痛みを私の中に押し込めて


貴方の愛でキツく刺して

トラウマになるくらい

その甘さを私の体に塗りたくって

その細い体躯が、蛇みたいに空で穿った

その伸びた腕が、だらしなく空を掴んだ



気泡のような、一瞬の輝きを孕んだ瞳は

この上なく、綺麗だった。


あの瞬間、君は間違いなく美しかった。

堕ちたクズほど美しいものはない。

朽ちた花ほど要らないものはない。


嫌いなものほど好きでなくてはいけない。

好きなものほど嫌いにならなくてはいけない。


苦しいほど、苦しむほど

人間はいずれ美しくなる。

純粋な恋より


ずっとずっと醜くて

目も当てられないくらいの


捻じ曲った恋がしたい。

生きたい、死にたい。

自然体、偽り。

理想の自分、醜い自分。


対となる感情が憎らしいほど
華やかに舞っている
けれど僕にはその
ｾﾞﾝ　 ｱｸ
天使と悪魔が分からない

彼はいつも泣きそうだった。

なぜなら彼は

もう二度と、この美しい景色を見れないからだ。

いつものように

いつものように

寝て 起きて 薬を飲んで

ご飯を食べて 笑って 泣いて

いつものように眠りについて

いつものように


むかしのように

むかしのように

海浜で遊ぼう


約束は、永遠に

美しさを故意に求めるという、醜さ

ねぇリリィ。

こんなにも、

こんなにも美しい景色でさえ
いつか消えてしまうって思うと

そう思うと

私、どうしてだか苦しくなってしまうの
首をね、弱くて柔い力で
そっと絞められるみたいに

ねえ、リリィ、だからいっそ
貴方の声で――

君を視界の端で捕らえるだけで
君の儚さと美しさの輝きはわかる

君は、特別なのだから

儚く搖れし木々の隙閒

瑠璃色の瞳が光透かし

吐息混じりの言ノ葉は

殘りの月の輪郭を攫ふ

恍惚とした秋の明朝に

遠音の響く微かな場所

外界の匂ひも漂はぬ内

掬ふ涙は寶石になりて

煌めき放つ心は何處へ