はじめる

#藤堂平助

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全59作品・

乙女ゲー「薄桜鬼」の平助くんは
攻略キャラのタイプでいうと
かわいい系というか
同級生あるいは年下っぽいタイプ

ヒロインをグイグイ
引っ張っていくというよりも
いろいろ悩んだり迷ったり
一緒に成長していく感じです

単にかわいいだけじゃなくて
時折見せる陰影や
男らしさもあったりして
そこがすごく素敵なんですよね

そんな彼を思いっきり
カッコよく描いてみたくて書いたのが
「平助くんと私の六十日間」です
平助くんのカッコよさが
少しでも皆さんに伝わるといいなあ

千華・2020-08-02
平助くんと私の六十日間
藤堂平助
遥かなあなたへ
好きなゲーム★
万年妄想乙女
内輪話



俺が守ってやるよ

お前を狙う全ての敵から

俺がお前を守ってやる……!

By藤堂平助

猫夜叉✩.*˚・2020-08-13
薄桜鬼
藤堂平助
名言
オタク



夢を見た
君がいなくなった夢だった
悲しくて 悔しくて ふるえて
涙止まらなかった

空に向かって
「きこえてるの?」なんて
言ったりしてた

もっと優しくしてあげたかった
イヤになるくらい好きだと言って

もっと抱き締めてあげればよかった
なんて思っても もう遅くて…

毎日を大切にして
いつも笑顔でいてね
幸せだと感じてほしかった
そんな気持ちになった夢でした


目覚めてひとつわかったこと
君の存在の大きさ
君の優しささえいつの間にか
当たり前だと思っていたんだね

忙しいって何度言っただろう
孤独な思いを何度させたろう

君の寂しげな背中を見て
感じた思いはきっと忘れない

毎日を大切にして
いつも笑顔でいてね
幸せだと感じてほしいから
君のために愛を送ろう


今だから感じることがある
今だから出来ることがある
かけがえのない君とふたりで
ずっと ずっと 生きていこう


毎日を大切にして
いつも笑顔でいてね
幸せだと感じてほしいから
どんなときも愛を送ろう

今 目の前にいる君と
いつまでも一緒にいたい
愛する君の笑顔の側で
いつまでも いつまででも

そんな気持ちになった夢でした






♪夢を見た/やなわらばー

千華・2020-08-05
好きな歌詞★
藤堂平助
平助くんと私の六十日間
平助くんのイメージソング
遥かなあなたへ

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に59作品あります

アプリでもっとみる


ひとつ前の投稿、やなわらばーの「夢を見た」は、私の中では平助くんのイメージソングなんです。

以前、「薄桜鬼」の平助にはまっていた頃、ニコニコ動画ですごく素敵な平助くんの動画がアップされていて、そのバックに流れていたのがこの曲だったんですね。
最初に見たときは、もう涙腺崩壊しましたよ。
薄桜鬼の平助くんの美麗なイラスト。
そこにこの曲が被るのですから。
彼の優しさ、カッコよさ、かわいさ、切なさ…があふれていて。
涙なしには見られませんでした。


★当時のブログに書いた記事は

『やばい、やばい、やばい…。
この動画、やばすぎる…。
こういう動画を見ていると、思わず背筋がぞくぞくっとしてきて、なんか目の辺りが熱く…鼻の奥がじんわりしてきてしまいます。

ほんとにもう、平ちゃん、ステキすぎ。
好きすぎてどうにもならない。
音楽がまた美しくて儚くて、なんとも不安定な平ちゃんっぽくて、すごくよい!

空を見上げる平ちゃん。
背中が寂しそうな平ちゃん。
笑顔が儚げで…思わず抱きしめたくなる平ちゃん…。
そして、エンディングの平ちゃんの笑顔は、ほんとにまぶしくて優しくて…。
このスチルを見たとき、「ああ、生きていてくれてよかった~~!」と、心の底から思いました。』

などと…意味不明なことをわめいております。
あ、でもその辺りは、今もあまり変わっていませんね(^o^ゞ
平助が好きな方には、ぜひ一度見ていただきたいMADです。



🔖

千華・2020-08-05
平助くんと私の六十日間
藤堂平助
平助くんのイメージソング
遥かなあなたへ
万年妄想乙女


◆お墓の話ですが…◆




歴史上の人物に惚れこんでしまうと、どうしてもその人の足跡が気になりますよね。
どんなところで生まれ育ったのか、いろいろな事件やエピソードのあった場所が、今どうなっているのか、あるいは、どこで死に、どこに葬られているのか―。
いわゆる「ゆかりの地」めぐりをしたくなるものですが、とりわけ、そのひとが生涯を終えた地、あるいは埋葬されている場所などは、特別の感慨を抱かせる場所なのではないでしょうか。

私が大好きな新選組は、新選組としての活躍の場が京都を中心とした地域でしたから、学生時代は、それこそ時間を見つけては、友人とともに京都に残る新選組の足跡を訪ね歩いたものでした。
彼らが屯所を構えた壬生界隈は言うに及ばず、島原、祇園、西本願寺、油小路、黒谷、東山から木屋町あたり…。
あの頃の私が撮った写真といえば、お寺や史跡の石碑、墓石などなど…本当に色気のないものばかり(笑)。
特に、好きだった山南敬助のお墓のある壬生・光縁寺へは、花を携えてそれこそ何度も足を運んだものです。

そんな私が、とりわけ高校生のときから大好きだったのが沖田総司。
ですが、実は彼の墓には、未だに参ったことがありません。
機会がないわけではなかったのですが、学生の頃の懐具合では、やはりなかなかおいそれと東京まで行くというわけにもいかなかったのです。
そうこうしているうちに、お墓は一般の人の立ち入りが禁止になってしまいました。もうずいぶん昔の話ですね。

普通の檀家の方も当然いらっしゃるわけですし、毎日毎日大挙してファンが押しかけては、お寺さんも迷惑でしょう。
さらに、本当かどうか分かりませんが、一部の不心得者が墓石を削って持って帰ったりしたためだとか聞いたことがあります。
う~ん。。。
気持ちは分からなくはない。でも、それって絶対ダメでしょ。ファンとして。
今は、命日にだけは墓参が許されているそうですが、私は未だにその機会を得られないでいます。
いつか、いつか、香華を手向けたいと思っているのですが…。

さて、油小路の変で犠牲となった伊東甲子太郎を始めとする御陵衛士たちの遺骸は、始め壬生の光縁寺に葬られましたが、明治になって泉涌寺の近くにある戒光寺に改葬されました。
そこにはもちろん、藤堂平助の墓もあります。
実は、学生時代にこのお墓へはお参りしたことがあったのですが、当時は藤堂に対してそれほど思い入れを持っていたわけではなかったので、あまり覚えていないんです…。

今になってもう一度行ってみたいなあと思い、調べてみましたら、なんとこちらの墓所も立ち入り禁止になっているではありませんか。
その原因が、これまた「一部の不心得者のため」だという…。
具体的な理由は書いてありませんでしたが、まったく、困ったものですね。

墓参という行為や、墓前で手を合わせるときの気持ち、そんな浮ついた思いで足を運ぶわけではないはず。
本当に歴史上の人物が好きな人なら、絶対に観光客気分でなんて行けないはずなんです。
せっかく、思い思って訪ねていっても、こんな理由でそこに入れないなんて、すごく悲しいですよね。

光縁寺や壬生塚も、近年はお参りするのにお金がいるようになりましたが、お参りさせてもらっているんだ、という「気持ち」を形にしたマナーだと思えば、それも当然なのかもしれません。

明日(旧暦11月18日)は、藤堂平助の命日です。
墓参の叶わない私は、今年も遠くから彼の冥福を祈りましょう。







千華・3日前
歴史語り
新選組
沖田総司
藤堂平助
遥かなあなたへ
墓碑銘


「平助くんと私の六十日間」

(22)あなたがそれを望むのなら





今まで同じ場所に立っていた平助くんが、急に遠い世界の人になったような気がして――。
私は言葉もなく、うなだれるしかなかった。
そんな私を、平助くんは、ただ黙ってじっと抱き締めていてくれた。
(あなたの腕も胸も、こんなに温かいのに。どうして、あなたはこの世界の人じゃないの? 世界で一番素敵な笑顔なのに、もう、私のために笑ってくれないの?)
温かい抱擁も、優しい微笑みも、今はただ切ないだけ。
どれくらいの時間、そうやって彼の腕の中で涙をこらえていただろう。

「花梨。ほんとにごめんな」
目を上げると、驚くほど近くに平助くんの眸子があった。
その色がとても儚くて、優しくて、私はまた泣いてしまう。
「俺さ、お前を幸せにしてやりたい、って本気で思ってたんだ。絶対、花梨のこと泣かせたくなかったのに、堪忍――」
これ以上、この人を困らせちゃいけない。
だって。平助くんは、もう決めたんだもの。
彼の決意は、決して翻らない。
平助くんにとって、私なんかより、自分の命よりも、もっと大切なものがあるのだ。

なんとか涙をぬぐった私の口から出たのは、自分でも思いがけない言葉だった。
「平助くん、どうしたら元の世界に戻れるの?」
彼を、幕末のあの夜に帰したいわけじゃない。
できることなら、いつまでも彼と一緒にいたいという気持ちに、今も変わりはないけれど。
それでも。
平助くんがそれを望むのなら……。
何とかして彼の望みを叶えてあげたいと思うのだった。


平助くんは、私の疑問に、慎重に考えながら答えてくれた。
「あの時、俺の迷いが、お前の心に呼び寄せられたのかもしれない。だとしたら、迷いを断ち切った強い心で願えば、きっとあの場所に戻れると思うんだ」
驚いたことに、平助くんの考えは、以前、麻美に言われたこととまったく同じだった。
「前にね、友だちに言われたことがあるの。平助くんと私の波長が、何かのきっかけでシンクロしたんだろうって。だから――」
きちんと話さなきゃ、と思えば思うほど、言葉が詰まって涙があふれそうになる。
「だからね、平助くんが帰りたいと願うのはもちろんだけど、私自身も平助くんを帰してあげたい、って強く思わなきゃいけないんじゃないかって」
すがるような思いで彼を見る。

平助くんは、いつもと変わらない笑顔でうなずくと、私の肩をそっと両手で包んだ。
「そうかぁ。じゃあ花梨は、俺が帰れるように、って願ってくれるのか?」
「うん」
言いながら、思わず目を伏せてしまう自分の弱さが悲しい。
(だめだ、こんな弱い気持ちじゃ。もっと強くならなきゃ。あなたを後押しして、時間も空間も飛び越えられるくらいのパワーを出さなきゃいけないんだもの)
もう一度、顔を上げる。ちょっと無理して、唇の端を上げてみる。

――私、うまく笑えてるかな。

ぎこちなくてもいい、精一杯の思いを込めて、平助くんの笑顔にきちんと応えたい。
彼が出した答えに、精いっぱいの力を添えてあげたい。

それからしばらく、私たちはとりとめない会話をかわした。
隣の部屋にアメリカ人の女の子が越してきたこととか、アルバイト先でお客さんが倒れて救急車が来たこととか。
私って、馬鹿だ。
もっと話したいことは他にあるのに、なぜこんな他愛のない世間話しか出てこないんだろう。
ふと、平助くんが真顔になった。
「俺さ、もしかしてこのふた月は、神様が俺のことを哀れんで与えてくれた時間なのかも、って思うんだ」
「平助くん……」
「きちんと自分の人生にけじめをつけるために、覚悟を決めるために、俺が俺自身と向き合うために。そのために、花梨と過ごす時間を与えてもらったんだとしたら……。
これって、神様から俺へのご褒美なんじゃねえ?」
私と過ごした六十日は、平助くんが、藤堂平助という一人の武士としての生き様を全うするために必要な時間だったの?
そのために、私が選ばれたの?
だけど、そんなご褒美なんて残酷すぎるよ、神様――。





🔖

千華・2020-08-05
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ

あなたが もし
あんな激動の時代じゃなくて
もっと平和な世界に
生きていたとしたら…

どんな青春を
どんな恋を
どんな人生を

あなたは送ったでしょうか

若者らしく
ひたむきに
まっすぐに

やっぱり風のように
駆け抜けていったでしょうか

あの時代に生まれて
精一杯命を燃やして
幸せだったよ…と

きっとあなたは言うのでしょうね






*旧暦11月18日は藤堂平助の忌日です。

千華・2日前
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ
墓碑銘



「平助くんと私の六十日間」
ようやく完結しました。
長い話にお付き合いいただきまして
ありがとうございますm(__)m

読んでくださった皆様
好き💖を送ってくださった皆様
本当に嬉しかったです。感謝です✨

この話を書いてから
もう10年になるんですねえ。
薄桜鬼のゲームを始めた頃は
まさかこんなにはまるとは…
(しかも平助に‼️)
思いもしませんでした。

花梨は私の分身のようなものです。
恥ずかしさ半分、嬉しさ半分😅
自分が楽しむために書いたような
文章に付き合っていただいて
ありがとうございましたm(__)m

このシリーズは、あと一篇だけ
後日談の番外編が残っています。
またいずれアップしますので
よろしくお願いいたします😌



🔖

千華・2020-08-06
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ
千華のトリセツ

今、投稿中の小説
「平助くんと私の六十日間」

たわいない恋愛ものですが
これを書いていた頃
私は本当に藤堂平助が大好きでした

今読み返すと、まるで
「つぶやき恋日記」みたいで
お恥ずかしい限りです😅

特に、クリスマスと里帰りエピソードは
本編とは別に番外編として書いたもので
少々甘口にすぎますね💦

さて、これからは本編に戻って
ちょっぴり切ない展開になります

タイトルからして
ネタバレ全開な訳ですが…(^o^ゞ

もうしばらく作者の妄想に
お付き合いくださいませm(__)m

千華・2020-08-02
平助くんと私の六十日間
藤堂平助
遥かなあなたへ
よしなしごと
内輪話


「平助くんと私の六十日間」

(16)幕末の記憶





冬休みも終わり、また以前のような日常が戻ってきた。
ただひとつ違うのは、私の隣に、平助くんがいること――。


大学は、1月半ばから入試のための休みに入る。だから、学校が始まったといっても、時々教授の研究室やゼミ仲間の会合に顔を出す程度で、自由な時間はたっぷりあった。
私は、平助くんの様子を見ながら、少しずつアルバイトを再開することにした。
もちろんできることなら、ずっと一緒にいたいのだけど、二人分の生活を賄っていくには、やはり何かと物入りなのだ。
それでも、以前のようにファミレスで夕方から深夜までといった勤務ではなく、近所のスーパーで午前中に限定するなどして、何とか勤務時間を最小限に抑えるように努力した。
だって、なるべくたくさん平助くんと二人の時間を持ちたかったから。

その日の昼過ぎ、私がバイトから帰ってくると、部屋がしんと静まり返っている。
(あれ? 平助くん、どこかへ出かけたのかな?)
一人で出かけるなんてめずらしい……と思いながら、何気なく部屋の中に入りかけた私は、驚きのあまりその場に立ちすくんだ。
いないと思っていた平助くんが、そこにいたのだ。
部屋の中央、こちらに背を向けて端座する平助くんの手には、彼とともに時空を超えてきた愛刀が握られていた。
私に気づいているのかいないのか、平助くんはベランダに向かって一心に刀の手入れをしている。
青く不気味な色をたたえた日本刀。
陽気で少年っぽさの抜けない平助くんには、とても不釣合いなものに見える。
まして、真剣なんて、見たこともさわったこともない私には、そんな物騒なものが傍にあるというだけでとても怖い。
でも、平助くんにとっては大切な刀なのだ。
彼が、自分の刀の手入れをしたいから道具を売っている店を探してほしいと私に頼んできたのは、三日前のことだ。
ネットで調べてみると、けっこう近い場所に、日本刀や手入れ用品を扱っている店があることがわかった。
そこで、昨日、平助くんと二人でその店に出向き、必要な道具を一通り買ってきたのだった。

錆びていないか。刀身に傷がついていないか。目釘が緩んでいないか。
刀を見つめる平助くんの背中は真剣そのもので、声をかけることさえためらわれた。
あらためて、彼が江戸時代からやって来た本物の侍なのだということに気づかされる。
「平助くん」
ぴんと張り詰めた部屋の空気を破るように、私は思い切って呼びかけた。
「お、花梨。帰ってきたのか」
平助くんは、明るい笑顔でこちらを振り向き、
「ちょっと待っててくれ。すぐ片付けるから」
と、あわてて刀をしまおうとした。
「あ、私のことは気にしなくていいよ。それより、ちゃんと手入れしてあげて。大切な刀なんだから」
「そうか。じゃあ、言葉に甘えてやっちまうとするか」
もう一度座り直した平助くんの背中に向かって、私はおずおずと声をかけた。
「ねえ、私も見てていい? じゃまにならないように気をつけるから」
「いいけど――」
手にした刀から目を離さず、少しだけ厳しい声で平助くんは言った。
「危ないから、離れて見とけよ」
「うん」

平助くんは、手馴れた様子で刀身をあらため、打粉をかけてから丁寧に拭い清めていく。
私は息をつめて、平助くんの鮮やかな所作を眺めていた。
静かな時間が流れていく。
「不思議だな」
平助くんが、刀を見つめたままぽつりとつぶやいた。
「新選組にいた頃は、毎日のように人を斬ってた。御陵衛士として伊東さんの元に移ってからは、めったに斬り合ったりするようなこともなくなったけど、それでも毎晩刀を抱いて寝てたんだぜ。それが、こっちへ来てからもうひと月になるのに、刀を抜いたこともねえ。どころか、手入れすることすら忘れかけてたなんてさ。なんだか、自分じゃねえみたいだ――」
彼は小さくため息をつき、それから少し照れたような笑みを浮かべた。
そんなことない、と私は胸の内でかぶりを振る。
もちろん、常に先頭を切って修羅場に飛び込んでいく勇敢な平助くんもかっこいいけど、今みたいに穏やかな眸子で微笑んでいる平助くんは、年相応の若者らしくてとても素敵だからだ。
できることなら、もうこんな刀を使わなくてもいいように、いつまでも平和な日々が続きますように、と祈らずにはいられない。

それにしても、日本刀ってこんなに美しいものだったんだ。
研ぎ澄まされ、一分の隙もないほど完成された美。その蠱惑的な鋼の輝きは、じっと見ていると、吸い込まれそうになる。
さらに、それが平助くんの手にあることで、より魅力的で気品に満ちたものに見えた。
「きれいだね、その刀」
思わず口をついて出た言葉に、平助くんは、
「そうか? 花梨がそんなことを言うなんて思わなかったぜ」
と首をかしげる。
「確かに、俺なんかにはもったいないようないい刀だけどな」
――だけど、と平助くんの眸子に暗い翳が落ちた。
「結局は人[殺]しの道具だ」
「………」
私は、はっと息を呑み、言葉を失う。
それは真実そのとおりなのだけれど、実際にその刀で人を斬ったであろう彼の口から出ると、「人[殺]し」という響きがやけに生々しくて、私は軽いショックを受けた。

黙々と手入れを済ませた刀を鞘に収め、平助くんは、怒ったような声でつぶやいた。
「何人斬ったか、覚えてねえ」
「平助くん……」
「俺は今でも、この刀を見ると、斬った奴らの断末魔の顔が思い浮かぶんだ。どんな理屈をつけたって、人を斬るなんてのはきれい事じゃねえよ。俺も、刀も、血みどろなんだ」
ひとつ間違えば、俺が斬られていたかもしれないしな、と淡々と語る平助くんのまなざしは、どこか寂しげだった。
そのようにしなければ、生き残れなかった。決して、好きでやったわけじゃない。
そんな言い訳をいくら並べても、彼が京で過ごした苛烈な日々の記憶が薄れるはずもない。
多くの過激派浪士を、さらには同じ新選組の仲間までをもその手にかけた、という逃れようのない事実が、厳然としてあるだけだ。
(平助くん。そんなに自分を責めないで)
胸にあふれた思いは、けれど声にならなかった。
傍にいても、何の力にもなれない。慰める言葉さえ見つからない。
ただ、自分の無力さに唇を噛むばかりだ。
私よりほんの少し年上なだけなのに、なんて辛くて厳しい世界を生きてきたのだろう、彼は。





🔖

千華・2020-08-02
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ


「平助くんと私の六十日間」

(21)現実は残酷で





いつかこの日がくることは分かっていた。
町にあふれる書物や映像。そんな情報すべてから、いつまでも彼を隔離しておくことなんて、できるはずもない。
だから、麻美に言われたとき、覚悟したはずだったのに――。
こともあろうに、自分の書いたレポートが平助くんの目に留まってしまうなんて。
最悪だ。
もっときちんとした形で、彼に伝えたかったのに。

ショックのあまり、私はうつむいたまま、固まってしまっていた。
言葉も、涙も、出てこない。頭の中が空っぽだ。
「自分でも、何となく分かってたんだけどさ。やっぱり、はっきり突きつけられると、結構こたえンな」
無理に笑おうとする平助くんの笑顔が痛々しい。
「左之さんや新八っつぁんが、逃がしてくれようとしたのに、俺は逃げずに戦って、そして死んだんだよな」
(もう、やめて!)
突然、真っ白だった頭に感情が戻ってきた。
「平助くんは死んでなんかいないよ。こうして、ここにいるじゃない。生きてるじゃない!」
そう。
誰が何と言おうと、平助くんは、今、ここにいる。
私の傍で、生きて、動いて、しゃべっている。
これは絶対に、夢や幻なんかじゃない。そうでしょ?

「俺はあのとき、まだ迷ってたんだ。一度は同じ釜の飯を食った仲間を、この手で斬れるのか、俺の進む道は、本当にこれでよかったのか、って」
「もう、いい。もう、いいよ」
今度は私が、平助くんにしがみついていた。
「もう迷わなくていい。悩まなくていいの。あなたは、油小路へは行かないんだもの。こうして、私とこの世界で生きるんだもの!」
涙がどっとあふれてくる。
悲しくて、やりきれなくて――。
「もうすぐバレンタインデーなんだよ。私、がんばってめちゃくちゃおいしいチョコ作るから。どうしても、平助くんに私のチョコ食べてほしいの! だから……だから」
――行かないで、という言葉は声にはならず、私はただ、平助くんの胸にすがりついて泣くことしかできなかった。

平助くんは、そんな私の肩をそっと抱きしめると、今までに見せたことがないくらい優しい笑顔で私を見つめた。
「花梨、ごめんな。俺、やっぱり行かなくちゃ」
「………!」
「俺さ――。もしかしたら、ここで、ずっと花梨と一緒に暮らしていけるかも、って心のどっかで思ってたんだ。だけど、やっぱり、ここは俺の世界じゃないんだよな」
どうして、そんな悲しいこと言うの?
いつまでも私の傍にいるって、約束してくれたじゃない。
命を懸けて守ってやるって、言ってくれたじゃない。
「ごめん」
と、もう一度、平助くんは固くこわばっている私の体を抱きしめる。
「お前との約束、守れなくなっちまった。おやじさんとおふくろさんにも申し訳ねえし。俺って、サイテーだよな」
子どもをあやすみたいに、彼の言葉は温かかった。

――そんなことないよ。
――平助くんは、世界で一番かっこよくて、ステキだよ。

「俺の生きる世界はあそこしかないんだって、やっと分かったんだ。もう迷わない。何があっても後悔しない。試衛館の仲間が待ってるあの場所に、戻るよ」
新選組でも御陵衛士でもなく、試衛館の仲間。
その言葉を聞いたとき、私の胸の中で何かがはじけた。
そうなんだ。彼はやっと、自分の進むべき道を見つけたのだ。
迷って、悩んで、苦しんで……。
ようやくたどり着いた、それが答。
平助くんは、もう迷わないだろう。
自分の意志で油小路に立ち、笑顔で試衛館の仲間と対峙し、そして、最後まで武士としての誇りと矜持を失うことなく――。


その瞬間、私の頭の上で、時間が軋んだような気がした。
あの夜、この部屋に開いたタイムワープの扉が、もう一度開こうとしているのだろうか。

夢は、いつか醒める。
神様の気まぐれは、いつまでも続かない。
最初から分かっていたはずだった。
それでも。
うたかたのように儚い奇跡を永遠に、と願うのは私のわがままですか、神様――。





🔖

千華・2020-08-05
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ

今日は
藤堂平助の忌日です

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

平助くん
今頃どうしていますか

くるくる動く瞳で
今も元気に笑っていますか

タイムマシンに乗って
あなたに会いに行きたい

千華・2020-11-18
藤堂平助
新選組
遥かなあなたへ
墓碑銘


◇◆油小路にて◆◇
―平助くんの命日に寄せて―




慶応3年11月18日
それは「彼」が死んだ日。

晩秋の冷たい雨の中
私は
彼の最期の地 油小路を歩いていた。


ここに、彼の遺骸が横たわっていたんだ。
凍てついた地面の上に。

きれいな顔も、長い髪も、粋な着物も
何もかもが泥に汚れ、血にまみれて―。

無機質なアスファルト舗装の路地に
彼を悼む面影は何もない。
小雨にけぶる街角は
どこにでもあるありふれた風景。


「平助くん。
あなたの魂は、今もここにいるの?」
胸の中のつぶやきに
彼が答えてくれるはずもないけれど。

土塀の陰で立ち止まった私は
そっと目を閉じ、耳を澄ました。

私には聞こえる
あなたのうめき声が。
私には見える
あなたの苦痛にゆがんだ顔が。

それでも―。
それでも、あなたは
後悔していなかったんだと信じたい。
この日の「死」は
あなたが自分で選んだものなのだから。


最期の瞬間まで
男として、武士として
生きようとしたあなた。
誇り高く、勇敢に
戦って散ることを願ったあなた。

―そのとき。
薄れていく意識の中で
あなたは微笑んでいたのでしょうか。


あなたが斃れたこの場所に
今、雨は音もなく降り注ぐ。
私の心も雨に濡れ、にじんで、ぼやけて。
やっと私は
自分が泣いていることに気づくのだ。

もう会えないひとの生涯に
思いをはせながら。
言葉もなく立ち尽くす
秋の日の午後―。






🍁

千華・2020-11-18
再掲
新選組
藤堂平助
平助くんと私の六十日間
遥かなあなたへ
墓碑銘


「平助くんと私の六十日間」


初めに思っていたより、ずっと駆け足の投稿になってしまいました。
本当はもう少し、のんびり上げていきたかったのですが、何となく自分の中で(もっと、もっと。早く、早く)みたいに焦る気持ちがあって、怒涛の投稿になってしまったこと、申し訳ありませんでしたm(__)m
そんな作品に目を止めてくださった皆様、読んでくださった皆様、好きや贈り物を送ってくださった皆様。
本当に心から感謝いたします。
ありがとうございましたm(__)m


この作品を書いた当時(10年以上も前のことです)、実は完結まで一年以上かかっています。
単に私が遅筆なだけなんですが(^_^;)
その頃は、個人のホームページやブログを通じての交流がまだまだ盛んで、ネッ友さんたちとああでもない、こうでもない…と盛り上がりながら書いていたのが、とても懐かしいです。

ゲームではまった平助くんを、自分なりにひたすら「かっこよく」描きたい、という願望だけで書いた話でした。
こんな独りよがりな話を、このNOTEで、はたして読んでくださる方がおられるのか? とんでもなく場違いなんじゃないか? と、内心びくびくしていました。
でも、思っていた以上にたくさんの方が見ていてくださって、本当に本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。
彼のかっこよさが、少しでも皆様に伝わってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

冬の季節の話なので、ぴったりくる写真がなかなかなくて苦労しました。
最後の番外編だけは、これはもう🌻向日葵🌻これしかないでしょ!と、向日葵の写真が消えないうちに投稿したくて、大急ぎでアップしました☺️


以上、内輪話みたいなあとがきでした。
ありがとうございましたm(__)m

千華・2020-08-08
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ
千華のトリセツ
内輪話


「平助くんと私の六十日間」

(14)家族の風景(前)





「平助くん」
明日は京都に帰る、という日の夜になって、父が真面目な顔で切り出した。
「よかったら、帰る前に一度、儂と手合わせしてくれんかね」
――え? という顔で平助くんが私を見る。
私はあわてて二人の間に割って入った。
「お父ちゃん、何言ってんの! 平助くん、こう見えてめちゃくちゃ強いんよ。怪我でもしたらどうすんの。絶対に、ダメやからね!」
必死に止めようとする私に向かって、父は涼しい顔で言った。
「何を言うてるんや。お父ちゃんかて、県大会で2位に入ったことあるんやで。まだまだ若い者には負けてへん」
「そんなん大昔の話やないの」
平助くんのことを知りもしないで、まったくなんてことを言うんだろう、このオヤジは。
県大会とかそういうレベルじゃない。
平助くんは、常に生きるか死ぬかの瀬戸際で剣を振るってきた。もちろん、実際に、人を斬ったこともある(と思う)。
高校の部活の剣道などとは、そもそも生きている世界が違うのだということを、父は知らない。

私があきれ果てて口をつぐんでしまったのをいいことに、父は強引に平助くんに詰め寄った。
「なあ、平助くん、どうや。いっぺんくらいええやろ?」
平助くんは、真剣な目をして考えていたが、やがて顔をあげるとにっこりと微笑んだ。
「分かりました。お父さんがそこまでおっしゃるのなら」
「平助くんったら! お父ちゃんも、あかんって!」
泣きそうな顔をしていたのかもしれない。
私の気持ちを察してか、
「大丈夫」
――うまくやるから、と平助くんは私だけに聞こえる声でささやいた。


次の日の朝早く。
母と私が見守る中、父と平助くんは、竹刀を手に裏庭で向かい合った。
きん、と冷え切った空気が頬に痛い。
えらそうなことを言っても、実際に平助くんが剣を構えるのを見たのはこれが始めてだ。
いつもの平助くんとは明らかに違うその気迫に、私は思わず息をのむ。
近寄るのがためらわれるほどの張り詰めた闘志。不用意に近づいたら、一刀両断にされそうな殺気。
ジャージにトレーナーのラフな格好でも、そこに立っているのは、間違いなく幕末のサムライだった。

「平助くん。流派は?」
父の問いに、凛とした声が答える。
「北辰一刀流です」
「ほお。それはまた――」
古風やな、と父は感嘆した。
再び、静寂があたりを支配する。
打ち込む隙が見つからないのか、しだいに父の顔が紅潮するのがわかる。
父の焦りを誘うように、正眼に構えた平助くんの剣先が、かすかに揺れた。
「たあああああっ!」
吸い込まれるように、父の体が前へと踏み込む。 上段からの一撃をするりとかわした平助くんの竹刀が、次の瞬間、残像も残さない速さで父の胴を襲う。
勝負は、一瞬で決まった。

「お父ちゃん!」
私と母が駆け寄るよりも早く、胴をしたたかに打たれてうずくまる父に、平助くんが手を差し伸べた。
「大丈夫ですか?」
――ああ、大丈夫や、と強がる父だったが、実際には相当こたえたらしい。
平助くんに助け起こされながら、苦笑いをこぼした。
「ほんまに、年は取りとうないわ。けど、平助くん、見事な腕前やな。年のせいなんかやない、儂の完敗や」
「恐れ入ります」
神妙に頭を下げる平助くんと私をそこに残して、父は脇腹をさすりながら、母に抱えられるようにして家に入っていった。





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千華・2020-08-01
平助くんと私の六十日間
新選組
藤堂平助
遥かなあなたへ

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