はじめる

#雪虫

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全9作品・

HM企画*テーマ雪
題名*YUKIMUSHI


ちらちら降る雪


美しい雪景色
かまくらの中で
甘酒一杯
仲間と共に…



かんぱあああい
あはははは



など、何を言う!
有り得ぬ!
雪は凶器に御座る!



拙者、生まれも育ちも
豪雪地帯ゆえ
雪の恐ろしさをお話申す。




あれは拙者が幼き頃の事に御座る。
季節は無論、冬。

雪深い時節に御座った。


大人らは皆、あたふた。
三日三晩吹雪いた冬嵐のせいで
そこらは雪だらけ。

夜通しの雪掻き。
屋根の上からはひっきりなしに
「雪が落ちるぞ」との言葉が飛んで居る。



拙者はまだ年端足らずの子故
縁側とふらっとになった雪を
てしてしと叩いたり足で蹴ったり


そんな遊びをして居った。



その一貫で作った雪玉は
なんとも歪で御座った故


「なにゆえ、月様のごとく、まん丸にならんのじゃ」
そんな言葉と共に雪玉も外へと放り投げ申した。


雪玉は弧を描く様に落ちると
柔らかい新雪に穴をあけた。


「ふっ、歪な玉とて拙者の豪肩にかかれば斯様に飛ぶ」
独り言を偉そうに呟いた。



すると。



「いてぃんッッ」


どこからともなく
そんな声が聴こえたので御座るよ。


いてぃん…とはなんとも滑稽な響きに御座る。



そしてまた。

「ちくしょぅ!」
甲高い声でそう聞こえたかと思うと
何かが雪の中から飛び出したで御座るよ。


それは天高く飛び上がり
薄ぼんやりとした太陽を背にして
拙者のいる縁側に落ちてきた。


さっき拙者が
投げた歪な雪玉に御座った。


が、どうしたことか。
白い雪玉には手足が生え、
ちょんまげに髭をたくわえ
針のような刀まで腰元にして居る。


何とも奇妙奇天烈な雪玉は
着地に失敗したので御座ろう。



ごろんと転げて

「いてぃん!!くそ、いてぃん」

また、言って居る…。

どうやら「いてぃん」というのは
痛いと言うことのようだ。



あまりに痛い痛いと申すので
拙者、心配になって雪玉に声をかけた。



「これ、雪玉」
「だーれが雪玉だ、俺にはァちゃーんとした名前があらあっ」
「ほぅ、これは失礼した。名をなんと申す」
「先にそっちが名を名乗れぃってんだ!」


なんとも、威勢の良い雪玉に御座る……
拙者、こめかみに青筋が立つのを
必死にこらえて名を名乗る。



「相すまぬ…、拙者、弁と申す」
「なんだいなんだい、まだ幼名かい」


この者、拙者を愚弄する為に名を聞いたのか。
いかんいかん、我慢に御座る…。
ここは紳士の対応に御座るよ、弁耐えるのじゃ。


「……。して、主の名は」
「俺はぁ、雪虫ってんだい!カッコイイ名だろう」


虫!?
虫と申したか!
雪虫といえば冬が近づくと飛び回る
あのふわふわの毛のついた小虫に御座る…


あれは



かっこいいのでござろうか。



拙者が呆然と考えておると
雪虫殿は大袈裟にコキコキと体を鳴らし言った。


「あー、いてぃん、いてぃんっ」
そう言うので御座る。
拙者性懲りもなく心配になってこう問うた。


「雪虫殿…どうなされた」
「どうなされたって聞くんかい!あーん?」
「痛い痛いと申して居れば心配になるで御座る」
「おー、そうかい、ここ、見ておくんな」

雪虫殿が拙者に指さして見せた場所は
雪玉のてっぺん辺り。


そこを見るとなるほど、
へこんで居るでは御座らんか。




「これは誠に痛そうで御座るな」
「そうだろぅ、そうだろぅ?痛てぇんだ」
「相…」
「相、じゃあねえんだよ、お前がやったんだい!」
「ええ!?なにゆえ!?」


この者、あなどれぬ。
怪我をでっちあげて父上に金をせびる所存で在ろうか。
ならばここでこの雪玉潰すが上策か…幸いにして脇差も針のように細い…怪我をしたとて手のひらに刺傷程度で……



等と画策して居ると
雪虫殿は言った。



「おめえがよぅ、せっっかく俺を作ってくれたくせによぅ、歪だっつって放ったりするからこの有様だ…どうせ俺は歪だよ、ちくしょぅ、寂しいじゃねえか」



はっ…
拙者、なんということを考えた…?
このいたいけな雪虫殿を
潰そうなどと……阿呆に御座る。ど阿呆に御座る!


元はといえば物を粗末にした拙者が悪いのではないか!
潰されるべきは拙者!!



「雪虫殿!」
「おう、なんだい」
「拙者を潰してくだされ!!」
「へぇ!?」


拙者、その場にごろりと横になった。


「さあ!もう覚悟は出来たで御座る!」
「おい、ちょっと」
「焼くなり煮るなり自由にして下され!」
「焼くのも煮るのも潰すのも俺ぁ嫌だい」
「それでは好きにしてくだされ!」
「いや、待て俺あ」
「否、待たぬ、さあ!」


危うく誤った判断を
するところであった拙者に
情けなどいらぬ!


拙者譲らぬ!
拙者の固き決意を汲んだか
雪虫殿は静かにこう申した。



「本当に……いいんだあな?」




「武士に二言はないっ!」
「そんじゃ、ま、そこまで言うんなら」




嗚呼、父上母上
先立つ不幸をお許し下され……!!






拙者は目を閉じる。
目を閉じてこれまでの人生を
走馬灯の様に省みた……。




「行くぞぃ」
雪虫殿のそんな声が
聴こえた瞬間の事に御座った。




スゥ~~~~ッッッ





静かな音と共に
拙者の嗅覚に刺客が!!


「くっっっさぁ!」


拙者、潰せとは申した。
焼くなり煮るなりとも申した。


が、しかし!
屁をこけ等とは一言もっ
一言も申しておらぬ!




肉とも魚ともとれぬ
この腐敗臭
なにゆえ、拙者に嗅がせるか




この雪玉めっ
許すまじ!


「無礼者めっ」
「なんでだっ、おめえが好きにしろって言ったんだろ!」
「申した、申したが!よりにもよってなにゆえ屁なのじゃっ」
「出したかったんだからしかたねえだろ」


このスカした雪玉めっ


「すきありっ」


拙者、腹立たしくて腹立たしくて
ついつい、手刀で雪虫殿に
攻撃をくわえたので御座る。


「あっぶねっ」

なんと、拙者の手刀を白刃取った雪虫殿。
手刀を跳ねっ返し、飛び上がったかと思うと
拙者の首めがけて蹴りを入れおった。


小さな足、細いもも


なのに、なにゆえ
こうも勢いが御座ろうか。



拙者、蹴られた衝撃で前方へ吹っ飛び
三日三晩降り積もった雪の中へダイブしたで御座る。



乳母が夜なべで縫ってくれた半纏も新雪にびしょびしょ。
寒いし冷たいし押しつぶされそうな雪の圧迫感が恐ろしい。

拙者が雪の中でもがいておると
その背へ雪虫殿が着地。


「いてぃんっ」



が、またも失敗。
背中でゴロゴロと転げ回っておる。


「ちくしょぅ、おめぇ、なんて心地悪ぃ背中してやがるっ」



もう、飛んで着地するの辞めたらいいので御座る。
拙者のごくごく一般的な背中まで愚弄するとは。




それから拙者ら、諍い続けたので御座る。
顔を合わせれば、バチバチに御座る。


雪の中で幾度涙し、幾度激怒し
決着のつかぬ争いに身を投げ打ったか。





気がつけば、雪の深い季節は
終わりを迎えつつあった。


あたりは雪解けが進み
春の草花が硬くなった雪を割って生えて来て居る。



拙者の憎き敵、雪虫殿も溶けつつあった。


ある日拙者、はぁ、はぁと肩で息をして
縁側で日干しになっておる所を発見したのでござる。


「……溶けるのか」
「ああ」
「……死ぬのか」
「さあな」
「そうか」
「……弁、おめぇ、太刀の筋よくなったな」
「雪虫殿」
「俺も、少しは鍛錬の足しになったかい?」



あんなに憎かった雪虫殿。
あんなに臭かった雪虫殿の屁。
あんなに理不尽だった雪虫殿の攻撃。


今なら全てが許せる気がする…。


「雪虫殿、何かして欲しい事は御座らんか」
「そうだなぁ」


汐らしく尋ねると雪虫殿はこう申した。




「俺の雪解け水をお椀に集めて、燕岳に生えた花にでも与えてくれりゃそれで俺ぁ幸せだ」
「分かり申した、必ずや」



拙者、慌てて台所まで走り
乳母に椀をもらうと
今やあの世という雪虫殿の体液を
椀に溜め申した。


最後の1滴まで集め終わると


「ゆ、ゆ、雪虫殿……雪虫殿……」



拙者、目から涙が出てきたので御座る。




あんなに嫌いだったのに。
あんなに喧嘩ばかりしたのに、



どうして
こんなに苦しいので御座ろう。



拙者の涙が、椀の中へ
ひとつ、ふたつと落ちて波紋となったその時で御座る。
椀の中に、何やら現れ始めた。



よくよく見ると
目、鼻、口……まさか!





「ぷっはぁー!!!!生き返った!!あー、死ぬかと思った、三途の川が見えたぜ」
「雪虫殿…」
「おう、弁!久しぶりだな」
「……今し方解けたばかりに御座る」
「へぇ?そうだったのかい?」
「相…。雪虫殿、おかえり、で御座る」



雪虫殿はへへへと照れて笑う。


真剣勝負を幾つもした拙者らは
いつの間にか無類の親友になって居った。



よかった。誠によかった。
拙者、友人を亡くすのは嫌に御座る。




やがて、雪虫殿が言い申した。





「あー、そうだ、弁」
「何で御座ろう」
「俺ぇ、解けて生まれ変わって名変わったぞ」
「お、それはそれは。元服を迎え諱をもらった武士のように御座る」
「だろぅ?俺の諱、特別に教えてやるよ」
「拙者弁と申す。そちらは何と申すのか」



今度は失礼のないように拙者から名を名乗った。
すると雪虫殿、満足げに得意げに
体を揺らしながらこう申したので御座る。




「俺の今の名はな、水虫ってんだい!どうだかっこいいだろ!」



水……虫………。水虫!?
なんだか……すごく嫌で御座る。

呼びたくない友達の名前
ナンバーワンに御座る。



雪虫殿は元服を迎え
レベルアップしたはずなのに
このレベル1感は何で御座ろう。



「……職業はまさか、“汚い足 ”とか申すか」
「へえ!?なんだと!?」
「水虫…有り得ぬ、汚いで御座る」
「弁、貴様!俺が解けちまったんでさっきまで泣いてただろうが!」
「さっきのは鼻水に御座る。気候が変わった故、風邪を引き申した」
「おめえも、鼻水に改名しちまえ!」
「失敬な事を申すな。弁はな偉大なお父上の名を1字貰うのでござる」
「じゃあおめえのトトも鼻水助に改名だな!」



父上を



父上を愚弄するかこの鼻水め!
否…違う、鼻水は拙者に御座る。



父上を愚弄するのかこの水虫め!!




許すまじ!




こうして水虫と鼻水の諍いは
拙者が死ぬまで続くので御座った。





なんの話で御座ったか?
嗚呼、そうで御座る。



雪玉に肩入れすると
屁の臭い水虫が生涯お友達になるで御座る。



雪は、恐ろしいので御座候。
皆も努努、お気を付けなされ。

ひとひら☘☽・2019-10-27
幸の華
HM企画STORY
物語
雪玉
雪合戦
雪深
新雪
乳母
友情
辛い
秋の訪れ
冬空
鼻水
水虫
雪虫
HM雪

今日
雪虫を見ました。

あと十日程で
この辺りも初雪かな

渓奈・2020-10-09
雪虫

外に出ると

雪の妖精が

私の元へ飛んできて

冬の訪れを教えてくれた



上を見上げれば

渡り鳥が列をなして

真っ白な空を飛んでいった

💫マシュマロ🍃・2019-11-03
ポエム
独り言
雪虫
白鳥
冬の訪れ
🍃🍁

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

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雪虫って❓

🐛🐝🐜🐞🐌❄️.*˚

ネット検索してみました

白いふわふわした綿毛をまとって飛ぶ虫なのですが

『雪虫 美味しい』とあり

えっ😲 食べるの❓美味しいの🤤


……🤔……・・・・・( ̄_ ̄ i)


『雪むし』っていう
新食感チーズ🧀のことでした

😄✨

七瀬・8時間前
雪虫

信号待ち

雪虫が舞う

もうすぐ冬だわ……

と、心の呟き

冬支度しなくちゃね

✨✨A.YOU✨✨・2019-10-08
雪虫
ポエム

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