#1番尊敬する打楽器奏者

先生の指揮で
先輩と一緒に演奏してた時は
それが当たり前だと思ってた
あの日々がどれだけ幸せだったか
今になってやっと理解した

あなたのキラキラした笑顔に
あなたの輝く才能と努力に
導かれるように
私はこの場所を
この楽器を好きになった

大好きだからこそ
ずっと憧れてきたからこそ
追い抜きたい人

先輩からの｢頑張ってね！！｣
そのたった一言が
何よりも嬉しかった
先輩がいなくなって初めての舞台
これから先も
こうやって
応援はして貰えるかもしれない
でも
励まし合って一緒に頑張ることは
もう出来ないんだ
隣を見ても先輩はいない
それがどれだけ苦しくても
今回は
たった1人のパーカッションとして
頑張らないと

私は先輩の1番じゃないけど
先輩はいつだって私の1番です

あの小さな音楽準備室が
世界でたった1つの
私の居場所だと思ってた
でも違った
私の居場所はあの部屋じゃない
先輩の笑顔があれば
どこでも良かった
そんなことに
先輩がいなくなってから気がついた
先輩を失った今の私の居場所は
どこにあるんですか

いつになったら泣かなくてもよくなるの
いつになったら心から笑えるの
いつになったらちゃんと眠れるの
辛いよ

写真撮影が終わって帰っていく先輩達
遠ざかっていくあなたの背中を
見えなくなるまで眺めてました

先輩の隣で笑える毎日が
当たり前だったあの頃の私が羨ましい

1年生の時のコンクール
あのティンパニsoloを聴いた時から
先輩の音が好きだった
あの瞬間
先輩はステージの上で1番輝いていた
入部してすぐに
第1希望にパーカッションを選んで
パートに3年生がいなくても
パートの先輩達に放置されても
1年間1人で頑張り続けた先輩の音は
力強くて優しかった
そんな音に憧れて
ティンパニを初めた私も
気がつけばあの時の先輩より
パーカッション歴もティンパニ歴も
半年長くなっていた
｢私、ティンパニやってみたいです｣
そう口にしたあの日から
先輩に教えて貰って
ティンパニのマレットを
最初に握ったあの日から
傷だらけにりながら
何度も立ち上がってきた
苦しいことも辛いことも
たくさんあったけど
初めて先輩から
ティンパニで褒めてもらった日
とっさに言葉が出なくなるくらいに
嬉しくて
報われた気がした
私も変われてたことを知った
きっとまだ
あの時の先輩の音を超えられてない
あと1日しか練習できない
だから
あと1日でできることをする
ティンパニ奏者として
ステージに立つ最後になるかもしれない
明後日の本番
1年半追い続けたあの音を
今度こそ超えられるように

私が甘えられるのは
先生と先輩だけだった
先生がいなくなって
先輩がいなくなって
大好きな2人を失った喪失感と
誰も頼れない苦しさが
私を私じゃないなにかに
変えていくような感じがする

私の隣は先輩で
先輩の隣は私で
そんな幸せな時間が
ずっと続くと思ってた

先輩は絶対に高校でも
吹奏楽を続けるんだと思ってた
だから｢まだ迷ってる｣
それを聞いた時、悲しかった
先輩がこれからもその才能と努力で
私を救ってくれたその音で
輝き続けてくれること
心から祈ってます
会えなくなっても
違う道に進んでも
もう同じステージに立てなくても
先輩の高校の定演に行って
また先輩の音を聴きたいから

先生と先輩がいたあの頃に戻れるなら
もう一度笑えるのに

毎日のように
先輩の｢またね｣を聞けてたあの頃の私は
これ以上ないほど幸せだった