裏庭・2019-06-18
いまを生きる
ストロベリームーン
ポエム
呑んだ後に友と別れ一人駅舎に。飲み足りない物足りない侘しさをグッと堪えて。弱くなった友の体を少しいたわり。友の話に胸を熱く焦がす日もある。自分の生き方に迷いはじめ不安だけが募る。誰が決めたかわかりもしないルールにそって。滞りなく試合運びをするのが最善なのか。なんのために金をもらい生きてゆくのか。誰の喜ぶ顔が見たくて労苦するのか。生きてゆかなきゃ生まれたからには幸せになりたい。目で見えるもの手に取れるもの形あるものだけが全てじゃないだろう。幸せってなんなのだろうか。好きなあの娘と寝れたら満足かい?人より見晴らしのいいところにいれたら気分が良いだろう。メニューの値段を見なくとも好きなものを注文できたら勝ち組か。いい服に袖を通せば気持ちがいいだろう。美味い酒が飲めりゃそれに越したことはない。重い荷物を運んでくれる人がいたら楽だろう。家事を任せられる人を雇えや汚れた食器の山を見てうんざりすることもなくなるだろう。好きな時に好きな人と笑い合ったり。好きな人と涼しいところで休憩したり。一通りのことをやってみてもまだ何か足りない。遠くで木々が揺れるのをじっと見つめている時のような平穏はやってくるのか。
朝目覚ましをかけずとも気持ちよく起きることができた夏のはじめの午前6時のような。透きとおった風を頬に感じるような。
病人のいる家は皆
疲弊している
優しくあれ
などとおこがましくも
望んではいけないのだ
彼らも辛く苦しんだ果ての姿だ
垣間見える苛立ちも
強い口調さえも
やり切れないからだ
人間らしさたる人間だ
神でも仏でもない
疲れ果てた家人らの放つ
棘に刺されて心流血のまま
家を背に彷徨い空を見上げる
いま一度、己の価値を問いただす
ながい長い夢をみた
何度も繰り返しては
突然その続きがはじまる
その繰り返しがずっと続いている
夢とはそういう現象なのかもね
などと木枯らしのなか
枯葉をサクサクと響かせ歩く
秋の色褪せて行く侘しさに
瞳は生きとし生けるものの
生き様の艶やかさを刻む
枯れてなお 我身を愛せらる
愛しき人よ 瞼の裏に鮮やかな
記憶と共に 忘れえぬ面影
いまを生き 楽しむことが すべてです
笑顔あれば 幸せ来るよ♪
𝒹𝒶𝓇
それは霧の深い朝だった
辺り一面がヴェールに包まれ
わたしは厳かな気分になった
静かにスーッと肺にすべり込む
しっとりと冷たいミストは
わたしを森のように満たす
庭先の花々がヴェールを纏い
小さく濡れて朝日を待つ
鳥のさえずりを聞きながら
わたしは異空の旅にでた
誰も知らない
秘密の時間旅行
いつからか脳内で
どこへでも
行けるようになった
わたしを哀れむのはやめて
わたしのために泣かないで
わたしは わたしでいたい
昨日より今日
今日より明日
約束も保証もない
けれどそれでいい
感じる今を抱きしめて
わたしは今日も生きる
間違いを見つけたら、隣にいてあげる
そうでなくても、隣にいて
そんなやつになる
日々を
時間を
忘れたくはないから
一瞬を生きよう
そんな風に
俺は刻みたいだけだよ
律
【いまを生きる】
《新国立劇場 中劇場
1月29日 公演》
〈見学〉
岩本照(Snow Man)