#夏帳の声

これらは全部僕の独白だ。

夏の暑さにうんざりして毒を吐く、

その拍子に零れ落ちた、

抜け始めの炭酸のような独り言だ。

しんどさも蹴れたらいいね

えいって砂の中に閉じ込めてさ

＿＿蝉が、鳴いた。




卵から孵り、数年地中で過ごし、夏の夜に地上に出て、近くの木を攀じ登り、殻を破って抜け出した個体は、そのまま自由な空へと飛び出して行った。


勢いよく声を張り上げてパートナーを呼ぶ。夏の暑さと必死な姿がどこか妙に重なり、響き合う。


やがて、一週間で音を止めた。
静かに消えた、蝉が泣いた。

〜　　　　　足
〜　　今　　早
〜　　年　　に
〜　　も　　〜
〜　　来　　〜
雲　　た　　〜
の　　か　　〜
峰　　　　　〜

花も木も空も海も夜も星も

私も君もあの子もあいつも

春も夏も秋も冬も

記憶も想い出も

それぞれに出会いと別れがあって

知れない何十倍の想いもあって

それが人生なんだなって

そうだ夏らしいことをしよう

走り回ればそのうち温まるだろ

雨が好きじゃなくても

梅雨を嫌いにならないのは

きっと君のおかげだね

涙を受け止めてくれると思ったの

だって日差しより水を好む君だから