施設にいるおじさんへ
私が小学生の頃、別の地区の友達から
「有紗の家ってあそこ?名字同じ家あったで!」
ときき、その家に興味を持ち祖母に「あそこにはおじいちゃんの兄弟が住んでいるんだよ」と聞き、
そこで、初めておじさんの家へ行った日のことを
覚えていますか?
産まれた時にはもういなかったおじいちゃん。
写真でしか見たことの無いおじいちゃんという存在。
ドアを開けて出てきた、
おじいちゃんに少し似ている顔で柔らかい表情で私と会ってくれた。
それからというもの、おじさんがいつもいる部屋の窓を叩いて、私が飽きるまでお話してくれた。
家族への手紙を郵便局経由で書くイベントの相手もおじさんだった。
わざわざ、おばあちゃんに住所を聞いてw
小6か中学生の時だったかな、
おじさんにとって、姉にあたるおばさん夫婦が私を忘れてしまって、私は大切な人が老いる悲しさを身で知りました。
寂しさと悲しさでおじいちゃんのお墓まで走って泣いた。
その後、
おじさんの家までまた走り、おじさんの膝の上で泣いた。
(なんで人は忘れてしまうの。おじさんだけは忘れないで…)
とそんな思いでおじさんの元で泣いた。
おじさんは泣いている私の頭を撫でて、
「どうしたどうした」
となだめてくれた…。
気がついたら、おじさんは施設に入っていた。
何度も会いたいと思ったけれど、時間がなかった、それに、おじさんは車イスになり帰ってこないと家族に言われた。
会いたいと言ったけれど「もし、ボケていて、忘れられているのを知るよりも、今は生きてるから大丈夫って思っておきな」
と母に言われた…。
おじさん、おばさんを亡くして10何年、、
なにを糧に生きてきたの…?
何度、おばさんの元に行きたいって思ったの…
と今、もし聞けるならききたい…
その答えがきっと、私が暗い気持ちになった時、
生きる意味を教えてくれると思うから…
おじいちゃんのいない私にとって、おじさんがおじいちゃんみたいな存在でした。
話し相手になってくれて、可愛がってくれて
本当にありがとうございました。
私の結婚報告だけはどうか、おじいちゃんの代わりに聞いてください。
有紗。