#苦しいくらいに優しい君

枯れた思い出に水をあげてる

花の為じゃなくて自分の為に

"好き”は君にあげるためにある言葉

嘘の笑顔でも重ねて魅せれば

消えたいを隠せるメイクよね

凍った日常を溶かした微熱も

氷漬けた台詞も君からでした

叶わぬ恋ならさっさと枯れてよ

次の花を挿す場所もないじゃん

君みたいに優しく綴れたら

胸を張って伝えられたかな

打ち上げて咲った花火が綺麗

打ち明けて笑えぬ想いは否定

気づいて欲しくて君を追った

後ろ見る様な君じゃないのに

7ー3

キミはさっそく

花火をするかと

思っていたら

テーブルのスイカに

一目散に走って

イスに腰をかけて

夏はやっぱり

スイカなんだよ

春は花よりダンゴだけど

夏は花火よりスイカだよ

そう言ってスイカに

かぶりつきます

ボクは早く

花火をしたかったけど

キミがおいしそうに

スイカを食べているので

ボクもスイカを

食べることにしました

7ー2

二日後にようやく

元気になったら

キミが家にやってきて

花火大会残念だったねと

慰めてくれます

そして今夜ボクの家に

花火を持って行くから

一緒に遊ぼうと

言ってくれました

ボクはスイカを用意して

キミが来るのを

首を長くして

待っていたら

キミが大きな袋をもって

やってきました

7ー5

ボクがスイカを

食べている間

待ちきれなくなったキミは

持ってきた紙袋を

テーブルの上に

ひっくり返します

袋の中からは

ヒモのような花火が

いっぱい飛び出しました

キミの持ってきた花火は

線香花火ばかりでした

ボクはスイカを食べながら

キミにたずねたら

おじいちゃんが

持って行きなさいと

渡してくれたんだよ

ワタシも初めて

袋の中を見たんだよ

キミも驚いています

そういえばおじいちゃんが

線香花火は人生だと

言っていたんだよ

楽もあれば虹も出るんだよ

その言葉はどこかで

聞いたことがあるけど

何かが足りない気がします

哀しみが滲んだ白夜月

投げかけた愛の比喩は

透明な心を擦り抜ける

7ー4

夏かぜなんか

ひいている場合じゃ

ないんだよ

夏を逃がしたら

ダメなんだよ

風はコーヒーブラウンだよ

キミの言うとおり

夏かぜをひいている

場合じゃありません

キミは瞬く間に

スイカを食べ終えました

キミの食べ終えたスイカは

赤い部分は残っていません

もうすぐ皮まで

食べてしまう勢いです

そしてタネまでも

全部食べてしまいました

キミに食べてもらったスイカは

幸せなんだなと思いました

7ー6

キミは線香花火を

ひとつつかんで

さっそく火をつけます

パチパチと静かに

火が灯ったら

次第に勢い良く

火花を散らします

まるでキミが

はしゃいでいるみたいです

やがて火花は衰え

まん丸になって

プルプルと震えています

まるではしゃぎすぎて

先生に叱られている

キミみたいです

このまま静かに

消えると良いのに

火の玉は落ちてしまいます

君の好きな人として出会ってみたかった

きっと僕は変わらず好きになっただろう