伊田よしのり・2024-11-16
ポエム
魔女
ねるねるねるね
あなたは
ねるねるねるねの袋を
見つめてる。
引き返すなら
今のうちだ。
あの魔女が目を覚ます
その前に…
熱病にうなされた夜
枕元に水とねるねるねるねと解熱剤を置いて、眠った。
そして、私はあの魔女の幻を見た。
あの魔女から逃げることはできない
もしもあの魔女が…
あの魔女さえ
居なければ。
私は
明るい空の下で
自由に絵を描くのだ。
白いキャンバスに
色を
自由に選んで…
婚活アプリで
表示される
女性の
プロフィール画像が
全て
ねるねるねるねの
あの魔女の
写真に
なったので
僕は
アプリを
アンインストール
したのだ。
なんだか今夜は
あの魔女が
隣に居るような気がして
ねるねるねるねを練るだけで、色がもらえる。依頼人は、あの魔女… 怪しすぎるので僕は、その案件は断ったのだ。
学校や会社がつらくても、
大丈夫。
煉る意思がある限り
あの魔女は何処かできっと
あなたのことを
見守っている。
「分からないことがあったら、すぐ聞いてね」
上司は私にそう言った。
しかし
影では
仕事ができない私のことを
ボロクソに言っているらしい。
勝手にすればいい。
私は
あの上司を
信用していない。
ねるねるねるねの
練り方について
相談した時
あの人は
何も答えられなかった。
それどころか
あの上司は
私のことを
あの魔女に
報告したのだ。
あの魔女が居ない世界で
ねるねるねるねを練ったとして
色が変わっても
もはや
その色は
何の意味も
成さない。
ネルネ保険証が
導入されると
あなたが練った
ねるねるねるねの
情報が
あの魔女に
筒抜けに
なってしまうのだ。
「練らなかった罰だよ」
僕を見つめてあの子はそう言った。
そして、ニヤリと笑った。
その笑い方は
あの魔女そっくりだった。
昨日は異常な暖かさだったのに
今日は寒い。
季節の
―ねるねるねるねの
魔女は
意地悪なのだ。
季節の色をコロコロ変えて
人々が慌てるのを見て
喜んでいるのだ。
今から練り始めても
もう遅い。
もうじき日が暮れる。
あの魔女が、帰って来る…
夜空に輝く無数のねるねるねるね…
その正体は実はキャンディチップなのだと、あの魔女が、教えてくれた。