【短編小説】
【小さな宝物】
同性愛なんて、ごく一部ぐらいしかいないからなのだろうか。まるで珍獣でも見る目で見てくる。ただみんなのように恋をしているだけ。少し違うのは、同性を愛していることだけ_。
彼女_サクラ_は同じクラスのアカリが好きだ。親に話せば「やめておきなさい。」なんて言われ、友達との恋バナで好きな人を言えば、みんなに一線を置かれる。不思議なものだ。
アカリが男であれば…、なんて思ったことはなかったが、こうも珍獣扱いされるとムカつくものだ。
「…世間一般的には認められないのかな…?」
んー、と放課後の教室で唸っていると
「どしたの?難しい顔しちゃって」
「うわぁ!!」
アカリがいきなり目の前に現れた。アカリは大笑いでそこまで驚く?と聞いてきた。
「あ、そうだ。用事があってここに来たんだった。」
と言うと、私に謎の手紙を見せてきた。
「ジャーン!私史上お初のラブレター!」
いいでしょ。と顔が煩いアカリ。もしOKしたら…、と考えてしまってそれどころじゃないサクラ。取り敢えず、手紙を受け取って、中身は見ないようにして見ていたが名前は書かれておらず、宛先、アカリさんへ のみ。
「…名前書かれてないんだね。」
返事に迷って、一番無難な返事をする。
「そーなの。中身に校舎裏にって。」
あるあるじゃん。と笑っているアカリに一番聞きたかった質問をする。
「…付き合うの?」
頑張って出した声は少し震えていて、もしかしてバレたかもしれない。と少し焦る。
「んー、会ってからじゃないと誰かも分からないから、その時だね。」
へらへらと返事をするアカリに少し心配になる。止めて、私を好きになってよ。とか言おうと思った。が、冷静に考えて、もしも私と付き合っていることでアカリがいじめられたりしたら…、と最悪の場合を想像してしまい声が出なかった。
「ふーん、明日?」
「明日!」
明日、アカリは誰かのものになるかもしれない。変なことが頭に過ぎった。
「…あ、ごめん。今日用事あるんだった。」
もう帰って頭を冷やそう。と教室を抜け出した。
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昨日は色々とあった...。
朝、ぐったりとした感じで七時頃学校に着いた。一番乗りとはいってなかったらしいが、今この教室には誰もいない。
周囲をキョロキョロと見回して、昨日作った手作りをアカリの机の中に入れる。直ぐに席に戻るとさっきまで何処かに行っていた同級生が帰ってきた。
少しして、アカリが投稿して来た。
アカリが机の中に入れたものに気付いたらしい。
私があげたものは、紙で作った指輪。円にハートの紙を張り付けたショボい指輪。紙の裏に私のイニシャル、Sを添えて..._。
私の一方的な愛、受け取ってくれますか?