#いつかが来る前に

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「人々の声」

「信号の点滅」

「僕の声は届かない」

「人の匂い」

「いつかが来る前に」

僕の声は君には届かない。
君の声は僕には聞こえにくい。
[もしかしたら]の
≪いつか≫が来ないように
気を付けてるつもりだった。
約束を守るのに躍起になった。
僕の馬鹿な頭で沢山考えた。
それでも君の声には
辿り着けない程に僕の出来が悪い。
言葉は足らず、
表現の統一性も無ければ
冷静さを欠くような事もあった。
薄々、思ってた。
僕の考えは赤点だらけだって。
怖くて僕自身から目を背けた。
≪出来てないじゃん≫って
言われたら、そこまで。
それでも、勘違いは正して
謝るべき所は謝りたくて電話する。
｢お前からのは絶対に出ない｣って
伝え聞いたって約束は約束だから。
面と向かって君が大勢の前で
口にするまで僕は知らん振り。
捨てたいなら捨てて良いけど。

あの日の言葉が消えないから。

『綺麗だね』
と貴女が顔を上げて笑う。
その拍子に淡い空色に近い髪が
さらりと揺れ、
隙間から右目が見えた。
コンプレックスに感じていた私に
『お揃いだね』『キレイな瞳だね』
と言ってくれた色素の薄い瞳。
｢えぇ、ホンマに...。｣

突然、
貴女の震えた声が耳に入ってきた。
『ねぇ、星が綺麗ですね....。』
そんな貴女に
｢...月の方が綺麗ですよ。
それに、
月明かりに照らされた海も綺麗ですよ｣
そう言って貴女の髪を1房手に取る。
『何だよ、急に...｡』
そんな事言いつつも貴女は
私の手を頬に当て
すり寄ってくれはる。
『楽しいね』って貴女が笑うから
私も｢そうですね。｣って笑う。
あぁ、もし≪神≫というのが
存在するのならば、
この時間が止まってくれれば
どれ程 良いことか。


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［解説］
〔星が綺麗ですね。〕
　　　　↓
｢貴方は私の想いを知らないでしょう｣

〔月の方が綺麗ですよ。〕
　　　　　↓
｢いえ、気付いて居るから
貴女が愛しいのです。｣

〔月明かりに照らされた海も綺麗ですよ〕
　　　　　　　　　↓
｢貴女に溺れてしまう程、愛しています。｣

〔楽しいね。〕
　　　↓
｢この時間が永く続けば良いのに｣

『楽しいね』と言われて
肯定しているので、
〔同じ気持ち〕という事です。

何か、これで良いのだろうか？byナッキー