同じ夕焼けを・2025-04-07
お子様ランチな恋
花に浮かれて
7ー2
キミもチューリップの花を
真剣な顔で
見つめています
花よりダンゴより
プリンが好きなキミが
チューリップを
見つめているなんて
考えられないけど
春になると
変わったことが
起こるとか
言われているので
もしかしたら
これも春のしわざかと
思ってしまいます
7ー2
もしかして
あのハトを捕まえて
食べようとしているの
あまりにもキミが
静かだったので
たずねてみたら
キミは怒って
ボクのほおをつねって
ハトなんか食べるはず
ないでしょと
大声で叫びます
キミが叫んだので
ハトは驚いて
遠くへ飛んで行きました
7ー4
星は夜空に出るから
やっぱり醤油のビンかな
キミはテンビンは
容器のビンだと
決めつけているようです
もっとスゴイものを
入れるためのビンだと
思うんだけど
ボクがそう言ったら
醤油がなかったら
醤油ラーメンが
作れなくなって
ラーメン屋さんが
困るんだよ
キミはボクの頬を
つねります
7ー1
日曜日の午後
キミとおうちで
ビスケットを
食べています
ビスケットは
良いニオイがして
とても甘くて
サクサクして
食べだしたら
とまりません
キミもおいしく
食べている
そう思ったけど
キミはビスケットを
ひとつつまんで
目の前でしげしげと
ながめています
7ー1
学校の帰り道
キミはまた空を見ています
春になってから
キミは空を見ている日が
多くなった気がします
春の青空はまぶしくて
キラキラしているけど
お腹がいっぱいに
なることはありません
全部聞こえているんだけど
キミはボクの頬を
つねります
どうやらボクは
こころの中で思ったことを
口に出してしまって
全部キミに
聞こえていたようです
7ー5
ボクは部屋に戻ると
冷めないうちに
食べようよと
輝いた目で言います
アップルパイを
ほおばりながら
リンゴって
温めてもおいしいんだね
キミは幸せそうに
言いました
確かにリンゴは
普段は生のままで
食べるけど
こんな風に温めても
おいしいことに
気がつきませんでした
7ー1
青い空白い雲
そしてハトが
群れをつくって
飛んでいます
こんな春の空を
キミは教室の窓を開けて
静かに眺めています
春は珍しいことが
起きると言うけど
本当のことでした
7ー7
チューリップに
この銀色の球を入れると
10個になって
出てくるんだよ
ポケットのビスケットより
スゴいんだよ
そしてどんどん増やして
箱いっぱいになったら
お菓子がもらえるんだよ
キミは嬉しそうに言います
たぶんそのチューリップは
パチンコという
大人がする遊びのことでは
ボクはそう思いました
7ー6
チューリップのご飯は
お水なんだよ
そして花の中でなく
根っこにあげるんだよ
ボクがそう言ったら
そんなことは
知っているわよ
やっぱりキミは
怒りました
じゃあどうして
銀色の球を
花の中に入れたの
ボクがたずねたら
キミはフフンと
笑いました
7ー4
キミは良いニオイがする
嬉しそうに言います
キミの手を引いて
アップルパイが
焼きたてだから
一緒に食べようと
キミに言ったら
キミは目を輝かせて
靴を脱ぎ散らかして
ボクの部屋に
駆けて行きました
キミが脱いだ靴を
ボクが揃えていたら
ボクの部屋から
スゴくおいしそうと
キミが感激している声が
聞こえてきます
7ー2
まさかビスケットを
見たことがないので
めずらしくて
見つめているのかと
思いました
キミはウーンと
ビスケットを見て
うなっています
もしかして
ビスケットが
嫌いなのかと思い
もし食べたくないなら
無理して食べること
ないんだよと言って
キミのお皿の上の
ビスケットを
ひとつもらおとします
7ー4
ビスケットを横取りして
カツ丼が食べられたら
何も悪いことはないと
考えていたら
アンタには
ビスケットと
クッキーの
違いが分かるの
キミがたずねます
そういえば
ビスケットと
クッキーは
そっくりだけど
何が違うのか
分かりません
7ー5
キミはその球を
チューリップの花に
そっと入れました
そして楽しそうに
チューリップの花を
のぞいています
キミが何をしているのか
さっぱり分かりません
もしかして
チューリップに
ご飯をあげている
ボクはそう思いました
7ー7
キミはボクから
横取りしたビスケットを
かじりながら
何か思いついたようです
モリナガさんが
作ったのがビスケットで
他の人が作ると
クッキーなんだよ
キミは自信満々だったけど
どう考えても
間違っていると思います
キミは少し考えて言います
そういえば
モリナガという名前の
先生がいるから
明日学校で
聞いてみようよ
7ー5
でもボクは
ラーメン屋さんだけでなく
もっとたくさんの人が
困ると思いました
それにイテ座もなにか
分からないよね
キミはそう言って
ボクの顔を見ています
確かに分からないので
何か思いもつかないよ
ボクもそう言いました