同じ夕焼けを・2025-06-15
お子様ランチな恋
恋愛とは
7ー1
学校の帰り道
キミはまだ
具合が悪そうです
いつも賑やかなのに
給食の時間の後は
ずっと俯いて何かを
考えています
声をかけるべきか
迷っていたけれど
キミが元気がないのは
淋しいので
思い切って話かけました
7ー5
おにぎりの上に
黄色っぽい
マッチ棒のような
食べものが
乗っています
これは何なの
キミにたずねたら
分からないと言って
ボクのお弁当箱に
その食べ物を入れました
その代わりに
アンパンマンの
ホッペの部分の
海老チリを
奪いとります
7ー2
キミは窓を開けて
静かに外を見ています
キミが静かなのが
珍しいので
そっと後から近づいて
キミの両肩に
手を置いたら
キミはスゴく驚いて
振り向くとすぐに
ボクの頬をつねります
7ー2
どんなに考えても
明日の給食は
明日にしか
食べられないよ
キミはいつも
疾風のように
給食を食べ終えるけど
今日は光より早く
食べ終えたのに
休んでいるコが
いないから
何もおかわりができずに
もう明日の給食のことが
気になっていると
ボクは思ったのでした
7ー4
でも何を考えていたの
ボクがたずねたら
ワタシがプリンを
好きなことを
アンタは知っているよね
キミがそう言ったので
ボクはうなずきます
好きなモノだから
食べている時は
スゴく幸せなんだけど
食べ終わって
空になったカップを見たら
スゴく淋しくなるんだよ
好きなモノを食べて
淋しくなるのは
とてもツラいんだよ
キミは自分の気持ちを
ボクに打ち明けました
7ー3
ボクは嬉しくなって
お弁当箱のフタを開けて
キミにアンパンマンを
見せてあげたら
キミは何も言わずに
アンパンマンの鼻の
ミートボールを
トンビのように
奪い取りました
お鼻のなくなった
アンパンマンを見て
ボクは悲しくなって
キミに怒ったら
アンパンマンは
お腹をすかせた子どもに
食べてもらうことが
喜びなんだよ
キミに言い返されました
キミの言うとおり
アンパンマンは
自分の顔を食べてもらって
お腹を空かせている人を
元気にするけれど
横取りされたら
アンパンマンも
哀しいと思います
7ー6
やめてよとキミに言ったら
これは何か知ってる
キミは緑色の
ゴボウのようなものを
お箸で示します
分からないよ
そう答えたら
食べられるんだよね
キミはボクに確かめます
おじいちゃんが
食べていたから
食べられるはずだよ
ボクがそう言ったら
じゃああげる
そう言ってボクの
お弁当箱に
その食べ物を入れたら
代わりにアンパンマンの
口の部分のハムを
持っていきました
7ー2
キミの横にボクも座って
リュックから
お弁当箱を出しました
給食はいつもおいしいけど
外でお弁当を食べるのは
とてもおいしいね
キミにそう言ったら
キミは一度開けた
お弁当箱を閉じて
ボクの弁当箱を
眺めています
いつものように
ボクのお弁当箱から
おかずを盗み取ろうと
していることは
分かっているので
ボクはそろそろと
お弁当箱を開けて
中身を見たら
お弁当箱の中に
アンパンマンがいました
7ー6
いっそのこと
プリンの日は
プリンだけ
ドンブリいっぱいに
出してくれたら
良いんだよ
さすがのワタシも
ドンブリ一杯の
プリンを食べたら
満足するんだよ
キミの言うとおり
ボクもお盆ぐらい
大きなビスケットを
おやつに食べたら
きっと大満足だと思います
7ー1
今日は社会見学です
30分ほどバスに乗って
隣町へと出かけます
山には登らないけれど
みんなで同じ目的地を
目指すことは
遠足と同じです
そして普段は
見ることができない
市場や工場
消防署とか
大人の人が
働いている場所を
見られるのです
だから楽しいはずなのに
隣の席のキミは
楽しそうではありません
7ー7
それに社会見学では
パチンコ屋さんにも
行って欲しいんだよ
キミがそう言ったので
パチンコ屋さんは
お仕事とは関係ないよ
大人が遊ぶ場所だよ
ボクはパチンコ屋さんの
説明をしたら
キミは大きく息を吐いて
愚痴をこぼします
アンタは何にも
分かっていないよね
パチンコ屋さんは
仕事の待ち合わせで
時間がある時に
立ち寄ったりするから
立派な仕事なんだよ
学校でも自習時間は
パチンコ屋さんに行っても
良いことにして欲しいよ
7ー6
大人なんて
オヤツは食べないけど
お酒を飲んでいるんだよ
お酒を飲むと
イヤなことを
忘れられるんだよ
だからワタシが
テストで0点取った日に
ワタシもお酒を飲んで
忘れたいと言ったら
そんなことより
勉強をしなさいと
怒られたんだよ
子どもはお酒は
飲めないから
せめてオヤツで
イヤなことは
忘れたいんだよ
キミは不満を口にします
7ー4
ボクがしょげていたら
ワタシのお弁当を
分けてあげるからと
なだめてから
お弁当箱を開けました
キミのお弁当は
見たことのない
おかずが入っています
おじいちゃんが
子どもの頃の
お弁当を食べてみたい
そう言ったら
おじいちゃんが
喜んで作ってくれたんだよ
キミは自慢しています
7ー3
今日は遠足じゃないから
オヤツはもってないよ
ボクがそう言ったら
そんなのは
分かっているんだよ
分からないのは
なんで社会見学は
オヤツを持ってきたら
いけなんだよ
これじゃ移動教室と
同じなんだよ
どうやらキミは
社会見学には
オヤツを持って
来られないのが
不満なようです
7ー1
芝生の広場で
みんなでお弁当を
食べる時間になりました
大人の人が一生懸命に
働いている姿を見ていたら
すっかりお腹が空きました
ボクは芝生の上に
シートを敷いたら
どこにいたのか
キミが先に
シートに座りこんで
楽しそうにリュックから
お弁当箱を出しています