はじめる

#お酒の力

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全21作品・


「俺の事、本当に覚えてないのか…?」


さらっと、私の前髪を


いたずらする先生の瞳の中の


寂しそうな色。



あれ…?


この目、私、知ってる…。



【椿の唇~師ノ想ヒノ章(後)】




「あー美味しかったあ!」


ワインを呑んで


ほろ酔い気分。



人生初の高級レストランに


はじめてのコース料理


はじめてのお酒…。


ワインのあとの街並みは


ネオンが何重にも輝いて


私の気分は高揚していた。



「店を出た途端にそれか。品がないな」



「だって、先生がかっこよくてドキドキしちゃって」


酔いに乗じて


普段あまり言わないような言葉を


口にしてみる。


会話の繋がりなんて


気にしない。



お酒の力は絶大。


躊躇いもない。


伝えたいことを伝えられる。




「なんの脈絡もないが。まぁ、そりゃどうも」



先生は胸ポケットの


煙草に手を伸ばした。



「あ!ダメっ」


私は思わず大きな声をあげ


先生の手の甲に触れる。



ひんやりとした大きな手。



私よりずっと


背の高い先生の顔を見つめる。


「煙草はもう、駄目ですよ」


突然の私の行動に驚いたのか


先生は目を見開いて


私の顔を眺めたかと思うと



「急に…なに、するんだ」


そう言う先生の顔が


どんどん紅潮していく。



その反応に


私は息を飲む。



「な、んなんですか、その反応」


「あー…くそ」


先生は視線を反らし


せっかくセットしてきたであろう髪を


ガシガシと何度も掻いた。



そして、


「ちょっと、来い」


私の腕を引っ張って


路地を入り


人気のない公園へと連れ込む。



先生は街灯を避けるように


椿の木を見つけると


私を押し付け、口付けた。


先生らしくない…乱暴なKissだ。



「……っ、せん、せ」


「抑えがきかねぇ…少し黙ってろ」



唇を割って入り込む先生の舌先


堪えきれない


その感情が先生から漏れる、


吐息から伝わってくる。



何度も柔らかい唇に


口付けられると


頭の中が痺れた。


思考力は鈍っていくのに


身体は敏く先生を感じる。



激しいKissに翻弄され


私の目には涙が溜まっていた。



やがて先生は


大きく息を継ぐと



「お前、本当に…俺の事、覚えてないのか?」



サラッと私の前髪をイタズラしながら


私に尋ねる。


見つめ合う、先生の


瞳の中の寂しげで、


でもとても強い色。




「あ…れ……?」



私、この目、知ってる。



この目を細めて笑ってくれた……



高校時代?



ううん、もっと前だ…


記憶を辿る。



そして、記憶の端に行き着いた。





小さな頃


近所の家に住む六つ年上の


お兄ちゃんに私は恋をした。



私の、初恋だ。



母に相手にされないと


公園で一人寂しく漕いでいたブランコ。


彼はよく、ブランコを押してくれた。




私が小学三年生で


彼が中学三年生の時


彼は親の離婚で


高校進学とともに


他県へ行くことになった。


私は意を決して


その年のバレンタインデーに


手作りチョコを彼に渡した。




「お兄ちゃん、はい」


「ん?何?」


「あのね、チョコ!」



いつも哀愁の漂う目をした彼は


不格好なラッピングの中身が


チョコだと知ると


嬉しそうに目を細めて


笑いながら私の頭を撫でた。



優しい手。


伝わる温もり。


高鳴る鼓動と


きゅんと切ない気持ち。



四月には


彼はもうここにはいない。



優しい手も


この笑顔も


この温もりも


なくしてしまう。



どんなに辛くても


もう彼に会えなくなる…



気がつけば私は


涙を落としながら


彼に懇願していた。



「お兄ちゃん…」


「どうした?」


「行かないで…っ、いなく、ならないで」


彼は、何も言わずに


私の頭を撫で続ける。



その事が余計

私の想いの吐露を助長した。



「お兄ちゃんがいなきゃ私寂しい…っ、私、私ね」


「…ん?」



そして私は告げた。



「お兄ちゃんが好き」



世界ではじめて


私が好きになった彼。


そして私が世界ではじめて


告白した彼はこう答えた。



「俺が煙草吸えるくらい大人になった時、椿ちゃんが驚くくらい可愛くなってたら、君の所に戻ってくるよ」






その人の名は



「……龍…星、お…兄ちゃ…ん?」



私は唖然と先生を見つめて呟く。


先生はとても幸せそうに笑った。



「やっと…気付いたか」


「なん…で?」


しとしとと


涙が湧いては落ちていく。


先生の表情が


さっきよりももっと


柔らかいものになっていた。


照れくさそうに唇を尖らせて


それでも微笑んだ先生は言う。




「お前が…可愛くなってたから戻ってきたんだけど」




その瞬間


心臓が跳ねたら


涙腺が壊れた。



もう、涙が止まらない。



「せんせ、ちが、龍星おにい…っ」


何が言いたいのかすら


わからなくなった私を


先生は強く固く抱き締めて


耳元で囁く。



「お前、さっき聞いたろ…?いつからお前を好きだったかって。白状しようか」


首筋にキスを落とす先生は


やがて、私に告げた。




「入学当初から狙ってたよ、椿ちゃん」



あの頃と同じ呼び方で


私の名を呟かれると


なんだかとても変な気分。


だけど、嫌じゃない。


鼓動は足早に駆けていく。



「俺が煙草を吸ってたのは、お前に気付いてほしかったからだよ……」


そう言った後で先生は


「まあ…、お前が可愛過ぎて何かで気を紛らわさないと、タガが外れそうだったってのもあるけどな」



実に先生らしい不敵な笑みを浮かべた。



「せんせ、私もう…先生のこと、おに、お兄ちゃんて呼んでも、呼んでも…いい……?」



たどたどしく告げると


先生は一層私の腰を引き寄せる。


見つめ合う目と目。


泣きじゃくって苦しい呼吸


ときめきが止まずに苦しい胸


きっと酷い顔。


でも見上げる。


涙で霞む先生の顔が


ぼんやりと笑った。



「だめだろ」


「だ、め…なの…?」


「もう卒業しろよ、先生も、お兄ちゃんも」


「え…?」


「これからはお前だけの“ 龍星”だ」



そう囁きながら


先生は私の涙を拭うと


今度は蕩けるような


優しいキスをして



「椿……好きだ」



そう、耳に響いた。




私たちの足元には



沢山の椿の花が笑う。



それはまるで、私たちを


祝福するかのようだった。



【椿の唇~師ノ想ヒノ章(後)終】


------------------------

椿の唇第二弾♪


後編終わりですー


ここまで読んでくれて


本当にありがとうございます


(*´ω`*)


もう一つ


書きたいところがあるのですが


それはまた次の機会ということで


(●´ω`●)


結構頑張った作品です


感想いただけたら


幸介土下座で喜びます♪笑



幸介

ひとひら☘☽・2020-03-08
幸介
幸介による小さな物語
椿の唇
初恋
年上
彼女
椿
好きな人
世界一
歳の差
年の差
小説
言葉の力
学校での想い出
レストラン
高級レストラン
お酒
お酒の力
幸せ
ポエム
独り言
心臓、跳ねた






「そんな女とは別れてしまえばいいのよ」



私が口に出せない言葉。


募る想いを貴方は知らない。


雪のように降り積る「好き」を


私はポケットに押し込んだ。






「だから何度も言ってるだろ、大学の頃のサークル仲間たちと……うん、うん、……女もいるけど友達だよ、うん……」



彼、糀谷真央太は


私に目配せと


「ごめん」のジェスチャーを送る。




仲間“たち”ねえ?


私は苦笑いを返した。



「うん…わかった、明日のデートは遅れないようにする、うん、じゃあ」


突然かかってきた電話に出てから20分


真央はクタクタになって


私の元へと戻ってきた。



やっと席に掛けようとする真央に


私は言った。




「一応聞くけど、彼女のツカサ?」


「…ほんとに勘弁して欲しいよ」


「嘘つくのもどうかな、私以外どこに仲間がいるの」


「ああでも言わないとヒステリー起こすんだ」


「サークル仲間“たち”ってかえってわざとらしい」


「え、俺まずった?」


「かもね」



あたふたし出す真央に


私は呆れて言うと日本酒を口に含んだ。


甘い香りに酔いしれて、真央を見つめる。




仕事帰りだからスーツ。


上を丁寧に居酒屋の椅子にかけるところが好きだ。


冬だって言うのに、シャツを肘までまくっている。



テーブルに肘をつく度に


腕の筋が浮き上がる…




真央、それは反則だよ。



「なあ、雪舞、俺さぁ」


「ん?」


「最近ツカサから無言の圧力を感じる」


「圧力?」


「だーかーらーさー」


真央は私が頼んだ枝豆をつまみながら


私を見つめて言う。



「そろそろしたいなー、みたいな」


「何を?」



「相変わらず鈍いな、結婚だよ結婚」




結婚……の二文字に


心臓が苦しい。



笑顔が凍りつく。



必死に平静を装った。




「真央は…どう思ってるの?」


言ってしまってから後悔した。



「俺だってさ、もう27だし結婚意識せずに女と付き合う程、若くはないよ」


ほら


こんなの聞きたくなかった。



耳を塞ぎたい衝動に駆られるけれど


そんな事出来るわけもない。



「…だったら結婚するの?」


「うー…ん」


「束縛がきつい?」



真央は苦笑した。



聞けば、


ただいまの時間が少しでも遅れると


猛追求が待っている


残業だったといっても


なかなか信じてくれないらしい。


喧嘩もしょっちゅうで、


無実の罪で頬を張られた事もあるという。


真央はそれで幸せなんだろうか。


「まずは同棲かなとも思うんだけど、今からこれじゃあ…同棲後どうなるかなって恐くてさ」

「……そう」



まただ。また私は


そんな女とは別れちゃえばいいのよ


その言葉を噛み殺す。




「そう、ってさ、冷たくね?」


たまに、こうやって


捨て犬みたいな目をして見つめるの、


やめてほしい。


心がますます引っ張られるじゃない。



「同棲が恐いのに、結婚考えるなんてどうかしてる」


不機嫌に呟いた私の一言を


真央はきょとんとして聞き入れ



「あ、そっか、そうだよな、雪舞、意外と頭いいじゃん」



そして、こどもみたいに微笑んだ。




真央はかっこいい。


真央はかわいい。



真央、好き。


……大好き。



真央を見つめていると


つい、口をついて出そうだ。


いくじなし。


告白なんて、出来もしないくせに。




私は自嘲して、


また日本酒を口に運んだ。






「おーい、雪舞、大丈夫かあ?」


「んはは、だいじょぶ、だあいじょーぶぅ」


「大丈夫じゃねえだろこれっ」



くらくらふらふら、気持ちいい。


街のネオンが幾重にも見えた。


すごーく、きれい。


その中に抱えるように私に手を貸す真央の顔。



私の、愛しい真央太。



私は真央の背中をバンバン叩いて


彼の名を何度も何度も呼んだ。



「まーーお、まーお!」


「なんだよ、酔っ払いっ」


「私ねぇ」


「おー」


「あんたと一緒にいられるとねぇ」


「んー?」


「しーあわせなんだあ」



「……な、何言ってんだ、バカ」



「んふふ、真央はかーわいいなあ」



「嬉しくねえー、って、え、もう1時!?」



「ほんとだあ、日まわっちゃったねぇ」



「ツカサ激怒じゃんっ、絶対喧嘩!」



「へへへー」


「へへへじゃねえだろ。責任問題!」


「責任ー?」


「そうだよ、喧嘩して別れたりしたら雪舞のせいだからな」





私に白い目を向ける真央すら、かっこいい。


切れ長の目、見つめられてる。


たまんない。


ふらふら、くらくら


お酒の勢い。


私は、真央の耳元でこう囁いた。






「真央は私と結婚すればいいんだよぉー」


「……んなっ」


「性格も、笑いのツボもぉ、趣味もぉー、ほぉら、ぴったんこ」


「雪舞のアホ、呑みすぎ」



あれ?真央の顔が赤いぞ。


なんで??かわいいなぁ。



私の頭の中には


真央のことしかない。




「ほら、ちゃんと歩け、送ってく」


「んはは、ツカサちゃんもーっと激怒するよー?」


「かもな」


「別れよって言われるかもよー?いいのー?」


「別れたら雪舞と結婚すっからいいよ」



「えー?へへ」



幸せ。本当に幸せ。



このやりとりが戯れでも


この想いが報われなくても


真央がツカサと結婚しちゃっても


真央と居られる今は永遠に私の幸せだ。





翌日、ひどい二日酔い。


逆プロポーズのことはすっかり忘れて


迫り来る吐き気と戦い続けた。



次に真央に逢えるのは


二週間後の金曜日だ。




その日にはどんな物語が



待っているだろう。



それはまた別のお話。




*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜

短編のつもりで書いてた雪舞と真央太の


友達以上恋人未満のお話です♪̆̈



でもなんだか続けていけそうな予感。



続き読みたいって人がいてくれたら


書いてみようかなあって感じです笑



酔っぱらい目線に苦労しました( ๐_๐)



次は性と言う名の鳥籠
虎太郎編になると思いまーす


最後までお付き合いいただき


ありがとうっしたー( ⑉^ ꇴ ^⑉ )



幸介

ひとひら☘☽・2019-12-21
幸介
幸介による小さな物語
友達以上恋人未満
恋人
友人
同級生
二日酔い
報われない恋
ポケット
片想い
束縛
大好き
愛しい
お酒の力
酔っぱらい
ポエム
想い
結婚
別れ
破局
クリスマスまでに


何年かぶりに飲んだお酒は、

するっと抵抗もなく、喉奥に入ってきて

思い込んでも、少女には戻れないことを

まざまざと知る。

沙遊(Sayu)・2020-12-20
お酒の力
忘れたい恋

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に21作品あります

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お酒の力を借りないと

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裕香・2021-01-01
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お酒の力
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ずるい私を許してくれますか

飲み会の日、
本当は酔ってなんかいなかった

酔ったフリをしたら
少しでも気にかけてもらえる
そんな気がして

少しでも私の事を
他の子よりも優先してくれる
そんな気がして

私は貴方の肩にもたれた
私は貴方の手を握った
私は貴方の胸に飛び込んだ

貴方の肩にもたれかかる私を
貴方の手を握った私を
貴方の胸に飛び込んだ私を

貴方は優しく受けとめて
頭を撫でて抱きしめてくれたんだ

今日だけは
お酒の力を借りて
貴方を一人占めにしたかった

貴方もお酒の力で
受けとめてくれたの?

。・2020-02-10
上司
片想い
お酒の力

お酒の力でキスをした
舌が絡んで
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翡翠・2023-09-11
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穢堕・21時間前
独り言
お酒
お酒の力
辛い
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ひとりぼっち

やりづらい人も沢山いる。

けど、私を推すなら

とことんハマって

煽てて、呑ませて、堕ちて

貢いで。

どんな人でもいい。

私の価値を上げて。
綺麗に飾って作り上げて。

糸色綴・2021-01-24
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お酒の力

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