春くん・18時間前
きっと忘れられない
君に届け
ポエム
振り向くなキミはきっと忘れられない
3歳の頃父が亡くなった
交通事故だった
その場に私も居た
父は私を庇って亡くなった
一台のトラックが突っ込んできて
青信号で渡っていた私を退こうとした
父が横から私を押して私は助かった
でも父は亡くなった
何度も訴えた3歳の私なりに
状況を説明して誰が悪いのかもちゃんと言った
なのに大人は皆、トラックの運転をしていた
人を信じた
意味が分からなかった理不尽だと思った
父が亡くなって最初の方の母は
悲しんでいたけど私のせいにしたりは
しなかった
数年たってシングルマザーとして
働いていた母はどんどんおかしくなっていった
仕事にも行かなくなったし
いつも上の空だった
私は父が残してくれたお金と
母が稼いでいたお金で毎日やりくりしていた
その頃には母からの暴言は毎日目が会うたびに
言われていたでも、辛くはなかった
いい子にしていれば、大丈夫。
いつかきっと私を見てくれる。
私を愛してくれる、そう思っていた。
ある日母が立ち上がった
全然動かなかった母が動いたので
とても嬉しかった
母は何かブツブツ言っていた
『何て言ったの?』
そう聞くと
『あんたが…あんたさえ、居なければ…
あの人が亡くなる事もなかったっ!!
あんたなんか産まなきゃ、よかった…』
そう言われた一番、恐れていた言葉を
一番言われたくなかった言葉を言われた
そのまま家をでた
走って走って走って走って
着いた場所は海だった
このまま死んでしまおうかと、思った。
でも今死んでしまったら
何も残らない気がして、
私が生きてた事が、意味が何もかも消えてしまう気がして
家に戻った
家に帰ると母は謝ってくれた
でも私の中には深く刻み込まれた傷ができた
あの言葉は一生忘れる事なんてできない
以上、私の現状でした
この三年間。
辛かったし、苦しかったし、
何度も泣いて、消えたいと願って。
それでも今振り返ると光って見えるもので。
辛さも苦しさも、
消えたいと願ったあの夏の日も、
友達の大事さを知ったあの日も、
喧嘩の仲裁したあの日も、
皆の前で失敗したあの日も、
友達とすれ違ったあの春も、
先輩に憧れたあの三月も、
全部自分の糧、経験、思い出。
学生生活も終わりを告げて、
社会に出ることへの不安、葛藤。
それでも、私が過ごした淡い青春。
きっと忘れないし、いつか笑い話にして
彼らと酒を交わせたら。
それが『大人になる。』ということなんだろうか。
叶わないと分かっていても
叶えたいと思った恋があった。