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#ほっぺ短編

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全25作品・

キミは突然やってきて
突然消えた


今とても後悔している
キミとの時間を無駄にした
こんなに早くキミがいなくなるのなら
そう思うと生きていく自信もなくなる



でもその後悔は過去を変え
未来を思い通りにすることが出来る
そう知ったのは最近なんだ


あの日突然現れたキミは
本当は突然に現れたわけじゃ
なかった


私の知らないところで
入念にイメージされ
この子なら確実に手に入る
この子なら未来永劫僕を思い続け
僕は消えることはない
キミはそうわかっていた
私だって同じ思いだったはず
キミが言うにはね


そんなこと知る由もない私には
無性に癪にさわった
そんなことって…
あるはずないし癪にさわる!
じゃあ出会う意味は何なの?
癪にさわる!


すごい勢いで怒ったせいなのか
貧血になって目の前が真っ暗になって
キミが突然現れたあの日にいた


ごめんよ
俺は生まれて来る時決めてきたんだ
もう一度お前を探すってさ
お前と目一杯愛し合えなかった
添い遂げられなかった
だから…
お前もそう決めてきたはずだよ
だからお互い忘れることは出来ない
だけどちゃんとわかる時が来るんだ
過去は変えられる
つじつまが合うようになっている
それをあの出会った日に
言えばよかったね
でもやがてこうしてわかるんだ


嘘つき!


そんなこと言ったって
キミはもうこの世の人じゃないじゃない!
後悔だらけなんだよ
キミとじゃなきゃ私は生きていけないんだよ
君とじゃなきゃ…


あっ…
でも…生きてる
悔しいくらいに明るく
むしろキミの分までも人生を謳歌しようとしている


キミはそのためにまた私を探し
愛したの?

肉体は消えても一度愛すれば
その思いはそのまま心に住みつき
心の中では未来永劫愛し合い続け
未来永劫添い遂げる…ってこと


だから
キミとのことは過去にならない
そして後悔にもならない
これからも今もなお
進行形のまま…ってこと


目の前の
薄くなっていくキミは
笑っていた



あまりにも突然の出会いと別れ
それはきっと必然
どこかで
決まっていたことなんだ

ほっぺ・2021-06-04
短編小説
君へのリグレット
ほっぺ短編
ADR

不登校する子、いじめられた子、ネグレクトの子、昼夜逆転してる子、いろんな事情を抱えた子たちが通う適応指導教室。どこにも居場所がなく、うつむいて笑うことも忘れてしまった子どもたちが不安げに見学に来る。ここは勉強を強いられるわけでもなく、毎日通い続けることを強いられるわけでもない。

花の趣味は何?うーん?お絵描きかな?後ね、今、ドラマに出てるジャニーズの子が気になってる。えー誰?私も好きな子いるよ!2つ年上の3人の中3の子たちが、花にジャニーズ愛を教えてくれた。寄れば触れば、キラキラ輝くジャニーズの子たちの話に花が咲き、好きなお絵描きの時間も、適応指導教室にいれば好きなだけ取れた。
不思議なもので、興味の湧くものがある場所には自然と足が向くもの。中学の先生を嫌悪し、居場所を無くした花は、私に送り迎えされ、毎日適応指導教室に通えるようになった。
私は花の送り迎えに一時間費やし、その間にパートに出ることになった。
好きなものと、嫌いなものの差が激しく、好きなものにはとことんこだわり、のめり込む。
理解出来なかった。それでもとりあえず、毎日通えるところがある、それだけで安心した。

花の不登校が始まった時、私の分身なのになぜみんなと同じことが出来ないのか、理解出来なかった。そんな時友達がこんな言葉をかけてくれた。
みーこ、花ちゃんはみーこから生まれたけど、分身じゃないんだよ。みーこにも私にも遡ると、たくさんのご先祖様がいるでしょ、だから自分と同じわけないじゃない。
それに子供はね、親を選んで生まれて来るんだよ。このお母さんがいいってね。このお母さんなら必ず自分をわかってくれる、そうやって選んでくれるんだよ。

花も空も幼稚園の年少の頃、不思議なことを言っていた。
花はね、ママのところにくる前にお月様の世界で、ママのこと見ていたんだよ。
空はね、雪の世界でブランコに乗ってたんだよ。子供の空想は無限だなと思った。
本当に子供は生まれる前の記憶を小さい頃は、持っているのかもしれない。そうだとするなら、この子たちは私次第なのかもしれない。泣いている場合じゃない、そう思えた。

ほっぺ・2021-08-10
小説
ほっぺ短編
適応指導教室
発表場所

「知らなくていいこと」

「お兄ちゃんの具合が悪くて…直ぐに来
てくれる」
しばらく連絡のなかった義姉からの電話だった。

いつも木刀を持ち、箸の上げ下ろしの躾をする板前の父と、厳しい父から守ってくれる母は忙しく食堂をしていた。
兄妹喧嘩すると、「うるさい!」とおしいれに入れられ、飼い犬と涙の跡を残しながら眠ることが多かった。
お兄ちゃんはいつも優しくて、いつも私を連れて遊びに行ってくれる、大好きな大好きなお兄ちゃんだった。
義姉と結婚するまでは…

母がアルコール依存症になった。
県外にいる兄に何度母に会いに来て欲しいと言っても、梨のつぶてだった。
義姉は親戚の付き合いをしない人だった。父が亡くなった時も、お通夜だけきて告別式には来なかった。

危篤のお兄ちゃんに会いに行った次の日、お兄ちゃんは旅立った。
告別式の日、義姉が「全部私が悪いんだよ」そう言った。
何も聞けなかった。どうして今日の日になったのか、お兄ちゃんの遺品も遺骨もない。
ただ笑っているお兄ちゃんの写真が私の手の中にある。

あれから立て続けに身内を送った。
ただお兄ちゃんと積もる話をしたい。
知らない方が身の為、わかっているけれど胸のつかえが取れない日々を過ごしていた。
そんな時、夢とも現実とも区別のつかない夢を見た。
ドアを開けようとした時、白い煙が出てきて怖い…お化けが出て来る、そう思った瞬間、お兄ちゃんが出て来た。私の顔を見つめて「悪かったな」そう言った。

もうすぐお兄ちゃんの三回忌が来る。
きっとお兄ちゃんも言えずにいたことがあったんだね。これでお兄ちゃんは心おきなく、上の世界へ行くんだね。

ほっぺ・2022-01-15
知らなくていいこと
短編小説
ほっぺ短編
発表場所

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アプリ『NOTE15』で作られました。

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しゅんはもういない人、なんの根拠もないのに
もう終わりなんだと思っていた。
そう思わなければやってられなかった。

そんな時に、え?しゅんから電話だ。怖くて心の準備をしないと電話に出られなかった。何度目かの電話があった時、電話に出た。もういない人なのに、そんな不謹慎なことを考えながら…

みーこ、ずっと連絡出来なくてごめんな。俺、死にそうだったんだ。慢性腎不全で透析をしてるんだ。

そう、だったの…透析?生死に関わる病気なのは理解出来た。でもどんな状況なのか理解出来なかった。
それから、腎臓病の本を買った。腎臓が機能しなくなると尿が出なくなる。透析をして血液の中から尿として排出する分の水分を週に3日、1日に5.6時間かけて血液をろ過する。
透析患者の寿命は15年。しゅんは入院で20キロ痩せて、別人になっていた。

みーこ俺、痩せてカッコ良くなっただろ!もともとカッコいいけどな。俺の腕触ってみな。俺、腕に機械を入れたんだよ。

腕の中がザーザー言ってる。手術で機械、入れたの?

嘘だよ。透析って血液のろ過だから、血管をつなぎ合わせる手術して血管を太くしたんだ。ザーザーいってるのは、血液の流れる音だよ。俺さ、まだまだ生きたいんだよ。だから透析するよ。週に3日、1日に5.6時間拘束されるのは辛いし、透析の後って、血圧が下がって本当に辛いんだ。でも俺、後悔したくないからさ。でも俺、早くお父さんに会いたいんだよ。お父さんとは何も話もせず、逝っちゃったからな。
しゅんのお父さんはしゅんが23歳の時、くも膜下出血で亡くなっていた。

それからしゅんは、後悔したくない、言葉の通りしゅんが私に会いたくなればすぐに会いに来て、思い切り私を愛し、いろんなところへ連れて行ってくれ、美味しい食事を食べさせてくれた。私には生き急いでいる様に見えた。
私はしゅんに何がしてあげられるのだろう。

ほっぺ・2021-07-21
小説
寿命
ほっぺ短編
発表場所

妹の空は鉄棒大好きな活発な子、花の不登校で1番の迷惑を被っていた
空が登校する時間になると、空ちゃんばっかり学校行けて、空ちゃんばっかり
褒められてずるい!そう言って空のランドセルを背負って、トイレに入って鍵を掛けてしまう
確かに花の目にはそう映っていたのかもしれない
花と言い合い喧嘩して実家に帰ってしまった時、空だけを連れて行った
空の明るい笑い声を聞いていると安心してほっとしたから
花にはわかっていたんだ

幼稚園の時、二つ違いで空が入園してから毎日、花は空が心配で空のクラスまで様子を見に行ってくれる優しいお姉ちゃんだった
あの花はどこへ行っちゃったの

あまりの花のわがままぶりに手を挙げてしまった、どうしようもない逃げ場のない気持ちを
花にぶつけ、机をひっくり返しゴミ箱のゴミをまき散らし、洋服ダンスに拳で穴を開けた
雨の中花は外に飛び出し、お母さんが虐待する!叫んでいた
疳の虫が花にも私にもいて、お互いに騒いでは大人しくなる
花と私の反抗期のぶつかり合い

そうすると学校に行ける、もう大丈夫安心するとまた騒ぎ出す、通報はされなくても
家庭内虐待に力が抜けて、自分じゃない自分になる、自己嫌悪に死んでしまいたくなる

そんな時空が急に泣き出して、学校に行きたくないと言い出した

ほっぺ・2021-07-02
小説
不登校
ほっぺ短編
発表場所

しゅんが亡くなって1年半、早いな。
あの頃はいつかはしゅんの命の期限の15年が来る、分かっていたけれど、過ぎてしまえばあっけなかった。
時折、心の中でしゅんの名前を呼ぶと、あの頃と変わらず穏やかに私の名前を呼ぶしゅんの声がする。


しゅんの子供たちは文武両道、優秀でスポーツマンで、私の娘とは違った。
花は通信高校を一年留年し、四年で卒業、美容専門学校を卒業、美容部員の就職が決まったが、パニック障害を発症し仕事が出来なくなった。
空は高校を卒業、保育専門学校に行き始め保育士を目指したが、行く道に悩み始め学校に行かなくなっていた。
その頃しゅんが会うたびに、「みーこが俺の人生を狂わせた。みーこが俺から離れて行かずに結婚していたら、俺は透析なんてしなくて良かったんだ」そう言われるようになった。

過去はもう変えられないけど、しゅんとの時間は有意義に過ごしたかった。過去の私のわがままがしゅんの病気の原因だとしても、明るく笑ってごめんね、そう言って過ごそうと決心していたのに、会うたびの「みーこが俺の人生を狂わせた」の言葉はとても重かった。
何より何事も前向きで泣き言を言わないしゅんが、私を責め自分は障害者だから俺は役に立たない、その言葉が辛かった。

「しゅんへ 私はいつもどんな時もあなたのことが大好きで、こんなに長い時間を共有してきました。とても自尊心の低い私はいつも前向きで、自信のあるあなたが眩しすぎました。だからあなたの愛情を受け止めきれなかった。あなたの命の期限が少ないと分かった時、どんなことがあってもあなたに寄り添おうと思いました。でも今のあなたは輝きを失い過ぎている。辛いです。どんな思いもあなたに伝えたいです。」

「みーこわかったよ。俺はもうみーこのことを追わないよ。それでも俺の側にずっといてくれ。」

私はしゅんに長いメールを送った。ずっと側にいてくれ、と返事が来た。
それから腹水が溜まって入院するとメールが来た。

ほっぺ・2021-09-21
小説
ほっぺ短編
発表場所
しゅんへのメール

花の不登校の経緯は小学校からは申し送りはなかったのですか?なかったですよと担任
小学校の6年の担任に中学に出向いてお願いしてきた方がいいか聞いたら
学校でちゃんと申し送りしておきますから大丈夫と言われたんです
担任は私は何も聞いていないの一点張り、それなら校長と話をさせて下さい
私は校長室で花の不登校の様子、発達障害があるかもしれないことを話した
それからは明るい教頭が話を聞いてくれ、花は相談室という名の自習室に閉じ込められた
小学校の勉強も満足に出来ないのに、中学の勉強もまた遅れていく

花は医療に繋がり、睡眠障害とアスペルガーのグレーゾーンと診断された
花はわがままだから学校に行けないの、わがままだからみんなと同じことが出来ないの
花の自己肯定感は低く、毎日毎日怖い夢を見て、朝も起きられない、学校にも行けない
たまに行けても閉じ込められた自習室で何をするでもなく、時間を潰すだけ
思春期にも入り、私と花の関係も相変わらず悪化したり、カウンセリングで思い直し
上手くコミニュケーションが取れたり、悪戦苦闘した

学校以外で花を通わすところはないのだろうか、インターネットで探した
適応指導教室というのがある、さっそく見学に行った
学校に通えない子たちが通い、学校に行ったのと同じに出席日数になる、児童公園の一角にあり、絵を描く子、ギターを弾く子、公園で遊ぶ子、本を読む子、それぞれだった

中1から通い始め、優しい中3のお姉さんたちが何も知らない花に、ジャニーズを教えてくれ
性教育までしてくれた、昼夜逆転の子、 ネグレクトの子、いじめられた子
元学校の先生の先生たちが温かい目で、それぞれの不登校児をちゃんと見て、接してくれる
所長さんと呼ばれる元校長先生が、本当の教育とはこの子達のようにこぼれ落ちてしまう子達を拾い上げることだよ と教えてくれた、涙が出た
花はこの適応指導教室で少しの勉強と趣味のジャニオタ、お絵描きを覚えた
親の私たちにもなぜこの子達は不登校なのか、教えてくれた

学校と適応指導教室と並行して、学校は特学に席を置いた
アスペルガーとはどんな特性なんですか?特学の先生は私に聞いてきた、まだ発達障害もあまり知られていなくて先生も知らないのか、学校の先生は何でも知っている、そんなのは幻想だと悟った
同じ特学に通う、自閉症のお子さんのお母さんがとても前向きで、学校にはこちらからこうして欲しいとどんどん言わないとダメよ、教えてくれた
私もこんなお母さんになりたいと思った

ほっぺ・2021-07-08
小説
不登校
ほっぺ短編
発表場所

「継ぐ」

運転しているといつも誰かが見ている。ルームミラー越しにうしろを見ても誰もいない。でも確かに誰かがいて、私を見ている。
そう感じるのは、車の中だけじゃない。

春でもないのにいく先々に、モンキチョウが飛んでくる。それも懐かしさを感じるのはどうしてだろう。
ある時は、人の気配がして振り向くと黒い影があった。あちこちで私を見ている気配を感じた。

気のせいなのか、いいやそうだ、きっとやっぱり見ている人がいるんだ。
何やってんだ!そんなことでどうするんだ!
私のやることなすことが心配で、手を出したくている人。

わかっているよ。可愛い一人娘のお嬢さんだもの、貴方がしていたようにはできるはずないんだよ。私は貴方を超えられないんだから。
それでも私なりに貴方の残した物を、貴方が喜ぶように大切にしている。
これであっているなら、私が望むように事を運んでちょうだい。
柄にもなく、モンキチョウだなんてらしくないよ。
ねえお父さんそうでしょ。

お父さん幸せにしているの?いつも誰かの世話を焼きたくて見ていられないのよね。
私は大丈夫よ。貴方の遺伝子がしっかり根付いて、コツコツ前に進んでる。
貴方の大好きだったあの家にまた新しい風を吹かせるから。
お父さんもそうしてきたようにね。

ほっぺ・2日前
継ぐ
世代交代
短編小説
ほっぺ短編
発表場所

しゅんの具合が良くないと悟った。
お見舞いに行きたいとメールしたが、血圧が上がらなくて辛いからもう少し良くなってからにして。
そのメールが最後になった。
何度メールしても、何度電話しても返事はなかった。

「桜の花が咲きましたね。しゅんとまた見たいね。」
「暑くなってきたね。具合悪くならないといいな。」
「今年も終わります。良いお年を。」
返事はないけど、きっと読んでくれていることを期待して季節の挨拶をした。

しゅんからの連絡が途絶えて一年が過ぎ、思い立ってしゅんが透析に通う時間に病院に行ってみた。
足を引きづりながら病院に向かうしゅんの最期の後ろ姿に会った。
元気そうではなかったけど、連絡を途絶えさせた理由がある、そう感じ声はかけなかった。

それから何日か過ぎ、しゅんの夢を見た。何も言わず見守ってくれている夢。
いつもそう。忘れた頃に夢に出て来て、見守ってくれている。
心は通じ合っている気がした。

それから2ヶ月後、新聞のお悔やみ欄にしゅんの名前を見つけた。

ほっぺ・2021-09-21
小説
最期の後ろ姿
ほっぺ短編
発表場所

会うたびに後悔したくないと言うしゅん。
今日は高速で、新潟の有名な油揚げを食べに行くよ。
今日は益子まで行って、陶芸をやろう。
今日は、そば打ち体験をしよう。
今日は、スカイツリーとクルーズランチ。
今日は、航空ショーでブルーインパルスを見るよ。
しゅんとはたくさんの思い出を残した。みーこと一緒に行きたいから、みーこに見せたいから、みーこと一緒に。

私はしゅんの愛情を一身に浴びながら、私の出来ることを探した。
もう、しゅんに隠すことは辞めようと思った。触れてはいけないしゅんの奥さん、お子さんのことも素直に聞いて、私のことも素直に話す。10代の頃、しゅんの思いが重すぎて理不尽にしゅんを振ってしまったこと、全部謝ろう、そう決めた。

私はすぐに諦めてしまうタイプ。しゅんは目標のために努力するタイプ。前向きで前向きだから、目標の達成が出来るんだなと思った。私はいじけていた。

ねえどうして私が良かったの?
何色にも染まってない赤いほっぺだったからさ、可愛くてさ。俺、共学だっただろ、共学の女子なんて休み時間にはもう、早弁するは、男とどっか行くわ、酷いもんよ。
大人になった今でも、分からないんだよ。私は街のしゅんには似合わないって。
俺にはそれがわからないよ。俺はみーこが好きで、みーこも俺が好きだろ、それでいいんじゃないか。

俺さ、自分の命が限られてるってわかった時、病院の前の踏切に飛び込んで死のうと思ったんだよ。奥さんに言われちゃったよ。あんた何考えてんのよってさ。俺、障害者だからさ、年金生活者だしさ、仕事なんて適当でいいんだよ。俺、週3日病院に通わなきゃいけないから、仕事今までみたいに出来ないしね。

優秀セールスマンのしゅんには、現状が耐えられなかったのかもしれない。

私には奥さんみたいに、しゅんを叱ることも出来ない。あんなに娘のことで支えてくれたしゅんなのに、後ろ向きになって、それなのに前よりもっと私を求める。
みーこが俺のこと振らなければ、今頃俺は病気になんかなってなかった。みーこが俺の人生を狂わせたんだ。

しゅんは会うたびに私にそう言った。
やっぱり私が悪いのか、せつなくなる。

ほっぺ・2021-07-25
小説
俺の人生を狂わせた
ほっぺ短編
発表場所

医療に繋がった方がいいですよ
保健の先生が小児科を紹介してくれた
こだわりも強いし、もしかしたら発達障害かもしれないですね
発達障害?障害者なの?
好きなもの嫌いなもののこだわりが強く、人付き合いが苦手
視覚や聴覚、臭覚が敏感で疲れやすい
あいまいな言い回しや、耳から入る情報が理解しにくく忘れることが多い
障害とは言うけれど発達に偏りがある、誰にだって得意不得意がある
人より不得意なことが少し多いだけ、生き辛さが花の特性

最初の不登校のきっかけは大好きなディズニーの美女と野獣のベルのお人形を
おばあちゃんにやっと買って貰って友達に見せたら、気持ち悪い顔と言われたこと
それ以来学校の誰も信じない、学校が大嫌いな場所になった

花ちゃん校長先生とお話ししようよ
花ちゃん保健室ばかりじゃ退屈してしまうから、学校の中だったらどこにいてもいいからね
どこがいいかな?図書室がいい!
じゃあ花ちゃんが学校に来たら図書室で司書の先生のお手伝いをすることにしよう
お手伝いできたら図書室の本を読んでいいからね
小学校の先生たちが花のために、保健室以外の花の居場所を作ってくれた
小4から小6まで図書室のほとんどの本を読んでしまった

家にもパソコンを買った、学校に行けない日、自己流でお絵描きをするようになった
お世辞にも上手とは言えないけれど味のある絵を書く
興味のあるものにはとことんのめり込み、時間を忘れるくらい集中する
でも興味のないものには敏感すぎる視覚、聴覚から集中出来なくなる

ほっぺ・2021-07-02
小説
不登校
発達障害
ほっぺ短編
発表場所

空の不登校にしょげていた私を見かねて、学校がカウンセリングの先生を紹介してくれた
二人の娘の不登校がどうしてもわがままにしか思えないこと
私は親の背中しか見て来なかったこと、やっぱり育て方が悪いのか、私のせいなのか
じっくり話を聞いて貰った

お母さんのせいじゃありませんよ、お子さんの年が子育ての年ですよ
空ちゃんのお母さん歴はまだ11年、手当てと言ってお腹が痛い時、そっと手を当てて温めると痛みが取れるんです、空ちゃんの心の痛みは、ぎゅっと抱きしめて温めてあげて下さいね
赤ちゃんの時を思い出して下さい、抱きしめられて嫌がる子はいませんよ
心の傷が治った時、空ちゃんは抱きしめられに来なくなります
それまでぎゅっと抱きしめてあげて下さいね

それに空ちゃんは、花ちゃんの不登校の様子をずっと見ていましたね
お母さんが花ちゃんにかかりっきりなのを見て、寂しかったんだと思います
不登校児の兄弟にはケアが必要なんです

小学校に入ったらもう親の手はかからない自立出来ると思っていた
花、空と3人で川の字に寝ていたが、子供部屋に二段ベッドを買い二人で寝かせていたのも
この頃からだった
空は放っておいてもハイハイで後追いしてきて、気づくと後ろからおんぶされにくる
手のかからない子だった

空、お母さんとまだ寝たいの?うん…じゃあまた一緒に寝ようか、うん!
空、お母さんにおんぶされたい?うん…じゃあおんぶして欲しい時は、おんぶしてって
言ってくれたらいつでもおんぶすることにする?うん!する!
空は少しずつ元気になっていき、私も少し子育てのコツを教えて貰えたような気がした

花も空も守れるのは私しかいない
子育てのコーチングの本、発達障害の本を読みあさり、いい意味で学校に意見の言える親になろうと決めた
学校は授業参観と運動会しか親は行ってはいけないと思っていた、無関心母からモンスター母に変わった

ほっぺ・2021-07-08
小説
不登校
ほっぺ短編
発表場所

世間ってなんだろう

学校に行けない娘と
そのうちまた元気に
通えるようになるよ と
同情に余念のないママ友

あなたに娘はいないのに授業参観に行き
クラスの親睦会に出る気持ち

行けもしないのに修学旅行の説明会に
出る気持ち

斜線だらけの通知表を見る気持ち
わかるの?

まだまだ体裁に塗り固められた母親像からは脱出できる気配はなかった
行儀が良くて勉強がスポーツが出来て
言うことをよく聞く
子供は私物そんな思いは否めなかった
ただ反抗する心に怒りを覚えその心を受け止められない
自分だけが可愛くて子供はアクセサリー
そんな反抗する理由の子供の心があるなんて思いもしなかった

登校班のお母さんたちに毎日行けない
連絡をするのも苦痛だった
そんな時毎週病院通いをしている子の
お母さんから
まだいいじゃない!元気にしてるんだから、ウチなんて毎週病院通いよ!

そんな言葉も鬱陶しくて
ただただ暗闇の中にいて毎日駄々っ子に
駄々をこねられ身動きが取れない
そんな日々だった

ほっぺ・2021-07-02
小説
ほっぺ短編
不登校
発表場所

田舎のりんごほっぺの高校一年生のダサい私、みーこ
中学の時に憧れた先輩を追いかけて同じ部活に入った
学校は違うけど、高校総体で会えることを期待して
そんな浅はかな思いと裏腹に、入った部活は全国大会に出場する常連校で、部活の毎日
学校が楽しくなかった、白馬に乗った王子様でも現れないかな?
そんなことを思っていた矢先

俺、クラスの奴が持ってきた中学の卒業アルバム見て、この子がいいって思って
電話したんだ!野球部でレフトやってる!絶対甲子園に行きたいんだ!
ある日家の黒電話が鳴って、受話器の向こうでどこかの同い年の男子が喋っている

は?この人何言ってんの?卒業アルバムってあの変な顔の写真を見て?信じられない!
すぐに電話を切りたかった、俺手紙書くからさ、文通しようよ
嫌だと言えなかった、それくらい強引な初めての経験にうんと言うしかなかった
私の高校より街の同じ商業高校の、身長178cmの野球部の一年生の しゅん
それから1ヶ月に2、3回の文通と、しゅん が夜に素振りに行く日に公衆電話からかけてくれる電話のやり取りがが始まった
騙されてるような、それでいて嬉しくて、郵便屋さんが来るとドキドキして
電話は誰よりも先に出た

今、授業中にみーこに手紙書いてるんだよ、自習中だから暇でさ!
今日は部活がテスト休みだから暇でさ、みーこに手紙書いてるんだよ、そのうち会いたいよな、早く会いたいよ、そうだ写真送ってよ、俺も送るからさ
それからすぐに坊主頭の背の高いしゅんの写真が送られてきた
相変わらずほっぺの赤い田舎の女子高生の私の写真を、可愛いな、みーこに早く会いたいよ
というしゅん
私のどこが?理解に苦しみながら、それでもしゅんのペースにどんどん惹かれてれていった

ほっぺ・2021-07-14
小説
初恋
ほっぺ短編
発表場所

二人の不登校の娘に振り回されていた時、しゅんは黙って私が泣いているのを抱きしめてくれた。
しゅんはどんな気持ちだっただろう。しゅんとは違う人と結婚した、私の苦しみを黙って聞いていてくれた。
お互いの私生活のことは話さない、聞かない、暗黙の了解だった。でももう私の心は崩壊して、しゅんのところでだけで泣きたかった。泣けた。

そうしてしゅんのところで泣き、癒され、崩れる…

みーこのことは俺が守ってやるからな、心配するな!

嬉しくて、哀しくて、苦しかった。
私だけのしゅんじゃないのにね…私、我儘放題だったから、バチが当たったんだね。

しゅんに身体も心も満たされながら、私は二人の娘を守り抜く!と決めた。

花は中学3年間を適応指導教室に通い、無事に中学を卒業した。空は持ち前の運動神経で、部活のエースとして中学3年間を、部活に明け暮れた。

そんな時、しゅんと連絡が取れなくなってしまった。
年末の忙しい頃しゅんが、俺、頭痛が酷くてさ、時々視界が悪くなることがあるんだよ。
風邪かな?医者に行ってくると、言った。

それきりしゅんに何度電話しても、電源が入っていないか、電波の届かない場所にいるとアナウンスが流れる。
それから1ヶ月後、酸素のチューブを鼻から入れたしゅんの写メが送られてきた。

俺入院したんだ。それから半年また連絡が取れなくなってしまった。

わけもわからず、嫌な予感しかしない。待つしかなかった。もしかして死んでしまったの…どうしてなんで?
しゅんにとって私は、一番の人だと思っていた。
最愛の、しゅんのすべてを分かっている人なんだと…。

そうじゃなかった。現実はしゅんのこと何も知らないし、わからない。
私は無力な存在だと知った。
しゅんは生きているのか、死んでしまったのか、心は死んでしまった人を想うみたいに、わけもわからずにいた。

ほっぺ・2021-07-18
小説
無力
ほっぺ短編
発表場所

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