あぁ,今日もか
俺は空を眺めそう呟いた
打ち付ける雨に独り言を呟いて
今日もあの場所へ向かう
丁度通勤ラッシュの時間帯
スーツのおっさんにぶつかられ,軽く謝罪を述べる
そもそもぶつかってきたのはそっちだろ。
などと愚痴を零しながらも歩みは止めない
敢えて人混みの多い道を通る
その方がおかしな奴らに絡まれることもないし
なんだか落ち着くのだ,あの頃と同じで
さて,今日も花屋の店主と挨拶を交わす
今日はどんな花の気分かな,なんて
雨だから造花でもいいか
でも本物の方が綺麗か?
なんて特に重要ではない議論を脳内で始める
結局一番リアルな造花を買っていくことにした
崩れてしまっては困るからな
予想通りだが
昨日さしたリンドウはペタンコになっていた
最近はさす花の花言葉にも拘っている
リンドウは"悲しんでいる貴方を愛する"
一昨日は仕事で来れなかったからな
寂しかっただろうと思ってこの花をチョイスした
自意識過剰だろうか
因みに今日は造花ではあるがアイリスを選んだ
アイリスの花言葉は"信じる心"
あの約束を交わしてから2年近く経つが
未だに達成出来ていない
もう呆れているだろう
だが達成しようにも色々条件が揃わなければ。
とずっと言い訳をして現在に至る
花をさして軽く手を合わせる
もうこれも慣れてきたものだな
さて,今日は雨も降っていることだし帰ろう
俺はお墓に手を振って歩みだした