はじめる

#コメディ

読んでると、
思わず胸がギュッとしめつけられる、
そんなポエムを集めました。

全30作品・

~質問~

好きな本、おすすめの本を教えてください
ジャンルは問いません
個人的に好きなジャンルは
恋愛、ミステリー、バトル、あやかし、コメディです
小説、漫画何でもいいのでお願いします!

岬・2018-06-29
質問
漫画
恋愛
ミステリー
バトル
あやかし
コメディ


「んん……」


真っ暗な部屋に

デジタル時計の灯りが

ぼんやりと目に映る


「……えっ、零時過ぎてる!?」


どうやらあのまま

寝てしまったらしい


「……にしたって、六時間以上も

普通寝る?……お母さん

起こしてくれたっていいのに」


着替えもせず、制服のままだ


「そういえば、変な生き物……見たな

夢だったのかな……」


月明かりに誘われるように

窓の外に目を向ける


煌々と輝く今夜の月は

満月のようだ





「ごめんくださーい」




……はい?


今、何か声が……


続いて、僅かだがコンコンと

窓をノックする音まで聴こえてくる



いや、でもここ、二階なんだけど……



「花柄のおパンツ女子は

起きてますかぁ?」



……あの小人、あの時ちゃっかり

見てやがったな!


ひとつ溜め息を零し

私は窓を開ける


「うぅ、寒っ!」

「おぉ、やっと開けたな」

「ちょっと、人のパンツ勝手に

見ないでくれる?」

「なんだ、開口一番パンツの話か」



……お、ま、え、が、なっ!!



「てぇか、お前、着替えてねぇじゃん」

「あー……、寝落ちしてた」

「人を追い出しといて、なんてぇ奴だ」


窓は開けたものの

ドラコンは部屋へと入って来ない


「何か、用なの?」

「振られて落ち込んでるお前を

放っておけなくてな」

「……余計なお世話です」

「ほれ、俺の背中に乗れ」



くるっと背を向けたドラコンは

その小さな背中に乗れと親指を立てる


いや、いやいや……



「どうやって乗るのよ」

思わず笑いが噴き出した


「乗る前に、潰れるよ?」

「おぉ、そうだった、危ねぇ危ねぇ

ちぃと、待っとけな」


そう言ってドラコンは

ベランダの柵の隙間から

ピョンと飛び降りてしまう


「えっ!?」

あまりに衝撃的な出来事に

心臓がドクンとひとつ音を鳴らした


すると、次の瞬間


信じられない光景が目の前に広がる




「……っ!!」

心臓はバクバクと激しく脈を打ち

言葉は出ない


「ほれ、背中に乗れ」

「……え、……え?待って……

ドラコン……なの?」

「そうだ」



なんと、私の目の前に現れたのは

ほんのりシルバーブルーに輝く

龍の姿だった



「どっ、どど、どどどど……」

「なんだその

間抜けな轟音のようなものは」

「どら、ドラゴン!!」

「俺の名前は、ドラコンだ

そこ間違えるなよ?」

「いやいやいやいや、おかしいって!」


見たことのない光景に

驚きを隠せない


しかしこのドラコン

平然と言い放つ


「なーんもおかしくねぇぞ

龍なんてなぁ、その辺にうようよ

飛び回ってらぁ」


うようよ飛び回ってたら

世界中大混乱だ



「乗るのか、乗らねぇのか

どっちだ」

「……ど、どこ行くの」

「ジュコンを見に行くぞ」

「はい?」

「ジュコンが見てぇんだ、俺は」



ジュコンとは……何ですか?


「ほらあれだ、人魚のモデルに

なったやつだ」

「……それって、ジュゴンでしょ?」

「……まぁ、そうとも言う」



何故ジュゴンなのか

何故私を連れて行くのか

甚だ疑問は残るが

ゴクリと喉を鳴らした私は

ベランダの柵に手を掛ける


「これ……まさかドラコンは透けていて

私、落ちたりしないよね?」

「俺を触ってみりゃあ分かるだろ」


ゴツゴツとした肌触りに

硬く逞しいその龍の体


人間の体より遥かに大きな背は

安定感さえ齎した


「や、やば、なにこれっ」

「しっかり掴まってろよ」

「いや、ちょっ、待って」


制止も虚しく、ドラコンは

上空へ高く風を切る



私は必死でドラコンにしがみついた

Mari・2020-11-22
物語&小説/from:Mari
小説
ドラコンは小さな恋人
第2話
コメディ
短編/Mari
この僕に愛を
好きな人
独り言
ポエム


何度目だろう

「友達に戻りたい」と告げられて

振られるのは……


どうやら私は

〝彼女〟になると

うまく感情が出せないようだ



高校2年も終わりに近い冬のある日

ひとつの恋が幕を閉じる




「……どうしようこれ」

彼のために買った誕生日プレゼントも

渡す前に行き場を無くした


帰って来たばかりの

冷えきった部屋で

机の引き出しから

そのプレゼントを取り出せば

次第に虚しさが込み上げる


「……気持ちが見えない……、か」

じんわり浮かぶ涙は

最早、何の涙なのかさえ分からない




「おぉー、いい眺めだなぁ」





……ん?


気のせいだろうか


微かに聞こえた男の声に

私は眉を顰めた


「でぇも俺はどっちかってぇと

白いフリフリパンツが好きなんだよなぁ」




……パ、パンツ!? 誰っ!?



当たりを見渡せど、誰の姿も無い


「どーこ探してんだ、俺はここだここっ」

机と身体との隙間から

足元に視線を移すと

そこに居たのは……



「…………ちっさ!!」

「……お前、わりと失礼な奴だな」

「し……喋った!!え、待って、何!?」


親指の大きさ程の小さな小さな男が

私を見上げている



待て、待て待て

夢でも見ているのか

振られて頭がおかしくなったのか


受け入れられない現実に

一瞬で混乱状態だ


「おい」

「え!?……あ、な、なな何?」

「お前、名前はなんと言うんだ」

「……ま、まりあ」

「ほぉ……それはそれは

大層な名前をつけられたもんだな」



し、つ、れ、い、なっ!!


「そういう、あなたは?」

「俺か?俺はドラコンだ」



……聞き間違い?


「ドラゴン?」

「ドラコンだ」

「……ドラコンってウケる」

「ウケんな」


ドラコンと名乗る小人は

小さな身体で机の引き出しに掴まると

あっという間に

机の上まで辿り着く


「お前、振られたのか」

グサリと胸を抉る問いかけに

言葉は出てこない


「なんだ、図星か」

「……あのさ、着替えるから

出てってくれる?」


これでも傷心中なのだ

幻を見ているにしろ構ってる余裕は無い


「おぉ?いいぞ、着替えて

俺のことは居ないものと思え」


……着替えを見られてたまるかっ!


思春期の乙女を前にして

ドラコンは顔をニヤつかせ

胡座をかいてこちらをじっと見ている



「ねぇ」

「なんだ?」

「人間、ではないんだよね?」


この小人は、一体なんなのか


「まぁ……、もののけ精霊ってとこか?」

「も、のの……けっ……」

「精霊を付けろ精霊をっ

もののけとだけ言えば怖ぇだろうが」



精霊と付けようが付けまいが

目の前の怪奇な光景に

私の心臓ははち切れんばかりだ


「ほら、着替えるんだろう?

なぁに、遠慮なく着替えてくれ」


爛々とした瞳を

こちらに向けているドラコンを横目に

私は窓を開ける


「ささ、どうぞお帰り下さい」

「……俺を追い出すたぁ、なんて

罰当たりな奴だ」

「勝手に入ってきておいて

何を言うの」

「あぁ、そうかい、はいはい

分かりましたよー」



ぶつぶつと文句を言いながら

ドラコンは立ち上がった



……やっぱりちっさ!!


立っても座っても

さほど変わらないその小ささに

若干笑いも込み上げる


「お前、今笑ったろ」

「……笑ってないよ」

「……笑ったろ」

「笑ってないですー」


じとっと見つめるその目に

可愛らしさというものはなく

まるで全てを見透かすような

力強さを感じた


……こんなに、ちっさいくせに



やっとのことでドラコンを

部屋から追い出した私は

脱力するようにベッドに横たわる


「……なんだろ、なんで

涙なんか出てくるんだろ」



心が、虚しい


一人になれば、嫌でも思い出す

彼氏と付き合ってた頃の日々


「そんなに……私、駄目だったかなぁ」



振られた悲しみというよりは

自分自身の情けなさに

次々と涙が溢れ出た



「あは……、振られたショックで

変な生き物まで見て、馬鹿みたい……」


見上げた天井に

オレンジ色の西陽がさす


その優しげな眩しさに

私はゆっくりと目を閉じた




------あとがき------

ひとひらriyuから

小人と女の子のコメディを書いて、と

リクエストされまして笑

構想を練ってるうちに

どんどん膨らみ

これ、第2話に続きます笑

ぷぷっと笑ってもらえたら

嬉しいです(*≧艸≦)

Mari・2020-11-15
物語&小説/from:Mari
小説
コメディ
ファンタジー
ドラコンは小さな恋人
第1話
独り言
ポエム
この僕に愛を
好きな人
リクエスト
短編/Mari
私なりの恋
叶わない恋

これらの作品は
アプリ『NOTE15』で作られました。

他に30作品あります

アプリでもっとみる

{男装女子}第7話【暴走族の名前問題について】  

『で、なんの話だっけ?』

「最近街を荒らしてるチームがいるんだ」

『ほぅ。何チームくらい?』

「う-ん…5~6くらい?」

『えぇ!!そんなに!なんでそんなことになったの?』

「俺たちを倒したいんだろう?」

「桜龍強いからな!」

「俺達格好いいからな〜」

『ただのナルシスト軍団じゃん!!』

普通自分で格好いいとか言うか!?

馬鹿じゃねぇの?いや馬鹿か。

『話を戻してなんていう名前のチームなの?』

「えっと銀龍・白狐・黒蝶・黒豹・紅だ。」と希が教えてくれた。

『黒色被ってる!!ここは色被らせちゃダメでしょう!?』

「偶然だよ偶然…パクったのかな?」それダメでしょ!

「じゃあ白狐から潰していくか…」

「じゃあ俺ら潰してくるから
悠!夕飯作っておいて~」 

『俺も潰したかった((ボゾッ
分かった、夕飯作っておく』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

晩御飯はシンプルに味噌汁と魚と白飯にした。シンプルすぎるか?

嫌だと言っても無理やり食べさせるか…    

【☆サイコパス☆】 

皆「いただきます!」

皆「ごちそうさま!」

こんな感じで1日が終了!

色々と今日は大変だったと思う笑笑

第8話ヘ続く

秘密さん・2020-08-14
小説
暴走族
バカ
コメディ
男装少女(小説)

{男装女子}第8話【ピーマン嫌い】

『ん…んぅ…』

アラームうるせぇ(怒)

不思議に思いながらも携帯のアラームを止めようとする

…腕が上がらない

というか身動きが取れない。

(かかか、金縛り!?) 

でももう朝だよ?

おばけさんたちも帰ってるはずなのに?

薄っすらと目を開けると目の前は灰色

『んぅ…てか重い』

少し顔を上げると

「おはよっ、マイハニー☆」

『…』

なぜか千歳が布団の中に入って来ていて

満面の爽やかな笑みで私を抱き枕にしていた

どうやら灰色の正体は

千歳の服らしい。

「ふふっ、寝起きもかわいい〜」

『アハハハハ、ありがと☆
…って何してんだてめぇぇぇぇ!!!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もぉー悠は乱暴だな〜」

『たった今、二度とこの部屋に入らないって約束したよな????』

「したっけ?」

『もう一回シバかれたいか?』

「ゴメンナサイ」←何があった

あの後千歳をベットから蹴り飛ばし頭を一発右足で蹴った

【☆すご☆】

『ってなんでここに入れたんだよ!!』

「鍵が開いていたから」

『ちょっとぉぉ!!
そこの半眼のお兄さん!!!
戸締まりはしないとダメでしょぉぉぉ!!』

「……」

リビングで寝そうに(てか寝てる)ソファーでくつろいでいる綾。

起きてきたときは、鬼が出てきたのかと思いましたよ

(綾は悠と同じで低血圧です)

それに比べて千歳はうるさい。

「悠!!何作ってんの?」

『卵焼きとサラダ』

「おおぉぉ!!なんかちゃんとしたご飯だな!

卵焼き嫌いっ))ボソッ」 

『今なんて言った?))圧』

「ゴメンナサイ...」

『分かったらテーブルのセットして』

「はーい…」

朝ごはんを食べない人たちに朝ごはんを作ってあげています。

あぁっ!!私ってなんでこんなに優しいの!?

レタスときゅうりを入れて最後にピーマンを入れる。

「ピーマン入れんな」

『は??』

今のお子様発言だれ?

目線の先には半目の綾が

『すいません。もういっかい言ってもらっていいすっか』

「だからピーマン入れんなっつてんだよ」

あぁ。やっぱり幻聴じゃなかったのね。

ツッコミ入れたり辛かったりしたら本気で殺されそうだったので黙って

ピーマン抜きにしておいた。

『千歳〜朝ごはんできたぞ』

「待ってましたぁ〜…ってピーマン入ってんじゃん」

お前もかよ!?

『わがまま言わずに食え』

「えぇぇ〜綾のは入ってないじゃん」

『綾はいいんだよ文句しか言わないから

千歳、食わないとどうなるか分かってるよなぁ?』←怖 

「タベマス。ワガママジャナイカラネ。」

「てめぇら…」

相変わらず低血圧の綾でした笑

第9話ヘ続く笑笑

秘密さん・2020-08-16
男装少女(小説)
小説
暴走族
コメディ


夏の空に響く祭囃子が

俺の心をくすぐる


「あー……今日花火大会かぁ」


親友の一郎は

薄情なことに、俺とではなく

彼女と行くらしい



「行きてぇなぁ

誰か暇な奴居らんかなぁ」


リビングの窓に吊るされた風鈴の音が

寂しさを煽るようだ



「兄ちゃん!」

「あー?」


弟の洋輔が

勢いよくリビングに入って来る


「今日、花火大会連れてって!」

「はぁ?やだよ」

「えぇー、兄ちゃんどうせ暇やろ?」

「……暇じゃねぇし」

「どうせ彼女おらんのやし

花火大会一緒に行く相手おらんやろ?」



今時の小学生は

こんなにも生意気なもんなのか


それとも、弟が生意気なだけなのか



「仕方ねぇなぁ」

「やった!じゃあ彼女の優羽ちゃんも

誘うけん!」

「はぁ!?お前、彼女おるん!?」

「うん、小学生だけやったら花火大会

行ったらいけんけぇ、兄ちゃん宜しくー」



……おー、そうか


虚しさが全身に広がるようだ

小学生の弟に、俺、完全に敗北




薄暗くなってきた空には

ぽつりぽつりと小さな星が浮かび始める



カランコロンと可愛らしい下駄の音を響かせ

俺の数メートル先を歩く弟とその彼女



何が悲しくて

弟のデートの付き添いをしているのか

溜め息が出るばかりだ



「兄ちゃん!もうすぐ花火始まるで!」

そう言って洋輔は

川原近くの土手に腰を下ろす



微笑ましくも

寄り添う弟とその彼女は

小さい手と手をしっかりと

握り合っているではないか



いやいや、隣になんか座れるか!

今日は保護者や、そう保護者



こいつらの後ろでな

見守っちょきゃあいいんよな


そうやそうや




しかし、そんなちっぽけな意地も

虚しさには勝てない



「あー……やっぱり来るんやなかった」


俺が呟くが早かったか

花火のBGMの音が早かったか

無情にも夏祭りは盛り上がりを増していった



ヒュー……ドーンッ、と

夜空いっぱいに広がる光の花は

ぼっちな俺を映し出す




「あら?青田くん?」


何なん?

同情の声なんか要らんって



………………っ!?


今の声は……ま、まさか……



視線を下ろした先に居たのは

「のっ!乃々香先生!」

「あ、やっぱり青田くんや」


うちわ片手に

にっこりと微笑む乃々香先生が……



お、俺を見てる!!




髪の毛を緩く結い上げ

紺色の浴衣に身を包んだ麗しき姿




は、鼻血が出そうなんやけど!!



ありがとう、神様

やっぱりあんたは

俺を見放しとらんかったんやな



色とりどりの花火の光が

まるで俺を祝福してるようにも見えた



なんて綺麗なんやろ……

ついつい先生に見惚れてしまう



「青田くん、一人?」

「あ、弟の付き添いで……」

「あー、そうなんや?いい兄ちゃんやなぁ」


さっきまでの

やさぐれた俺はどこへやら

へへへ、と照れ笑いさえ浮かんだ



「先生、なんしよん?

一人なんやったら一緒に花火見らん?」


よし、これがきっかけで

俺は大人の女性とついに恋を!!



「あ、ごめんなぁ?二人で来とんのよ」

「二人?」


聞き返したその時

先生の後ろに背の高い男性が

立っているのが見える



一瞬時が止まったように感じた



「あ……、もしかして

彼氏さん……ですか?」

「うん、そう、大学卒業したら

結婚するんよ」



結婚……!?



あー……、目の前が霞む

先生との恋は

始まる前に終わっちもうた……



しかも何なん!?

彼氏、すんげぇイケメンやん!



大人の女性でも

やっぱりイケメン男に靡くんや……



「乃々香」

場所を移動しようと言わんばかりに

彼氏は先生の名前を呼ぶ



「あ、うん、じゃあ青田くん元気でな

勉強頑張りよー」

「はーい……」



そうや、教育実習も終わったんや


先生、俺、頑張れんかもしれん




ヒュー……ドーンッ……と

頭上で花火がパラパラと散っていく



「兄ちゃん、失恋?」


気付けば洋輔が

ニヤニヤとした表情で俺を見上げていた



「うるせぇな」

「花火と一緒に散ったなぁ」

「お前、ほんと無神経やな」

「いいやん、散らんと次の恋は出きんで」



散ってこそ、次の恋は訪れる


そうや

散ってこそや



夏は始まったばかり

高校生活も始まったばかり


次こそは、俺はそう意気込んで

夜空に咲く花を

もう一度見上げたのだった

Mari・2021-03-30
物語&小説/from:Mari
小説
青田くんの恋
第3話
短編/Mari
コメディ
独り言
ポエム
好きな人


まるでプラネタリウムの中を

駆け抜けているかのように

満天の星空が何処までも続く



バサッ、バサッと羽根を大きく羽ばたかせ

シガは私たちを乗せて

日本へと向かっていた



「し、しっ、が、シガっ……」

「なんすかぁ?」

「す、すご、く……乗り心地が、っ!」

「いいでしょ?」

「い、っ、……!いや、わ、悪っ……」

「いいでしょ?」



にっこり微笑むシガは

私の言葉などお構いなしに

物凄いスピードで夜空を駆ける



空を泳ぐ龍とは違い

鹿は跳ねるのだ



揺れるっ……

羽根の動きに合わせて

ものすごく、揺れる!!



「もうすぐ着きますんで

ちゃんと掴まってて下さいねー」


シガは心做しか楽しそうだ



「それにしても、まりあさん

何か悲しいことでもあったんすか?」

「……え?なんで?」

「えー、だってドラコンさんは

〝幸せを呼び込む小人〟なんすよー」

「幸せを呼び込む小人?」



シガの言葉に耳を疑いそうになる

この、工口小人が?


「はいー、心が悲しみに落ち込んでる人の

元にしか現れないんですよー」



そうだ、私……

振られたんだっけ



嬉しさや、寂しさ

そういった感情をうまく出せず

いつも「気持ちが見えない」と

振られてしまう



可愛げのない私に

男たちばかりではなく

自分さえもが

愛想を尽かしてしまいそうだった



「悲しくなんてないよ」

「……強がんなくてもいいっすよー」

「強がってなんか……」

「感じる素直な気持ち、そのまんまを

言葉にしていいんすよ」



羽根の動きに合わせて揺れる

そんな、シガの背中は乗り心地が悪い


だけど、シガの言葉は

やけに心地いい



「私、恋人関係になると駄目なの

途端に、どう接していいか分からなくなる」

「恋愛に不器用なんですねぇ」

「不器用、かぁ……」



僅かに俯いたその時

制服の衿口からドラコンが顔を覗かせる



「おぉ、なんだ、辛気臭ぇ顔して」

「あ、ドラコンさん起きたんすねぇ」

「おー……、シガの背中は相変わらず

すげぇ揺れだな」

「ゆりかごみたいなもんすよ」

「いやいやいや、ゆりかごみてぇに

優しいもんじゃあねぇよ?

こっちは

ガックンガックンなってっからね?」



この二人……いや、この二匹は

仲間だと言っていた

もののけ精霊同士ということか……



「ねぇ、ドラコン」

「なんだ?谷間はわりと

寝心地良かったぞ?」

「いや、谷間の話じゃなくて」



振られて落ち込んでいる女の子なんて

世界中に私だけではない

悲しみの一つや二つ、誰もが抱いている



「どうして、私のとこに現れたの?」

「誰がだ?」

「ドラコン」

「…………あ、俺か?」

「他に誰がいるのよ……」


眠そうな目を擦りながら

ドラコンはじっと私を見上げた



少し切なげに目を細めたドラコンは

ゆっくりと口を開く



「そりゃあ、パンツが見えたからだ」

「…………はい?」

「ちょうど落ち込んでる人間のとこに

落っこちたらパンツが見えたからだ」

「……二回も言うな」



やっぱり工口小人なだけだった



「……ドラ……ドラコンさんっ」

シガは笑いを堪えながら

肩を震わせている


「鹿……」

「シガです」

「これのどこが

〝幸せを呼び込む小人〟なのよ」

「おかしいなぁ、そのはずなんすけど」


尚も笑いを堪えるシガ



私は大きく溜め息をつくと

ドラコンをつまみ出した


私たちはまだ遥か日本上空を飛んでいる



「いいのかなぁ?これ指離したら

ドラコン真っ逆さまだけど

工口工口で適当なこと

言ってていいのかなぁ?」

「わっわわわわ、わかった!言う!

家に着いたらゆっくり話す!」

「宜しい」



やっぱり私のところに現れたのは

何か理由があるようだ



人々がこの地に生まれ来る前から

もののけ精霊は居たとされる


だがしかし、ドラコンは元は人間



私はそこに引っ掛かりを覚えたのだ



天空を駆けるシガのスピードは増す


風を切る私の脳裏には

何か思い出してはいけない記憶の欠片が

微かに浮かぶようだった

Mari・2021-04-14
物語&小説/from:Mari
小説
ドラコンは小さな恋人
第5話
コメディ
好きな人
独り言
ポエム
大切な人

題:カワイイあの子は猛者さん?!
ツワモノ

アイディア:気分屋さん。
ジャンル:恋愛・コメディ




あらすじ↓
男子校と女子高が互いに見えるところに
あるので登下校会う際の多い女生徒達。
主人公(男)はいつものように帰っていると
いつも見かける女子高の生徒が男に
絡まれているので助けようとするが
その時目にしたものはなんと…







_人人人人人人人人人人_
>女の子が男を投げやる光景<
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄








主人公は呆気としていた。
華奢な見た目をしてニコニコしている
女の子が平然と男を投げやっていたのだ。
そう!!!そう!!!!!!!
これは異常な光景!!!!!!

カワイイあの子は何者なんだ!?!






絵に起こすのは無理だから文に起こした
タイプです。
暇な方書いてみて。

気分屋さん@ストーリー投稿・2021-11-06
小説
ストーリー
恋愛
コメディ


仄暗い井戸の底から啜り泣く声が

毎晩俺の眠りを妨げる

今はもう使われていない古い井戸からだ



重く大きな石で閉じられているだけで

庭に放置されたままのそれは

毎晩決まった時間に

この世のものではないあらゆるものを

引き寄せる



迷惑なことに

二階の自室にまでその影響は及んだ



閉じていた目を開ければ

足元で蠢く黒い影


窓を開けているわけでもない自室で

生ぬるい風がカーテンを揺らす


身体に纏わりつく〝何か〟が

俺の動きを拘束するようだった



ものの数分だが、不快感は半端ない



平凡に生まれたはずの俺に

与えられた第六感は

五感と同じように

物心ついた頃には自然と備わっていた



カーテンの隙間から見える月に目をやれば

その光は瞬く間に雲の陰へと姿を隠す



「……招かざる客の気配がする」


真夜中の自室に響く時計の秒針と

啜り泣く声が

まるでメロディーを奏でるように聴こえた時

俺の周りでは決まって奇妙なことが起こった





翌朝、玄関チャイムを軽快に鳴らされ

目を覚ました俺は

寝不足の重い足取りで玄関を開ける



長い髪の毛を靡かせ

こちらに背を向けたその姿に

見覚えは無い



「……ねぇ、私綺麗?」

「…………は?」


俺が答えるが早かったか

相手が振り向くが早かったか

一気に距離を詰めてきたそいつは

もう一度口を開いた


「ねぇ、私、綺麗ぃぃぃ?」


……あぁ、馬鹿馬鹿しい


玄関の前に立っていたのは

友人の白石賢人だ



メイクをし、ワンピースを着て

女装したその口は

口裂け女を真似てか

耳元まで真っ赤な口紅が塗られている



「……招かざる客はお前か」

「え、何?ひどっ」

「何やってんの

感染症終息してないんだから

マスクしなよ」

「そこ!?」

「俺を驚かそうったって無駄だろ」

「あぁ、まぁ、そうね」


俺は大袈裟な程の溜め息をついて

賢人に尋ねた


「それで?何の用?」

「まぁまぁ、ちょっとお邪魔するぜー」



やけに機嫌のいい賢人は

俺を押し退けるように家に上がると

手にしていた大きな鞄から

ノートパソコンを取り出す



リビングテーブルの上で

それを起動させた賢人は

「ちょっとこれ見てみ?」と

満面の笑みで俺を見た



ノートパソコンの画面を覗き見ると

賢人が道行く人に話しかけ

口裂け女の真似をした姿で

驚かせている映像が映っている



「……お前なぁ」

「面白いだろ?」

「無関係の人を巻き込んで

映像作ってんなよ」

「翔吾も手伝ってよ」

「……は?なんで俺が」

「人手不足」

「一人でやれよ」

「人・手・不・足っ!」

「一人でや……」

「ひ・と・で・ぶ・そ・くっ!!」


賢人の強引な誘いに

俺は頭を抱え渋々頷いた





街に出た俺たちは

予め賢人が呼んでいたのであろう友人たちと

合流する



「……どこが人手不足だよ」

「まぁまぁ、いいものを撮影するには

これくらい必要なんだってば」

「……撮影者だけで五人も必要ねぇだろ」

「固いこと言わないのー」


勝手気儘な賢人に

最早呆れてものも言えない



それから俺たちは

人通りの少ない場所を探し

かれこれ40分程歩き回った



「どこまで行くわけ?」

「もっとさぁ、なんかこう

薄暗い場所っていうか

いかにも出ます!みたいな……」


そう言いながら賢人は

キョロキョロと辺りを見回しながら

俺たちの先頭を歩き続ける



そんな時だ

俺の第六感が反応する



霊的なものには幾つか種類があり

危害を与えない弱いものから

近付くだけで

その後の人生を脅かす程の

危険なものまであるが

ここで反応したのは当然後者の方だ



「おい……、ちょっとこっちやばいって」

「え?何が?」

「ここやめた方がいいよ、戻ろう」

「なんで?」

「いいから」

「えぇぇ、ここまで来たのにー?」


おもしろ動画を撮ることで

頭がいっぱいの賢人が

俺の忠告を聞くわけもなく



唇を尖らせ、文句を言いながら

足を止める気配はない



「しょ、翔吾、何がやばいわけ?」


俺の第六感を知っている友人たちは皆

ゴクリと喉を鳴らしながら

辺りを見渡した



「空気が……」

そう言いかけた時

賢人が足を止める



「いい感じのターゲット発見

おい、あの人に声掛けようぜ」


賢人は振り返り

撮影しろと合図を出した



仕方なく、俺たちは

ターゲットの前には行かないように

方々に散り、カメラを構え

ファインダー越しに賢人を追う



その先には

白いワンピースを着た髪の長い女性



身体の線は細く

真夏には似合わない程の色白だ



女性の後ろから近付いた賢人は

マスクをしたまま話し掛ける



「お姉さん」

その声に、女性がゆっくりと振り返ると

俺たちは全員目を見張った



女性が付けるには大きすぎる程のマスクが

顔の二分の一を覆い

前髪とマスクの間から虚ろな目が

賢人の姿を捕らえる



そして、振り返りざまにその女性は

「ワタシキレイ?」と

賢人が言うはずの言葉を口にしたのだ



女性と至近距離にいる賢人は

普通とは言えない不気味な姿と

その言葉に

頭の中はパニックだろう



「え……、え?…………え?」

言葉にならない衝撃を受け

賢人は一歩後退るのがやっとだ


女性はもう一度

「ねぇ、ワタシキレイ?」と問い掛けると

虚ろな目を更に怪しく細める



咄嗟に〝逃げなきゃやばい〟と

感じ取った俺は

「逃げろ、賢人!」と声を上げた


その声に、賢人をはじめ

周りで撮影していた友人たちも皆一斉に

元来た道を全速力で走り出す


後ろを振り返ることなく無我夢中だ



当の俺はというと

生まれつき心臓も弱く

喘息持ちだった為

急な動きに足はもつれ

躓いて転んでしまう



直後、俺の背中に重く冷たい何かが

のしかかった


耳元で囁かれる

「ワタシキレイ?」の声に

血の気が引いていく


女性は同時に

俺の身体を仰向けにさせた

細い身体からは想像出来ない程の力で

身動きが取れない



女性は目を大きく開き、俺を見下ろす



「……あら、イケメン」

「…………え?」

「食べたいわ」

「…………は?」

「私の彼氏になる気ないかしら」

「…………ない」


女性の独り言に律儀にも返事をしていると

女性は目を細め、更に顔を近付けた


長い髪の毛は俺の頬に触れ

彼女の指は俺の首筋を這い

ゆっくりとそのまま腹筋までなぞる

それだけで身の毛のよだつ思いだ



「……意外にいい身体」

「…………は?」

「細マッチョなのね」

「…………なんなの?」

「私好み」

「…………ちょっと、やめて」


なんなんだ、こいつは


霊気はやばめの強いものだが

女性がボソボソと発する言葉に

拍子抜けしてしまう



女性は俺の耳元を撫でると

そのまま俺のマスクを外した


「綺麗な顔立ちね」

「…………どうも」

「私の顔も見る?」

「見ない」

「ワタシキレイ?」

「…………感染症流行ってるから

マスク外さないでよね」

「ワタシキレイよね?」


口裂け女についての妖怪話や都市伝説には

恐怖に慄いて「綺麗」と返事をすると

「これでも?」と女がマスクを外し

裂けた口を見せ

殺されると書かれている



俺はこの後、殺されるのか?


幾らちょっとおかしな会話をしていようとも

この女性から感じる霊気は本物だ

口裂け女に違いない

この状況をどう切り抜けるべきか



「綺麗」と言わない俺に

痺れを切らしたのか

女性は自身のマスクを外そうとした



これ以上はまずい

更に恐ろしい顔を近付けられても困る


何か、言わなければ

どうにかしなければ


焦った俺は思わず……



「ソーシャルディスタンス!!」


どうにでもなれ!

俺はそんな思いで、口にした



静寂が、俺と女性の間に流れる



失敗したか……

俺の額を冷たい汗が伝った



するとどうだろう

女性はマスクを外そうとした手を止め

俺の前からそのまま姿を消したのだ




「……え?……俺、助かった?」


それまでの重い空気は一気に晴れ

鳥は囀り、辺りに心地よい風が吹く


強ばっていた身体は脱力し

俺はようやく安堵の息を吐いた





翌日、賢人は俺の家を訪ねるなり

大袈裟に土下座をする


「ほんっとごめん!忠告無視してごめん!

んで、置いて逃げてごめん!」

「はぁ……もういいよ」

「まさかお前が転んで逃げ遅れるとは

思わなくてさぁ!」

「……それ、言わないでくれる?」

「昨日の映像、途中までレック回してたし

あれはなんだったのか

もう一度確認しようと思って見たらさ……

どこにもあの女映ってなくて」

「あぁ……、そうなんだ」

「もうお前の第六感

ナメないようにするからぁ!

許してぇぇぇ」

「……ナメてたわけね」



誰もが見えるわけではない

この世のものではない生き物

しかし、見えていなくとも

そこらじゅうに存在しているものだ


見えないからと調子に乗って

面白半分に刺激すれば

当然報いは受ける



その時、人は第六感がなくとも

感じ取れるだろう



鏡の向こうに映る気配

赤信号の横断歩道に誘う手

誰も居ない駅のホームに佇む影

廃墟となった病院で今尚苦しむ声



重い空気の中で

研ぎ澄まされた五感が限界を超え

一瞬だけ第六感を呼び起こすのだ



「面白半分でやらないことだな」

「はい、誓います」

「嘘っぽ……」

「いや、ほんと!誓いま…………え……?」

「……え?」


俺の後方に気配を感じたのか

視線を移した賢人は声を失い

分かりやい程に青ざめる



賢人の視線を追い

振り向くとそこには

昨日の女性がじっとこちらを見つめていた

Mari・15時間前
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